2人目のドワーフ
宿での生活も楽しいかも。
迷宮の町だ。
石のラビリンスの町で、無事に宿も確保出来て一安心。
そして昨夜は宿の部屋でベットに横になって。
明日の為に直ぐに寝るつまりだったのに、つい。
寝る前に自分の能力を検証してたら、寝れなくなった。
だってさぁ~!。
メタル系の重さを手にしたから。
体が、指が、感覚が。否応なく昔を思い出させるんだよ。
ホントに懐かしいや。
これが「恩恵」の続きだね。
ふぅ、俺専用の「武器」って事だけど。
「女神様」は凄い物を俺にクレタのかもな。
あぁそれとだ、思い出、記憶、買ったもの。
どれだけ出来るんだろうか、ワクワクしてね。
あの当時か!。
日本だからオモチャの「武器」だねぇ~。
フロン134のガスガン、エアガン、電動ガン。
最後にいい歳になってコッキングのsigだったかな。
幾つものオモチャを買ったっけ!。
元の御宝の最後は、、。
数十年も家の隅に埃を被って置いてあったもんだ。
あれさ、つい空箱も取って有って邪魔だったなぁ~。
捨てられなかったんだよなぁ、カッコ良くてさ。
使ってるうちにノーマルでは飽きて、弄っては壊しだった。
大体初期の製品は、直ぐにドッカが壊れるんだ。
そして射程を伸ばす追加パーツの発売、、。
電源電池の自作、大容量化、機関部強化。
そして壊れて、、直して遊びまくる。
くぅ~思い出が多すぎる、、ふぅ。
そして言われたなぁ~。
環境破壊だ温室効果だと、フロンガスが悪者になって。
それで電動のエアーポンプを買ってさ。
必死に詰めて。あっと言う間に吐き出してたな。
エアのコイルホースが邪魔だったけど。あぁ~。
黒い1リットルのミニボンベを腰に下げて戦ったな。
若かりし頃には。友人と我が家の裏の空き地で遊んだよ。
どれだけBB弾を見き散らした日々か、生分解のも使ったな。
今頃は、脆く崩れてマイクロプラスチックかな。
まあ、何をやっても痕跡は残るヨ。
自宅は郊外だったけど、先祖が土地持ちで贅沢だったな。
爺さんが農家の次男坊でね。農地解放で一杯畑が貰えたんだ。
小作農が自作農へ。そして我が家はその分家だったんだよね。
はぁ、広い土地付きの戸建ての持ち家。あとは色々だ。
自由だったな、、。
俺の物か!。
あはは。
駄目だよ余計に目が冴えてきた。そうだよ!。
今更、思い出が湧き出てくる。
あれはサバゲーだった!。
眼球の保護部分がネットのフェイスマスクを装備して。
4~5人の悪友とBB弾を銃で撃ち合ったなぁ。
防御に手袋をしていないと、手の甲や指に直撃して。
笑えない痛さを味わったものだ。
服装も当時は適当でね、夏だと半袖で遊ぶから。
皮膚に直接当たると痛いのなんのってね。
それに、仲間内の暗黙の了解で重さ、2g以上の弾を使っててね。
2.5g弾とか3g弾が当たるとさ、声が出るくらい痛いんだ。
重い弾を撃てばさ飛距離が出るから、つい勢いで。
それがフルオートで自分に向けて打ち出されるとね。
自分に向かって撃った相手の弾丸の軌道が見えるんだよ。
白いBB弾のホップして糸を引き伸びる軌道が、スーッと伸びてくるんだ!。
あっ!やべぇって急いで避けてさ。
ああぁ~。
中でも、エア・ボンベタイプのウージーが最悪だったなぁ。
あれ電動モーターの回転と機関部が無くて。
周りの仲間と同じ音じゃ無く。
細い金属パイプを圧縮エアーと弾丸の抜ける音が、、。
ブフーブフーブフフーーー、、ってね聞こえてくるんだ。
使うとトリガーハッピーになるんだよ。
銃口から発射される弾丸の数が桁違いだった。
直撃の痛さと音。バチバチバチバチ!ィ痛テェ~ヨ!。
パチパチパチ、ピシピシ、カチンカチン、、。
自分の周りに撒き散らされる、数多のBB弾。
その着弾音。
うぅ~あの感覚を思い出す。
頭がクラクラしてくる。
でも。
その中から。
これかぁ、マルシ・の、、。
replica FN1910だ!。
小型なのに意外と重さを感じる。
トリガーが重くて、スムーズに引けない所。
そのままじゃん。
右手を伸ばして視線をその先の小さな突起へ。
こいつのサイトは相変わらずちっこいな。
「女神様」これでも良かったけど。
贅沢が言えたなら、、あっちの奴が良かった。
なんて思う我儘な俺。駄目な奴だ。
こんなだから、なかなか寝れないよ。
そんな感じで興奮してね、寝るのが昨日は遅くなっちゃった。
ねぇ、しょうが無いでしょ?。
そして翌朝。
はぁ、あれは良いのかな。
う~ん。今日は試せそうには無いかな?。
ラビリンスの中って出来るかな?。
今日は、初の石のラビリンスへ行くんだもんな。
今は、此処での生活の基盤を何とかしないとイケない。
何んと言っても、お金だよ、お金!。
生きるのにはお金が必要でしょ。
はぁ、着替え着替え!。
顔を洗いに廊下に出てみたら、奥の方に人が多い。
これは順番待ちだね、当分の間は無理だな部屋に戻ろう。
うっ!。
朝の身支度を手早く済ませる事を諦めて。
部屋に戻ろうと振り返ると其処には。
俺の後ろにも、何人かの男の人がいたよ。
これは大変だ。
先にどうぞ、俺は後にしますから。
さぁ。
廊下の端に避けて行かせる。
悪いな兄ちゃん!。
アリガトヨ、じゃあ先に行くわ。
数人が俺の前を通り過ぎた。
そんな会話をして俺は301号に戻ってきた。
忘れてたよ、此処は部屋数の多い宿屋だったじゃん。
他人が一杯居るんだ!。
ふぅ。今までと生活が違うんだ、気を付けないと駄目じゃん。
しょうがないな。
ふぅ水でも飲もうかな。
昨日から出しっぱなしの木の器を使うか。
「清水」
あぁ少し冷えた水が美味しいね。
明日からは、少し早起きしないと駄目かもなぁ。
しかし一杯いたなぁ、此処の宿、何人泊まってんだろう。
丸椅子に腰かけて水を飲んだら、、。
目が覚めたら腹が減って来たな。
あぁ、昨日のみかんを食べちゃおうかなぁ~。
何でみかんこんなに美味しいのかな。
ヤバいなぁ。
買い食いで魔力が尽きちゃうなんて事に成ったら。
でもなぁ~。
食べたい物って、考えたら一杯有るよね!。
自分の魔力を。数値を伸ばさないと夢が膨らまないの?。
あぁ~何だっけ、、。
ギルド彰に書いてあったかな、、。
左手で胸に吊るしてあるギルド彰を体に押し付けた。
シン 15歳 冒険者
階位 1
・・
・・
魔力 46
・・
・・
・・
ん?、46、、あれ48じゃ無かったっけ俺の魔力?。
あぁ、夜遅く寝たから?、まだ満タンに回復してないのか。
まだ朝早いし睡眠時間少ないからだね。
ゲッゲッ!残りの魔力量に気を付けないと駄目だな。
それで、、。
「階位」かな?。
経験を積んで、伸ばす?上げる?んだよね。
じゃあ早めに初心者のラビリンスにも行かないと駄目かな。
でも今は。石のラビリンスの方が先だよね重要。
だってさノーリスクで、お金が稼げるんだからさ。
いいや、パンも食べちゃおう。朝食を済ませてしまおう。
ルジロさんの所。
パンの種類も増えてたなアレも美味しそうだった。
でもこのパン、やっぱり美味しいや!俺の好みに合うんだなぁ。
机の上に置いたポーチから今1個のパンを出したから。
今朝この1個食べると、残りのパンがポーチに1個だけになるから。
後で外の屋台かお店で食べ物を買わないといけないな。
この町に美味しいもの有るかなぁ。
さて、そろそろ出ようか。
洗面所、、もう空いたかな。
御手洗いもだけど。
部屋を出て廊下の奥を見ると人が減って数人だけだ。
もう良いかな行こう、冒険の準備のだよ。
何とか3階での用を済ませ階段を下りて、一階の受付へ寄る。
すいません。宿から出かける時。
部屋の鍵って此処に預けるんですか?。
これですけど。
受付カウンターの中に居る、昨日の男の人に話しかけた。
はい。此方で御預かりしますよ。
301号のシン様ですね。
御客様も迷宮へ向かわれますか?。
おっと、質問されちゃったよ。
えぇそうですね。
新前の冒険者なんで、石のラビリンスに行きますけど。
何かありますか?。
いえ。
それならばギルドの支店は宿の入口を出て。
左手に向かえば、ギルドの建物が道の右側にありますよ。
分かりやすいと思います。
では御気を付けて下さい。
おう!優しい。
何て良い人なんだろうか。
有難う!ギルドの事助かりました。
右も左も分からないので、また何か教えてくださいね。
エェ~とお名前は?。
私!モロゾフと言います。宜しくお願いします。
モロゾフさんですね、こちらこそ。
じゃあ出かけてきます。
よし!ギルドは出て左の右! 出て左の右!。
此処は小さな町だから、宿の階段を下りて左を見れば。
ギルドらしい建物が見えてる。
よし、多分あれだろう。
歩き出すと、町の通りには冒険者が多いよ。
いや違う!冒険者だらけだ!。
また緊張してきたよ、うぅ厳つい人が多い。
何とか建物の前まで来たけど、、更に冒険者濃度上昇。
何で冒険者ってさ、見た目がコンナに濃いの?。
世紀末とは言わないけど、、御近づきには、、。
何とか勇気を出して。
ギルド前の2段の階段を上がり足を踏み入れると。
其処には俺にとって、、異界が有った。
入って来る者を観る視線がキツイ。グゥ嫌いだ!。
ソンな視線を躱し、運よく空いてた窓口へ。
受付は男性だ、小柄なおじいさんだ?。
スイマセン。ここ初めて来たんですけど。
えぇと、石のラビリンスに行こうと思ってます。
それで、道具をギルドで借りれるって聞いたんですけど。
どうすれば良いですか?。
おおっ!。君!。ここ初めてか!。
うんうん!大丈夫だ道具ここで借りられるよ。
ギルドの裏の鉱石類の買取所で申請して貰えば済む。
此処の表の窓口では無いからね覚えて欲しい。
まぁ頑張って一杯掘って来なさい!。
裏だからね~。
あっ、そうなんですね有難う御座いました。
じゃあ裏に行きます。
道具を借りるのはギルドの裏か。
あそこかな人が1人居るよ、ん?。
ダンケロさんに似てる?、、この人もドワーフかな。
スイマセン鉱石堀の道具を借りたいんですけど。
おう!今日は何が要るんだ?。
ツルハシ、シャベル、ピッケル、ランタン。
後は麻袋と、、、。
いつもと同じだ。
まあ、何でも有るからな!さあ注文を言えよ。
イヤイヤ!。
それが分からないから聞きたいんだよ。
俺。今日が初めて何で、逆に何が必要ですかね?。
例えば、コレが御勧めって教えてもらえませんか。
凄く助かるんですが。
オイオイ!なんだよ初めてか。
はぁ~今日も朝から。また新顔かよ!。
ここん所多いな、まあ今の時期は「成人の儀」明けか?。
でだな、お前!ラビリンスか。
最初なんて下見と慣れる事だろうがよ!。
先ずは中に入って辺りの様子を見て来いよ。
此処は魔物は出ないが、ラビリンスを甘く見るなよ。
作業中の思わぬ大怪我が意外と多いからな。
まったく!。
それに鉱石の見分け出来んのか?。
見本があそこに置いてあるからな見て行けよ。
確かに壁際のテーブルに石が置いてある。
ダンケロさんの所で色々見せてもらったから
鉱石の見分けは出来るんだよ。
おっと、道具だったな。
鉱石堀なら、ツルと麻袋が有れば基本は大丈夫だ。
鉱石を細かく見るならピッケルも持っていけ。
ツルもな。大・中・小って3つのサイズがある。
それも自分で見て決めろ。
早口で捲し立てて説明されたよ。
俺みたいな新年デビューが多いんだろうね。
お疲れ様です。
ギルド裏には色々な道具が置かれてるよ。
あれがツルハシですか?。
う~んあの中の一番小さいのを借ります。
さっき言われたピッケルも借ります。
袋は自前のが有るので大丈夫なんで2つ借ります。
えぇ~代金は幾らですか?。
おう!金は後払いだぞ。
ほらよツルとピッケルだ重いぞ!。
小さくても確かにこりゃ重い。
ツルハシを肩に担ぎピッケルは。
ベルトの横の隙間に握りを刺しておくかな。
これで良いかな。
新顔!。
クレグレモ道具の扱いには気を付けろ!。
初日か、、。
鉄でも銅でも銀でも良いから、鉱石に会えると良いな。
さてお前は今日、ラビリンスで鉱石が掘れるかな?。
あははぁ~。
お前が此処の石に如何思われるか。
まぁ好かれる奴は少ないが、
帰りが楽しみだ。
出来たら良いのを掘って来いよ。
あははぁ~。
全くもってダンケロさんと同じだな。
ここでも大笑いされたよ。
あのぉ~。
ラビリンスってどっちに有りますか?。
行き方は?。
はぁ~~~~?。
お前、、。
ここに入って来た門解るか?それの反対の門を出るとな。
すぐ先に岩の小山が見える。
そこに2つラビリンス入口が有るんだよ。
町の方の向きの入口が、石のラビリンスのだ。
そんでな反対側。
岩山の裏側の入口が、初心者のラビリンスのだ。
それ位知っとけ。
ボケが!
うへ怒られちゃった。
さてと道具もそろったし今度は石堀だ。
さて、やっとラビリンスへ。
不思議の迷宮へ。
何を目にするのか。




