きらめく対話
「あう~~~~、この御菓子。甘くてとっても美味しいです」
「はぁ~~。焼いた御菓子だから香ばしくて良い香りだし、、甘いし」
「なんで。なんでこんなに甘く作れるんですか?いつまでも口の中が甘くて「ずーっと」幸せですよ」
「それに、、、、この御茶も、、、果物みたいな良い香りがしてるんですけど、、、」
「御茶も甘く無いのに果物の良い香りがして、何だか凄いです」
俺は、薬屋さんの売り場スペースに置かれてる椅子に腰掛け、テーブルを挟んで店主のシディリーさんと2人で御茶をしているよ。
さらに手作り御菓子まで食べさせて貰っているんだよ、ああ夢の様で幸せだ。
まだ、目の前のテーブルの上には、木皿の上に乗った1個の甘くて美味しい御菓子が鎮座しているよ
さあ2個目を食べようとしたけど、、、
食べなかった、、、、
いや、、食べれなかった。
俺は、みんなの事を思い出して、2個目の御菓子を食べるのを躊躇していたんだ。
1個しか残って無いけど、この御菓子を孤児院に持って帰れないだろうかと、考え付いてしまったからだ。
みんなに御土産として持って帰って、少しでもこの甘いお菓子の味を体験させてあげたい
それに、、俺だけが食べたなんて言うと御菓子で、、嫉妬問題になりそうで怖いよね、
みんながこの甘くて美味しい御菓子を食べられたらと思うとね、、、ああ食べれないよ
ああっ、、、女の子4人がさ食べれば間違いなく、、、美味しさに感動して泣くよね!ああ絶対に泣く!
「シン。まだ1つ残ってるじゃない。しっかりと食べなさいよ」
「ふふふ、、、シンがね美味しいって言ってくれて嬉しかったのよ」
「あら、カップの御茶が空っぽだったのね、、、」
「御茶もまだまだティーポッドに入ってるからね、お代わりを持って来てあげるね待ってて」
「御菓子もまだ有るから食べる?、、」
手の止まっている俺を見て、対面に座り矢継ぎ早に声を掛けてくれるシディリーさんは席を立って
ティーポッドを店の奥に取りに行ったよ。
「んぅ~!、、ああどうしたら良いのか、、
俺は椅子に座ったまま下を向いて思案する、臍の前で右手の手首を左手できつく確り掴んでさ
御菓子持って帰りたいけど、、、そんな事を御願いして言ったら失礼になっちゃうかな、、、困ったな。
ここは、、、シディリーさんに勇気を出して聞いてみようかな、聞くしかないよね
残してある御菓子を孤児院に持って帰って良いですかと。
ティーポッドを持ってシディリーさんが奥から帰って来た。手に持ってるティーポッドは丸みのある透明なガラス製でとても綺麗な物だ、ガラスの器の中で琥珀色の御茶もが、より一層美味しそうに見ているよ
シディリーさんが持ってる綺麗なティーポッドから俺のカップに御茶が注がれていく。
「はい。シン御茶も新しく入ったからね。残りの御菓子を食べようね」
「さっきも言ったけど御菓子はまだあるからね、遠慮しないで食べて」
「さあ、一緒に食べようね」
自分の席に座ったシディリーさんも御菓子を食べ始めた、うん!間違いなく美味しそうだよね
俺は1個残した御菓子には手を付けずに、カップに入れてもらったお茶をゆっくりと飲んでいた
困ったな、、、タイミングをみて上手く言い出さないと、、、、
「あの、、、え~と」
「あの、、シディリーさんにお願いがあるんですけど」
「なになにいきなり。シン、お願いってなに?」
「ああ、、、、金物やお鍋とかは当分追加で購入とかしないよ?」
「えっ!!、、、ああ、金物屋さんの、、、お鍋とかの話じゃ無いです、、」
「あの~~ですね。お願いは、、甘い御菓子の事なんですよ」
「えっ!」
「ええっ~~~!」
「御菓子の話???、、御菓子の事ってなに?」
「私の御菓子がなんなの、、気になるから言ってよ、、」
「シン、、、さっきは美味しいって、、、」
「まさか、、、、、、!」
「やっぱり、、、甘すぎて美味しく無いとか?、、、」
「不味いとか、美味しくないとかかな?、、」
「くぅ~~~~、、、甘いのは絶対正義だと思ってるけど、、」
「私の甘い正義がぁ~~、、正義の甘味がぁ~~~~」
「う~~~!赤羽蜜蜂の蜂蜜とボースの木の樹液を煮詰めて甘味をブレンドしたのに、、」
「美味しいいハズなのに」
「砂糖じゃない甘味で作ったけど駄目なの?、、、フッ!、フ~ゥ」
「クックックッ~~!。不味かったのかなぁ~~~~???」
「シン、、、本当の事を、、さあ言ってごらんよ!」
「え!、、」
ウァ~~~~!シディリーさん何言ってんのさ違うからね
なんだこれ。ヤバい!ヤバいよ、、、、シディリーさんが俺を見て変な笑顔になってるよ
途中から知らない事を小声になって言ってたけど、よく聞き取れなかったよ、、怒ってないよね
なんか悪い方向に物凄く盛大に勘違いしてるよね、、シディリーさん
あんなに御菓子も御茶も美味しいって言ったのにさ、、、
俺は、不味いなんて一言も言って無いのにさぁ、、、、怖いよ
「うわぁ~~~!落ち着いて下さいよ、誤解しないで!」
「御菓子も御茶も不味いなんて一言も言って無いですよ」
「シディリーさん。全然逆なんですよ」
「ええと。この御菓子が凄く美味しかったので、貰って行っても良いですか?持ち帰っても良いですか」
「シディリーさんの美味しい手作り御菓子を孤児院の仲間に少しでも味見をさせたくて、、、」
「残してある1個を持って帰りたいと言う、、、お願いなんですけど」
「持って帰っても良いですか。シディリーさん?」
「みんなが<正義の甘味>を喜ぶと思うので、お願いします」
「え??、、」
「なに。なに。シン」
「お、、美味しい?」
「ん?、、、孤児院に持ち帰りたいの?」
「やっぱり御菓子は美味しかったのよね」
「フッフッフッゥ~~!。エッヘッヘェ!」
「甘いのは正義。間違ってなかった、、のね」
おおっ、、、シディリーさんが正常に、、元に戻ってくれた様で良かったよ。
「この御菓子を孤児院の仲間の御土産にしたいだけなんですよ。どうですか良いですか?」
「みんなが、この御菓子を食べたら、間違いなく幸せになれるハズなんですよ」
「えっ!、、私の御菓子で孤児院の子達がみんなが幸せに、、、」
シディリーさんが「ふにゃふにゃ」な笑顔で俺を見ているよ
「シン。ええ勿論良いわよ。御菓子を御土産に孤児院に持って行きなさい」
「まだ幾つか奥に残ってるからね、それも一緒にみんなのお土産にしなさいよ」
「ここに座っててね。今御菓子を持って来てあげるからね、、、ふふっ」
「ふふっ~~美味しい御菓子、、、」
機嫌の良くなったシディリーさんが席を立ち奥に繋がるドアの方に歩いて行っ
やったよ許してくれたよ、良かった御菓子を御土産に持ち帰る事が出来るよ
それに、まだ残ってると言ってくれた、それも貰えるらしいから、みんなが喜ぶね
シディリーさんが手に袋を持ってテーブルに戻って来て椅子に座ると
「はいこれ。あと6個残ってたからね、帰る時に持って行ってね」
「あと私の分の、この1個も入れてあげるから、、、7個ね」
「足りるかな。まあ上手く分けてみんなで食べてみてね」
「え~~と、シン。もし良かったら御菓子の出来の感想も聞きたいんだけどなぁ~~、、、、」
麻布で出来た様な袋に御菓子を入れてくれたらしい。
そしてテーブルの上のトレーに乗った、自分の目の前の1個も袋に入れてくれたよ
俺はその袋を受け取って席を立ったが
シディリーさんが話し始めたので椅子に座り直した、、、
「ちょっと待ってね」
「ああ、そうだわね。こんど孤児院の子達に仕事を頼もうかしらね」
「今日。シンと会って考えたのよ」
「ここの店番とか、掃除のお手伝いとか多分雑用が多くて悪いけどね」
「孤児院の院長さんに話をすれば良いのかしら?」
「費用はあんまり多く出せないけども」
「シン。あなた分かる」
うあ~~~!ここでお手伝い出来たら最高だな。特に女の子達は大興奮するだろう。
「シディリーさん!」
「有難うございます。院長さんに話をすれば良いと思います」
「後で俺もシディリーさんの事を伝えておきますよ」
「ここの居心地が良すぎて長居してしまいました」
「そろそろ俺も市場に戻らないと怒られそうなので、失礼しようと思います」
「俺の1個残ってる御菓子も貰って帰りますね、この御菓子本当に美味しかったですよ」
「機会があったら、また是非味見させて下さい」
「あっ、、忘れてた。シディリーさん!持ってる割符に商品の受け取りサイン書いて下さい」
「ああ割符。そおだったね」
「はいこれ割符ね。間違いなく鍋を受け取りましたよ」
大事な鍋のお届け仕事完了のサインを木の割符にしてもらって受け取った。
割符が大事なんですよ
金物屋さんにある割符と、この割符を合わせて金物屋さんが間違い無いか確認するんだ
ああこれで楽し過ぎた1つの仕事が終わりそうだ。
シディリーさんに向かい声を掛ける
「それじゃあこれで、俺は失礼します」
「本当にありがとうございました」
そう言って席を立って椅子を元に戻して入口のドアへ歩いて行く。ここは本当に陽の光が良く入る
明るいお店屋さんだ。そしてお洒落なんだよな薬屋さんだけど
ドアを出る時に振り返り、シディリーさんに向かい
「有難うございました、そしてご馳走様でした」
「またよろしくお願いします」
と声を掛けて店を出た
手にはもちろん「絶対正義の甘い御菓子」を持ってるよ
市場へ帰る途中で孤児院によって御菓子を部屋の棚に置いて仕事に戻ろうか
リビエさんに会えれたら預ければ良いな




