ラビリンスの罠
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ。
スケルトンンが動く時に出す音が。
幾重にも重なって、ラビリンスの通路に響く。
通路の暗闇の奥。
目に捕らえられず、音が先に迫りくる。
それは俺にプレッシャーと恐怖を押し付けてくる。
地下4階の通路を進み始めて1時間足らず。
ここまでで4回もスケルトンの襲撃を撃退してきた。
また現れやがった!。
多いなぁあ~。もう5回目の遭遇だぞ。
くそ~、スケルトンがヤタラ出てくるのは何でだよ?。
地下4階って。上の階とは違い過ぎるよ。
俺は通路右側の壁に寄り掛かりながらFN1910を構えた。
今まで出会って来たスケルトンは。
100%右手に剣を装備していたからね、左側の方が。
FN1910の魔法弾を当てやすいと思ってるんだよ。
装備品の剣が邪魔にならず骨に直撃する確率が高いでしょ!。
まあ、俺の思い込みかもだけどね。
見えた。
う~~。また剣持スケルトンが2体かよ!。
動きも早くなってきて。余計にキモイっての。
薄暗い通路の先。「灯り」に照らされ始めた。動く白い骨。
右手に持つ剣を振り上げてる姿が見える。
ソレが音を立て、小走りで近寄ってくる様は、、。
お前らの、その姿は怖いって~の。
コッチくんなよ、ちじゃ寄るんじゃね~よ。喰らえ!。
パシュン、パシュン。
パキン、カキン。ガシャーン。
今回も上手く、FN1910の魔法弾はスケルトンを捉えてくれた。
あ~FN1910で戦うと楽が出来るけど。
通路の中に飛び散っちゃった。
バラバラの骨の中から魔石を探す苦労だけが欠点だよなぁ。
「灯り」を帽子の上から左手の指先に移動して。
残証の中から御宝を探すために通路を先に進んで行く。
あ~今回も頭蓋骨は2個とも転がってやがる。
何でいつも無事に残ってるんだろう。
体の骨と一緒に割れてしまえばいいのにさぁー。
それにカタカタうるさいんだよ!。
もう!俺に2度手間を掛けるんじゃ無いよ!。
そら!とぅう!。
バリン。バキ。
よし!コレで。一先ずは安全だな。
後は。魔石、魔石。
どこに有る~。
腰を折り、身を屈めて。
通路の隅を探すと。少し先に魔石が2個転がってるのが見えた。
お~2個出たんだ。ラッキー。
身を起こし。魔石を拾うため数歩前に歩いて。
魔石の前で身を屈めながら。最後に1歩足を出した時。
カコっと音がして。
シュ。カーン、カラカラ。
えっ?。
魔石を拾うために、身を屈めてる俺の上を何かが飛んだ?。
唖然として。俺は動けなかった。
えっ、何?今の。えっ。
音の正体を探して、通路の反対側を見て見ると、、。
何かが床に落ちている。
うっ!。
あれって、、、小さい木の矢なのか?。
罠?矢が飛び出す罠!。
もしかして。今の俺って、、罠に掛かったって事か?。
確かに音がした気がしたけど。
えぇ~~~~。
俺は、恐怖でその場で腰が抜けてしまい。
通路の床に座り込んでしまった。
座り込んだまま。恐る恐る左の壁を見上げて見ると。
俺の肩の高さの所辺りに、小さな穴が1つ開いている。
足も動かしてみると。
踏み出した右足の靴の下に、小さ目な石が少し凹んでいるのが分かった。
うひ~~~!矢の罠があったなんて!。
ここのラビリンスには罠なんて無いと思ってたのは、、。
未確認の思い込みで。
また俺の失敗なのかぁ~~。
あ~~~!俺ってバカすぎる~~。
でも、でも。でも、でも。こんなの分かんないよ。
分るわけ無いじゃんかぁ~。この足元の石なんて、、、。
あ~~!。
よく見るとコレ。他の石と色が微妙に違うのかぁ~。
それに形も他の石と比べると「丸い」く見えるなぁ~。
う~微妙過ぎるよ~この罠!。
ここの所に「灯り」を1つ点けて。
先に魔石を拾ちゃおう。
目の前の床。
手を伸ばせば届くところに魔石は2個落ちている。
慎重に2個の魔石を拾い、魔法袋の中へ入れた。
はあ、はあ、はあ。
ダメだ!体が震える。
い、息が苦しい。
はあ、はあ、ふう、はあ、ふう、はあ、ふう。
はぁ、はぁ。
えぇ~と、えぇ~と。アレ。
「創生」
右手の中に。紙箱入りの御菓子が現れた。
箱を開けて、中身のアルミの包装を切って。
1パッケージ6個のうち1つを取り出し、口へ放り込んだ。
あ~。この優しいヨーグルト味が大好きだ!。
レモン味も好きだけど。
コレを舐めてると落ち着くよ。
あ~美味しい。
その後、2個目の御菓子を堪能して落ち着けた。
罠なんて想定外の出来事だよ。
今日は、もうラビリンスを出て町へ戻ろう。
ギルドで罠の事を聞いて見なくちゃ、先に進めないよ。
頭の上の矢の罠をかわせたのは。
今日の俺は。運が良かっただけだと思わなくちゃだ!。
ふう。上りの階段まで気を付けて進もう。
魔法袋から木の棒を取り出して。
さっきの、床に置いた「灯り」を棒の先っぽにに移動させた。
もっと2個の「灯り」を明るくして。
罠を見付けやすくして、探しながら進むしか無いよな。
はぁ、時間が掛かりそうだ。
通路を戻る足取りは遅くなり。
視線をキョロキョロと動かし、床や壁の違いを探しながら。
有りそうで無い物を見つけ出すと言う未体験の緊張感が。
ただでさえ凹んでるのに、余計に俺を疲弊させて来る。
あ~。やっと階段が見えた~。
あと少しだ気を抜かずに、慎重にだ!。
すると。
うぅ!。アレって。
俺の視線の先。
木の棒の「灯り」が明るく照らす所。
通路の右側の床の1つの石が、妙に丸みを帯びている。
あの石って罠の作動用の石だよな。
罠なんて、そんなに見付からないだろうと思ってたけど。
2個目を見つけるなんて。信じられない。
早く4階を出よう。
階段まで慎重に進み、1歩階段を上った。
はぁ~。
多分だけど、地下3階より上には罠は無いと思うんだよなぁ。
今まで結構な時間。探索してても無かったもの。
せも、今までよりは慎重に進んで行こう。
左手に「灯り」付きの木の棒で。右はFN1910で行こうか。
出口へ向けて。
今までの帰りのスピードより遅めの歩容で通路を進んで行くと。
ここでも通路の先から音が聞こえてくる。
カシャカシャ。カシャカシャ。
今の俺は。そんな気分じゃ無いんだよ!。
もう!。
喰らえ!。
音のする。通路の暗闇に向けてFN1910のトリガーを引く。
パシュ、パシュ、パシュ、パシュ、パシュ、パシュ。
バキ、パキ、カン。
ガシャ。
暗闇の中で着弾音と破壊音が混じって聞こえた。
おっと!当たったのかな?。
面倒だけど。ちょっと。この場で様子見だな。
ふう。
しばらく通路の暗闇を見詰めていたが。スケルトンの気配は無かった。
さっきので上手く全滅させたんだな。
良し進もう!魔石を探さないとな、出来たら他のも有れば、、。
まあ剣が良いとこだけど。はは。
先に進むと。白い骨がバラバラになって通路に広がっていた。
魔石!、魔石!。
あった、あっちにも落ちてる。
2個見付けた、あ~短剣も落ちてる、、2本も。
それから地下3階で1体を倒し魔石を1個手に入れ。
地下2階でも途中で2体を倒したけど収穫は無し。
地下1階は遭遇しなかった。
あ~抜けた。空が見える。
ふ~。階段を上がって早く帰ろう。
地上の広場には乗合馬車は止まっていなかった。
あ~あ!しばらくここで馬車待ちだな。
そう思って街道の先を眺めると、馬車がこちらに向かってきていた。
お~!もう直ぐ来るじゃん。
これなら早く町に帰れるな、あ~ギルドかぁ。
まてよ!俺って今、ポージョン持ってないじゃん!。
この前のワイバーン騒ぎの時に1本持ってたの。
冒険者の人にあげちゃったんだよな!。
もし、さっきの罠で怪我してたら、、、ヤバ!。
ポージョンを買っとかないとヤバいじゃん!。
それにだよ、もし毒矢だったら、、なおヤバいよな。
この前はどこで買ったっけ?道具屋か雑貨屋かな。
あ~!。
ラッエが勤めてる様な薬屋を探すべきか。
ラビリンスに着いたぜ。
さあ降りてくれ。
この馬車は。
しばらくしたらロドラへ戻るからな。
ロドラへ戻る奴は乗ってくれ。
代金はこの箱に入れてくれよ。
代金を支払い、馬車に乗り込んだ。
あとは馬車に揺られていれば良いだけだ。
馬車に乗っても考え事は尽きない。
ポージョンだと薬屋さんだけど。そこのギルドも有ったよな。
え~と何だっけ?何ギルドだっけ?。
ラッエは何て言ってたかな。あ~思い出せない。
考え事をしてたけど。疲れてうたた寝をしてたみたい。
ロドラに着いたから降りてくれ。
さあ!降りてくれよ。
はぁ?ロドラ?
俺がボケッとして座っていると御者の人が。
兄ちゃん。ロドラに着いたぜ降りてくれ。
俺は寝ぼけてる頭で何とか答えた。
あっ、はい降ります。
俺はツイでとばかりに、御者の人に聞いてみる事にした。
あの~、チョット聞いて良いですか。
なんだ兄ちゃん?。
ポージョンとか売ってるギルドって何処でしたっけ。
教えてもらえると助かるんですが。
ここの所で、良いポージョンが欲しくて。
そりゃーポージョン買うなら。
薬師ギルドだな、冒険者ギルドの近くにあるぜ。
ソレっぽい奴が出入りしてるからな。
注意してみりゃー直ぐ分かるさ。
そうなんですね!。
助かりましたよ。有難う御座いました。
じゃあ、行ってみます。
おう!またな。
良い御者さんで良かったよ。
さて、先ずは薬師ギルドだな。ポージョンを買っておかないと。
ラビリンスで危険な状況を少しでも減らさないとね。
まあ。罠に掛からなきゃ良いんだけど。
今の俺だと、、う~ん。
だからポージョン。
絶対ポージョン。
えへへ。
冒険者ギルドの近くまで歩いて来たけど、、。
う~ん。ソレっぽい人ねぇ~。
冒険者、冒険者、冒険者、冒険者、冒険者、、
ん?んん。
う~!あの人!何か違わないか?。
あの人、、どこに行くかな~。あっ、似た人発見!。
よし!。あの人に付いて行ってみよっと。
しばらく歩くと、大きな建物に入っていった。
あの建物かな~。似た感じの人が出入りしてるもん。
あそこが薬師ギルドでしょ!行ってみよ。
俺も建物の中に入ってみた。
お~窓口が冒険者ギルドに似てるじゃん。
えっと、聞いてみるか。
窓口の1つに進むと中には男の人が居た。
すいません。ここって薬師ギルドですか?
はい!ここは薬師ギルドですが、どんな御用でしょうか。
お客様は、何かの素材の買取ですか?。
ここに売るような物は持ってないな。
いつかは売れる物を手に入れて。売って見たいけど。
今は。
あっ!え~と、ポージョンが欲しくて来たんですけど。
ここで購入できますよね?。
俺が尋ねると、男の人が。
あー!成程。ポージョン類の購入ですね。
ならば。向こう側ですよ。
ここの窓口は買取です。そして向こう側が売却です。
あそこの階段横ですね。商品売却の窓口が有りますから。
そちらでポージョン類の購入をお願いします。
買取の場合は是非こちらに持ち込んで下さいね。
おお!優しい人だ。
はい!機会があったら来ますよ。
ありがとう御座いました。向こうで聞いて買いますね。
じゃあ。
はい!是非いらして下さい。
買取窓口を離れ。販売窓口の方へ向かった。
薬師ギルドの中は冒険者ギルドとは大違いで雰囲気が優し目だよね。
休憩スペースのテーブルにいる人達は、どこか優しげに見える。
みなさんが着ている服装から違うもんね。
まあ、俺の主観なんですけど。
販売窓口の少し前に立ち、中を観ると男の人が居た。
数歩前に進み。
すいません。ポージョンが欲しいんですけど。
どんなのが有りますか?。
教えてもらえると助かりますが。
はい。ポージョンですね良いですよ。
うちの薬師ギルドに在庫している物ですと。
初級ポージョンが銀貨2枚。
初級ポージョンと言われる物は。
ある程度までの切り傷。打撲。捻挫。
まあ、喧嘩や戦闘時の軽症用ですね。
中級のポージョンが3段階に分かれていまして。
中下級ポージョンが銀貨10枚。
これは単純骨折や大きな切り傷用ですね。
中級ポージョンが銀貨20枚。
解放骨折や関節等の複雑部位用ですが。
多用途向きで。一番使い易いポージョンでしょう。
中上級ポージョンが銀貨30枚。
これも解放骨折や関節等の複雑部位用ですが。
体格の大きい人等はこちらをお勧めしています。
そして患部の状態により判断して使用します。
上級ポージョンが金貨5枚。
手や足の切断状態の患部を接続できます。
消失している場合は、その限りではありません。
切断された物が残っている場合のみ効果があります。
また。腹部の損傷した内臓等を、ある程度再構築できます。
頭部の大きな負傷にもある程度効果があります。
まあこんな感じなのですが?。
は~大変だな。
え~と。
初級ポージョンを5本と中級ポージョンを2本。
あとは。
中上級ポージョンを1本下さい。
毒消しのポージョンも聞いておこうかな。
それと毒消しのポージョンも欲しいんですよ。
ラビリンスの罠で毒矢って有るじゃないですか。
あれとかはどうですか?。
なるほど、なるほど。
ラビリンスの毒矢ですと毒消しのポージョンで。
大丈夫ですね、冒険者の方が購入されていきますよ。
その上で説明をしますと。
毒消しのポージョンは2種類だけ置いてありますね。
毒消しのポージョンが銀貨7枚。
上級毒消しのポージョンは銀貨45枚。
普通の毒であれば。
毒消しのポージョンで十分機能します。
先程も言いましたが。
ラビリンスの毒矢もコレで対処できますよ。
上級毒消しのポージョンを使用すれば。
猛毒と言われるものは現在。
世の中に両手程の数が確認されていますが。
生き残れる可能性が大きいでしょうね。
確実とは言い切れません。
対処までの時間で生存率が変動しますから。
毒は、、運の要素が大きいですよ。
毒、、メッチャ怖ぇ~よ!。
それじゃあ、毒消しのポージョンも2本下さい。
分かりました。今、用意しますね。
代金は合計で銀貨94枚頂きますが、宜しいですか。
はい大丈夫です!ギルド彰で支払いをしますから。
これです。
ギルド彰を対応してくれた職員に渡した。
ポージョンで。
銀貨10枚と銀貨40枚と銀貨30枚で、、銀貨80枚だ。
毒消しのポージョンで更に。
銀貨14枚。上級、、要るかな?、ふう、今は止めておくか。
それでも。
80枚と14枚、、銀貨94枚。
うひょ~高い買い物しちゃったよ。
こちらがお買い上げのポージョンです。
青い液体の物がポージョンで色が濃い程高級品です。
薄紫色の液体が毒消しのポージョンです。
この容器はある程度に衝撃までは耐えますが。
気を付けて保管してください。
カウンターの上に布を敷きその上に並べて説明してくれた。
うん!分かりやすい説明でした。
保管には気を付けます。
俺が魔法袋にポージョンを入れていくと。
その様子を見ていた男の人が。
それなら安心です。
コレを。ギルド彰をお返しします。
お買い上げ有難う御座いました。
どうか、薬師ギルドへ。又の御越しを。
ええ!また来ますよ。
今度は何かを買取してもらいにね。
じゃあ!また。
そんな言葉を交わし、俺は薬師ギルドを後にした。
後は冒険者ギルドか、、。
もう疲れたから明日にしよう!。
俺の足は宿を目指して進み始めたよ。
そして。
宿屋の自室に辿り着き。
「清浄」
ふ~。
いつも本作を読んでいただき感謝いたします。
ラビリンスには多くの危険が潜んでいる。
毒矢は序の口。大きな石が転がって来るのは、ある?。