人は見かけで判断してはいけない
まだ始まってもいない「祝福」
リーレ川で釣りをした数日後。
俺はジャスリーさんの
宿屋の掃除と部屋の支度の手伝いをしてる。
ケリオサとレーリエとサリタも一緒だよ。
アルロは別の仕事に行ってるんだ。
4人だと宿屋の仕事も早く終わるからね。
年下のサリタも仕事に慣れて来てる様で
スムーズに仕事が終わって行く。
ジャスリーさん!
ここの仕事は半日で終わりますね!
何時もと違う事も無いですよね?
午後の宿の仕事は女の子2人、、。
レーリエとサリタの2人で済みそうですか?
ああ!そんな感じかな。
女の子2人で多分大丈夫だろうぜ。
なあ。シン!
お前ら。この前ミーレ川に釣りに行ったって!
良いよな~~!
俺も久しぶりに釣りに行きて~よ!
ちくしょ~~~。
ケリオサに聞いたが、、
アルロがデカいのを一杯釣ったって!
今だとデカいのが釣れるだろ!
か~~~!羨ましいぜ!
あの手ごたえが、、、
聞いたぜ、、
言い出した、、
シンは、、、1匹か!
くくくっ!
ジャスリーさんが俺を見て笑ってるよ。
嫌な大人の目だ、、。
午後の仕事か~~!
んん!
あ~~~。
まてよ、、。
すまんが午後の少しの間。4人で手伝ってくれ。
4人分の昼飯は出してやるから。
午後も暫くの間。頼むわ!
お~~~!
ジャスリーさんにお昼を奢って貰えるなんて!
有難うございます!
それで、、。
何が有るんですか?仕事。
今日はな。宿に泊の客が多いんだよな~。
だから何時もより食材の下拵えが多いんだ!
夕食とツマミの食材の準備も多いんだ!
それに、、、
妙に味に煩い奴もいるし。2人も。
あ~~~~!
めんどくせえゼ!
久しぶりに顔を出せば、、ウゼえ!
男も女も同じだな!
冒険者はウゼえ!
あはは~~!
ジャスリーさんの顔が!
微妙に歪んでるよ。
どんだけメンドクサイノ!その人達。
分かりました俺達、4人残りますよ。
お昼ご飯も楽しみですし。
おう!
お前らはもっと肉を食え!
相も変わらずヒョロヒョロだな!
今日は。お前らに。良い肉を焼いてやるぜ!
噛んでも柔らかくてよ。最高の奴だ!
パンも新作を出してやる。
家族で味の検討中のパンの奴だ。
ついでに評価をしてくれよシン!
お前は味にうるさいからな、参考にする。
それにな!今日のスープも旨いぞ!
途中で味見をした、、
ロジーヤが御機嫌だったからな!
そんな凄い御昼御飯。良いんですか!
4人分ですよ。
ロジーヤさんが怒りませんか?
うっ、、!
く~~ぅ。
大丈夫だろうよ。
お前らは良くは働くからな。
ご褒美さ!
うあ~!マジで。
ロジーヤが御機嫌な味。
御昼の御飯が、、楽しみだ。
アルロ御免ね!
宿屋の部屋の準備もすませ。
廊下や階段の掃除も終わり。
4人でテキパキと作業していく!
俺が1階の食堂のテーブルを
昼前の最後の仕事にと
拭き掃除していると。
後ろから声が掛かった。
そこの君!
君だよ!
テーブルを掃除してる君!
えっ?。
はい!俺ですか!
返事をして、振り返ってみると。
そこには小柄な女の人が立っていた。
あれ、、俺より背が低い、、。
金髪の長い髪をポニーにして纏めてる。
上着は白いシャツに茶色のベスト姿。
黒い革の細身のズボンに茶色のブーツ?かな。
何だか似合ってる。
薄緑色の瞳が俺を見てるよ。
君さ~~。
その目は、、、チョッと失礼!
上から下まで、女性の姿を観過ぎ!
はあ~、これだから男は、、。
あ~、、まあ良いわよ!
それで~~。
ジャスリーさんに聞いたんだけどね。
今日。ここで働いてる4人共、みんな。
修道院の孤児院の子なんでしょ?
それでね、、君達にお願いが有って~。
私ね~~。
2年前のミサの話が聴きたいな~~ってね!
あのミサの晩の現象と奇跡の様を。
「女神様」の「祝福」
体験した人に聞きたいじゃない!
でね~~!色々と聞いて回って調べたのよ。
あの声を聴いた人も少なくて~。
かなり限られてるんだよね~。
ここの街守の。イント騎子爵で1人。
修道院のシスターの2人。
ミサに参加した。この街の住人が5人。
あとは、、、。
孤児の子達が9人全員で、チビちゃん2人もね。
ジャーレンタで17人だけが声を聴いたのよ。
それによ。「天の声」は。男性の声だったんでしょ?
声も謎なんだよね~。
は~~。
あれ。そんなに少なかったかな?
厨房からジャスリーさんが出て来た。
トレーを両の手で持っているよ。
シン。掃除終ったんだろ?
飯を出すから4人でカウンターに付けよ。
うっ!
、、。
リリーナ。シンと何話してんだ?
話は後にしろよ。
そいつら4人に飯を奢る約束なんでな!
ほらっ!コレを見てみろ。出来立て焼きたてだぜ。
柔らかくて旨ェーぞ!
ケリ!レー!サリ!
早く座れ!肉が不味くなるぞ。
え~と。すいません。
出来立ての御飯を食べないといけないので。
また今度お願いしますね。
そんな~。ジャスリーさんヒド~イ~!
私が真面目に。仕事をしてるのに~。
マリーシア様に頼まれた仕事なのに~!
あ〰~ん。
キリキアドに言ってヤルンダカラね。
リリーナさんていう名前なんだね。
ジャスリーさんとも親しそうだ。
は~。なんか厄介な事かな、、、
いや!
いやいや。
今は。目の前に鎮座する。
最高の御飯の方が大事だよ。
ジャスリーさん。頂きます!
アルロ~~~。御免ね~。
うは~~~肉が。肉が柔らかい!
ジャスリーさん。
旨い~~です~ぅ!
ガハハ!
そうだろ~!
全部が旨いからな~。
味わって食えよ。
塩味だけど。旨いよ~~~~ぅ。
横に並ぶ仲間たちも、、、ニコニコだよ。
モグモグと!モグモグと噛めば、ウマ~!
肉からパンへ。パンからスープへ。
美味しい物の総攻撃だよ。
食べる手が止まらない!
メチャ食事中の俺。
カウンター越しに
ジャスリーさんが小声で、、
シン。
リリーナ達は王都から来たんだが。
どうやら。前回のワイスの調査の追加らしい。
あいつらも。此処の街の出だからだろうな。
さっきよ、名前の出てただろ、、、
マリーシア様ってのはよ。多分だが、、
王法院の。お偉い様だと思うんだ。
あいつらは冒険者だから。
この調査依頼を受けたんだろうな。
リリーナは、、、
一見は、あんなでもよ。腕は良いんだぜ。
アレで魔法使いだ!は~。
また「女神様」の「祝福」関係だな!
お前らも聞かれるだろうが。
自分の身の為にな、程々に答えれば良いよ。
お偉いさんなんか関わらね~に限る!
他の仲間にも言っとけよ。
余計な事は言うなって。
俺は小さく頷いた。
口の中が美味しさで一杯なので、、
返事は出来ないの。
横の3人も黙ってこっちを見てたよ。
みんなも聞こえたよね。
絶賛モグモグ中だけどもさ!
直ぐに3人も小さく頷いたよ。よし!
優しいね。ジャスリーさん。
食事中だけど。暫くすると。
また後ろから声が掛かる。
ねえ!
さっきの君!
シン君?でしょ。
今。ジャスリーさんに。
そう呼ばれてたよね。
「女神様」の話を聞かせてよ~~~!
私もご飯を奢るから~~。
明日は、、明後日は~?
あっ!御免なさい。
私の名前はね。
リリーナって言うのよ。
「ラ・ロック」て言う4人組パーティーで
冒険者をしてるの。
ヤバいよ。
あ~上手く誤魔化して、、、
早く王都に帰ってもらいたいよ。
ダンケロ親方の「啓示」も
知られない方が良いよね。
アルロ~~。
ヘルプ!
久しぶりの王法院。マリーシア・キャスパー様は女性で「子爵」28歳の魔法使い。




