宿屋の仕事1
今日も、俺は無事に生きているよ。
俺の生活には大した出来事など何も無い。
孤児院の生活は到って平常運転だ。
まあまあ孤児院の朝は早いよ、夜が明けると同時位に動き出すんだ。
ケシーレさんとリビエさんの2人がまず起きて。
俺達の食事の準備をしてくれる。
まあ前日の夜食の残り物に一手間加える程度の朝食だけどね。
大体は基本の味が塩味の野菜スープで。
あとパンだから簡単な物なんだ。
相変わらず肉は少しだけはいってる。少しだけ。
少し後に。
俺達も目が覚めるんだ、起きて着替えて顔を洗ったりと。
その日の準備をして行く。
部屋で自分のベッドモドキを壁の隅に片付けて。
それからみんなで食堂に向かうんだ。
朝は毎日そんな感じ。
食堂に着いたらいつもと同じように。3人に配膳してもらう。
無駄話もせずに無事に食事が終われば。
みんなが食器の片づけと食堂の掃除をする。
その間に俺は、いつもの食器洗いと後片付けをするんだ。
食事が終わってから解散の前に今日の仕事の確認だよ。
宿屋か露店の手伝いか、だけどね。
どちらになるか、リビエさんの指示を聞いて従うよ。
俺達男3人は、今日もジャスリーさんの宿屋の手伝いだ。
頑張ろう。
食堂を出て、全員が寝床部屋に戻り仕事への準備をする。
俺も準備するけど、まあやる事と言ったら、あの。
「ウエストポーチ」を腰に巻いて付けるだけなんだから。
あっと言う間さ。
他の子達も、大して荷物なんか無いからね直ぐ終わる。簡単だよ。
女子達の今日の仕事は。
ラッエとレーリエが青空市の露店の手伝いに行くみたいだ。
露店のお店は結構多いから。
その日に行ってみないと何を頼まれるか分からないんだよね。
食べ物を扱ってるお店だと。
仕事の合間に店主に奢ってもらえたりす事も有るんだよ。
サリタとジュニューの年少組は畑で草取りを少するんだって。
後は、リビエさんと勉強らしい。
読み書きが、スムーズに出来る様に勉強する事も大事だね。
さあ。準備も終わったから仕事に出かけよう。
俺達みたいな孤児は。
基本的に裏口から出入りするように教えられている。
孤児院裏の、井戸が有る所の扉からいつも出入りするんだ。
下駄箱にある自分の靴に履き替えて。
5人で建物の外から修道院の表に回って門を出るんだよ。
修道院の建物の正門口を普段俺達は使わない。
あそこは拝礼する人とかが使う正式な場所だから。
あそこは公的な部分の出入り口だからね。
修道院の礼拝堂も掃除の時以外には。
余り出入りは、しない様にしてるんだよ。
礼拝堂には大事な物がいっぱい有るからさ。
掃除の時にも。物を壊さない様に気を負付けないと駄目なんだよ。
修道院の敷地の正門を出て。
今日の仕事場の宿屋に向かってお喋りしながら歩いていく。
修道院の前の通りは、意外と静かな場所なんだけど。
少し歩いて進んで行き。
大通りに出ると、歩く人や馬車が一気に増えて賑やかになるんだ。
荷物を運ぶ為の荷車も良く見かけるよ。
行き交う人の流れに合わせて。
俺たち男子3人組も宿屋に向けて歩を進める。
来た道を交差点で曲がり。
宿屋のある通りに進む。この通りも歩く人が多い。
市場は方向が違うので交差点で女子2人とは、そこで別れた。
仕事場の宿屋には子供の歩くスピードでも15分程で無事に付くよ。
宿に入ると。ここの女将さんの「ロジーヤ」さんが居たので挨拶をした。
お早う御座いますロジーヤさん今日もよろしくお願いします。
そう俺は声を掛けた。
お早うシン。
皆もお早う。今日もお手伝い、お願いね!。
早速なんだけど。
2階の1人用の部屋が今日全部空いたのよ。
だから2階の5部屋の掃除とベッドの仕立て直しね。
その後で3人でシーツの洗濯をしてほしいのよね。
交換用のシーツはいつもの所に有るやつでお願いね。
結構大変だけど午前中に出来るかしらねえ?。
ロジーヤさんの話を聞いて。
俺達は3人で顔を見合わせて、出来るだろうと頷き合う。
ロジーヤさん大丈夫です、3人で頑張って何とかやりますよ。
そう返事をして3人揃って動き出すんだ。
宿のカウンターと飲食スペースの間を進んで行き。
階段を静かに2階に上がって行く。
他のお客さんの迷惑にならない様にだよ。
部屋の中の掃除でも同じで、静かに作業しないと良い仕事ではない。
他の階の部屋に、別のお客さんが居るかも知れないからだよ。
もし。まだ寝てる人がいると、怒られてしまうかもしれないから。
1人が一部屋ずつ作業をして行く段取りだ。
まずシーツを剥がしてベッドの仕立て直し作業だ。
ベッドから剥いだシーツは。
部屋の壁に作られている服掛けにぶら下げておいて。
他の作業すると楽なんだ。
次に軽く部屋の掃き掃除を済ませて行く。
小さなテーブルと椅子も乾いた布で拭き掃除もする。
窓枠のゴミも。見落とさない様にしないと駄目なんだよ。
仕上げに。もう一回、軽く掃き掃除をして。
新しいシーツをベットの上にセットして終了だよ。
これで一部屋分の清掃作業が終わる。
でもまだまだ部屋の清掃作業は終わらない。
汚れたシーツを持って次の部屋へ向かう。
アルロと俺は。
同じ位のスピードで客室の清掃作業を済ませられるけどね。
年下のケリオサが、少し遅れるのはしょうがないよね。
アルロと俺が2部屋の掃除とセッティングを終わらせる少し前に。
ケリオサも1部屋分の掃除とセッティングが終わる。
そんな感じだね。
3人でシーツを持って宿の裏にある井戸の横の洗い場に向かう。
さあラストスパートだ。
後は、5枚の剥いだシーツの洗濯を済ませて。
物干しに。綺麗に伸ばして干さないといけない。
宿の備え付けの洗濯板でごしごしと綺麗にシーツを洗って。
干していく。
3人でシーツを干していると。
宿の主人のジャスリーさんが様子を見にきた。
お前たち今日も、ゴクローさん。
部屋が綺麗になってたのは俺が今見て来たよ。
部屋仕事の方は。そのシーツ干したら終わりだな。
その洗濯が終わったら。
小さくて悪がな試しで焼いたパンだ。
休憩がてら、これでも食べてくれ。
それと、悪いけどもう少し仕事を頼まれてくれ。
食べてからでいいからな。
食事の客が少し切れたら。
飲食スペースを半分ずつに区切って掃除してくれ。
軽くで良いからな、テーブルとイスの拭き掃除と。
床のゴミ掃除を頼む。
娘のリークの指示で、一緒に動いてくれれば良いからな。
追加で悪いけど頼むぞ。
はい、分かりました。
と、、、3人で、そろって返事をしたよ。
仕事の追加の話をして、ジャスリーさんが立ち去っていった。
仕事が増えちゃったよ、。
まあ、時間にはまだ余裕が有るから良いんだけどね。
宿の裏でシーツを無事に干し終わり。
追加仕事の駄賃で貰った。小さ目の丸いパンを食べようと。
井戸の横に有る空いたスペースに3人で座り。
パクリと食べたら、、、これ美味しいよ。
このパン美味しいなぁ。
別行動で露店の手伝いをしている女子組は。
今頃。何をしてるかって3人でお喋りしたよ。
案外俺達と一緒で。美味しいのを貰ってたりとかさ。
一仕事を終らせて少しくらい休憩してもいいよね。
と俺は思ったよ。
ああ、宿の裏から見上げる空は。
今日もこの。俺の居る異世界は。青空高くいい天気だね。
はぁ。




