遥かなラビリンスへ
さあ行こう!でも準備もね
年が明けて5日目の日。
アルロは知り合いの孤児達の子がいる。
町の反対側に建つ教会へ出かけた。
ヤバいなぁ~。
あっちの女の子達も15歳になったし。
なんか仕事の事でお願いでもされて、、。
あぁ~嫌な予感がする。
アルロ断れるかな。
まあしょうがないか、、。
それになぁ~俺にも如何しようかと悩みが有るんだよ。
んん~~。
んで、俺はね、じゃあって事で話に出ていた場所へ。
1人でダンケロさんの所へ仕事に向かったのさ。
孤児院の外に出ると、今日も天気は曇り空で寒いよ。
。
ジャーレンタの町の道をトボトボ歩いて向かううちに。
いつの間にか独り言が出る。
ふぅ~、今日は俺一人だからなぁ~。
ちょっと寂しいよぉ~!。
それになぁ~。
ふぁぁ。
倉庫の中。
仕事場での現実は厳しかった。
思う以上に、1人仕事はツマラナかったよ。
話し相手が居ないことがこんなに寂しいとは。
ふぅ、気分が沈んで行く。
悩み事も答えが出ない。
石を投げ入れる音だけが倉庫に響くよ。
それでも頑張って。
何とか午前の仕事の予定の量。
小さい一山の銀鉱石の選別を終わらせた。
うぉ~やった!終わった。
ふぅ、何回やっても、この重さはキツイけど。
こんなの絶対一人でヤルもんじゃないよ。
それでも。
今回の銀鉱石の山は、良い鉱石が多かったのかな。
良品の木箱には多くの銀鉱石が入ったもんね。
屑石が少ないや。
ん、、えぇ~と俺の選別、、大丈夫だよ、、ね?。
仕事をこなしてみたけど、なぜだか?。
嫌な気分の長い仕事だったけど。
今日は、時間が過ぎるのが早かったよ。
なぜなのか不思議?だよね。
まあ良いや終わり終わり。
此処を出よう。
そして親方だ!。
さてともう時間は昼時だよ。
食堂へマッシグラだ。
おぉ~廊下にも良い香りがしてるよ。
やった、肉が有る。
テーブルに並ぶオカズに感動しつつ。
スープとパンを貰い椅子に腰かけて食べ始めた。
俺は木の椅子に座り。
美味しい昼御飯を御馳走になりながら。
色々と考えてたよ。
それは。
いま自分一人で悩んでいる事なんだ。
朝に思い付いてから考えてたんだ。
これから先に行く予定の、石のラビリンスの事をね。
親方に教えてもらえないかなって考えたのよ。
聞いてみてお許しが出たら。
それで質問をしようと思ったんだよね。
色々とラビリンスの話は、何となく聞いてるけど。
でもそれはギルドで小耳に挟む程度の知識しかなくて。
まったく知らない冒険者の人達の話が殆どなんだ。
これじゃぁ全然だめだと思うしさ。
それに、よくよく考えてみると。
実際に、如何ラビリンスに行くかもさぁ分からなくて。
俺はそこへの行き方も知らないんだよね。
はぁ。
まぁ孤児院でさ、唯生きるだけで大変だったし。
なんだか痩せてて、何時も疲れてて。
先を考える余裕なんて、一つもなかったんだもん。
しょうがないでしょ?ねえ。
はぁ。
だから。
鍛冶師のベテランのダンケロさんにならば。
俺の相談に答えをくれるんじゃないかと思ってさ。
何十年も此処の町に居るんだもんね。
ダンケロさんなら何にでも詳しいと思うでしょ。
考え事をしながら食事をすると。
大事な食事の美味しさが薄れちゃう。
あ~モッタイナイと思うけどしょうがないヨ。
ちょっと凹んだ気持ちになりつつ。
俺も食事を済ませ食器を片付けてと。
さて、テーブルの上座を見ると。
離れた席で食後のお茶を飲んでるダンカロさん。
ユッタリと寛いでいるよ、よし、声を掛けよう。
俺と反対側の離れた席で、弟子の人も休憩中だし。
今がチャンスだよね、よし聞いてみよう。
今だよ!。
声を出せ!。
頑張れよ俺!。
あのぉ~ダンケロさん。
俺、ダンケロさん聞きたい事が有るんですけど。
それに教えて欲しい事も有るんですよ。
えぇと、イッパイなんですけど、、。
あのぉ~、今の時間。
良いですか?。
ん!。
何だって顔のダンケロさんは、顔を俺に向けてくれたよ。
左手に御茶を持ちながら、右手で顎髭を伸ばしてるよ。
そんな仕草で。
そして目を細めて俺を見つめるよ。
なんだよ改まってよ。
今は休憩中だ!、まあ時間は良から、大丈夫だぞ。
あぁ~、詰んねぇ事は俺に聞くなよな!。
面白れぇ~事なら何時でも俺は歓迎だぞ!。
あははぁ。
まあ程々にな!。
ほれ!。
で?何だよシン。
あぁ良かったよ~。
これでダンケロさんに聞くことが出来るよ。
えぇ~とですね。
親方も知ってると思いますが。
俺、今年で15歳になったんですよ、それで。
ホントの正式の冒険者じゃないですか。
でもなんですよね。
数日前に気が付いた事なんですけど。
自分に常識が無いって分かっちゃったんですよ。
それ、何でかって言うとですね。
俺は最初の冒険に。
石のラビリンスに行くって選んでて。
あの初心者でも安全な迷宮行く予定だったんです。
でもアレ?って思って。
いざ迷宮にへ行こうとしても、行き方も知らなくて。
それに必要な物の準備もですよ、分からない。
何が要るのかなとか、分からないんです。
色々と、お金もかかりますよね?。
だからベテランの鍛冶師の親方に。
石のラビリンスの事を聞きたいんですよ。
ずっと冒険者に成るって思ってたんですけど。
今まで何も冒険の事とか考えてなくて。
ギルドで聞くのも良いかと思ったんですけど。
窓口で聞くのも何だか気恥ずかしくて。
ヒビカさんとかが、、。
午前中に此処の倉庫で仕事をしててですね。
ふっと悩んでた答えが出たんです。
おぅ!そうだよ。
此処にダンケロ親方が居るじゃないかっつて。
思い付いちゃって。
ホントに色々と知りたくて。
だから俺に教えてくれませんか。
石のラビリンスの事を。
ダンケロさんは、、。
俺の事を見つめてニヤついているよ。
あぁ~!やっぱり笑われちゃった。
おっ、、おまえ!
くくくっ、、ガハㇵ!。
本気で言ってんのかよ!。
シン!、、くっぅ。
おまえ!普通なら下調べ位するだろうがよ!。
何も考えてなかったって、、ば、ばばば!。
お前!俺に言わせんなよな。
はぁ!。
ダンケロ親方に、、ば、、って言われたよ。
そんでぇ。
石のラビリンスの事かよ。
前にも少し言ったかもだが。
俺に言わせりゃ。
あそこは楽だぞ、そして楽しいな。
くぅ~~~ぅ!話すだけで。
掘りてぇなあぁ~。
そうだな、、掘って掘って掘りまくれよ!。
通路を足元を壁を掘れ!。
そして出た良い石を此処に持ってこい!。
良いな!。
ふぅ。
あぁ~違ったな。
石のラビリンスの中には魔物は出ないからな。
地下1階から地下5階まで全階層でな。
俺の知ってる他の迷宮ではあり得ない事だ。
対の初心者のダンジョンもだな。
弱い魔物だけだな。
決まった魔物3種類しか出ないんだ。
石のラビリンスに行くのは。
そんな事を心配しなくても良い、簡単だぞ。
持ち込む道具類なんか要らねぇんだ。
ラビリンスの近くに小さな町が出来ててよ。
そこにギルドの支店が有るんだがな。
親切なことに有料で道具が借りれるんだわ!。
重いツルハシやスコップ、麻袋とかな。
良いだろぅ?。
しかもだ料金も安くて初心者に優しいんだぞ。
宿屋もな何件も有ってよ、大体が安宿だ。
お前らみたいな若造の初心者相手だからな。
狭い部屋を沢山作ってな、宿代を安くしてんだ。
ふふっシンよ、お前も安い方が良いだろ?。
それに食い物屋も何件か有ったな。
料理の味は、、、忘れた!。
俺の記憶は、、。
だいぶ昔のだから、今は変わってるかもしれんぞ!。
ほらなっ!、要るモンは着替えの服と、。
ちいとばかり慣れてきた武器と。
自分の金の入ったギルド彰くらいだろうよ。
今のお前の、その姿でも問題ないだろうよ。
後は着替えの入った麻袋で大丈夫だろう。
あそこはな、そんなもんだ。
怖い所じゃないから楽しんで来いよ。
でだ!。
良い石が出たら、、分かってるよな!。
ダンケロさんはホントに石が大好きなんだよね。
ドワーフの親方、、。
おっと。
これも大事だったか。
あそこへの行き方もだな。
だいたい毎朝、お前がここに来る時間あたりに。
北門からラビリンスに向かう乗合馬車が出てるぞ。
朝に此処を出る便が日に1回だけだな。
ジャーレンタに向かう便も同じ時間に向こうを出る。
あぁ確かラビリンスの有る向こうの街には。
午後の休憩の時刻辺りに着くな。
町に着いたら、宿探しで初日は終わりだな。
日によっては空き部屋を探すのに苦労するかもな。
2日目からが本格的な迷宮潜りの始まりだぞ。
地下で鉱石堀だ。
くぅ~!俺も行きてぇ~なぁ。
いいよなぁ~。
ラビリンス!あぁ迷宮か!。
くそぅ~~!。
俺も。行ってきても良いよな!。
親方が目を瞑り握りこぶしで叫んでるよ。
あはは無茶を言ってるよね。
弟子の人に夢を言ってる。
鍛冶仕事が忙しいのに無理だって。
地下の穴掘りが本職なんじゃないの。
石探しとか鉱石堀なんて聞くと。
きっとドワーフの血が騒ぐんだろうね。
親方がテーブルの上の冷めた御茶を飲んで。
何とか気を静めて、また話し始めたよ。
乗合馬車もギルドの運営でな。
行きも帰りも、他の経路と比べて料金が安いんだ。
たしか、、昔は銅貨10枚だったかな。
あれは実費にも成ってねぇんじゃねぇかな。
まあギルドのサービスなんだろうな。
今の料金は知らんからな、後で自分で調べてみろよ。
ダンケロさんの話を聞いてみたけど。
楽すぎて何だか信じられないよ。
う~ん。
何となく弟子の人の方を見ると。
目が合った。
シン君、ちょっと良いかな。
今の親方の話なんだけど、、、。
俺が何か所か補足するとだよ。
いい!。
まず、馬車の移動が大変だよ、慣れてないでしょ?。
お尻の為に何かしら敷く物を用意すること。
休憩の時に水を飲んだりする事が有ると思うからね。
その為の食器かな、魔法で済ませることも良いかもね。
あと昼食の準備もね、別に何か少し食べるものもね。
掘り出した鉱石は向こうのギルドで買い取ってくれるし。
ここに持って来る良い物は残してね。
親方が喜ぶから。
まあ後は自分で考えて。
おおぅ!いいことを聞いたよ。
うん、此処で聞いてよかったよね。
親方にも弟子の人にも良い事を聞けた。
親方、皆さん教えてくれて有難う御座いました。
凄く助かりましたよ、俺、気が楽になりました。
迷宮へは近々に行ってきますから。
親方、良いの掘り当てる様に頑張って来ますね。
シンよ!。
そうやってな宣言するとな、、。
出ないんだわ。
石、、な。
お前の先輩がな。
ロイスが、、何回も実証してるんだわ!。
くっ、、!。
ここでロイスさんの話が出るとは。
いや!俺は掘って来ますから!。
掘り出しますから。
無理スンナ、、シン。
このあと俺はギルドに報告する紙を貰い親方と別れた。
なんだか締まらない話で悲しかったよ。
ギルドでヒビカさんに今日の仕事の報告。
それと迷宮に行く予定も告げる。
今日はダンケロさんの所で半日仕事をしてきました。
はいこれ報告書です。
うん。
ギルド彰を出してね。
はい、ギルド彰良いわよ。
返すわ。
俺、近々石のラビリンスに行ってみますよ。
経験稼ぎとお金稼ぎの始まりですね。
あらあら~。
いよいよなのね~早いわ~。
別にね~、シン君はこのままで。
明日も野芋堀に行ってくれていいのよ?。
町のみんなが待ってるのよ!。
それによ、お金にもなるでしょ?。
野芋堀、、魅力的でしょ。
ねっ!うふふ。
くぅ!ヒビカさんは。
完全に野芋の魔力にヤラレテいるよ。
ははっ、ヒビカさん冗談がキツイデスよ。
本気で言ってませんよね~?。
俺はホントに石のラビリンスに行くんで。
直ぐに予定は変わりませんよ。
あっ、乗合馬車の料金はいくらですかね?。
前は銅貨10枚って聞いたんですけど。
横を向いて拗ねられても困るんですけど。
ヒビカさんマジか~。
もう!シン君ったら。
私のお願いを聞いてくれないなんて。
涙が出ちゃうわ。
、、、。
いやいや俺は可笑しくないし。
悪者にしないで。
ん~いいわよ、、。
乗合馬車の料金は、石のラビリンス行きは、、。
今も銅貨10枚ね同じよ。
あの、、迷宮行き。
教えてくれて有難うございました。
じゃあ俺は行きますね。
野芋はまた今度掘りますよ。
うん!、シン君それ約束よ。
はぁ終わった。
ギルドを出て孤児院を目指して歩く。
今、アルロどうしているかな。
向こうの教会の神父さんに同い年の3人の事。
頼まれたりしないよね。
はぁ。
嫌な予感と胸騒ぎがするのは何でだ。
考え事をしながら歩いて孤児院に着いた。
まだ午後の早い時間だ。
廊下で俺を見つけた。
ルシーナとミモリーが寄ってきた。
ねぇシン兄ィ。
今日は早く帰って来たのね。
御話しできる?。
うん御話しして。
あたしは。
王子様が出てくるのが良いなぁ。
ふぅ。
いや!2人共。
今日は俺が食堂で計算の勉強を教えてあげるよ。
数字の計算だよ。
大人になってから役に立つからね。
いや、数字は直ぐに役に立つよ。
君達のお小遣いの計算とかにね。
さあ準備しておいで。
きゃぁ~~~!。
ダメダメ!。
ダメェ~~~~!。
うぅ~計算ダメ!。
ダメなの、何で計算の勉強なのぉ~~!。
ダメェ~~~~!。
シン兄ィ~~~。
わぁ~大嫌い!。
廊下で2人の声が響いたよ。
夕刻アルロが帰ってきた。
シン、話が有るんだ。
向こうの教会で頼まれちゃってね。
何日か向こうの3人に付き合って。
チョット仕事をしたいんだよ。
教会の神父さんに頼まれたんだ。
それに。
シンにはお願いが有るんだけど。
あの3人に野芋を野芋堀をさせてやりたいんだけど。
僕の我儘って、自分で言ってて分かってるんだ。
それでもシンに頼みたいんだ。
マーガレットとレイシーとロッドに助けの手を。
君の分の手を借りたいんだ、
やっぱりか。
まあこうナルカナッテ分かってたもん。
アルロは優しいもんなぁ。
向こうもなぁ、同じ孤児同士だもんな。
これがアルロの進む道なのかな。
まあ悪い気分じゃないから良いんだ。
アルロだもん。
うふ。
良いよアルロ。
野芋で3人が少しでも助かるなら良いさ。
教会のさ、同じ孤児への人助けでしょ。
あそこの事はアルロに任せるよ。
俺もアルロに報告がるんだよ。
ちょうど良いかなと思うよ。
石のラビリンスへ様子見に行こうと思ってるんだよ。
今日ね、ダンケロさんに色々聞いてみたんだ。
そしたらね、あそこは意外と楽だぞって言われたよ。
準備も要らない位なんだ。
だからアルロも暫らく別々に動こうよ。
ね、それで2人共大丈夫でしょ。
シン。
ラビリンスに行くのかい?。
1人で?、本当に大丈夫なの。
うん。
ダンケロさんと弟子の人に言われたよ。
問題無いってさ。
ちょっと予想通り過ぎて悲しい気持ちです。
そして夕食を済ませて就寝。
そして俺は今、馬車の固い椅子の上に座っているよ。
アルロは今頃4人で芋堀かな。
さあ俺は、ラビリンスだ。
さあ、いよいよラビリンスへ。
シンは何を手にするのか。
そして恩恵は?。




