表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界奇行---俺にはキツスギル!  作者: kenken@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/162

手にするもの

ラビリンス2階は銅と銀



石のラビリンス2日目。


 あぁ~。

 最初で外れかぁ~!はぁ~。


気を取り直して通路を進み始めたが。

いきなり期待を裏切られた感じでスタートから溜息ばかり。

途中で立ち止まっては、注意して通路の岩壁も観察していく。

何かが有るかもしれないからね。うん!何かが。

 

 それにしてもだよ!

 さっきの部屋は、何もない空っぽの、、スカだったなぁ。

 なんでだぁ!ふぅ~。


愚痴をこぼしながら、また薄暗い通路を奥へ歩き始めたよ。

2階の足元も多少凸凹しているけど何とか大丈夫だね。

う~ん、通路も暗くてイマイチ良く見えないなぁ。

 

 お~~ぅ!おもいついた!。


あの木の棒をポーチから取り出して右手に持って、、。


 「灯り」の魔法を木の先端に灯せば、、、。

 明る過ぎだって!、、あ~もう。暗く!暗く!。

 ふぅこんな感じで良いかな。



素の状態の「灯り」は10畳用程のシーリングの明るさなのかな。

だから目の前に点くと明るさが強烈なんだよね。

つい言葉で言ったけど。

明るさが。ス!、ス!、っと2段階暗くなったよ。


 良い感じで周りの岩壁の様子が分かるようになったじゃん!。

 良いじゃん!良いじゃん!。

 これなら何かが有ったら、俺でも見逃さないでしょ!。

 さぁ~出て来いよ、、、御宝ちゃん。


足元まで明るくなった通路をスイスイと奥へ進んで行く。

キョロキョロしつつ、何か無いかと辺りを伺い。

奥へ奥へ!順調に進む。距離が伸びていく。


 やった!・

 左に部屋かな、穴が見えるじゃん。

 今度は何かあるでしょ!。


足早に穴の手前まで進んで足を止める。

今度こそ何かアルだろぉ~ラビリンスだし!ぅ~。

俺の頭が少し可笑しく、熱くなってるのかも。


 先ずは、深呼吸をして。落ち着け。はぁ~~~!ふぅ~~ぅ。

 はぁ~~~!ふぅ~~ぅ。

 よ~し!勝負だ!。


勢いよく、壁際から穴の中を覗き込んでみるけど。

はははっ、、ヤッパリ薄暗くて良く見えないよ。


 はぁ~。「灯り」。


目の前の部屋の中がメチャクチャ明るくなったよ。

今度はちゃんと離れた場所に「灯り」を点けたもん。

その明るくなった部屋を入口から観察すると。

部屋の隅に、、小さな木箱が1つ見えるよ。


 おぉ~~~!。

 まさか!まさか!、、、、、でも木箱?。

 何で木箱?。

 ここは普通、、、宝箱じゃないのかな?。ねぇ?。

 小さくてもキラキラのさ。

 うぅ~ん。

 此処のラビリンスには、罠類は無いって聞いてるから。

 

考えててもしょうがない。

何だか気になるので、部屋に入ってみる事にした。

部屋の真ん中辺りから、隅の木箱を見つめる。

だいたい10センチ四方の大きさだな。

怪しいけど、、木箱かぁ~。

意を決して?。

木箱を手に持って見る事にしたよ。

うん、見た目の通りで木箱は軽かったよ。

これは上蓋が蝶番で上に開く仕組みかな。


 まあ開けてみようか。

 そうじゃないと何だか分からんし!。

 さて!。


木箱の蓋はスッと開いた。

中には、、、小さな銅の塊が1つ、、、。

これ、、銅貨何枚分か。


 ぐぬぅぅ~~~!駄目じゃん!。

 銅の塊!かよ。

 くぅ~!重みはシッカリ有りやがる!。


木箱の中から、銅の塊を手に持ってみると意外に重い。

はぁ~!ヤッパリ甘くないねぇ~。

気を取り直し、入った部屋の中を良く観察するよ。

他にも何かあるかもしれないから。 

 

 木箱以外なんか無いかなぁ~。

 頼むよ~有ってよぉ~、、。

 うぅ~ん、、無いかぁあ~。


自分の頭を、両手で後ろ手に挟んで、、。

くぅ~ぅ。唸るだけだ。


 次だ次!。


此処の部屋も木箱以外、何も無いみたいだ。

駄目かぁ~、しょうがないまた通路に戻って。

先に、奥に進もう。


 今度こそ、、何か。


にしても、、今も人の気配がしないんだけど、、。

ラビリンスには、俺以外にも多くの冒険者が入り込んでるのに。

何処にいるんだろうかな、不思議だ!。


 ひぃ~~!。自分の足音が異様に響いているよ。

 ホラーは苦手なんだから勘弁して。

 薄暗いトンネル、、意識しちゃうぅ~~。

 

トンネルを暫く進むうちに、妄想が湧き出てくる。

冒険者の皆が別々にさ、ラビリンスに入るけど。

知らぬ間に、どこかで、何処かに飛ばされてたりしてね。

帰りの時も、いつの間にか元の場所に、、。

だって人が居なさすぎなんだもん、、。

駄目だな俺の頭じゃ。

この、人の居無さ加減は理解不能だよ。

まったく。


進んでも進んでも、薄暗い真っすぐな通路だ。

「灯り」で視界は広がってるけど、不安になって来るヨ。


自分一人でラビリンスを進んでる事を。

こんな気持ちで、もしモンスターが目の前に出たら、、。

ひぃ~!。

俺は一目散にバックして。

全速力で逃げるだろう。

 

 俺、、、逃げ切れるかな。

 こんなイヤな考えに取りつかれそうで。

 冒険者に成ったけどさ、凹んでしまうな~。


トボトボと通路を歩いていると。


 ん?なんだ?。


不意に右の壁の下側で、木の棒の「灯り」の光に照らされて。

何かが「キラッ」と光を反射したよ。

近寄って、跪いて、それがナン何か確かめよう。


 今ここで、何か光ったよなぁ。

 う~ん、ここいら辺りだったと思ったけど。

 どれだ~ぁ?。


壁と通路を、何か無いかと「灯り」を翳して探す。


 おっ!これかな、、光ってるな。

 あ~~。これは銀鉱石っぽいかな。

 うぅ~、、ちっこいなぁ。


肩に担いでいたツルハシで。

探り当てた銀鉱石の周りの岩を削ってみる。

コツコツ!コツコツ!。

ザク!ザク!。


 あっ、、採れたけど拳ほどの鉱石が、1個?。

 いやいや!まだ有るだろう、もう少し周りも掘って観るかな。

 まだ銀鉱石が固まって埋まってるかもしれないからね~。


出て来いよ~!そ~れ!

ザク!ザク!。

突き刺さったツルハシを抉って穴を広げていくよ。

今日も意外な程、岩が楽に掘れる石のラビリンス。

辺り構わず1mばかり掘り進めてけど。

何も出ません、、勿論銀鉱石もね。

此処は駄目っぽいね。


 う~ん駄目だな!。無駄骨かぁ~。

 早めに切り上げて移動した方が良いだろうな。

 はぁ~。


掘り出した1個の銀鉱石を麻袋に放り込み。

ツルハシを担いで。

また通路を歩き始めた。


 教えてもらった話と違うんだけどなぁ。

 もう!何でだよ。


歩きながら。

教えてくれた人のせいにして、悪態を突く。

だってさ!期待してたのと違うんだもん。

もう!。


キョロキョロと歩きながら進んで行くと。

「灯り」の光に照らされた、横穴の影がまた見えてきた。


 よ~し横穴発見!。

 

もう今回はイキなり覗き込むよ。

木の棒の「灯り」をさっと穴へ向ける。

明るくなった先は、、、通路が伸びていた。


 はぁ、、。

 なんでぇ~~?通路!。

 今度は部屋じゃないのかよ。

 ふぅ。

 どうするかなぁ~。

 枝分かれの通路に行くか、真っすぐのままか。

 

通路の壁にもたれ掛かって座り込んだよ。


 パンでも食べて一息入れるかな。

 へへへ!ここでジャムパンの登場だ!


腰のポーチから昨日のジャムパンを取り出した。

これも何年ぶりだろうか。

ビニール袋の口を開け、パンを少し出して齧り付く。


 はははぁ~。

 ん?。

 こっちはジャムの少ししか入って無い方だった。

 あるよねぇ~!ジャムの入り方の偏り。

 あれだよ!クリームパンもさ、、中身の偏り。

 でも旨いなぁ~!ジャムパン最高だ。


序でにポーチから木の器を出して。

水を「清水」で出して喉を潤す。


 ふぅ~。

 さてと、どっちに行こうかなあ。

 

壁に寄り掛かり、右が出口、左が真っすぐ。

背中側の方が新たな通路。


 真っすぐに来たけど、良い事は無かったな。 

 ここは新しい通路に行くかな。

 小腹も満たしたし、切り替えて行きますか。


立ち上がり新たな通路へ足を進める。

まあ、一面岩壁で景色は変わらないけどね。


すると、直ぐに「灯り」によって穴の影が現れたよ。

おっ、やったな、こっちの穴はどうかな?。

また、木の棒をスッと差し込んで明るくすると。

2~3m通路が続き、その先は、あれは部屋かな。

広くなっている様だな。


部屋に入ってみると。

広さが5m四方程かそれ以上だろう。

「灯り」に照らされて部屋全体が明るい。


 さてと、今度こそ何かあるかな。


「灯り」で照らし。右手を伸ばし指さし確認!


 正面、無し。右の壁、無し。左の壁、無し。

 後ろは、、無し。 無し!。


 待て待て!待てよ!床は。床は、、無し。


 後は、、天井か!。


上を見上げて天井の岩を観察すると。

指さし確認だ。

入口から向かって左上の天井に、周りの岩と違うものが。


 あれは、、。

 黒っぽい、、銀鉱石かな、やったじゃん。

 でも天井かよ、どうやって掘りゃあ良いんだあれは?。

 ツルハシじゃぁ無理だよなぁ。


またfn1910で試すかなぁ?。

でもここのは部屋狭いからなぁ、爆発の反動?が、直撃?。

強烈なのはヤバい気がするんだよな。

まあやってみるしか無いか。

部屋の入口に戻って中を覗き、左上の天井付近を見る。

岩壁に寄り掛かりながら右手を伸ばして。

天井の銀鉱石に狙いを付けてみる。


 やれない事は無いけど。

 まぁ試すかな、先ずは威力1でだ!。

 これは大丈夫だろうから、それっと!。


狙いを付けた右手にfn1910が現れた。

重いトリガーを引く。

パシュン。シュン。

パシュン。シュン。

パシュン。シュン。


軽い音が部屋に響く。


 あぁ~。やっぱり1だと威力不足だよなぁ。

 岩に当っても、掠ってる感じの音が聞こえたもんなぁ。

 う~ん下には、、、何も無しかぁ。


 威力は、じゃあ2かな。


右手のfn1910の狙いを付けてトリガーを引く。


バシュン。ギャン。

ガラ、バラバラ。


バシュン。ギャ~ン。

ガラ。


バシュン。ギャ~ン。

バラ。


結構いい感じの音が耳に響いてくるよ。

かなりケタタマシイ音だ?。


 おっ!やったね!威力2でも岩が崩れた!崩れたよ!。

 今ので結構、鉱石も落ちて来たんじゃないか。


入口から部屋に入って、落ちていた鉱石を確認すると。

岩と混じって鉱石も、ソコソコの量が足元に落ちているよ。

その場でしゃがんで、手に持って確認すると。

あの、ダンケロさんの所で散々仕分けしたものと同じだ。

銀鉱石。


 ん!これはヤッパリ銀鉱石で間違いないな。

 落ちてるコレだけでも結構な量が取れたけど。


 威力3でも1回位、、試すかな?。


 でも、、この部屋だと3の威力がヤバいかな?。

 まあ取り合えず、お金!回収が先だな。


ポーチから麻袋を出して、鉱石を詰めていく。

この銀鉱石、、幾らになるのか楽しみだな。

へへへ!、、お金だ!。



 ん~。昨日の威力3は、強烈だったからなぁ~。

 魔法弾の着弾の爆発がなぁ~!あれなぁ~!。

 ホントは、、、。

 危険って分かってるんだけど止めれない。

 ははぁ、まぁ、、ヤッチャウか!。


また部屋の入口まで戻って。

さっきより、若干下がり気味に位置取りをしてから。

片膝をついた姿勢でfn1910を構える。

今回は威力3なので、両手で銃を確りと保持して撃つよ。

狙いを天井に付けて。

fn1910のトリガーをユックリと引く。

カチッと感じた次の瞬間 


ドファ。

ドッゴ~ゥ~~ン。


俺は爆風に押されて、勢い良く通路の後ろ側に転がった。

ゴロゴロってな感じかな?。

で。身体中を岩にぶつけながら転がったから。


 あぁ~~くそ~!。

 痛ッ~~~テェ~~ェ!。

 痛タタ~!。

 くぅ~~。

 威力3、、やっぱり半端ないわ~!。


痛みが引くまで、その場で動けなかったよ。

頭もぶつけたのか、見る見るタンコブガ出来た。

あ~痛いよ。

それでもなんとか、壁に寄り掛かりながら。

座り込んだ。

失敗したかなぁ~。


 ペッ!ペッ!。口の中がジャリジャリする。

 あぁ~右手の甲に血がにじんでいる。

 左手の指も血が出てる。

 もぅ!俺のバカ!。

 ふ~ぅ。

 ヤッパリ、威力3はヤバいなぁ。


暫く休んでから、部屋の中を覗き込んだ。

さっきまで埃が舞っていたんだけど。

少しは見えるようになってきたからね、それで。

左側の天井は、、崩落って感じで大穴が開いているよ。

大穴の奥にも銀鉱石が見える。


 天井から撃ち落とした銀鉱石、、あれあと少しだけ持って帰ろうか。

 それに、昨日みたいに鉱石が溶けてるの有るか探さないと。

 あれば良いお金になるもんね。

 さてと、探しますかね。


痛む体で部屋に入り込んでいく。

部屋の左側の崩れた岩と鉱石の山を。

ツルハシを使って崩れた岩を後ろへ掻き出していく。

ガリガリ!。

ゴトゴト!。

鉱石と岩を分けながら後ろへ掻いて動かして行く。

ガリガリ!。

ガリガリ!


 鉱石が多いなぁ。

 これは言われた通りなのかな。

 はぁ銀が解けてないかなぁ~。


ソンな独り言を言いながら、岩を退けていく。

粗方の岩を片付けて床が見え始めたころ。

足元に銀色の金属光沢が見えた。

「灯り」の光を受けてキラッと光る銀。


 ヤッパリ有ったね!。

 これ、、銀の鉱石が解けて出来た。

 素延べの銀の塊だろう?。


 やった!。


岩の中からそれを手に持ってみると。 

歪な銀の塊は、鈍く怪しく光を反射している。

 

 痛い思いをした甲斐が有っただろ、これ。

 さて早いけど、もう帰ろう。

 今何時かなぁ~。

 疲れたよ。





 さて幾らになるのやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ