仮登録
1年先輩の差
俺とアルロは14歳になったので。
2人揃って冒険者ギルドに仮登録に来たんだけど。
冒険者達にビビッて入れずにいたんだけど。
いつの間にか「女神様」が現れてギルドに入れたよ。
今は!なんとか受付をしてもらってる。
アルロが受付のお姉さんと楽しそうにに話してる。
そう言えば、、アルロってさぁ。
宿屋の一人娘のリークさんとも仲が良いよね。
女性受けが良いのは何故?。
俺の目の前には、、強面のおじさんがいて対応中だよ。
でも優しいジャックさん。
「ドン」。
何だか重そうな道具?をジャックさんが。
え~と。頑丈に作られた木の箱?。
手荒に受付カウンターの上に置いたよ。
蓋を開けて何やら小物も準備してる。
そして、、余所見がちな俺に声が掛かる。
おい!シン。
いいか、これを見ろ!。
この石板の上にな、、お前のな。
左手の掌を押し付けろ!。
いいか!左手だぞ!。
木の箱の中には黒い石板?みたいのが1個。
ソレを覗き込むと。
緩衝用の綺麗な布に収められていたらしい。
被せられてた布は横に置かれてる。
コレがギルドの登録用の道具かな。
おいおい、早くしろよ!。
良いか。アルロも同じ事をさせるからな。
ほら!ほら!シンは左手を出せよ!。
ジャックさんが相変わらず。
めっちゃ、、命令口調なんですけど。
俺は立ち上がって、左手を伸ばし石板に触れた。
石板はヒンヤリと冷たかった。
お~~?、、!。
すげ~~~!石板が少し輝いたよ!。
よしよし!あとは。
こいつの上に、お前の血をな、少しで良いからな付けてみろ。
ジャックさんが、俺にそう言って。
石板の上に、小さな銅の丸い棒状の物を置いた。
俺に無言で、、細い針の様な物を突き出してくる。
ジャックさん、、今!それ何処から出しました?。
この少しの動作も、怖いんですけど、、俺。
シン!この針をつかっでな。
お前の指先を、、プチッと刺せばいいんだ!。
そしたらな、、血が出るだろ!。
それをな。
その金属に、チョンと付ければ御終いだ。
なっ、簡単だからよ。
早くやれやぁ!。
ひ~~!。
なんだか言いようと。その目が怖いんですけど。
針を手に取り。
あ~~左手の、ひとさし指にプチッと刺して。
体の末端は、、痛みが余計に感じるんじゃナカッタ?
あ~神経が一杯有るんだっけ?。痛い!。
ぐ~ぅ、、あ~血が出た!!。
痛くて。思わず目を瞑る。
おいおい、まったく!。
なんだよ。そんな痛そうな顔をするな!。
シン。こら!目を開けろよ。
ほら!指を金属に付けて。血の登録を済ませろ。
そうしないと、終わらないし、いつまでも登録出来ないぞ。
お前達は。
2人で冒険者になるんだろう?。
がはは!知っかりしろよな。
目の前で。ジャックさんに、おもいッきり笑われた。
あれ?。そんなに俺の様子が情けなかったの?。
横を見ると。
俺の姿を見てた。アルロと受付のお姉さんも苦笑いした。
揃ってそんな目で俺を見ないでよ。
うぅ~~。
俺は、、。
そっと血が出た指先で金属に触れたよ。
俺の血が。小さな金属棒の表面を滑る様に広がって行く。
銅の様な色合いの金属が、黒く染まって行った。
その、染まる様子を見ていたジャックさんが。
ほう。
、、とは。また。
そんな風に囁いたのが、、聞こえた様な?。
俺の登録はこれで終わりと。
真顔のジャックさんに言われたよ。
あとは。
その金属は、ギルドの登録の記録だからな!
無くすんじゃないぞ!
いいか!革袋とかに入れてな。
何時も身に付けておけ!
そう言われた!
素直に革袋とか持って無いですと言ったら。
しょうがね~な。
こっちで良さそうなのをヤルって。
2人分の紐の付いた革袋をもらえたよ。
ジャックさん良い人じゃん。
革袋をもらえて喜んでたけど、、
次はアルロの番だ!
俺と同じようにするんだけど、、、
あ~何故かな?
道具を横に移動して、、
お姉さんが対応してくれてる!
ほんの軽い差別かな、、これ。この対応!
これで良いのか~!冒険者ギルド~~!
アルロの登録はスムーズに済んだ。
お姉さんが優しく進めてたよ。
ちなみに、、アルロの金属の色は、、、
薄い金色!
シャンパンゴールドって感じの色だよ!
シャンパンゴールド!
すげ~~~綺麗なんだよ!
、、、これも俺との落差が凄い!
対応した受付のお姉さんもビックリしてたし。
横から覗いてた、、、おじさん。
ジャックさんも、目が大きく開かれてたよ。
俺の前から、、声が聞こえる、、、
ほぅ~?。
あ~~、おまえら、孤児院か。
はぁ?。
そんなジャックさんを見た後!
横のアルロと目が合うと、、、
お互いに右手を軽く上げてね
手を、、コチョコチョと動かして
良かったねって、2人で合図し合ったよ。
俺の親友のアルロは。良い奴だからね。
流石!「女神様」も分かってるらしい!
シャンパンゴールド!アルロに会ってる色だよ。
冒険者の仮登録も無事に終わり。
受付から離れて、2人でギルドの隅の壁にへばり付き。
力なく寄りかかっていると。
俺の肺から溜息とも吐かぬ息が出たよ。
あ~体育座りがしたい!。
うはぁ~~!。
そんな風に一休みして気を抜いていると、、。
あ~。こっちにジャックさんが歩いて来る。
そして俺達2人に声をかけた。
あ~。お前達2人ともだが。
金属棒の事を知らないだろう?
登録の時の、さっきの説明の時に言い忘れてた。
すまんな。
駄目じゃんジャックさん。
集中して。
自分の登録した金属棒を手で握ったり。
指で摘まんだりするとな、、。
ある程度の自分の能力とかが分かるんだよ。
頭の中に浮かぶ感じだな。
慣れるまで目を瞑ると良いと思う!。
まあ!お前達は仮登録だから。
チョッと見えるだけだけどよ。
あと自分のだけの金属棒しか見れないから。
まあ!いずれお前らが15歳になれば。
15歳になって「成人の儀」を済ませればな。
もっと良く見える様になるんだ!。
へぇ~。
あとで自分で確認しとけよ。
それだけだ。
ああ!お前ら。
何日かすれば、仕事始めるんだろ?。
うちのギルドに来て仕事探すんだろ?。
お前らに、、、。
一言アドバイスを言ってやる!。
何だろう?。
少しでも金が溜まったらな、、。
初めに、、、。
その服を、早めに何とかしろ。
いい仕事!。金になる仕事ってのはな。
お前らの、その身なりも大事になるんだから。
まあ、他人は見てるんだ!。
いろいろとな。
いつまでも孤児院の出だからって。
ガキだからって。
そんな言い訳は出来なくなるんだぞ。
まあ、、そんな所だな。
じゃあよ。
ジャックさんは、そう言ってカウンターの方に歩いて行った。
俺達は自分の着ている服を見たよ。
あ~。たしかに、、、
言われてもしょうがないね。
ちょっと、かなり、、ボロイもん。
アルロ!
ジャックさんのアドバイスはホントにそうだよね!。
俺達ってさ、、、見た目を気にして無かったよね。
あ~~そもそもさぁ。
そんなお金なんて、持って無かったもんね~。
これからは、働いて何とか少しづつでも改善だよ。
お金を貯めて、身綺麗にしないといけないんだね~。
新しいギルドの仕事は大変そうだけど。
これから。楽しみたいものね!。
ああ~!そうか!ラツェか!。
あ~ぁ!だからかぁ。
ラツェも、、
案外と早めに綺麗な洋服を着ていたのは。
薬屋のシディリーさんに。
色々と教えてもらってたのかな~?。
ラツェの奇麗な洋服は、、女の子の。
ただの、御洒落じゃなかったんだね~。
俺。今頃になって気付いたよ?。
ああ!。
確かにラツェは。身なりに気を付けてたかもね。
シン!僕らも少しづつ、やって行こうよ。
これから、1年あるんだよ!。
僕達は、去年はさ、、色々とやったでしょ。
コレからの仕事もね。
同じだよ。シン。
ラツェの学んだ社会経験だな。
1歳の違いは大きいって事だ。アドバンテージだね。
今の自分の能力とか言われてもなぁ。
あ~!言われると気になるよね。
金属棒。
ギルド彰かぁ。
自分の能力。
漢の声が告げた世界のありよう。
今になって。
あの時を思い出す。
転生で1回。
14歳でもダイスは振られるのか。




