矢が当たれば痛い
「灯り」の魔法に照らされた岩壁。
ラビリンスの通路は今でも少し怖いよ。
自分の立てた足音も、「灯り」で揺れる自分の影もね。
帽子の上に1つ。左手に持ってる1・8m程の細い棒の先に1つ。
強めに灯した2つの「灯り」を頼りに。
通路を恐々とした気持ちで奥を目指すしかない。
もし消えた利したらと考えると。
あ~怖い。
は~ぁ。
いくら気を付けてても、なぜか罠を見落としちゃうよ!。
さっきのなんて。
いきなり左脇に食らったのは息が詰まったもんなぁ。
矢の威力が弱いって言っても、痛いモンは痛いよ!。
俺の大事な肋骨、、折れて無いよな?。
あ~またポージョンを使う事になっちゃったなァ。
今日もラビリンスの罠を作動させてしまい。
痛い思いをした後に、脇腹を摩りながら通路を歩いている。
スケルトンだけでも大変なのに。矢の罠なんて最悪だよ。
昨日は2回でしょ!今日はさっきので1回。
幾ら重ね着をしても、これじゃあ俺の体がもたないヨ。
は~ぁ。
毎日。両脇が痣だらけになっちゃうよ、も~ぅ。
*******************
あれは。3日前の午後の事。
ラビリンスの地下4階で経験した、矢の罠にビビった俺は。
早々に尻尾を巻いてロドラの町に撤収したよ。
これからどうしようかと。思案の末に思い付いた対処法は。
取り合えず。
ポージョンを買って怪我をしても大丈夫にしておこうって思ったんだ。
この前の騒ぎの時に。人にあげてしまったままだったから。
ラビリンスに挑むのに。
俺は回復手段のポージョンを持つてなかったからさ。
怪我をしてたら。実はヤバかったんだよね。
あとは。冒険者ギルドで情報収集だよね。
でもね~。
初めての罠で。
心の折れた俺はポージョンを買って宿に引っ込んだ。
不意打ちの弓矢なんて、考えた事も無いじゃん。
ヘトヘトの俺は。何とか。
「清浄」
その後装備を脱いで普段着に着替え。
部屋のベッドの上で仮眠と言う休息へ沈んで行った。
深夜になってから、寒さと空腹とで、目が覚めたんだけど。
うぇ~ヤベ!。もう真っ暗じゃん何時かな?。
あのまま寝ちゃったんだな。あ~ご飯も食べてないやぁ。
お腹もペコペコに減ってるよなぁ。
よっと。
「灯り」
すっと、部屋が明るくなった。
夜食に何か食べて、本格的に寝なくちゃ。
明日は、、まあ今は考えない。
何を食べよっかなぁ~。う~寒いから。温かいのが良いよな。
ここはアレが良いか!。はぁ~いつ食べたっけなぁ?。
「創生」
昔のイメージを頭に思い浮かべ。魔法を唱えると。
手の中に熱々の大きな豚まんが1つ現れた。
うほ~!これこれ!やった~。
何度も中華街で食べて美味しかった奴!。
いただきま~す。温かくて旨~い!。
小さいのとは中身の具の材料とか、味付けがちが~う。
うぁ~香りも良いよ~!。コレだけでも食欲が湧いてくる~。
豚まん1個を夢中で食べてしまった。
最後にペットボトルに入れてあった水で喉を潤し。
夕食を済ませてから。
さてと。
お腹も膨れたし。寝る支度をしよう。明日はギル出へ行って!。
今日の残証品の買取と罠について情報を得ようか。
あ~あ。ラビリンスに罠なんて無きゃいいのにさぁ!。
ふう。
ベッドに潜り込み。罠について考えたたら寝ちゃった。
朝の支度を済ませ。
冒険者ギルドへ向かう道すがらも。考え事だ。
アレ。昨日の豚マンって値段は幾らだったんだろうなぁ。
幾つ魔力が減ったか見るの忘れちゃったよ!。
ベッドの中で、日課の魔力を貯めようとした時には。
俺の魔力の残りは58だったよな、「灯り」も1回使ったし。
多分。20かな?。ん~あれは200円だったっけなぁ。
あ~~記憶がハッキリしな~い。
ボソボソと独り言を呟きながらギルドを目指し歩いていた。
宿からギルドへは意外と近いので直ぐに着いてしまう。
良い事なんだけどね。
あ~今日もギルド前には厳つい人が一杯だな。
その人たちを上手く避けながら。
ギルドの建物前の蹴上がりの1段を、ヨッと軽く飛びあがり。
扉を抜けギルドの中へ入ってみると。
中にも冒険者が一杯だった。
はぁ、冒険者が多いなぁ。
今日の窓口は、、ドコモ大渋滞じゃん!仕方ないね並ぶかぁ~。
でも、どこの列が良いかなぁ~?。
あ~。確か右側が偉い人が居る時が有るんだよね~。
じゃあ決まりだ。
そんな小声を零しながら。
並んでる人は多いけど一番左の列に並んだよ。
次が俺の番だな。どんな人が受付なんだろう、気になる。
そう思って前を横から覗くと。オジサンの受付だったよ。
用が済んだのか。目の前の人が横にずれて、後ろへ歩いて行った。
次の人。前に出て来て。
あっ、はい。買取をお願いします。
これ、スケルトンの剣です。
腰に付けた魔法袋から。
窓口の上に。ガシャガシャと、次々並べて置いてみたら。
うん?、スケルトンの剣が多いね~。
ちょっ待っててね。
1本1本をササッと手に取り、見聞して窓口の向こうの樽?に立てて行った。
お~2種類に仕分けたの?流れ作業で早い!。
後、コレもお願いします。
3個だけスケルトンの魔石も買取に出した。
地下1階の剣が2本と。それ以外が11本だね。
あとは、スケルトンの魔石3個。
全て合わせると、買取金額はコレだけになるけど、良いかな?。
小さな黒板?に金額が書いてあった、銀貨3枚と銅貨が少々。
はいそれで良いです。!このギルド彰に点けて下さい。
分かりました。ギルド彰を!。
買取してもらってる間に。
自分の後ろを確認したら、並んでる人はいなかった、チャンス!!。
話が出来る時間が出来た。
はい!買取のお金はギルド彰に点けたからね。
また利用してください。
次の人は、、、居なさそうですね。
ふう、休憩できそうだ。
あの~。ちょっと良いですか?。
ん?何かな。
ラビリンスの罠について知りたくて、ですね。
冒険者ギルドで教えてもらえるかなって、思って。
あ~~!成程。
それだと矢の罠の事だね。
まあ、今は手が空いてるから私が教えてあげるよ。
ロドラのラビリンスは地下4階以降から、矢の罠が出現するよ。
それです!その罠に引っ掛かりそうになりましたよ!。
だから、、。
あ~ヤッパリ地下4階からなんだ。
でもね。
あの罠は。装備さえしっかりしていれば問題無いレベルの物だよ。
う~ん。今の君の着ている皮の上着でも平気じゃ無いかな?。
まあね!矢が当たれば、少しは痛いのは事実なんだけど。
ズボンも、ソレで平気そうに見えるよ。
あ~ !。首は気を付けた方が良いかもね。
その辺は自分で防具屋に聞きなさい、。
罠の答えは。れで良いかな。
はぁ。そうなんですね~。
矢が飛び出して来たから。もっと怖い物かと考えてました。
あの罠を目の当たりにして、ビビっちゃって引き返して来たんです。
あはは!。
まあ、その気持ちは分かるけどねー!。
体の装備や盾で。意外と簡単に対応はできるはずだよ。
さあ。
対処が済んだら。もっと頑張って下層を目指して進みなさい。
そして良い魔道具や武器や防具を冒険者ギルドへ。
この、買取に持って来てくれれば良いんだよ。
御宝に当たれば、良いお金で買取をしてあげるからね。
あはは。
優しく笑われたけど、アドバイスを貰えたから良いや。
ありがとう御座いました、また来ます。
ああ、是非とも良い物を頼むよ。
窓口を離れ。ギルド内の売店を覗いて見る事にしたよ。
売店には。ナイフや手袋、食事用の器に毛布。小物が多いなぁ。
首周りの防具って、何か有るのかなって思ったからね。
店員に聞いてみるかな。
あの~、首周りを守る奴って何かありませんか?。
ラビリンスの矢の罠に対策出来そうなのが良いんですけど。
店員は首を傾げて答えてくれたよ。
首ね~。
兄ちゃんの背丈だと要らねーだろ?。
ありゃー威力は無いぜ。
あの罠の矢の対策は、上着で良いだろと思うがな?。
あの罠の狙いは、侵入者の腿か脇腹なんだが。
冒険者用のヤツだって。皮の上下装備を着てるなら。
まあ、矢の貫通の心配は無いだろうよ。
今までで、ここのラビリンスだと。
人の首の高さのだろ?。
ソンな罠の報告は無かったはずだからなぁ。
ソレでも心配なら、その装備の上に。
武器ホルスター付きのコイツを纏ったら良いんじゃねーかな。
店員が後ろの壁に掛かってる物を進めて来たよ。
それは、丈の長い皮のベストっぽい装備品だ!、武器ホルスター?。
え~と、何を付けておくんですか?。
そりゃーまあなぁーあれだ!。
普通なら小型のナイフや刺突武器だろ!。
あとは投げナイフとかだな。魔道具も。好みで色々だろうよ。
持っとくと。イザって時に便利だぜ。
これ1枚でも重ね着とけば。腹、背中、脇腹、腰をカバーできる。
ほぼ動きは阻害しないし、少しは防御の足しになるだろ?。
なるほどねぇ。
良い感じだけど。俺自身の見た目が、厳つくなってきそうだなぁ~。
でもしょうがないよな。
じゃあ!それを買います。
あ~~~高いと買えないですけど。
値段は幾らしますか?。
おっ!購入。まいどありー。
銀貨16枚だぜ、兄ちゃん払えるかい?。
まだギルド彰に入ってると思うんだけど?。
コレに入ってると良いんですけどね?確認してください。
支払いの為にギルド彰を店員に渡してみた。
あいよー!。
ギ金はルド彰ので足りたぜ、お買い上げありがとさーん。
ほら。先ずはギルド彰を返すぞ。
そんで!はいよコレが商品だぜ。
それとな、ここで。
ソイツに袖を通して、大きさと具合を見てくれよ。
今。在庫が4枚あってな。兄ちゃんの体に合うやつと交換するからよ。
それはそうだね!渡されたのを着てみる事にしたよ。
あ~!コレだと少し小さいみたいですよ。少し窮屈ですね。
もう少し大きいのが良さそうです。
それから2回。他のも試して、最後の奴に決めた。
コレが少し余裕があって、ちょうど良いです。
あと投げナイフって、どんな奴ですか見たいんですけど。
おう!見てくれ。
コイツだな、2本セットで銀貨1枚だ。
そいつの腰の部分に。左右で4本が収まるようになってるぜ!。
4本かぁ、練習用に買っておくかなぁ。
まあ。まだ絶対に上手くは投げれないと思うけど。
はは。
投げナイフも4本下さい。代金は、はい。これで。
魔法袋から取り出して支払った。
ほいよぉー。追加で投げナイフも4本!なぁー。
コレだ。腰の所に収めて見な!。
言われるままに。皮のベストに収めると。
ちょっと重くなった。
じゃあ、そいつで決まりだな。
はい。有難う御座いました。
おう!また買いに来いよ。
あれ!。
罠の情報だけじゃ無く。また違う買い物になっちゃったよ。
投げナイフを4本仕込んでおくのは重いから、2本だけにました。
ギルドを出て。
歩きながら投げナイフの2本を魔法袋にしまったよ。
そのまま乗合馬車に乗ってラビリンスへ向かったんだ。
その日は地下4階で何体もスケルトンを倒し奥へ進んだよ。
でも。
午後。慎重に通路を歩いていたはずなのに。
カッ。プッ。ドス!。
痛ッてぇ~!。は~~~っ!。
俺は通路で脇腹を抑えながらうずくまった。
はぁ、ふぅ、はぁ。はぁ。
通路に丸い石なんて無かったじゃん!。
罠なんて無かった~~~。
ふへぇ~。刺さって無くても痛いよぉ~~。
目の前の床に、木に矢が1本落ちていた。
う~コイツが!、、憎たらしい。ぺキ。
矢を拾い。両手に持って圧し折ってやったよ。
出会うスケルトンを倒し。更に通路を進んで行ったけど。
カッ。プッ。ドス!。
痛ッてぇ~!。は~~~っ!いやだぁ~。
そこで。心の折れた俺はラビリンスから撤収した。
ロドラのギルドで買取を済ませ、テクテクと宿へ帰着したよ
部屋に入り着替えをする時に矢を喰らった脇腹を見ると。
あ~!青痣になってる!痛い訳だよなぁ。
ポージョンを飲んで休息だよ。もう!。
明けて2日目。
地下4階で午前中に1度。
カッ。プッ。ドス!。
罠を作動させた俺は脇腹に激痛を受けた。
痛ってぇ~!。
は~ぁ、はぁ、はぁ、へぇ、ふ~ぅ。
くぅ~~。
この痛みはスケルトンにぶつけるしか無いよなぁ!。
這いつくばった姿勢から何とか立ちあがると。
右手のFN1910のグリップを強く握りしめて構えた。
何故か?
カシャ、カシャ、カシャカシャ。
通路の奥からアノ音が聞こえて来たからだ。
ちょうど良い所に来たじゃないかよ!。
あはは!。
喰らえ!このやろーーー!
パシュ、パシュ、パシュ、パシュ、パキ、パシュ、パキ、パシュ、。
パシュ、パシュ、パシュ。
ハッ、ハッ。ハッ、ハッ、はぁ。ふう。
アノ音を聞くだけでムカついて。
通路の暗闇に向け多くの魔法弾を撃ち込んでヤッタゼ!。
ふう。先に進まないとな。
あ~。また魔石探しが大変そうだ!あれば良いけど。
もう罠は要らないぞ!魔石をクレれば良いから。
「灯り」を頼りに。慎重に足を進めると骨の近くに魔石が1個。
よし!先ずは1個。あとは、あ~剣が2本落ちてるよ。
魔石だってば!。
カタカタ。カタカタ。
なんでかな?。頭蓋骨って割れないで残ってるんだよなぁ。
それに2個かよ!。もう。こいつ!
バキ、バキ。
頭蓋骨の近くに魔石が1個落ちているのを見付けたよ。
お~!これで魔石2個に剣2本。全部残ったって事じゃん!。
これって初めてじゃ無いかなぁ。
これからは、運が向いてくるかな?。
ここからは嘘の様に、順調なラビリンスの探索だった。
小部屋を見付けてはスケルトンを倒して魔石を手に入れ。
通路で出会ったスケルトンも倒していった。
夕方のロドラへ帰る時間まで。罠を踏む事無く無事生還した。
ギルドへ剣を12本と魔石も3個売却してお金にした。
宿に帰り。脇腹の痣をポージョンで癒して、部屋着に着替え。
ベッドに突っ伏しているよ。
まだ食事をする元気は、回復していない。
******************
そして今。
俺は。また矢の罠を作動させて痛い思いを経験したんだ。
ここまでは順調だったけど、暗雲が立ち込めた気持ちになった。
ちくしょ~め!。ホントに罠の作動石は分かり難いよ!。
こんだけ足元を明るくしてるのになぁ。
くぉの~!ぺキ。
俺に痛い思いをさせた木の矢をへし折り、また奥へと歩き出した。
すると。
お~階段発見!これは地下5階への階段だよな。
ふ~~~ぅ。
あ~。途中の踊り場まで降りて休憩にしよう。
階段を降りて。踊り場に着くと。
魔法袋から折り畳み机と椅子を出して、椅子に腰かけた。
さてと。何か食べて体力回復をしないと。
う~ん。
「創生」
机の上に。
可愛いメロンの形の容器に入ったシャーベットアイスが1個現れた。
薄緑色でヘタ付きだよ。
これこれ!懐かしいよなぁ。
はぁ~1個の値段は幾らだったかなぁ?。
30円か50円だった気がするんだけど、安いよねぇ?。
まあいいや!食べよ~っと。
あっ!あ~スプーンが無いじゃん。
お店だと。自分で1個取るんだっもんなぁ。
付けてほしかったよ~!。
アイスはポーチに仕舞って、スプーンを、、考えないと。
買った覚えは有るけど。3個セットで100円のだよ!。
あ~魔力を使っちゃうなぁ~。
スプーン、スプーン、スプーン、スプーン。
俺って。スプーン付きの何かを買って無かったっけ?。
ア~前のアイスの時は木のが付いてた様な?。
あ~~思い出せない!。
これからも使うと思って3個セットを買うかぁ~~。
「創生」
目の前に。
ビニール袋の中で3個のスプーンが台紙に張り付いてる。
銀色で小型のスプーンだ。
ふう。やっちまったけど、これでアイスが食べられる!。
薄緑色の器の蓋を外すと。
あ~懐かしいなぁ。甘くてメロンの香りがする~~。
シャーベットだ!。
スプーンでシャーベットを掬い口の中へ運ぶと。
うひゃぁ~!チベタくて旨~ィ。
あ~メロンなんて何年ぶり何だろう。
はぁ~安いお菓子だけど。今が最高に幸せだよ。
器を持ってると内側が溶けて来て、冷たナメラカであははは!。
あ~美味しいよ~。
シャーベット休憩は大正解だった。
魔力は使っちゃったけど。悔いなしだ!。
これで地下5階にも。ヤル気が出て挑めるってもんだよ。
さてと、かたずけて。下へ行きますか。
階段を降りて地下5階に降り立ったよ。
さあ。慎重に進んで行くよ!。
俺は「灯り」を頼りに奥へと通路を歩き出した。
少し進むと。横穴を見つけた。
おっ!早速小部屋かな。
通路を進み横穴を覗くと。小部屋の入口だ。
ヤッパリ小部屋で正解!。ドレドレ中はどうかな?。
右奥にスケルトン1体かぁ~!地下5階で初物スケルトンだ。
コイツは剣も持ってるかぁ。
それに今までと同じだとすると。
また少し動きが早くなってるんだろうなぁ。
慎重に行くなら左手に小盾を持ってた方が良いけど。
右手のFN1910が少しだけ撃ち難くなるんだよな。
悩むなぁ。
小盾を持とう。
地下5階の初見だし。防御は大事だよ。
「灯り」付きの木の棒はココに立て掛けておけば良いかな。
はあ。
狙いを付けたまま部屋に入って。
速攻で撃ち込もう!アイツの体の真ん中で良いよな。
スケルトンから少しでも離れる様に壁寄りに立ち。
銃の狙いを付けて部屋の中へ踏み込んだ。
くっ!。
パシュ、ボキ、パシュ、パシュ、パキ。
ガシャシャ。
俺が部屋に入ったらスケルトンの動きは早かった。
剣を振り上げずに、カシャカシャカシャっと寄ってきて。
俺に向けて突きを狙ってきていた。
でも。1発目の魔法弾の方が早くスケルトンに着弾して。
胸の骨を吹き飛ばした。
俺の数歩前で崩れ落ちてく剣持スケルトン。
アブネ~!。こいつ、やっぱり動きが速いよな。
今の俺じゃあ。
小盾と短剣じゃあ。氷魔法が有っても戦いたくないな。
あ~あ。
さらに気を付けないと大怪我じゃ済まなくなってきたよ。
目に前で崩れてるスケルトンの骨を見て気が滅入って来た。
さて、魔石。魔石。
剣はココに見えてるから良いけど、魔石は何処行った?。
通路に置いた「灯り」付きの木の棒を持って魔石探しをしていると。
カタカタ。
またお前かよ!このっ。
バキン!。
ホント頭蓋骨は割れないな。うるさくてしつこいし。
愚痴を零しつつ魔石探しを再開した。
部屋を1周したが魔石は見付からない。
はあ。剣1本かぁ、他は何も無しかな。
部屋の入口から中を見回すと、小さな宝箱が出現していた。
さっき頭蓋骨を屠った辺りに。
うお~~!出た出た。宝箱が出た~~~!。
2個目~~。
宝箱に近寄り「灯り」を寄せてて、慎重に観察した。
コレには、、罠、、無いよね?
お願い!罠は要らないから。
右手を伸ばし宝箱を持ち上げた。
、、、。
何も起こらなそうだ。
はぁ~。もう緊張の連続で倒れそうだよ。
鍵穴は、、、コレにもツイて無いのかぁ~。
よし!また向こう向きで上蓋を開けよう!。
安全第一!安全第一!。
それ!。
、、、。
何も起こらなかった。
ふう~。
コイツはこの前の宝箱より重い気がするんだよなぁ。
、、。
あとは宝箱の向きを変えて、中の確認だな。
何が入っているかな~?
宝箱を自分の方に向けると、箱の中は暗闇だ。
ア~まただ!またなのか~?。
う~~~ぅ。この漆黒が怖いんだよ~!
あはは!笑っちゃうけど。宝箱を前に泣きたい気分だよ。
いぃ~~~~。
俺は右手を漆黒に染まる宝箱の中に差し込んで行く。
あぁ~~~~~。
何も無い~~。
左右に腕を動かすと、コツンと当たる物があった。
あった~!良かった~。
後は掴んで、取り出せばお終いだよ。
うぅ~~~。
腕を引き抜き手に掴んでいる物を見ると。
ん~?。
本作を読んでいただき有難うございます。
宝箱からシンが引き出した物は、何だったのかな?。