古着屋さん
少しの余裕
朝晩の冷え込みも緩んで
震える様な日は過ぎて行った。
随分と暖かくなってきた。
そんな春の日。
今日の仕事は、みんなでお休みだ。
朝食を済ませ修道院の掃除。
幾つもの灯りの魔法の掛け直し。
裏の畑の様子を見たりで
午前中はあっという間に終わり。
軽い昼食を済ませて。
午後は。
チビ達と遊んだりの面倒と
年下の子の勉強を3人で見て
ゆったりと時間を過ごす。
その後。
午後の良い時間になってから。
6人で孤児院から出かけて来た。
俺とアルロ。
そしてラツェの3人と
ケリオサと
レーリエ、サリタの3人。
向かう先は街の古着屋さん
服を見て買い物だよ。
歩きながら此れからの説明する。
今日少しだけど3人に。
服をプレゼントするよ。
これからの季節に着る服かな。
仕事に使える服と。
普段の服を1着ずつね。
でも、お願い。
高いのは無理だからね。
ケリオサ、レーリエ、サリタの3人に
俺達から服をプレゼントするんだ。
孤児院の服は
色んな貰い物なの
それもだいぶ傷んでたり
薄かったりで。
夏は良いんだけど
冬が特につらいのさ。
それと見た目がね、、、
今の俺達3人なら
3人に古着を買う!
それ位できるから!
俺達3人も本来なら。
孤児院の先輩が居てくれれば。
先に働いてる人が居れば!
今の境遇の生活とは。
色々と違ってただろう。
リビエさんが偶に俺達の境遇を
今の「貴方たちは大変」て言うんだ。
そう!
あの。「疫病」が。
俺達の数少ない孤児院の先輩達を
天に連れて行ったんだ。
もっと年上の人達もいるけど
更に数が少なくて。
このジャーレンタの街には居ない。
「不運」過ぎる。
でも、そんな中。
ラツェには、少ないが
優しい手が差し伸べられた。
あの薬屋さんだよ。
良い経験になっただろうし
報酬で現金収入が得られたからね。
ラツェは!
幸運に出会えた。
お喋りしながら歩けば
あっと言う間だ。
さあ、ここのお店が。
ウスエリさんの古着屋さんだよ。
中に入って、自分の好みの服を
2組選んでいいよ。
ラツェと服の相談すると
良いんじゃないかな。
ウスエリさんに値段も聞いてね。
俺とアルロは外に居るから
ゆっくりと選んで。
外に出ると。
アルロが呟く。
嘘みたいだな~。
あの3人に服を買ってあげれるなんて。
僕とシンが働き始めて
まだ半年にもなってないのに。
あ~。
真面目に働いて良かったねシン!
あの3人共。
嬉しそうだったな。
僕たちもさ
街中に居ても違和感が無くなったよね。
見栄えが良くなったし。
つぎは、あの3人の番だよね。
アルロ~~!
ラツェを見てよ~。
仮登録からの「成人の儀」の後
ず~と続けて薬屋さんで働き始めたから
街中の女の子以上に御洒落でしょ。
清浄をいつも自分に掛けてるし。
身綺麗だよね。
初めてのパン屋さんの仕事の後さ
あの時、分かれて帰ったでしょ。
ギルドと孤児院でさ。
だいぶ前の仕事だけど覚えてるかな?
あの時にさギルドに歩いて行く途中で
偶然シディリーさんに会ったんだ!
その時にねラツェの事を
凄く褒めてくれてたよシディリーさん。
薬のお店だから。
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人当りが良くて。
お金の計算と字が綺麗に書ける!
清潔第一で。
それに綺麗好きで御洒落。
まして女の子!
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凄く良い子が来てくれたって
シディリーさんね
修道院のケシーレさんに
挨拶に行ったんだって。
は~~~~!
分かるよ。
ラツェは凄く変わったもんね。
孤児院の女の子達が
いつも見てるもん。
色んな作法も覚えたみたいだしね。
男の僕達とは
違う生き物になって来たよね。
良いお姉さんが出来たのかな。
レーリエも、御下がりの服を貰って
喜んでるし。
ウスエリさんの店の外で
最近の事をアルロと話し込む。
買い物は、なかなか終わらない!
なんせ3人の女の子の買い物なんだよ!
ウスエリさんも笑顔で混じってるし。
は~!長くなりそうだ。
街なかの道には歩道なんか無い!
当然人が座るベンチも無い。
時間を潰すためのスマホも無い。
アルロと立って待つのは。
かなり辛い。
それに。
アルロ~!
あそこの串焼き屋さんの香りが~!
良い匂いが~。
キツイよ~。
確かに香りが辛いよね。
風向きが変わってくれないかな。
お腹が減って来た。
離れた所で良い匂い漂わせてる
屋台の串焼きの買い食いをすると!
絶対に奢らされるし。
これはあれか!
ラツェに任せてしまえば
良かったのか!
そんな事をダラダラと考えてると。
店から笑顔の4人が出て来たよ。
後ろにウスエリさんいる。
孤児院から持ってきた
布の袋が膨らんでる。
勿論、ケリオサが3人分持ってるよ。
良し!
ウスエリさんに服の代金を支払うよ。
幾らになったか怖い。
3人共、良いのが見つかった?
ラツェ。お手柔らかに。してくれた?
ウスエリさん!
代金を支払います!
ああこっちに、店の中に来ておくれ。
ウスエリさんが店に入って行った。
年長の俺達3人が店に入って行く。
3人で均等に分けて支払った。
ラツェは服にお金を使う女の子で
間違いない。
良い買い物をしたらしい。
孤児院に向かう4人は
良い笑顔で歩いて行く。
その後ろを俺とアルロは
俯き加減でついて行くよ。
良い事をしたのにだよ
ポケットの巾着が軽くなった。
今回は中々に。
キツイ!
ふ~う!
気持ちを切り替えよう!
良い事をしたのだから。
顔を上げて天を見る。
夕方の濃い群青色の広い空。
今日もいい天気だったから。
もう幾つか星が見える。
明るく輝く2つ星だ。
アルロ。
あの星綺麗じゃない。
天に星が流れれば願うんだけど。
なにも流れそうにないや。
この世界にも星座は有るのだろうか




