黒い金属の情報
いつもの仕事は石運び。
1月の終わりの今日。
朝から空一杯、どんよりとした暗い雲。
吹く風は弱いが、それでも凄く寒い。
年明けから色々と有り過ぎて
体も心もヘトヘトだ。
でも。
仕事はしなくちゃいけない!
買い揃えないと駄目な物だらけなんだ。
それに、色んな仕事がしたいから。
だから、身綺麗にしないとね。
少しづつお金を貯めて買い物だよ。
考え事をしながらテクテク歩いて行く。
朝の通りには人が行きかう。
その中に俺も交じって歩く。
今日の仕事先に着いたよ!
ドワーフの工房の扉を「キン!」「キン!」と叩く。
金属の扉が音も無く、ゆっくりと開く。
弟子の人に挨拶をして、さあ仕事だ。
親方にも挨拶して、慣れた仕事を始める。
朝から鉱石運びだ。
黙々と熟しいく。
俺。1人でだ。
アルロ。
何しっるかな~。
つい独り言が出る。
アルロは。
朝から修道院を訪れた客に。
お願いされて、教会に引っ張って行かれた。
孤児仲間の、2人の女の子達にね!
マーガレットが、ちょっと強引だったよ。
教会の人が、話を聞きたいんだって!
アルロが真ん中で、左右に女の子。
3人で歩く後ろ姿が楽しそうだったよ。
俺も行きた~い!
この前の話。
修道院の外のベンチで。
仮登録で貰った金属の事を
アルロと2人で話した後。
アルロは。
あの日の夜にベットの中で
自分の金属の情報を見たんだって。
手の中に握ったら
頭に浮かんで来たって。
次の日の朝。
身支度をしている時に。
俺に軽く言ってきたんだ。
シン。
今のあの金属の中の情報はさ。
大した事無いよ。
名前とか。年齢。
あとちょっとだけだったよ。
今の体力が幾つとか、魔力が幾つで。
生活魔法の情報とかで、、
今だとね、見えない所の方が一杯だよ!
やっぱり15歳の「成人の儀」を済ませると
全部が見える様になるんじゃ無いかな。
だからシンも気にせずに自分の
あの金属を覗いてみれば
良いんじゃ無い。
大した事無いから。
アルロ!
昨日は何だか御免ね。
最近疲れてたのかも。
俺、、気弱なんだよね。
凄くアレが気になってさ!
自分の情報が視れるとかね。
怖いじゃない。
あ~~。何でかな~?
そんな話を。
思い出しながらの鉱石運びだ。
工房はいつもより静かなんだ
親方が朝から此処に居ないから。
鍛冶ギルドに行ってるんだって!
1人で何とか昼までに
鉱石をいつもの置き場まで運べた。
ギルドに提出する紙を!
報告書を貰い。工房を出る。
ギルドに向かって
トボトボと1人で歩いて行く。
1人だと何だか寂しい気分んだ。
空元気でも出さないと!
気分を変えよう!
あ~。
お腹が減ったな。
今日も良く働いたから!
途中で串焼きを食べちゃお~かな?
歩きながら頭の中が段々と
美味しそうな串焼きに占領されてく。
妄想が楽しくて。
トボトボ歩きがね
いつの間にかスキップになるよ!
空元気じゃあ無くなってる。
元気が出たよ!串焼きだ~~!
ルンルンだよ!
声が出ちゃう。
俺は~~。串焼きぉ~! 1本!食べる~~!
俺は~~。串焼きぉ~! 2本!食べる~~!
でもね~~! 3本は~~!買わないよ~~~!
スキップして進む俺は
凄く浮かれてて、前だけしか見てない。
俺は。まわりの人なんて
なにも見ていなかった。
近くの、、、横から。
声が掛けられた。
シン君!シン君!
ビクン!!
俺のスキップは急停止した!
声の方!自分の横を見るとそ
そこには知り合いの女性が立っていた。
クロイアさんに発見されたんだ。
つい目が合った!
笑いを我慢してる顔だった。
ヤバ!恥ずかし~。
クククッ!
ねえ!ねえ!
シン君!
あなた滅茶苦茶面白い子だね。
あの歩き方なに?
あんなの見た事無いんですけど?
さっきのあなたの動き。
リズムが良くて!コミカルで!
周りの人が。かなりの人が!
貴方を見てたわよ!
ゲゲ!
良し。ここは、、、。
冷静に。
スルーだ。
関わったら。俺は負ける。
クロイアさんお久しぶりですね。
僕は変わらずに元気です。
では!
また会いましょう。
スッと顔の向きを元に戻す。
アハハ!
無理無理~~!
シン君!
逃がさないから!
なになに!仕事の帰り?
ねえ!チョッと!
こっちを見なさいよ。
ギルドに行くの?
ねえ!
さっき、あなた!
楽しそうに何か歌ってたよね?
串焼きが何とかって。
ご飯食べたのかな?
それともこれから行くの?
串焼きを食べに行くのかな~?
これから、お昼ご飯とかでしょ?
なら~。ならね!
シン君に会うの久しぶりだから。
私が食事奢ろうか?
大盛りの焼肉定食の美味しい所
私ね、、、知ってるのよ!
美味しいよ~。
ダメだ!
ダメだ~~~!
この声はヤバいやつだ。
悪魔の囁きだ!
騙されちゃダメだ!
これから~!私はそこへね。
お昼食べに行くのよ~。
パンとスープも美味しいんだよ~!
そのお店ね。
ここからだと、すぐそこだよ。
行かないか~~残念。
私が奢るのに~。
はわ~。
俺は全面降伏をした。
戦う相手を間違えたんだ。
クロイアさん。御飯一緒に行きます。
大盛り。奢ってください。
あはは!
デスヨネ~~!
子供はそれで良いんだょ~~!
よ~し行こう。行こう!
大盛り奢っちゃうよ~~!
クロイアさんと2人。
店まで歩きながら。
色々と相談した。話が出来て良かった。
お店は意外と孤児院に近い所だった。
飲食店の名前は「緑石屋」と書いてあった。
店主は。カウロズさんて名前の人で奥さんと
息子さんでこの店を営んでるんだって。
勿論俺は!
「焼肉定食大盛り」を奢ってもらいました。
テーブルにデーンと出されたソレは
肉が一杯!
文句なしに旨かった!
お腹がパンパンでポンポンだよ。
食後にも
2人でギルドに行くまでの間
歩きながら、俺はまた。
クロイアさんに金属の事を聞いたんだ。
経験者に聞くのが良いから。
シン君。
さっきも言ったでしょ!
そんなに心配無いって。
まあ!
14の時の情報はね!
大した事ないのよ。
アルロ君のと大差ないと思うよ。
早く済ませた方が楽よ。
しっかり自分で確認するのよ!
大した事ないから。
それよりも~。
シン君!
さっきの歩きのあれ、動きをやってよ!
やってみせて~~~!
何て言うのかな~~。
あの楽しそうな歩き方。
アレの方が私は、気になるのよ!
やって!
はやく~。
やって!
いや!
人に見られながらのスキップって。
凄く恥ずかしそうなんですけど。
やるのか~~。
真面目にやったら
凄く恥ずかしいですよアレ!
あ~~。
行きますよ。
ルンルンルン!
声に出すとこんな感じに。
手も左右でフラフラと
分かります?
そんなに見られると恥ずかしです。
とにかく!
ルンルンルン!ってな感じ?
こんな動きですよ簡単ですよ。
これで良いでしょ!
クロイアさん。
う~~~!
手もユラユラと。
出来るかな私が、、
ん~1,2。1,2。
ルンルンルン!
キャ~~~!
なにこれ!なにこれ!
ルンルンルン!
あ~~シン君!
手もコンナ?ヒラヒラ~。
ルンルンルン!
ルンルンルン!
キャ~~~!
ヤダ~~!
悪魔が壊れてる。笑顔でルンルンルン!
道の真ん中あたりで、、笑顔でルンルンルン!
華麗なスキップで、、、手もヒラヒラ~ルンルンルン!
冒険者の動きすげ~。
暫くしてクロイアさんが正気に戻った。
楽しそうなスキップはどうだったかな?
その顔は。真っ赤に上気してる。
シン君!
あれ楽しかったけど。
早く私を止めてほしかった~~!
ご飯。奢ってあげたのに~。
キャ~~~!
恥ずかし~~!
そんな事が有りながらギルドに着いた。
クロイアさんは掲示板へ向かって行ったよ。
手をコッチに向けてヒラヒラさせてる。
あれがバイバイの合図なのかな?
そうだと思うことにした。
昼を過ぎたギルドには人が少ないから楽だ!
窓口に。ヒビカさんがいるから報告書を提出した。
ヒビカさんが俺に声を掛けて来たよ。
シン君お疲れ様。
工房の仕事。全部出来たのね!
今日の報酬はどうするの?
ギルドに追加で登録しておく?
はい。ヒビカさん今日の報酬は
ギルドのに登録で、お願いします。
午後は何か仕事するの?
今日はこれから孤児院に帰ります。
なんだか凄く疲れちゃって。
孤児院に帰って俺も触ろう。
登録した金属に。
黒く染まった金属。
孤児院の寝床の隅で。
俺も触ったよ。
確かに頭に浮かんだ!
目を閉じなくても頭の中で分かる。
不思議。
こんな風に見えるんだ。
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シン 14歳(未)(*****)
体力 26
魔力 41
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・
・
・
生活魔法
「清浄・灯り・口火・清水」
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「*****」(未)
「*****」(未)
「趣味の記憶・再現」(未)
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生活魔法が良く出来るのは
俺が現代人の記憶が有るから
モロに、その影響が出てるよね。
明るく清潔!。
今は表示されずに
名前の分からないのは多分
みんなが言ってた。
「成人の儀」
以降にならないと
発現しないのね?。
一体何が貰えてたのかな。
でも俺!
「女神様」に会ったりして無いんだよ。
あの時は確か。2人の「男の声」だったし。
この世界は色々と大変だって言われた!
これからが、、大変なの?
今も大変なのに。
「趣味の記憶・再現」って、、。
これ凄いかも、いや!凄いよね。
現代での、俺の黒歴史を再現出来るのかな?。
まあ。一部だろうけどね。
意外と楽しみかもしれない!。
あれれ?
全然悪い事は無かったかな。
良い事だったかな。
ほんとに今は、2つ分かるだけだ。
生活魔法の効きが良いのも理解した。
体力と魔力の能力。
この数字はどうなんだろう?
シンの能力の1部が分かる。
現代人の特徴が生きるのか。
趣味。
人により好みが分かれる!
性別でもだよね。




