旧友
「女神様」の威光。
相変わらずの孤児院生活です。
俺達は10月になっても腹ペコです。
此処のところは
何もイベント無く平穏だね。
午前中に市場の掃除と店の手伝い。
店の届け物の配達が中心で働いてるよ。
あと、買い物客の荷物持ちもするんだよ!
いっぱい買ってくれた人へのサービスかな。
その時に、偶に優しいお客さんだと
御駄賃とか、小遣いを貰えたりするんだよね。
銅貨1枚でも、屋台の串焼きが1本食べれるからね。
俺達みたいな腹ペコ孤児には最高なんだ。
だから、まだ働きに来れない。ジュニューやチビにも
偶にだけど、串焼きを買って帰る事も出来るんだ!
まあ、、10日に1回。3本買えるかなって感じだけどもさ。
無いよりは。有った方が良いもんね。
めちゃ喜ぶし!
午後も相変わらずの宿屋の仕事。
孤児院で勉強と、裏の畑の野菜仕事かな。
修道院と孤児院の敷地の草取りも大変なんだ。
雑草はほっておくと、、ヤバいよ。
そして今日の午後は。
いつもの宿屋の手伝いなんだよ。
ジャスリーさん今日は。
今日も宜しくお願いします。
おう!今日も頼むぜ!
お前ら用にも、これを作ってやったからな!
ウチの店のな。揃いの前掛けって奴だな。
良い感じで出来てるだろ?
あそこに置いてあるから準備しろ!
ジャスリーさんが親指で、後ろをクイクイと指す。
カウンターの横に、作り付けの棚が有る所だろうか?
藍色の布の前掛けが、畳んで置いてある。
ヤッタね!お揃いのボーイファッション?かな。
イヤイヤ!ただの丁稚小僧だな。
お~~!お揃いなんて!カッコイイ!
有難うございます。ジャスリーさん。
ああ。ソレだソレ!
前掛けをつけて仕事してくれ。
今、ここのフロアーは客が多いから
目立つゴミだけ拾ってくれ。
後は、、。
3階の部屋だが。
2つの4人部屋は客が入ってるから、今日はそのままで良い。
2つの1人部屋は空いたから、手を入れてくれ。
2階は、、1人部屋の4部屋だけで
やってくれて良い。
一番奥の部屋は、、、今も客が居るだろうから
そこもいいかな。
2部屋は後は客が入ってるからな。そこも良いかな。
言い付ける事は。そんなかな。
仕事中に客に何か頼まれたら、俺に言ってこい。
いつもと一緒だからな、勝手にはするなよ。
お前らの為だからな。
まあ、そんな所か。
ジャスリーさん、なんだか今日は大変そうだな。
はい!気を付けて仕事します。
アルロ!ケリ!始めようか。
今日は、お客が一杯部屋に残ってて仕事が少ないな。
まあ楽なんで良いけど。客室の掃除にベットの準備を熟す。
3人で手分けしていけば、、、早い早い!
廊下と階段を、お客の邪魔にならない様に掃き掃除していく。
階段の掃除も1階まで済ませて、ゴミ取りの道具に掃き込む。
集めたゴミを宿裏のゴミ箱に捨てに行くよ。
使った道具を片付けて、、、
まあ、これで終わりかな。
ジャスリーさん終わりましたよ。
ジャスリーさんはフロアーのテーブルで男の人と話してる。
ああっ!あの人が。宿に泊まってる知り合いの人かな。
おお!、、
おお!。お前らお疲れ!
あ~~!
3人共!、、コッチに来てくれ。
ここに3人共座れ!早く来い!
聞きたい事が有るんだ、、、
こいつがな!
知り合いの人を見て、俺達にそう声をかけた。
知り合いの人も俺達を見てる。
何の話だろうか?
ジャスリーさんの勢いに。
俺達3人は、すぐには動けなかった。
早く来いよ!旨いもん食わしてやるから!
旨い食い物だぞ!
びくびくしながら。なんとか、3人で言われた席に座った。
まあ、話の前に食い物か?
なにが食いたい?、シン! 言えよ。
やっぱり、、肉か?肉だろ~!お前ら!
今日も良い肉がウチに入ってるんだ。
アルロ~! ケリオサ~!
2種類の肉なんて、、どうだ!おい!
焼肉と野菜の盛り合わせ!
俺も良く食ってるが。旨いぞ!
決まりだな。
俺達3人は何にも言えなかった!
ただ頷いてた。
ジャスリーさんは、、ニヤッ!と笑ってた。
ロジーヤ!
焼肉と野菜の盛り合わせと。あと適当に。
何か食い物をこいつら!3人に出してやってくれ!
あ~~!!!。2種類の肉入りで作ってやってくれ!
ロジーヤ頼む!
そんな風に奥さんに声をかけたけど。
すぐに。
ジャスリーさんが雰囲気を変えて
俺達を見てる。
大事な話があるんだ!
旨い肉料理を食う前に。
こいつの事を紹介だけしとくか。
こいつは。俺がガキの時からの相棒みたいなやつだな。
長い付き合いの。幼馴染の一人か。
信じられんが。今は王都にある王都院の、、
下の下の、かなり下の!
そのまた下の
下の部署で仕事を貰ってるらしい。
一応。国の役人らしいが?
聞いた話は、嘘みたいだけどな。
俺は!こいつを信じてやることにした。
旧友だからな。
だろ?
ワイス!
ジャスリーさんの、旧友の人は。ワイスさんと言うらしい。
お前!言い過ぎだぞ!
・・ヌケジャスリー!
あ~~!もう一度。言ってやる!
・・ヌケジャスリー!
なあ?ロジーヤ!
こいつは今も変わらず・・ヌケジャスリー!なんだろ?
中みが入ってないカボチャ頭のあれだろ、、。
まったく!久しぶりに帰って来ても、、
酷いもんだ!なにが旧友だ!
俺は!ホントに王都院の役人だ!
れっきとした、王都院の役人様だぞ!
見ろ!コレを!
ワイスさんは
着ている服の胸元を開き、革紐を軽く引いて見せる。
革紐の先には細長い金属の板が見えた。
銅色とも金色とも違う色の様に見えるけど。
あれが身分証明を出来る物なのか知らないから、、
気になるので、ジャスリーさんを見た!
ジャスリーさんは、、
うさん臭そうに金属の板を見てる。
目を細めてみてたけど、、、
驚愕の表情で、左手で口を押えた。
マジか!、、オマッ!
ワイスさんと金属の板をキョロキョロと、、
ジャスリーさんの目が泳いでるよ。
ワイス!おまえ!
本当に、、、役人になれたのか?
ワイスがジャスリーさんの言い方が気に入らないようだ。
当たり前だ!
信じろよ!・・・バ・ジャスリー!
俺は今!王都院の仕事をしてるんだ!。
普段から。アッチコッチの街に行ってな
色々と調査してんだよ!調査!
昨年の年越しミサで「女神様」の「祝福」が降りただろ!
国の大事件だ!分かってるだろ!
アレの調査なんだ!、、
・・・ヌケジャスリー!
・・・カジャスリー!
今年の初めから。俺みたいなのがな!
何人も調査で動いてる。
この国中を聞いて歩いてるんだよ!
俺が、ここの街が故郷だから。
選ばれて、ここに来たんだよ!
なあ!ジャスリー。
教えてくれ。
この街だろ?
ジャーレンタの街なんだろ!
あの声を聴いた人が、
何人もいるんだろう?
他の街や村のミサでも。
数人が、あの声を聴いてるんだ。
今まで調べて、此処に辿り着いた。
教えてくれジャスリー。
ロジーヌ修道院が。
一番の発現地だって聞いてる!
此処に。
この街に。
幾つ。
「女神様」の「祝福」が降りたんだ。
ワイズさんの仕事って
「あの声」の事なのか。
あれは「女神様」の声じゃなく
「男」の声だったけど。
代役の「祝福」だって分かってるのかな。
横で座ってる、アルロとケリオサが震えてるよ。
見ると顔色も青くじゃなく白く見える。
血の気が引いてるてのだよね。
ここで何て言えばいいんだろうか。
そおだ!ケシーレさんとリビエさんに相談しないと。
ここは適当に受け答えしていけば良いよね。
ジャスリーさんが良く言ってたな。
お前ら厄介ごとには気負付けろって。
お前らを騙そうって奴らが、そのうちに来るぞって。
今が。その時なのかな?
ジャスリーさんが上手く話を振ってくれた。
ワイズ!
お前!順番が違うだろう。
先に修道院で聞いてこいよ。
それが普通だろう?
みろよ!お前の剣幕に、ビビッてるぞ。
こいつらはガキだからな。
俺達よりも
あの修道女さん達二人は、声を聞いてるだろうよ。
女神様に仕える人だからな。
あの時の事を聞けるはずさ。だろうワイズ!
お前!この街で良く調べたのか?
ワイズ!
俺は。相談には乗るけどよ。
ワイズさんは
ジャスリーさんの顔を恨めしそうに見た。
しばらく無言だったけど。
おもむろに椅子から立ち上った。
ああそうだな!
順番か、、、
そうか!
お前ら!ビビらせた悪かったな。
今度は俺が!
お前らに此処の旨い料理を食わせてやる!
必ずだ!
だから。
また今度頼むわ!
ジャスリー!
悪いが。何日かしたら話を聞かせてくれ。
ワイズさんは階段を上がって行く。
おし!
今の話は終わりだな!
ロジーヤの旨い料理がすぐ来るからな。
シン!アルロ!ケリオサ!
しっかり食っていけよ。
肉だ!
今までで最高の料理だぞ!
あはは!
あ~~~~!
ロジーヤさんの、、最高な肉料理が、、
3人で楽しかったのに。
なんか。メンド臭そうな予感。
ワイズさん。
一年かかって降り掛かるモノ。




