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魔法の応用

ミーレ川の河原から少し上がった土手の上。

背の高い草と灌木の中で身を隠して。

ヒソヒソ話をする2人の少年達。


   シン。さっきの話だけど本気で言ってるの?。

   今は野芋に夢中で川の向こうに居るけどさ。

   アイツは魔物だよ!あの体の大きな魔物。

   もしヤッツケルのに失敗したら2人共大怪我だよ。

   最悪は、、。

   うあぁーー僕の冒険者初日がぁー。

   何であんなのが出てくるのー可笑しいよー。


ケリオサは半泣きでガックリしてる。

まあ言いたい事は分かるけど。

俺は何だか後には引けない気がしてる。

あぁ~野芋を食いやがって。


 あそこの野芋は俺とアルロが見付けたんだよ!

 あんな奴に食われる訳には行かないんだ!。

 絶対に退治してやるんだから!。

 アイツは俺が許さないから。


   うえぇー!シン本気なの?。

   いきなり魔物の相手なんて。

   うぁーー僕怖いよ。


それに、俺には秘密兵器が有るからね!。


冷の魔法だよ、氷を出せるんだよ。

スフィアーに封じられてた魔法のやつ。

俺の魔力を1回に2使うけど。

ピンポン玉の大きさなら、いっぺんに5個出せる。

1個だけ出そうとするとソフトボール程の大きさだ。

それに飛ばせるんだ!スピードは結構早いよ。

小さい方で20m程、大きい方だと50mも飛ぶんだ。

小さいのを出すときは手を開いて、大きいのはグーだよ。

「氷」って思うと手から出るんだけど。

飛ばす時は「飛べ」って同時に考えないと駄目なんだよなぁ。

「氷」「飛べ」ってね。

これ、良いんだか悪いんだかさ。微妙だよ。

それに今は冬だから普段の生活じゃあ。

氷なんて使わないよね。

アッ!説明しなきゃ。


 ケリオサ。

 今から俺の言う事、暫らく他人には言わないでほしい。

 約束してくれると有難いんだけど。

 どうかな?。


   うん良いよ。

   何の事なのか分かんないけど。

   シンの事は言わないって約束するけど、なに?。


俺は、手の中に大きな氷を出して見せた。


   えっ!何それ?あれ?氷を出したの?。


その大きい氷をケリオサに渡してから。

  

   うひーー冷たい!。

   氷なんて持ってられないよ。


ケリオサは。

手の中から氷を落として、手の水気をズボンで拭いてる。


 ケリ、コレを見てて。

 行くよ。


俺が右手を握った状態で川と反対側に向けた。

直ぐに右手の先から大きな氷が飛び出して。

結構なスピードで草原の方へ飛んで行った。


   い、い、今のは?氷の魔法?。

   あれえぇーーー。

   シンは魔法が使える様になったの?。 

   

 うん!ロドラで良い物を見つけてね。

 今の見たでしょ、ケリ。

 俺。1個魔法が使える様になったんだよね。

 こんな風に氷を飛ばせるんだ。 


ケリオサは余りの事に、あんぐりと口を開けたまま。

驚いている。 


 だからこの魔法を上手く使ってね!。

 あの魔物をギャフント言わせてやりたいんだ。

 出来たら仕留めてやりたい!。

 野芋をあんなに一杯食いやがって。

 許せないよ。


俺の話を聞いてたケリオサが。


   シンの魔法は分かったけど。

   あの体の大きな魔物相手だから。

   そんなに簡単には行かないでしょ?。

   僕は、、アンナのを相手に出来ないよ!。

   今日、初めて町の外に出たのにー。

   うぅー怖すぎるよ。


ケリオサは魔物を思い出して身震いしてる。

確かに俺も怖いけど、あいつはヤラナキャ駄目だ!。

さっきの場所に戻ってから、ケリオサは少し離れて攻撃かな?。

ケリオサは魔物の気を引くだけで良いからさ。

俺が魔法と小盾と短剣で相手をしてやるよ!。


川のこっち側から狙いを付けて。

大きい氷の連射なら魔物相手でも。

いけるよね?。

氷魔法で遠距離から痛めつけてやるんだ!。


 ケリ。

 さっきの場所に戻ってみようよ。

 それでね、魔物がまだ居たら俺は氷魔法で攻撃する。

 俺は魔物の近くへ、川の縁まで行くから。

 ケリも俺から離れた場所でさ。

 河原の石を拾って魔物に向けて投げてよ。

 えぇ~とね~。石は当たらなくても良いんだ。

 投げて魔物の近くに落ちるだけでで十分だよ。

 アイツは、それも気になるだろうからさ。


   ソレで良いの?。

   うぅー、分かったよ。

   当たらないと思うけど。

   僕はアイツに石を投げれば良いんだね。

   でも川の向こうでしょ届くかなぁー?。


ケリオサは難しい顔をして悩んでる。


   僕はシンの言う通りにするよ。

   うぅぅー大丈夫かなぁー?。

   心配だなぁー。


ヤル気になってくれた、確かに危険かもだけど。

ヤラナキャ駄目なんだよ!。

 

 俺はデカい氷をアイツに当ててやるからさ!。

 魔力には余裕が有るからね!。

 見ててよ。

 氷を魔物にバンバン連続で当ててやるさ!。

 こうだよ!。


俺は腕を真っすぐに伸ばして見せた。

ソンな俺を見てるケリはまだ心配そうだ。


   うあぁー!魔物と戦うなんて、、。


 さあ行くよケリ!。

 静かにさっきの所に戻ろうか。

 俺達2人で魔物退治だ!。


   うぅーー怖いぃーー。

   あぁぁーー「女神様」ー俺達をお守りください。

   シンと僕に魔物を倒す力を御与え下さい。

   「女神様」。


ケリは器用に歩きながら祈ってる。

その気持ちは良く分かるよ。

俺も祈っておこう。


 「女神様」。

 俺とアルロの野芋を食い荒らすアイツ。

 あの魔物を倒す力を。

 ケリオサと俺に貸してください。

 お願いします。


あはは!俺も器用だったよ!。


そっと。音を立てない様に2人で河原に降りた。

川向こうの魔物はまだ居た。

でも。


   ねえシン?。

   アレって、、、さっきの大きな魔物のヤツだよね。

   アレって、アソコで寝てるの?。


 ああ❕そうみたいだな。

 野芋をタラフク食べて満腹になって。

 河原の砂利の上で昼寝をしてるんじゃないかな?。

 あの魔物の姿を見ると。

 なおさら憎らしくなる態度だよな。

 チクショウ!。


魔物は向こう向きで、ふてぶてしく寝てるよ。

 

   ねえシン。

   僕達このまま町に戻るのもアリじゃ無いの?。

   

ケリオサは魔物が寝てるのを見て安心してるけど。

俺が、コレからアイツを叩き起こすからね。


 イヤイヤ!ソレは駄目だよ!。

 俺はここで逃げ出すのは絶対に嫌だ。

 それに、あんなに荒らしやがって。

 あの土手を見てよ、いくつ野芋を食ったんだか?。

 全部食わずに食い散らかしたのも、あんなに転がってる。

 あぁ~考えただけで頭にくる!。

 いいかいケリ!。

 今の時期の野芋は俺達新人の御小遣いの元だよ?。

 普通なら危険は少なく手に入るんだよ。

 でも、アイツがいるとね。

 明日も明後日も芋が無くなるまで。

 お金がアイツの腹の中に消えて行っちゃうんだよ。


簡単に言えば、野芋は楽に稼げるお金の元だ。


 だからアイツはここで仕留めておかないと。

 ケリがお小遣いに困る事になるんだよ。


   僕が?、野芋?小遣い。

   あぁー!そうかーここに来れ無くなるもんね!。


ケリオサがビックリしてる。

俺はロドラへ行けば良いけどさ。

ケリはあと1年ジャーレンタで頑張らないと。

ダメなんだからね。


 そう!分かったでしょ。

 だから2人でアイツをヤッツケようよ!


   うー、そうだけど僕に出来るかな?。


 ははは!出来るじゃ無くて、ヤルンダヨ!ケリ。

 いいかい、俺はコッチカラ魔法で氷を当てるから。

 ケリは、、アソコイラから石を投げてよ。

 当てなくても良いから石は多い方がいいな。


   うん頑張るよ!シン。

   えーと、あそこいらかぁー。

   あぁー待っててね!。投げる石を用意するから。


さっきの説明と現場での確認だよ。

ケリは4,5m離れてヤツに投げる石を拾い始めた。

魔物はミーレ川の対岸で土手を向いて寝ていやがる!。

背中側が見えてる格好だな。

うぅーん、俺は川ギリギリまで行って狙いをつけよう。


ケリは?、後ろをみると。

あはは!少し右後ろの所で小石の小山が出来てる。


 ケリ、凄く石を集めたけど、そんなに投げれるの?。

 

   うん投げるよ、魔物退治!僕も頑張るからね!。


あはは何だよ!。

弱気だったのにさ、ヤケに気合が入って来たじゃないか。

じゃあソロソロ始めるかな。 

 

 ケリの準備は良いかい?。

 アレを見てよ!的が大きくて良いや!。

 準備が良ければ。

 アイツの背中に氷を御見舞いしてやるけど?。


ケリオサは微妙な顔をして。


   始めるのはシンに任せるよ。

   僕はアイツに石を投げれば良いんでしょ?。


その答えは良いね!。


 ああそうだよ!。


俺は右手を伸ばしてグーで狙いを付ける。

おまえの背中に連打してやるからな!。


 じゃあ行くよ。

 おらぁ~喰らえ!「氷」「氷」「氷」「氷」「氷」。

 

最初だったから声が出ちゃった。

音も無く現れたソフトボール大の氷が。

良いスピードで飛んで行く。

シューシューシューそんな音が聞こえて、、。


ガシュ、ガシュ、ガシュ、バチン、ガシュ、グギュ。


あれ?。

目標手前の河原の石に氷が連続で3個当落ちた。

4個目が見事に当たったよ。


 やった!あれは後ろ脚の辺かな?。


あぁ~5個目も外れたよ。

命中率20パーセントなんて駄目じゃん。

まあ氷の破片とか飛び石が当たったけど。

細かく砕けて飛び散ってるから威力は無さそうだ。


魔物が驚いて起きる時に、こっち側に体が回ったんだ。

そこに4個目が命中した!。


   シーーーン!氷、1個しか当たって無いじゃん。

   うあーー魔物が起きたー。


 ごめ~ん!俺も予想外だよ。

 でもマダマダ大きい氷を御見舞してやるからさ。

 そんなに心配しないで。

 ケリも石をいっぱい投げてよ。


   うん!。

   それっ、よっと。

   当たれー。


魔物が動き出して川に近づくけど足取りが変だ。

ヨロつき上手く走れてないよ。

それに。

音に敏感だ。

ケリの投げた石が近くに落ちると立ち止まる。


 見てケリ!俺の氷攻撃は効いてるよ。

 それに石の落ちる音も気にしてる。

 ほら!アイツの動き変がだよ、あれ後ろ足怪我してるでしょ?。

 氷の1個が足に当たってるんだ。

 ケリ見てて。今度はもっと当てるからね。

 よ~し今度は、、お前の顔を狙ってやるぜ!。

 さっきより、もっともっと当てるからな。

 ほらよ、喰らえ!。


右手を伸ばして狙いを定める。

1回目の氷魔法の氷は。

ヤツの手前に落ちたのが多かったから。

ちょっと奥目に狙う感じで。


 「氷」「氷」「氷」「氷」「氷」。

 当たれ!。


つい声が出ちゃう。

またヤツに向けて氷魔法の5連発だよ。

シューと音を残して飛んで行ってる。


 あっ、。


魔物は意外と川よりに移動してて。

氷は魔物の後ろに5連続で落ちたよ。

全部外れ。また俺は失敗したみたいだ。

相手は生き物で?こっちに向かって来てるから。

ソレを予想して魔法を使わないと駄目だ。

あ~難しい。



   シーーンてばー!。全然当たってなぁーい。

   見てよ魔物が川に入って来てるじゃない!。

   あーーもう。この石でも喰らえ!。

   とぅー。


ケリオサがヤケ気味で投げた石は。

魔物の目の前に落ちて水飛沫を上げたよ。


驚いた魔物が体勢を崩し、少し下流に流され気味だ。


 ケリ!今のすごいじゃん。

 アイツ、ビックリして少し流されたよ。

 最高だよ、もっと投げてね。


   うん。

   コノヤロー当たれー、当たれー!。


ケリオサと。

お喋りして余所見たら。

アイツ川の半分よりこっち側にいるじゃんか。

魔物は川の流れの中でも確実に近づいて来てる。


 あっ、ヤバ。

 こっちを見てやがるな。

 少し手前を狙って、水切りな感じでも良いかな。

 上手く行けば面白そうだし。

 う~ん。氷を薄くしたいけど出来るかな?

 円盤的なのが良いけど、円盤、円盤。

 想像して。


「氷」「氷」「氷」「氷」「氷」。 


ピシャピシャピシャピシャピシャ、、。

上手く形を変えた氷が出来た。

氷の円盤が川の上を跳ねながら魔物に向かって行った。

でも、、跳ねた氷はまっすぐ進んで無いよ。

1回目の跳ねで進路が変わって、、。


 あれ?何であんなに曲がるんだよ~。

 くそ~!魔物に当たってよ。


3個は右へズレて進み魔物の横を抜けていった。

2個は真っすぐ行ったけど、、。

1個は大きく跳ねて魔物の上を通過してしまい。

外れたよ。

最後の1個は魔物の前で跳ねて背中ね命中?。

いや!これは攻撃になって無いな。 


   シン!氷がまた外れてるーー。

   しっかりしてよ!当ててー。

   早く魔物に当ててくれないと来ちゃうじゃない。

   氷魔法ーー。

   あーーーもう。目の前だよ。

   当たれー、それー!それー!それー!。

   このー!。


ケリオサが必死に石を投げてる。

ヤツはこっち側の浅瀬に着いてヨロヨロと歩き出した。

そして俺達の居る所より下流側へ流されてるよ。

グェ、グブゥ、グブゥと息が荒れてる。

足を痛めた体で川を泳いで来たから。

アイツは疲れてるな。

それでも俺達の方へノシノシと進んでくる。

走らないからまだ距離の余裕が有るけど。


魔法の狙いが難しくて上手く当たらないよ。

あ~こいつヤッパリ、デカいな。

早くヤッツケないと。

右手を伸ばしドコラ辺が正解なのか考えてると。


 おっ。


あっ!今の。

ケリオサの投げた石が頭に当ったよ。

魔物が立ち止まり前足で河原の砂利を掘ってる。

ブギー、ブーー。

あ!今ので魔物が余計に怒ったかも。


今度こそ狙いを付けて5連射だ。

立ち止まってるし今度は当たるだろう、たぶん。


 「氷」「氷」「氷」「氷」「氷」。 


ガシュ、ガシュ、ガシャ、バチン、ギャァ、バチン、グィビ。


ソフトボール大の氷が飛んで行き。

1個目が魔物の右後ろに着弾。

河原の石を跳ね上げてる。

2個目3個目も同じ様に外れたけど。


4個目の氷が魔物の前足に当たって、悲鳴じみた声を上げ。

5個目のが体勢を崩し掛けた魔物の鼻面に直撃したよ。

変な声を上げて前のめりに倒れた。

最後の氷が当たったのが相当痛いらしくて。

魔物が倒れ込んでから転げまわり暴れてるよ。


 うぁ~氷魔法が当たって効いたのは良いけど。

 スゲェ暴れてる。

 迂闊には近づけなくなっちゃったなぁ。


ケリオサも俺同様に魔物の様子を窺ってる。

コレって危険の方向が変わっただけか?。


   ねえシン。

   氷魔法が、、。

   なんだか上手く出来たみたいだけど。

   あの魔物にどうやって止めを刺すの?。

   魔物、砂利の上でメチャクチャに暴れてるよ。

   アレを見てよ。

   小石が凄く飛んでるよ、近づくのも危ないよね。

   うぅ-ん、最後も氷魔法で出来るかなぁー。

   それともシンの武器の短剣で止めを刺す?。

   コレからどうする?。


確かにねぇ。

これからどうするかなぁ~。

氷魔法で、あと2発くらい魔物の頭に当ててみるかな。


 え~と。

 氷魔法で、オトナシクナルカやってみるよ。

 頭に2発、、すんなり当たると良いな~。


俺がどうするか考えてたら。

近くで魔物を見ていたケリオサが。


   シン、見て見てー。

   魔物がほら、暴れ疲れて来たのかな?。

   動きが遅くなってるよ!。

   今ならシンの短剣で止めを刺せるんじゃないかな?。

   ほら!アイツ。

   あー。もう寝そべって動きが鈍いよ。

   

ホントだ!。

さっきまで激しく動いてたのに。


 えぇ~。俺に出来るかなぁ~。


   シンなら出来るって!。

   静かに後ろへ回ってさ、、。

   エイって短剣でヤッチャッテよ。


ヤッチャエ!とか言われてもなぁ。

しょうがない、やってみるか。

腰に下げてる短剣を引き抜いて。

魔物にそっと歩いて近づくと。


ギーブギィ、ブギィ。


魔物が俺に気付いたのか、また暴れた。

首を振り俺を探してるけど。


 おっと~ヤバイ、ヤバイ。

 でもコイツ、そんなにはもう動けないのかな?。

 よし!、、あっ。


良い事を思い付いたよ!。

魔物から離れてケリオサの横に行って。


 ケリオサも俺と一緒に魔物の止めを刺そうよ!。

 この短剣のグリップを2人で握ってね!。

 思いっ切り力を入れて。

 アイツの首に振り下ろそう!。


俺がそう言うと。

ケロオサが握っていた石をポロリと落とした。

あぁ~夢中で、まだ石を持ってたんだ。

今見ると結構デカい石をアイツに投げてたらしい。

あは、俺を見て目をパチクリさせてる。


 ホラ行くよケリ!。

 聞こえてるの?。

 俺とケリの2人で止めを刺すんだよ。


   僕も?。

   

 そうさ!


俺はケリオサの肩をトンと叩いて。


 2人でだよ。

 良いなぁ。

 ケリオサの魔物の初討伐はアイツだ!。

 凄いじゃんかぁ。

 俺は確か、、スライムだったよ。


それから2人で静かに魔物に近づいて。

俺の短剣を2人で握り魔物の首へ振り下ろした。


グッ。

そんな声を最後に魔物は討伐されたよ。


でもコイツの名前は知らないや。

デカい魔物は魔法袋の中に入れておけばいいな。

あとで冒険者ギルドのヒビカさんに聞けばいいよね。


ケリオサは立ち尽くして、チョット惚けてるなぁ。


 あっ、そうだ!。

 今ので俺の階位、上がって無いかな?。


自分のギルド彰を握って目を瞑ると見える。

あぁ~変わって無いや。


 ん?。

 俺は駄目でもケリオサは上がったかもしれない。

 ケリ!。

 自分のギルド彰を握って見てよ!。

 目を閉じて、、そうそう。


ケリオサはハッとして自分のギルド彰を握ったよ。

どうかな?。


   あぁーーー。

   シン!僕の階位が上がってる。2になってるよ!。

   えーと、えーと。

   これ、初めて見たから、、。

   僕、何が変わったか分かんないや?。


あ~、ヒビカさんに言われてたなァ~。

また俺の失敗かぁ~。


 ごめんケリオサ。

 ソレは俺の失敗だよ~。

 後輩の面倒を見なさいって言われてたのに、、。


ケリオサは笑顔で。


   僕は、そんな事は気にしないよ!。

   シンのお陰で階位が上がったし、問題無しだよ。

   逆に僕がお礼を言う方だよ。

   ありがとうね。


よかった~~。

倒れてる魔物は魔法袋の中へ入れた。


 あ~疲れた。

 俺達は野芋堀に来ただけなのに。

 魔物相手に戦うなんて予定に無かったよ!。

 ここに魔物なんて居なきゃ良かったのにさぁ。


 ケリ、取り合えず休憩しちゃおうよ~。

 食べる物も、飲む物も有るからねここに座って。


俺の横に素直に座ったケリが。


   はぁー怖かったー。

   コレを見てよシン。

   僕は、まだ手が震えてるよ。

   それにほら見てよ、足もガタガタする。

   さっきは魔物が近くまで来ちゃうし!。

   シンが早く氷を当てないのが原因だよね。

   あれじゃ駄目だったんだからね!。


 あはは!。

 上手く出来なくてごめん。

 もっと簡単に当たると思ったんだけどなァ~。

 魔法って難しいや。

 あ~。

 確かに今日の体験は強烈だったもんね。

 振るえるの、それは仕方ないよ。

 でも冒険者になると、こんな事が多いんだろうね。

 慣れて行くしか無いんじゃないかな?。

 スライム、大蝙蝠、ゴブリン、スケルトン。

 魔物はいっぱい居るからさ。

 コレからだよ、ケリ。


   あーーーー!魔物かぁー。


魔法袋からパンを2個取り出しケリに1個渡した。


   美味しいヤツだ。

   有難うシン。


飲み物は自前でコップに「清水」だよ。

美味しいモン。

ケリも「清水」は出来るから同じ様にしてる。


 この後は予定通りの野芋堀だからね。

 ヒビカさんが待ってるから頑張って掘ろう!。


   おーーー!。

   僕も芋堀を頑張るよ。


休憩の後。

2人で冷たいミーレ川を渡って芋堀を始めた。

ケリオサと午前と午後も頑張って掘った。

俺は13個掘り出し。ケリオサは12個だった。


 ケリ、そろそろ町に戻ろうよ。

 俺はもう疲れたよ。

 それに帰る時間も考えないと。


俺は掘る手を止めたけど。


   待って!この1個を掘っちゃうからさ。

   これで最後にするよ。


ソレを掘ると俺と同じ芋の数になるな。

しばらく後に。


   掘れたー!。

   これで帰れるよ。


2人分の麻袋と芋堀道具を魔法袋に入れて。

ミーレ川を渡り。

枯草の多い草原を抜けて街道へ出た。


今日出会った魔物はアイツ1匹だけだった。

スライムも居なかったよ。


晴れた空は。

太陽が大きく傾き、空の半分がオレンジ色で。

半分はトワイライトの薄青くから群青へ。

その光に照らされてる草原も同様だ。

前方はオレンジで明るいけど。

振り返れば暗くなり。

夜の世界が始まりそうだよ。


   シン?。

   今の時間って、、。

   あれは、凄い景色だね。

   アッチの方、なんだか凄い夕焼けじゃない?。

   あー見て!太陽が欠けて来たよ。

   沈んじゃう!。


こんな会話をしながら。

ジャーレンタの門を抜けて町へ入った。


 さあギルドへ行こう!。

 

ヒビカさんが首を伸ばして俺達の帰りを待ってるから。


 


いつも読んでいただき感謝いたします。


2人で倒した魔物の名前は何だろう。

氷魔法の応用はイマイチ。

でもケリオサも階位が上がって嬉しそうです。



即日、一部修正、加筆いたしました。

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