街の外の仕事場へ
新しい仕事だ。
街壁の外へ行くのは、初めてだよ。
新しい仕事が有ると言われて、南広場市へアルロと二人で向かう。
孤児院からの途中、アルロと仕事について話しながら歩いて行く。
アルロォ~!イーガスさんの仕事って何かな~?
なんだと思う?。
簡単でさ。楽なら良いんだけどなぁ~!
街中のお店にお肉の配達とかかなぁ~?
美味しいお肉料理を作ってるお店とか、、屋台とか。
何か食べさせて貰えたりしないかなぁ~、、串焼きとかぁ~ぁ、、。
楽でさぁ。美味しい仕事が、、、
無いかぁ~~。
シンってば。
また夢を見てるのかい?
俺はさ、寒かったりさ冷たい仕事は嫌だよね。
、、、
どんな仕事をさせて貰えるのかさチョッと心配だよ。
あっ~~~!
シンのせいで心配になって来たよ!
そんな話をしながらだからか。
いつの間にかイーガスさんの肉屋が見えて来た。
店の前でイーガスさんに挨拶をするよ。
イーガスさん今日は。仕事の話を聞きに来ました。
よろしくお願いします。
オウッ!
二人共来てくれたか。無事に13歳になれて良かったな。
行き成りそんな事を言われたよ。確かにね疫病で大変だったもんね
それでだ!
二人に頼みたい仕事の事なんだがなぁ。
街のすぐ外の農家の手伝いなんだ!
ガキの頃からの知り合いの奴でな
作った野菜が市場に運びきれないんだとよ。
畑の遣り繰りを、自分で考えて作ったろうによう。
可笑しいだろ。
よくよく聞いてみたらなぁ、奴が言うにはよ
陽気が良い日が続いたのと
いい塩梅にお湿りが有って事だがよ
俺の畑の力が発揮されたからだ!とか言いやがるんだ!
奴は馬鹿だからな!
それがよぉ!
女神様の思し召しだって事が。解ってねえんだ!
だから俺が頼むのは、、、
今回の仕事はよ。
その馬鹿野郎の手伝いをしてやってくれね~かって事よ。
俺とアルロは何だか変な話を聞きながら半笑いでいたよ。
農家の手伝いか~~~~!
どんな野菜なんだろうかな、、
なんて俺か悩んでいると。
お前ら!どうよ!やってくれるか?
一応俺のガキの頃からのダチだ、真面目な農家の主をしてる奴だからよ。
仕事に間違いは無いはずだ。
ン~~~。
たぶん4~5日で終わると思うが、詳しい事はよ。
仕事先の農家の主人に聞いてくれ。
どうだ二人とも、返事は?
俺とアルロの二人ともやる気ではいたからね。
イーガスさんの知り合いの人なら、なお安心して向かえるし。
返事は決まってるよ。
この仕事を引き受けます。
え~~っと。
2人で頑張ります、よろしくお願いします。
アルロと二人でイーガスさんに返事をしたよ。
イーガスさんは手を叩いて。ウハハッ!と言う感じで笑った。
よし二人とも、簡単な地図を書いてやるからな
それを見ながら奴の家に訪ねてくれよ。
ああ!そうだった。奴の名前はよ。
ワヒットだ。
農家のワヒットさんね。
まだ午前の早い時間だから、昼前にはワヒットさん家に行けるね。
そのまま向こうで話を聞いて、、、一仕事する?のかな。一度
あああ~~昼ごはん、、、、。
まあ。
向こうに行けば、何かもらえるかもしれないし。
話を聞いて、昼に一度孤児院に帰ってから、午後も行く?感じ?。
今日の行動に悩むね。
そんな妄想を俺がしていると、、、
アルロがイーガスさんと離れた所で話してた。
シン!こっちに来てよ。
いまイーガスさんに地図を貰って説明してもらったんだ。
ワヒットさんの家は近いよ。
此処の市場の先の南門から出て歩いて行けば、すぐ近くみたいだよ。
今から行こうと思うけど良いかな?
良いよ。まだ早い時間だしね。
向こうでワヒットさんの話を聞いてみてからだね。
俺もアルロが持ってる地図をのぞきこんだ。
地図を見た感じだと、南門を出て道を少し行くと
右に折れる脇道が有り、そこを曲がってすぐ先に。
目的地の目印が書いてある。
矢印で「ワヒット」
地図から顔を上げ、南門の方を見てアルロに言う。
あ~~~!どんな仕事かな~。
アルロよし!行こうよ。
さて行きますか!なんて二人で話してるとイーガスさんに呼び止められた。
二人とも!ほら!
これやるからよ!市場で何か食っていけ。
イーガスさんが右手の握った手を此方に向けた。
それを見た俺は両掌を上に向けて差し出した。
チャリ~ン!
チャリ~ン!
シャリ~ン!
チャリ~ン!
銅貨が数枚掌に落ちた。
腹が減っちぁ!良い仕事は出来ねえだろうからな。
チョットだが、今日は俺の奢りだ。
おお!イーガスさん!。
俺とアルロは頷いたよ、そして。
片膝を付き右手は胸に、左手は腰の後ろに。
イーガスさん!有難う御座います。
イーガスさんにも、笑ったよ!ウケけた!
でも、二人の頭を軽くはたいてくれた。
馬鹿が!早く何か食って、奴の手伝いに行ってくれ。
それが今のお前らの仕事だぞ。
ほら!早くいけ!
そんな事を言いながら、イーガスさんまだ笑ってるよ。
じゃあ。行ってきますイーガスさん。
行ってきます。
俺達は振り向き南門の方に急ぎ足で進みだす。
いや~イーガスさん!子供に優しい良い人だ!
少し店から離れてから振り返った時には姿は見えなかった。
自分の仕事に戻ったんだろう。
御駄賃まで貰ってしまったからには頑張らねば!
あははっ!出来る範囲でだけどね、、気持ちだけね。
アルロ~!御駄賃貰っちゃたね。
どうする?仕事先に行く前にさ、言われた通りに何か食べて行く?
俺はさ!串焼きかな?。
アルロは?。
横にいるアルロに聞いてみたよ。
アハハ~ッ!
シン、もう御腹が空いてるの?ああ良いけどさ。
確かに何食べて行くか悩むよね。串焼きも種類が有るみたいだし。
外で何か食べるなんて今回で、、、3回目?だっけ。あれ?2回目かな。
スープのお店もあったはずだよ、宿屋で食べた様なパンの店も有ったんじゃない。
あ~~~屋台が見えて来たよ、あっ、、でも串焼き屋さんしかやってない?
南市場だと時間が早いのかな?シン。
シン!これじゃー串焼き屋さんに決まりだね。
あ~~っ!幾つかの屋台のお店がまだ準備中だ。
これは確かに串焼きに決まりだね。そしてお店の前に辿り着いた二人。
何のお肉がたべれるかな~?楽しみだ。
前の時はどれを食べたんだっけ、、、分からん。思い出せないよ。
貰ったお金で一人串焼きを2本食べたいから、、、
店のおじさんに聞こう。貰ったお金で食べられるものを。
ここは俺が聴いちゃうよ。
すみません。
串焼きの値段を教えてください。一番安いのはどれですか?
オウッ!、、なんだ。値段か?
一串にな、肉が3個刺さってるぞ。肉の種類は5種類あるぞ。
味付けはどれも同じだな。それで、、値段か?。
一番安くてお得なのは、、こいつだ!1本1銅貨だぞ!
え~~となあ。2番根はな、、これだ1本1銅貨と半銅貨だぞ。
どれにする?
旨いぞ!。
御駄賃に貰えたのは。5銅貨だったから。2本ずつで良いよね。
アルロ、2種類を2本ずつ買って食べようよ、2種類だよ。
どうかな、それとも同じの4本にして1銅貨を残しておく?。
ああ~っ女神様!(俺はしゃがみ込んじゃった)
ん~~、お金を少しでも残した方がいいかな~?。
シン、1銅貨残そうよ。同じのを2本ずつで良いじゃないかな。
めったに食べれない串焼きだけど、
今はさ1銅貨残そう、それが良いと俺は思うよ、
何かの時に少しでもお金が有ればさ役に立つと思うし。
シンはどう思う?。
やばい。アルロすげ~な。しゃがんだままアルロを見上げる。
銅貨残すのか~、まあ良いか。
アルロそれで行こう。4本同じので頼もう。良いかい頼んじゃうよ?。
やっぱりアルロが頼んで、お願い。
そして俺達は串焼きを両手に持って、屋台の近くの座れる所にいる。
既に1本目の肉は食べちゃった所だ。モグモグタイムですよ。
焼きたての肉!うま~~い。幸せだ!く~ぅ~旨いよ。
そして2本目の肉も、、もう無い。終わった!。
幸運はあっという間に手から零れてしまう、、、
次はいつ食べれるかな~ぁ。
シン行こう。
南門を出てすぐだからさ、行くよ。ほら立って。
仕事だよ!御駄賃貰ったんだからね、ほらほら!
はい、行きますよ。アルロ。
農家の仕事さ、きつく無いと良いね。
ははっ、シン。まだそんな事を言ってるの?
俺たち二人は南門に向かって歩き出した。
大通りを歩いて行けば、案外と門までも早くついてしまった。
これは、、、串焼きパワーに違いないよね。
そして。歩きながら俺は見上げたよ、
大きい門だなって、俺がまだ子供って事も有るかな?
城壁に空いた門。左右には兵隊みたいな人が何人かいるけど
あっけなく大きな門を抜けて行く。
チェック無しさ良いのかなあと思っちゃう。
街の外に簡単に出れるんだなって思ったよ。
入る事も簡単みたいだよ。
小石を蹴りながら道を二人で歩く。
擦れ違う人も多いし。色々と追い抜かれる。
気を抜いて道を歩くと凄く危ないね。何処でも。
シン。このまま少し道なりに歩いて行くよ。
街から近い農家でよかったよ
外に出るの二人とも初めてでしょ。
なんかさ、俺。胸がさドキドキするんだ。
街の外が、怖いくらに今思うよ
周りに景色が、何か怖く感じる!
道に人もいるし2人だけじゃ無いんだけどさ。
横なんて、ただの草地なのにさ。
さっきから変な感じなんだ。
シンは平気かい?。
え~~!どうかな?俺はそんなには怖いって事は無いよ。
確かにね、街壁の外に出たのは初めてだけど、、、
たぶん大丈分じゃないかな。行き交う人も多いし。
こんな所じゃ何にも起きないよ。アルロ。
壁の外にも、沢山の農家の人とかが住んでるし平気でしょ。
農家以外の人も外に住んでるんじゃないの。
あっ!畑も見えて来たよ、ほらあそこに家もみえてきたし。
そう言って俺が手で方向を指して、アルロに話しかける。
アルロってば、うつ向き気味だったから余計に
自分の周りが見えて無かったんだろうな。
顔を上げて周りを観察するアルロだよ
ホントだねシン。この辺は安全なんだろうけどさ。
やっぱり初めての場所だからかな。
道の右側の一件目の農家ってイーガスさんに教えてもらったんだ。
シンがさっき指した家が目的地の農家さんだね。
あと少し進んだら、右に折れる道が有って。そこが入口らしいくて。
奥の方にワヒットさん家が在るみたいだよ。
しばらく進むと右に行く道があった。ここを右折だね。
二人で進む先には遠くに家が見えてるから、アルロもさもう安心だ。
アルロが急ぎ足になってるよ、、、
そして無事ワヒットさん家に到着出来ました。
半端な時間だけど家の人、いてくれると良いな?
アルロが家の入口らしい所で声をかける。
すみませ~ん! こんにちは~!
どなたかいませんか~。
イーガスさんに頼まれて仕事の手伝いに来た者なんですけど。
ワヒットさん居ませんか。すいませ~ん。
う~~ん。返事がないよ。
家族皆で畑に行ってしまって留守なのかな?こまったね。
アルロが粘って声をかけてる。
お~~~い。ワヒットさん居ませんか~ぁ。
すみませ~ん!
何か声が聞こえるような、、、何処からだ?
アルロなんか声が聞こえない?
なんか聞こえる気がするよ?
俺はキョロキョロと家の周りの畑の奥の方を見てみる、、、
あっ、、、
畑の中の遠くの方に人影が見えた。
アルロあっち見てよ。
人が居るよね、声が聞こえるし、多分ワヒットさんなんじゃない!
俺は左手を伸ばして指で方向を示した。
ワヒットさんの家の左の畑の、、、遠くに人影がある?
俺達は此処で待ってれば良いよね。
どんな仕事なんだろうか。
ワヒットさん何の野菜作ってるんだろうか。




