ドワーフの工房
ドワーフの工房の仕事に惹かれた。
なぜか?
寒い!寒すぎる。
厳寒!氷河期かって位に寒い、、
まあ。そもそも、、
俺達の今の服装が
厚みが無くてね
貧相だからだけどさ。
はあ。
1月のなかばを迎え
今日も孤児院から歩いて移動中。
あれから、、
冒険者ギルドに出入するのも
俺達は少し慣れたよ!
まあ、怖い人が多いのは同じだけど。
偶にだけどギルドで
ロイスさん達にも会えるし
ヒビカさんに聞いて
仕事の受け方も覚えたよ。
ギルドに入って正面に受付カウンターが2つ。
建物の左側の内壁の
受付けカウンター寄りに
3ヵ所の掲示板が有るんだよ。
え~と。
右側は、、、見ない様にしてる。
怖い人たちがいるから。
その内の1つが、俺達みたいな人向け!
色んな依頼が紙に書かれて
掲示板に張り付けられてるんだ。
その中から出来る仕事を報酬との
兼ね合い具合で選んでいくんだ。
街の中心街をかすめて歩いて行けば
冒険者ギルドは意外と近い!
2人で冒険者ギルドに「コソコソ」と入る。
アルロ。
今日はどんな仕事が有るかな?
ゴミ拾いと荷物運びばっかりだったから
何か違う仕事が見つかると良いけど。
ん~~。
今の俺達は。
何かの仕事が出来れば
それで良いんじゃないかな?
知らないのとか。難しいの選ぶと
失敗しちゃうかもしれないよ。
掲示板を見てみようよ。
あ~、、そっか~。
そうだよね~。
失敗とか駄目だもんね。
よし!
今日の仕事探しますか~!
2人で掲示板の方に歩いて行く。
掲示板の周りには俺達みたいな
子供以外の、大人も数人いるよ。
確かに仕事探しは競争になるかもね。
この前。ヒビカさんに聞いてた。
教会の孤児の子達にも、ここで会ったよ。
孤児同士。
お互いの何となく分かった感じ。
自己紹介とかを軽くしたんだ。
教会の3人の子達の名前は。
女の子2人が
マーガレットとレイシーで
男の子1人が
ロッドって言う名前だって聞いた。
あの礼拝堂の夜の事に興味津々でね
「女神様」の「祝福」の事を凄く聞いて来たよ!
教会のミサでは。
何も起きなかったんだって。
これからは。お互い仲よくしようねって
みんなで話し合ったよ。
その時にもアルロが、、、
女の子2人に色々と。
質問されてたよ!
なぜ!
おれは?
思い出すと悲しくなる!
さてさて掲示板を、くまなく見ていく。
今日の仕事を探さないと。
人と人の少しの隙間を見つけ!
掲示板の前に顔を出す。
ドワーフ、、、
その紙を見て!
あっと。思う間に、、
手を伸ばし
紙を持って剥がしちゃった。
イケね~、失敗だ!
アルロに言わないと。
剥がした紙を持って後ろにいる
アルロに相談する。
ねえ!コレ!何か良いんじゃない。
ドワーフの工房の鉱石運びだって!
あっ!、でも、、、
失敗かも。
鉱石って重いかな?
ドワーフの工房、、、
何の鉱石運びかな?
ドワーフの使う鉱石か~
確かに重そうだけど。
どんな物を作ってるのかな?
気にならない?。なるよね~!
シン!
僕は良いよ。
その仕事やってみよう!
は~良かったよ~。
自分でも何だか良く分かんないで!
この紙を剥がしちゃったから。
良かった~!
アルロが賛成してくれて。
じゃあ受付に行こう。
あ!
今日もヒビカさんが受付に居る。
ちょうど空いてるよ。
2人で
ヒビカさんに、この紙を見てもらう。
ヒビカさんこれを!お願いします。
はい!
ドワーフの工房の仕事ね。
ダンケロさんの所だね。
はいこれ!
この紙に書いてあるから。
工房の場所と工房の名前ね
いつもの様に。
仕事の終わりの紙を!
ちゃんと貰ってきてね。
ヒビカさんに、説明の紙を受け取り
ドワーフの工房。
ダンケロさんの工房に向かう。
向かう工房は、街の西側の門の近く!
初めて街の西側に行くよ
知らない所だ!
ギルド出て。
街の中心部を迂回して歩く。
西門に向かう大通りの途中で
北へ折れて歩く。
あれ?、、
ギルドからだと
細い道でも真直ぐ来れるんじゃない?
んん?
俺達の安全の為かな?
白っぽい煙を吐く煙突!
頑丈そうな石造りの建物が見えて来た。
工房の入り口は、デカい鉄の門だ。
え~と。
扉をノックをすればいいのかな?
扉の取っ手の横の穴から、、、ん?
細い鎖でトンカチが、、、ぶら下がってる。
鉄の扉を良く見ると。
磨いた様な丸く光ってる部分があるよ!
そこをトンカチで叩けって事?
俺は。ツンツンと。
アルロにトンカチを指さして。
叩いてよって!眼で合図をしたよ!
アルロが眼を見開いて俺を見たよ。
んん~!アルロ。
もう1回。指で!
アルロに合図をしたよ!
アレアレってね。
アレで叩いてよって!
アルロがトンカチを右手で持って
鉄の扉の光ってる部分を叩く!
キィ~ン!キィ~ン!
あれ?
思ってた音と違う響きだ。
キィーン!なんて普通じゃないよ。
硬い音すぎでしょ。
すると直ぐに音も無く。
重そうな鉄の扉が、スーっと開いた。
えっ!
そんな軽い感じで開くの?
1人。
スマートな男の人が出て来てくれたよ
俺達を見て声を掛けてくれた。
はい。どなた。
ここは。
ダンケロの工房だけど。
え~と、君達!
何の用かな?
俺達、ギルドの依頼表を見て此処に伺いました。
鉱石の運搬作業の仕事をさせてもらいたくて。
俺達でも出来そうですか?
お~~!君達2人で、あれヤッテくれるの!
大丈夫!大丈夫!君達でも出来るからね。
よし!さあさあ!中に入って。
僕に付いて来てね。
2人で工房の奥に案内されていくよ。
建物の中は薄暗いけど、床や部屋は綺麗だ。
それにね!
見た事も無い道具だらけでワクワクする。
キョロキョロしちゃったよ。
暗い廊下を進み。
部屋の扉を2つ、横に見ながら。
さらに奥へ案内された。
廊下の突き当りまで進んできた。
目の前にある、2枚扉の片方を
手前に開けて
奥の部屋に入ると、、、
カン!キン!カン!キン!カン!
ガン!キン!ガン!
うあ~デカい音!うるさい音が、急に耳に入って来た!
金属を打つ音、打撃音と風の音が耳に!
なんだ?此処!
音が部屋中に飽和してる。
人の声が変に聞こえる!
ここまで案内してくれた人の声?
親方~~!
親方~!親方~!
ギルドから、
2人手伝いに来てくれましたよ。
親方!
親方と呼ばれてた人の
金槌を打つ手が止まった!
飽和してた音が!騒音が!
す~~と。
風切り音だけになって
大分静かになったよ。
親方と言われた人が
こっちに振り返った。
この人がドワーフの親方さん?
ダンケロさん?
俺達を見るなり!
なんだ!
お前達!
ヒョロヒョロだな。
おい!大丈夫だろうな。
鉱石運び。
気を付けて運ばせろよ。
工房の裏に積んであるやつだ。
窯に使う鉱石だからな!
ガスロ鉱石って奴だから。
そこの置き場に運んで来てくれ!
あるやつ全部だ。
あとの事は
そいつに良く聴いて。
間違えずに仕事をしろ!
2人で運べ。
鉱石は重いぞ!
親方さんは、、、
俺達にそれだけ言って
また金床に向かった。
金槌を持つ手を動かし始めた!
右手を軽く振り上げ。
スッ、、と金槌を振り落とす。
金床からトンデモない音が、、
部屋に響く。
金属の同士の衝突音!!
途端に騒音が!
カン!ガン!キン!カン!
ガン!キン!カン!
ガンガン!キン!
工房は煩いけど
つい見ていたんだよ。
親方さんの金槌の
打面が光って綺麗だった。
横にいる案内の人に
肩を叩かれて気が付いた。
仕事だ。
こっちね!行くよ。
案内の人に付いて建物の裏に移動した。
この鉱石なんだけど。
さっき、親方が言ってた場所に全部。
運んでくれる?
重いからね。
これを使って運んで!
小さな荷車?台車?
そんな道具が有って良かったよ。
バケツとかで運んだら、幾らも運べないもん。
鉱石1つ1つが意外と大きくて。
大人の拳位大きい。
手で台車に放り込んでいく!
重~い!アルロ~~!
鉱石。コレ重いよ~!
1個1個が何で、こんなに重いの~?
何で!こんなに重いの~!
ぐ~~!
これは。キツイね!
こんなに重いなんて。
ナントか鉱石~。
2人で何とか昼までに言われた
鉱石を工房内に運び込んだ!
久しぶりに
ぼろぼろだ。キツイ仕事だった。
さっきの人に報告に行くよ。
直ぐ近くにいてくれたよ。
お~!
2人で終わらせたね。
かなりの量の鉱石だったのに!
ヒョロヒョロなのに
頑張ったじゃない。
もう昼だけから
良かったら、2人に昼食を出すけど。
食べて行くかい?
今日は、
焼肉とスープで、、パンも出すよ。
食べる?
俺とアルロの体が「ビクッ」と伸びた!
肉だ~!
俺達も?
良いんですか?食べて?
焼肉もスープもパンも大好きなんです!
ね!アルロ!
はい!
食べてみたいです。
昼食。頂きます。
凄く嬉しいです!
アルロの返事も若干変?
肉と聞いて、テンパったな。
食堂に行くのかと思ったら
工房の中で食べるらしい。
石窯を据えて、さっきまで鉄を打つた
火の付いた鉱石を窯に投げ入れる。
鉄製の小さなスコップでね。
台座の付いた鉄板を窯に乗せて、、、
バーベキュー台の出来上がり?
作業が手馴れてるよ
流石のドワーフ工房だ。
切り分けられた、肉と野菜が横の台に置かれてる。
スープの入った深鍋も台の横に置かれてる。
パンも台の上に籠に入っていっぱいあるよ。
夢のような光景だ!
親方さんが俺達を見て言った!
「お前ら、好きなだけ食え」
ーーーーーーーーーーーーー
ダンケロさんは
この日
俺とアルロの
「食の神」
肉の神になったよ。
ーーーーーーーーーーーーー
頑張って、目一杯肉をご馳走になった。
塩と少しの胡椒で味付けした肉!
スープがね。シチューみたいでトロトロ!
野菜も一杯入ってて、初めて食べたよ!
最高でした。
美味しい御昼ご飯をご馳走になって。
そのまま工房で昼休みになった。
食事の道具を色々と片付けて
今はテーブルを前にしてる。
ダンケロさんは静かにハーブ茶を飲んでるよ!
俺達までハーブ茶を出されて飲んでいる。
口の中がスーとして、サッパリする。
これも美味しい。
そんな風に休んでいると。
ダンケロさんが話し始めた。
さっきの。
ギルドの依頼用紙に書いてあったが。
お前ら。
修道院の孤児達だろ?
聞きたい事が有るんだ。
なあ?
お前らは。
あの晩のミサで。
「女神様」の「祝福」に立ち会ったか?
どんなだったんだ。
もし知っているならで良いんだ。
俺に。その時の様子を教えてくれないか。
ダンケロ親方は俺達2人を見つめて
問いかけて来た。
はい!
あの晩のミサの時は。
2人ともあの場に居ましたよ。
良く頭に響く。
あの声も聴きましたよ。
「女神様」じゃ無くて
男の人の声だったけど!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この世界に「女神様」の代わりに
「祝福」を「5つ」降ろすって。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
頭に響いた声は
そんな風に聞こえました。
あとは、、、
何処からか出たのか?
綺麗な光が幾つも
クルクルと舞い降りて来て
フワッと消えて行きました。
ここの街主様の問いに答えたのかは
僕達にも分かりませんけど。
確かに「祝福」は。
この街に、なされましたよ。
ねえ!
アルロ。
はい僕も見ました。
キラキラと、
すごく綺麗でしたよ。
「5つ」降ろすって。
僕にも男の人の声が
頭の中で聞こえましたよ。
あの声が聞こえた人は
そんなに多く無かったのって。
随分後でケシーレさんが
話してました。
俺達名話を聞いてた。
ダンケロさんが立ち上がり
部屋の横の棚に向かって歩いて行く
そして何かを持ってきたよ。
そうか!
やっぱりな~~。
何かな。
何か有るかなとは思ってたが。
そうか。
俺は、、
年明けの日の朝から
この工房で
鋼鉄の打ち初めをしたんだがな。
その時に、、
そこの窯の温度がいい塩梅に
なって来た時に
何処からか声が聞こえたんだ!
女の声だったと思うんだが?
よく思い出せん!
あれが「女神様」だったのかもな。
声がな。
ーーーーーーーーーーーーーーー
今から3本打て!
ーーーーーーーーーーーーーーー
こんな風に。
言って来やがるんだ!
工房には。
俺。1人だけだった、、
何だか良く分らんかったけど
なぜか。
3本打つ。
そう思ってな。
夢中で鋼鉄の板をな
熱して打ったんだ!
そして、、
それが、
これだ。
手に持っていた物を。
俺とアルロの目の前に置いた。
布に包まれていたのは
3本の綺麗に設えられたナイフ。
おい!
お前!少し。
鑑定みたいなの出来ただろ?
俺は、いい出来だと思ってるが。
詳しく調べてはいない。
簡単で良いんだ。
お前が視てみろ、
ある程度なら視えるだろ。
案内してくれた弟子の人にそう言って
3本のナイフを渡した。
親方の出来の良いナイフですか。
それは楽しみだな~。
俺が視ても良いんですか?
どれどれ失礼します。
弟子の人が、1本づつ鞘から抜いて
ナイフをじっと視てる。
横にしたり、光に翳したりして
片面ずつクルクルと回して視てる。
1本目。
2本目。
3本目。と鞘から抜いて視て行く。
ふ~~!
親方。
青変わらず凄いです!
3本とも極上の類でしょうね。
3本とも趣が良いですね
それに。!
刃に、、微妙ですが。
「紋」が出てるじゃないですか。
何で鋼鉄でこうなるかな~~?
これおかしいでしょ~。
極上を超えてる、かもしれないですが。
俺には、そこまでは視えませんよ。
とんでもなく良い物。
そこは間違いないと思います。
以上です。
すげ~~!極上の上って、、、なに?
弟子さんの説明を聞き終わった親方が
首を傾げていた。
おかしいな?
お前ら2人だけなのか?
3人じゃないのかよ?
おかしいな?
3本と言われたはずだが?
俺は何となく「ラツェ」の事を思い出した。
良く祈る「女神様っ子」だからね。
あの~~?
もしかしたらですが。
俺達2人の他にも、今年「成人の儀」を済ませた
女の子が1人、孤児院に居るんですけど?
良く「女神様」に祈ってますよ?
その子じゃないかと、、、
3人目?
俺の「ラツェ」押し!
如何かな?
何だよ。
そうなのか?良かったぜ。
ん!?
1人が女の子なのか?、、、
ダンケロさんはナイフを見て
独り言を囁いてる。
それじゃ~1本は、、。
このままじゃ~。
設えを変えないと駄目だな。
いや!3本ともか?
これじゃあチョッと地味か?
道具の見た目。華や趣も重要だな。
よし!
2人。チョッと時間をくれ。
今度。3人で此処に来てくれないか。
3人揃った所でな。
このナイフを1本ずつお前らに遣るよ!
俺は。お前らで良いと思うから。
それが俺の願いだ!
見た目も、お前らに合うように変える。
1本は華やかにしてやるから。
俺にも「天の啓示」が降りたんだ!
俺は、もっとやれるぞって事だろ!
ダンケロさんは気が済んだのか。
ニヤッとした顔で俺達を見てるよ。
此処にも何かが「降りて来た」らしい。
俺とアルロは、今ダンケロさんの事を
どんな顔で見てるのだろうか?
口を開けた間抜けな顔だろうか?
良かったな。親方の道具を貰えて。
新年早々。お前らに幸運が寄って来たな!
あれは、いい出来のナイフだよ。
チョットした「お宝」だな。
弟子に人に肩を叩かれて。我に返ったよ。
俺は聞かずには居られなかった。
あの!
あの!
、、
ダンケロさん。
その話。
俺達。信じて良いんですか?
横のアルロを見たけど。
驚き過ぎて、、、停止中。
アルロの時が止まってるよ。
ああ。ほんとの事だ!
真実って奴さ。
今「女神様」に俺は誓うぜ!
これは。お前らの物になると。
さあ。
飯も食った!
お前らの仕事は終りだ!
これが今日のギルドに出す報告書だ。
今日は良く働いてくれたな。
1週間後に。
また依頼を出す。
お前らに向けてな。
指名で工房の仕事をしてもらう!
その時までに良い日を決めてくれ。
女の子と話して都合をつけろよ。
俺が3人に揃って渡したいからな!
今度は3人で此処に来い。
俺の我儘だ!
親方にそう言われた。
弟子の人に見送られて工房を後にした。
何だか良く分からないけど
今日の出来事。これも。
「女神様」の「祝福」の御業なのか。
今日の昼からの仕事は、、
2人とも出来そうにないね。
凄く疲れたよ。
シンとアルロの14歳。
初期の能力の話は
次に書きたいです。
何故か
ドワーフの親方が
先になりました。




