雨音
古い修道院の建物、孤児院も古い。
寒暖や風雨には滅法弱い。
季節は進み、今は6月
アルロと俺の二人は農作業にも大分慣れたよ。
朝目を覚まして起きると、ザーッと言う感じで雨音が聞こえる。
ああ!また雨か!今月はホントに雨が多くて仕事に行けないよ
孤児院の中で勉強と掃除ばかりだと、がっかりだよ。
藁のベッドから出るのが嫌になるよね。
俺達の寝起きしている孤児院の建物は、、
まあ!造りがあんまり良くないから。
外の音は中に良く聞こえて来るんだ。
寒かった冬が終わって良かったけどさ。
3月頃から暖かくなって、外に行く仕事は順調だった。
宿屋でも農家でも少しだけど食べ物が貰えるんだよ
空腹になって悲しいい、ソンな事が減る!、それが嬉しいんだ
4月、、、になっても花の季節にはならなかったよ。
この世界には園芸用の草花なんか無いんだ!桜も無い!
5月には農家のワヒットさんの所の手伝いが大忙しだったよ。
ワヒットさんの隣の農家の手伝いも急に頼まれて仕事したよ。
その農家の手伝いで人参を分けても貰えてさ、
孤児院のスープの具材になったよ。
人参だらけだったスープは匂いがきつかったけど、
味は甘くて美味しかったよ
そして今朝の雨。
6月は、、、雨の季節なんだ。
この雨音だと外は結構強く降りつけてるようだ。
本来なら孤児院裏の井戸に行って顔を洗ったりするんだけど。
今朝は厳しそうだ。チビ達もいるし、雨具もロクなのが無いから
どうするかな。
藁のベッドで寝ていた皆も起きだして天井を見上げてる。
ラッエがチビ2人を起こして雨音を聞かせてるね。
外の雨だけど、結構降ってるようだね。
これだと顔を洗いに行くだけで
服とかがビッショリになっちゃうから。
俺の「清浄」を皆に強めに掛けてさ。
朝の準備を、それで終わりにしない?
どうかな?。
俺はそんな提案をすると、ラッエが。
シンそれでお願い!強めで「清浄」をしてくれるの?。
シンの魔法は良く効くから嬉しいな!ヤッタ~~!。
みんな!シンの周りに行くよ!
あなた達2人も行くよ。ホラホラ立って!
ラッエがチビ2人と俺の前に来た。
シンそ強めでね。この子達も一緒にね。
みんなも早くおいでよ!
シンに綺麗にしてもらおうよ!
みんなが俺の周りに集まって来た。
よ~し!
ラッエから順番に行くよ。
ラッエ、チビ二人と手を繋いでくれるかい。
俺は左右手でにチビ2人の手を繋げると「清浄」とイメージする。
3人とも体中綺麗になれ!と考える。
「清浄」はさ、対象に触れているのが効果が高いんだ。
時間はあっという間に終わるんだよ
効果でさ光ったりしないんだけどね、、、
俺の生活魔法だけどさ。自分でもすげ~~って思うくらいだ。
「灯りの魔法」も「清浄の魔法」も俺のは良く効くんだ。
まあ俺には色んなイメージが頭に描けるからだけどさ、、、
「口火の魔法」は、、、只の青白い炎だけさ。
「浄水の魔法」は出せる量がちょっと多くて便利で飲むと旨い。
4つの生活魔法、、、最高です。
皆に魔法を掛け終えて俺達は食堂に行く。
先頭を歩くラッエはご機嫌の様子、チビもニコニコかな。
院の女子には喜ばれたよ。
そんなで、、、朝食。
いつものパンと野菜が一杯のスープで腹ごしらえだ。
ここ最近のスープは旨い!肉は、、、殆どは言って無いけどね。
野菜様様だ。
パンは、、、気持ち、、柔らかくなったかな?、、
これ変わったかな?そんな食感で歯応えが、、
噛み応えが変わったかな?位だね。
まあ良い方に変化があった事が良いよね。
朝食を食べ終わった頃にケシーレさんが俺達に話しかける。
今日は、お天気が酷い雨だから、昼までここで勉強をしましょう。
悪いんだけど3、人には仕事を頼みたいのよ。
ラッエには、礼拝堂の祭壇周りの様子と上の屋根の雨漏りね。
アルロとシンにも礼拝堂の様子を見てきてほしいの。
このまま雨が強く降って行くと屋根からの雨漏りとかね困るでしょ
横の窓枠から雨水が入らないか、とかが、、ね心配なのよ。
しばらくの間礼拝堂の様子を、年上の3人で見てきてほしいの。
礼拝堂の入口の外も心配なの、様子をしっかり確認してきてね。
ケシーレさんが俺達3人にお願いを言う。
確かにこの雨の降り方だと建物に被害が出てもおかしく無いかな。
ワヒットさん所の畑も心配になるよ、、、野菜が良く育ってるから。
思わず俺が答えてしまった。
分かりましたケシーレさん。3人で行ってきます。
多分雨漏りは大丈夫と思いますけど、
外は雨水が相当溜まってて池か川みたいになってて
凄い事になってるかもしれないですね。
そんな事を言って椅子から立ち上がる。
行こうか!アルロ、ラッエ。
廊下を歩きながら3人でお喋りだ。
ラッエ、そんなにさっきの「清浄」の魔法が効いたの?
他のとあんまり変わらないと思うんだけど?
え~~!何言ってるのよ、シン!
あなたの魔法は良く効くのよ~~
「清浄の魔法」なんて夢の様なのに!
あなた!自分で魔法の効きが分からないの?
この髪を見て分からないのかな~?、、サラサラなのよ。
この肌だって~~、、、、!
とにかく!シンの魔法は良く効くのよ!
これなら私達女の子全員に、、
毎日かけてくれても良いのよ!
ね!シン!
ふふ!着てる服も綺麗になるし最高なんだから!
ヤバい!ラッエが壊れてる。
まあ確かに綺麗になってるのは分るよ。
俺達の前に立ち止まってそんなに睨むなよ。
毎日はとても無理だからね!ラッエ!
仕事もあるからね出来るだけだよ、、、
ラッエ!君も出来るでしょ?
だから~!私達よりね。
シン魔法の方が良いのよ!
効くの!分かって!
そんな話をしながら俺達3人は礼拝堂についた。
外の雨はひどい降りだけど屋根も窓も雨漏りはしていなかった。
礼拝堂の入口、両開きのドアを片方だけ少し開いて外の様子を観る。
修道院の入口門に向かう石畳は、門近くが少し水没している様だが。
まあ、これ位なら大事にはならないんじゃないかな。
雨がこの後も、数日も降り続くなんて事、、無いよね。
暫く礼拝堂の椅子に座って様子を見てたけど、、、大丈夫でしょ。
ねえ!アルロ、ラッエ。
雨は降ってるけど、もう良いんじゃない?
雨漏りとかさ、大丈ぷ分なんじゃないかな!。
2人はどう思う。
ええ!もう良いかも知れないわ。
ああ俺も良いと思うよシン!
じゃあ皆の所に戻ろうよ。
皆の所へ3人で戻って、、、勉強だ。
この後、暫くすると雨は上がり雲が切れて行く。
6月の雨は、降ったり止んだりを繰り返して治まっていく。
夏に向かって季節が進む。
前世の夏の思い出。海、熱い砂浜。




