手にするもの
ラビリンス2階は銅と銀
石のラビリンス2日目。
あぁ~。
最初で外れかぁ~!はぁ~。
気を取り直して通路を進み始めたが。
いきなり期待を裏切られた感じでスタートから溜息ばかり。
途中で立ち止まっては、注意して通路の岩壁も観察していく。
何かが有るかもしれないからね。うん!何かが。
それにしてもだよ!
さっきの部屋は、何もない空っぽの、、スカだったなぁ。
なんでだぁ!ふぅ~。
愚痴をこぼしながら、また薄暗い通路を奥へ歩き始めたよ。
2階の足元も多少凸凹しているけど何とか大丈夫だね。
う~ん、通路も暗くてイマイチ良く見えないなぁ。
お~~ぅ!おもいついた!。
あの木の棒をポーチから取り出して右手に持って、、。
「灯り」の魔法を木の先端に灯せば、、、。
明る過ぎだって!、、あ~もう。暗く!暗く!。
ふぅこんな感じで良いかな。
素の状態の「灯り」は10畳用程のシーリングの明るさなのかな。
だから目の前に点くと明るさが強烈なんだよね。
つい言葉で言ったけど。
明るさが。ス!、ス!、っと2段階暗くなったよ。
良い感じで周りの岩壁の様子が分かるようになったじゃん!。
良いじゃん!良いじゃん!。
これなら何かが有ったら、俺でも見逃さないでしょ!。
さぁ~出て来いよ、、、御宝ちゃん。
足元まで明るくなった通路をスイスイと奥へ進んで行く。
キョロキョロしつつ、何か無いかと辺りを伺い。
奥へ奥へ!順調に進む。距離が伸びていく。
やった!・
左に部屋かな、穴が見えるじゃん。
今度は何かあるでしょ!。
足早に穴の手前まで進んで足を止める。
今度こそ何かアルだろぉ~ラビリンスだし!ぅ~。
俺の頭が少し可笑しく、熱くなってるのかも。
先ずは、深呼吸をして。落ち着け。はぁ~~~!ふぅ~~ぅ。
はぁ~~~!ふぅ~~ぅ。
よ~し!勝負だ!。
勢いよく、壁際から穴の中を覗き込んでみるけど。
はははっ、、ヤッパリ薄暗くて良く見えないよ。
はぁ~。「灯り」。
目の前の部屋の中がメチャクチャ明るくなったよ。
今度はちゃんと離れた場所に「灯り」を点けたもん。
その明るくなった部屋を入口から観察すると。
部屋の隅に、、小さな木箱が1つ見えるよ。
おぉ~~~!。
まさか!まさか!、、、、、でも木箱?。
何で木箱?。
ここは普通、、、宝箱じゃないのかな?。ねぇ?。
小さくてもキラキラのさ。
うぅ~ん。
此処のラビリンスには、罠類は無いって聞いてるから。
考えててもしょうがない。
何だか気になるので、部屋に入ってみる事にした。
部屋の真ん中辺りから、隅の木箱を見つめる。
だいたい10センチ四方の大きさだな。
怪しいけど、、木箱かぁ~。
意を決して?。
木箱を手に持って見る事にしたよ。
うん、見た目の通りで木箱は軽かったよ。
これは上蓋が蝶番で上に開く仕組みかな。
まあ開けてみようか。
そうじゃないと何だか分からんし!。
さて!。
木箱の蓋はスッと開いた。
中には、、、小さな銅の塊が1つ、、、。
これ、、銅貨何枚分か。
ぐぬぅぅ~~~!駄目じゃん!。
銅の塊!かよ。
くぅ~!重みはシッカリ有りやがる!。
木箱の中から、銅の塊を手に持ってみると意外に重い。
はぁ~!ヤッパリ甘くないねぇ~。
気を取り直し、入った部屋の中を良く観察するよ。
他にも何かあるかもしれないから。
木箱以外なんか無いかなぁ~。
頼むよ~有ってよぉ~、、。
うぅ~ん、、無いかぁあ~。
自分の頭を、両手で後ろ手に挟んで、、。
くぅ~ぅ。唸るだけだ。
次だ次!。
此処の部屋も木箱以外、何も無いみたいだ。
駄目かぁ~、しょうがないまた通路に戻って。
先に、奥に進もう。
今度こそ、、何か。
にしても、、今も人の気配がしないんだけど、、。
ラビリンスには、俺以外にも多くの冒険者が入り込んでるのに。
何処にいるんだろうかな、不思議だ!。
ひぃ~~!。自分の足音が異様に響いているよ。
ホラーは苦手なんだから勘弁して。
薄暗いトンネル、、意識しちゃうぅ~~。
トンネルを暫く進むうちに、妄想が湧き出てくる。
冒険者の皆が別々にさ、ラビリンスに入るけど。
知らぬ間に、どこかで、何処かに飛ばされてたりしてね。
帰りの時も、いつの間にか元の場所に、、。
だって人が居なさすぎなんだもん、、。
駄目だな俺の頭じゃ。
この、人の居無さ加減は理解不能だよ。
まったく。
進んでも進んでも、薄暗い真っすぐな通路だ。
「灯り」で視界は広がってるけど、不安になって来るヨ。
自分一人でラビリンスを進んでる事を。
こんな気持ちで、もしモンスターが目の前に出たら、、。
ひぃ~!。
俺は一目散にバックして。
全速力で逃げるだろう。
俺、、、逃げ切れるかな。
こんなイヤな考えに取りつかれそうで。
冒険者に成ったけどさ、凹んでしまうな~。
トボトボと通路を歩いていると。
ん?なんだ?。
不意に右の壁の下側で、木の棒の「灯り」の光に照らされて。
何かが「キラッ」と光を反射したよ。
近寄って、跪いて、それがナン何か確かめよう。
今ここで、何か光ったよなぁ。
う~ん、ここいら辺りだったと思ったけど。
どれだ~ぁ?。
壁と通路を、何か無いかと「灯り」を翳して探す。
おっ!これかな、、光ってるな。
あ~~。これは銀鉱石っぽいかな。
うぅ~、、ちっこいなぁ。
肩に担いでいたツルハシで。
探り当てた銀鉱石の周りの岩を削ってみる。
コツコツ!コツコツ!。
ザク!ザク!。
あっ、、採れたけど拳ほどの鉱石が、1個?。
いやいや!まだ有るだろう、もう少し周りも掘って観るかな。
まだ銀鉱石が固まって埋まってるかもしれないからね~。
出て来いよ~!そ~れ!
ザク!ザク!。
突き刺さったツルハシを抉って穴を広げていくよ。
今日も意外な程、岩が楽に掘れる石のラビリンス。
辺り構わず1mばかり掘り進めてけど。
何も出ません、、勿論銀鉱石もね。
此処は駄目っぽいね。
う~ん駄目だな!。無駄骨かぁ~。
早めに切り上げて移動した方が良いだろうな。
はぁ~。
掘り出した1個の銀鉱石を麻袋に放り込み。
ツルハシを担いで。
また通路を歩き始めた。
教えてもらった話と違うんだけどなぁ。
もう!何でだよ。
歩きながら。
教えてくれた人のせいにして、悪態を突く。
だってさ!期待してたのと違うんだもん。
もう!。
キョロキョロと歩きながら進んで行くと。
「灯り」の光に照らされた、横穴の影がまた見えてきた。
よ~し横穴発見!。
もう今回はイキなり覗き込むよ。
木の棒の「灯り」をさっと穴へ向ける。
明るくなった先は、、、通路が伸びていた。
はぁ、、。
なんでぇ~~?通路!。
今度は部屋じゃないのかよ。
ふぅ。
どうするかなぁ~。
枝分かれの通路に行くか、真っすぐのままか。
通路の壁にもたれ掛かって座り込んだよ。
パンでも食べて一息入れるかな。
へへへ!ここでジャムパンの登場だ!
腰のポーチから昨日のジャムパンを取り出した。
これも何年ぶりだろうか。
ビニール袋の口を開け、パンを少し出して齧り付く。
はははぁ~。
ん?。
こっちはジャムの少ししか入って無い方だった。
あるよねぇ~!ジャムの入り方の偏り。
あれだよ!クリームパンもさ、、中身の偏り。
でも旨いなぁ~!ジャムパン最高だ。
序でにポーチから木の器を出して。
水を「清水」で出して喉を潤す。
ふぅ~。
さてと、どっちに行こうかなあ。
壁に寄り掛かり、右が出口、左が真っすぐ。
背中側の方が新たな通路。
真っすぐに来たけど、良い事は無かったな。
ここは新しい通路に行くかな。
小腹も満たしたし、切り替えて行きますか。
立ち上がり新たな通路へ足を進める。
まあ、一面岩壁で景色は変わらないけどね。
すると、直ぐに「灯り」によって穴の影が現れたよ。
おっ、やったな、こっちの穴はどうかな?。
また、木の棒をスッと差し込んで明るくすると。
2~3m通路が続き、その先は、あれは部屋かな。
広くなっている様だな。
部屋に入ってみると。
広さが5m四方程かそれ以上だろう。
「灯り」に照らされて部屋全体が明るい。
さてと、今度こそ何かあるかな。
「灯り」で照らし。右手を伸ばし指さし確認!
正面、無し。右の壁、無し。左の壁、無し。
後ろは、、無し。 無し!。
待て待て!待てよ!床は。床は、、無し。
後は、、天井か!。
上を見上げて天井の岩を観察すると。
指さし確認だ。
入口から向かって左上の天井に、周りの岩と違うものが。
あれは、、。
黒っぽい、、銀鉱石かな、やったじゃん。
でも天井かよ、どうやって掘りゃあ良いんだあれは?。
ツルハシじゃぁ無理だよなぁ。
またfn1910で試すかなぁ?。
でもここのは部屋狭いからなぁ、爆発の反動?が、直撃?。
強烈なのはヤバい気がするんだよな。
まあやってみるしか無いか。
部屋の入口に戻って中を覗き、左上の天井付近を見る。
岩壁に寄り掛かりながら右手を伸ばして。
天井の銀鉱石に狙いを付けてみる。
やれない事は無いけど。
まぁ試すかな、先ずは威力1でだ!。
これは大丈夫だろうから、それっと!。
狙いを付けた右手にfn1910が現れた。
重いトリガーを引く。
パシュン。シュン。
パシュン。シュン。
パシュン。シュン。
軽い音が部屋に響く。
あぁ~。やっぱり1だと威力不足だよなぁ。
岩に当っても、掠ってる感じの音が聞こえたもんなぁ。
う~ん下には、、、何も無しかぁ。
威力は、じゃあ2かな。
右手のfn1910の狙いを付けてトリガーを引く。
バシュン。ギャン。
ガラ、バラバラ。
バシュン。ギャ~ン。
ガラ。
バシュン。ギャ~ン。
バラ。
結構いい感じの音が耳に響いてくるよ。
かなりケタタマシイ音だ?。
おっ!やったね!威力2でも岩が崩れた!崩れたよ!。
今ので結構、鉱石も落ちて来たんじゃないか。
入口から部屋に入って、落ちていた鉱石を確認すると。
岩と混じって鉱石も、ソコソコの量が足元に落ちているよ。
その場でしゃがんで、手に持って確認すると。
あの、ダンケロさんの所で散々仕分けしたものと同じだ。
銀鉱石。
ん!これはヤッパリ銀鉱石で間違いないな。
落ちてるコレだけでも結構な量が取れたけど。
威力3でも1回位、、試すかな?。
でも、、この部屋だと3の威力がヤバいかな?。
まあ取り合えず、お金!回収が先だな。
ポーチから麻袋を出して、鉱石を詰めていく。
この銀鉱石、、幾らになるのか楽しみだな。
へへへ!、、お金だ!。
ん~。昨日の威力3は、強烈だったからなぁ~。
魔法弾の着弾の爆発がなぁ~!あれなぁ~!。
ホントは、、、。
危険って分かってるんだけど止めれない。
ははぁ、まぁ、、ヤッチャウか!。
また部屋の入口まで戻って。
さっきより、若干下がり気味に位置取りをしてから。
片膝をついた姿勢でfn1910を構える。
今回は威力3なので、両手で銃を確りと保持して撃つよ。
狙いを天井に付けて。
fn1910のトリガーをユックリと引く。
カチッと感じた次の瞬間
ドファ。
ドッゴ~ゥ~~ン。
俺は爆風に押されて、勢い良く通路の後ろ側に転がった。
ゴロゴロってな感じかな?。
で。身体中を岩にぶつけながら転がったから。
あぁ~~くそ~!。
痛ッ~~~テェ~~ェ!。
痛タタ~!。
くぅ~~。
威力3、、やっぱり半端ないわ~!。
痛みが引くまで、その場で動けなかったよ。
頭もぶつけたのか、見る見るタンコブガ出来た。
あ~痛いよ。
それでもなんとか、壁に寄り掛かりながら。
座り込んだ。
失敗したかなぁ~。
ペッ!ペッ!。口の中がジャリジャリする。
あぁ~右手の甲に血がにじんでいる。
左手の指も血が出てる。
もぅ!俺のバカ!。
ふ~ぅ。
ヤッパリ、威力3はヤバいなぁ。
暫く休んでから、部屋の中を覗き込んだ。
さっきまで埃が舞っていたんだけど。
少しは見えるようになってきたからね、それで。
左側の天井は、、崩落って感じで大穴が開いているよ。
大穴の奥にも銀鉱石が見える。
天井から撃ち落とした銀鉱石、、あれあと少しだけ持って帰ろうか。
それに、昨日みたいに鉱石が溶けてるの有るか探さないと。
あれば良いお金になるもんね。
さてと、探しますかね。
痛む体で部屋に入り込んでいく。
部屋の左側の崩れた岩と鉱石の山を。
ツルハシを使って崩れた岩を後ろへ掻き出していく。
ガリガリ!。
ゴトゴト!。
鉱石と岩を分けながら後ろへ掻いて動かして行く。
ガリガリ!。
ガリガリ!
鉱石が多いなぁ。
これは言われた通りなのかな。
はぁ銀が解けてないかなぁ~。
ソンな独り言を言いながら、岩を退けていく。
粗方の岩を片付けて床が見え始めたころ。
足元に銀色の金属光沢が見えた。
「灯り」の光を受けてキラッと光る銀。
ヤッパリ有ったね!。
これ、、銀の鉱石が解けて出来た。
素延べの銀の塊だろう?。
やった!。
岩の中からそれを手に持ってみると。
歪な銀の塊は、鈍く怪しく光を反射している。
痛い思いをした甲斐が有っただろ、これ。
さて早いけど、もう帰ろう。
今何時かなぁ~。
疲れたよ。
さて幾らになるのやら。




