あれ?服が。素材 鉱石 石
なんにでも、季節に合った物が必要です。
孤児院の、あわただしい朝。
朝食の後。
寝床の部屋に戻って、外出の準備。
寒さ対策になる服は、、、
ああっロクになし。
もともと服をそんなに持ってないや。
はぁ、冬服を買わないと駄目だね。
孤児院の外に出ると、今日も曇り空だよ。
それに風も少し吹いてるよ。
薄い古着を何枚か重ね着しても寒い。
ああっ、寒いねアルロ。
あれっ。
アルロが、見た事無い服を羽織ったよ。
そして前の合わせをきちっと重ねた。
ああっ見ただけで暖かそうな服だ。
丈の少し長い上着だよ。
ねえアルロ。
その厚手の上着、そんなの持ってた?。
なんだか、すごく暖かそうなんだけど。
ああっ、シン。
この服は、この前古着屋さんで見つけてね。
ちょっと高かったけどね。
寒くなる前に、要ると思って買ったんだよ。
まあ、この服。
マーガレットとレイシーの、お奨め品なんだけど。
買って良かったよ。
シンも、上着を買った方が良いと思うよ。
冬本番の前にね。
げっ!。
教会組の女の子達か。
うん、苦手。
あの子達の、俺を見る目は冷たいよ。
アルロは教会の神父さんに頼まれて
偶に、あっちの手伝いをしてるもんなぁ。
え~~~~。
アルロ。いつの間に。
あの二人と、買い物に行ったのさ。
俺も買いに行きたかったよ。
ほら。
この前、あっちの手伝いに行った時にさ。
手伝いの仕事は案外早く終わってね。
自由時間が出来たのさ。
3人で、どうしようかって話したんだけど。
町を3人で散歩しようって、なったんだ。
それでね。
ウスエリさんの、古着屋さんにも寄ったのさ。
その時に。
マーガレットがこの服を見つけてさ。
僕に似合うからって言うんだよ。
レイシーも、良いと思うって言うし。
だから買ったんだよ。
グェッ!
そうなんだね。
相変わらず、アルロは運が良いなぁ。
うん。確かにアルロにその服は
似合ってると思うよ。
はあ。暖かそうで羨ましいよ。
俺も上着を買いに行くよ!。
よし、決めたよ。
アルロ!今日の仕事が終わったら。
ウスエリさんの古着屋さんへ
行くの付き合ってよ。
もちろん良いけど。
良い上着が見つかると良いね。
シン。
なんだか朝から、アルロにヤラレテ。
疲れたよ、はあ。
心も体も寒すぎる。
さっき、アルロと相談して決めた。
今日の仕事場。
ダンケロさんの鍛冶場に向かう。
ああっ、町の人の服装も、厚手の服になってる。
そんな事も感じながら。
町の通りを二人で、テクテクと歩いて行く。
多分だけど、今日も鉱石運びだろうけど。
何事もなく。
鍛冶場の入口の前に到着したよ。
少し前から建物の奥の
高い煙突から少し煙が出てるのが見えた。
さすが鍛冶屋さん。
金属製のドアのノッカー用のトンカチで
これまた金属製のドアを数回叩くよ。
キィ~ン!、キィーン!キィ~ン!。
3回、軽く叩いた。
ああっ、これって良い音がするよね。
良い響きだ。
ほんとに。
僕もいつも思うよ。
よく澄んだ音が鳴るよね。
アルロと2人。
ここのドアノッカーの音が好き。
直ぐにドアが開いて、弟子の人と、2人で挨拶。
おはようございます。
おはようございます。
おう!おはよう。まあ中に入れ。
今日は寒いけど、まあ頑張ってな。
奥に行って、親方に挨拶してこい。
そう言われて、いつもの様に鍛冶場の奥に進む。
ああ、この建物の中に入っただけで、暖かい。
鍛冶窯の前で、椅子に座ってる親方を発見。
膝の上に肘を載せて両手を組んでる。
その姿は、なんだかカッコ良いよ。
窯の火の色を観てるのかな。
ダンケロさん。おはようございます。
今日も僕ら2人ですが、ここの仕事を貰えますか。
椅子に座ったままで。
振り返った、ダンケロ親方が、ニヤッと笑った。
おう!二人とも、おはよおさん。
あはは。
ここには、お前らの仕事は一杯有るぞ。
いつもの、鉱石運び、鍛冶窯の整備、残灰片し。
きつい仕事が山ほど一杯だぞ。
お!そおだ!お前らは。
まだ1度もしてない良い仕事が有るな。
アレだ。アレ。鉱石の選別だ。
冒険者の奴らから買い取った
いろんな種類の鉱石なんだがな。
いまいち交じりモンがあってな。
こっちも、ある程度は確認してるんだが。
人間は、間違う事も有るから。
2重で確認するんだ。
良いもんを作るにゃあ、まず素材のなあ。
元の良し悪しが肝心だ。
座ったままの親方が、腕を組んで語ってる。
目を瞑り、云々と唸ってる。
おっと。仕事だな。
裏の倉庫の中だ、行くぞ2人。
なんだか、一杯言って親方が歩いて行っちゃう。
2人でついて行くと。
行った事のない扉を抜け、外に出たけど。
目の前にまた扉が有るよ、隣の建物に入るのかな。
その扉を抜けると広い空間の部屋だった。
部屋の中には数か所に何かが、小山に積まれていた。
おう、こっちだ、この山の鉱石をなぁ。
2人で選別してみろ。
呼ばれた所に行くと。
うえっ。一杯有る。
目の前の石山でも、背丈くらいの
山なんですけど。
鉱石の山が、幾つも有るんですけど!
きょろきょろしちゃうよ。
俺の不安なんて感じてない親方が
色々と説明してくれる。
ちなみに、これは銀鉱石だからな。
あの銀貨に使うやつな。
まあ食器とか小物にも使うけどよ。
製煉前は、こんな感じの石っころだ。
これみんなラビリンス産だな。
まあ基本色は、白っぽい石によお。
灰色や黒っぽい筋とかがよ。
入り込んでるわけだ。
あとは。
石に色が巻き付いてる様なのも有る。
お前らの仕事は、この銀鉱石の仕分けだ。
白っぽい石と、それ以外の色の量で分けろ。
それで製煉が多少楽になるんだわ。
良いか!
白っぽい色の部分が重要だ。
色付きの部分が半分以上に多い石が、1番。
半々程度の混じりのが、2番。
白以外の色が3分の1以下の奴が、3番。
色付きが、ほんの少しの奴は、4番。
それ以外の屑石。
そんな感じかな、石の見本色は。
あそこの端の台の上に有るからな。
たと、あそこの皮手袋を使えよ。
素手でやるとケガするからな。
まあ、だいたいで良いからヨオ。
やってみろや。
おお!これが銀鉱石だって、へ~ぇ。
ダンケロさん。
これが銀貨の元なんですか。
それにラビリンス産ですか。
凄いですね。
ああ。
冒険者達がラビリンスで掘ったやつだな。
鉱石を色の目安で買い取るんだ。
俺達は銀鉱石から、銀インゴットを作っていく。
領主に収める分と、一般分までを分けてな。
一般分で物を作って、町に売り出すのさ。
金鉱石も少しだけだが出るぞ。
ほとんどを領主に行くがな。
さあ始めてくれ、後で人を寄こす。
じゃあな。
ダンケロさんは。
そう言って窯場の方に行ってしまった。
なんか、かなり適当な感じじゃない。
鉱石の4段階選別か。
あと、屑石だって。
さてと、入れ物が有るかな、部屋の中を見回すと。
良い感じの木箱が積まれて置いてあった。
アルロ、
見本を良く見て。
取り合えず選別してみようよ。
あの木箱を5個使って選別してみない。
そうだね。
ダンケロさんも、だいたいで良い。
そんな事言っててしね。
二人で石の見本を良く見て観察したよ。
でも案外。2番と3番の選別が難しいよ。
アルロも手に持って確かめてるし。
手袋も、幾つか有る物の中から選んだよ。
妙な匂いしない?これ皮の匂いかな?
まあ、しょうがないから。
「清浄」を掛けて使うと良いかな。
「清浄」
おお!嫌な匂いが消えた?。
奇麗にもなったかな。
もちろんアルロの手袋もにも
「清浄」を掛けていく。
シン、ありがとう。
何言ってるのさアルロ。
こんなこと当たり前でしょ。
いっしょだよ。
手袋を装備して鉱石との戦いだよ。
銀鉱石の山の前に立ち、後ろに5個の木箱。
さあ、やってやる。
ゴン、ゴロ、コン。
ゴロ、コン、ゴロ、コン。
ゴロ、ゴロ、ゴロ。
ヤバい手がもう痛い。
握力が素手よりも必要で。
鉱石を握って観て、選別。
後ろの木箱に放り込む作業。
小石程度の鉱石も有れば、、
大人の拳ほどの鉱石や細長い鉱石。
微妙に重い鉱石など。
この作業は、超重労働なんじゃないかな。
鉱石を半分位選別出来た所で休憩だよ。
アルロ~~~ォ。
手が~ぁ、腕が~ぁ、腰が~ぁ。
も~ぅ俺、限界かもしれない。
要休憩!要休憩!
一休みしようよ~。
確かにキツイね。
ああ、休憩しようか。
この作業は、鉱石運びよりキツイよね。
あそこの木箱を持ってくるよ。
それに座ろうか。
ありがとうアルロ。
ああ優しいなあ。
木箱に二人して腰掛ける。
アルロも腕を摩ってるよ。
はあ、俺も腕が重い。
休憩していると
入り口のドアが開いて、、。
おい、お前ら。やってるか~~ぁ。
なんだなんだ。あはは~!
もう休憩かよ。
入ってきた人は。
あっ。
ロイスさん、お久しぶりですね。
石に好かれないロイスさん。
今日の石は。




