「恩恵」
アルロがジャーレンタに。
町に居ない事はショックだけど。
はあ。俺にはドウシヨウモナイ事だ。
「女神様」の仮姿の前で。
唯々黙々と祈りを奉げてるケシーレさん。
その祈りが終わってから。
俺を含めた5人で食堂に移動したよ。
まだ火の残ってる竈の前のテーブルへ。
2人と3人で向かい合って座った。
移動の途中の廊下でも。
ルシーナとミモリーが俺に話し掛けてくる。
ねえシン兄ィって。
ロドラって言う町に行ってたんでしょ?。
そこのラビリンスにも行ったでしょ?。
地下何階まで行けたの?
怪我とかしなかった?。
おっ、心配してくれるんだ。
ねえ?ラビリンス行った?。
それと。どんな宿屋に泊まったのかなぁー。
えへへ、そこの御飯は美味しかった?。
あぁー屋台の美味しい料理とか有ったぁー?。
食べ物が気になるぅー!。
ミモリーは食い気が丸出しで笑えるよなぁ。
ああ、そうだよ。
ラビリンスの探索?かな。
え~と地下3階までは行ってみたよ。
怪我はしなかったしお金もソコソコ稼げたよ。
だからね今回も上手く行ったと思うよ。
あ~。まだ少しだけどね。
うぅ~んと宿屋の料理は、、全部が美味しかったし。
屋台の料理も外れは無かったなァ。
まあまだ、そんなに一杯は食べて無いけど。
歩きながら2人とお喋りしてると食堂に着いたよ。
楽しいと時間はあっという間だ。
みんなで食堂の椅子に腰かけたから。
改めてケシーレさんとリビエさんに挨拶だ。
ロドラから無事に帰って来ましたよ。
さっきも喋ってましたけど。
えへへ!今回も上手く行ってますよ。
えぇ~と馬車の移動で4日かな?。
一応向こうに7日間滞在して帰って来たんですけど。
何となく、ちょうど良いかなって考えた工程でしたけど。
まさか、またアルロが町に居ないなんて。
予想外で、。
はぁ~。
それに何でアルロなんだ?。
何でアルロは王都に行く事になったんですか?。
アルロは新人なのに意味が分かりませんよ。
他の階位の上の冒険者が一杯居るのに。
アルロじゃなくても良いだろうに?。
あっ!そうだった。
アルロ達4人。
初心者のラビリンスと石のラビリンスは。
上手く行ったんですか?。
そんな風にケシーレさんに問いかけると。
アルロは教会の神父さんに頼まれてね。
教会の3人と、4人のグループを作ってね。
初心者のラビリンスへ向かったのよ。
あ~何となく想像できるよ。
アルロはやさしいからなぁ~頼まれたら、、。
孤児同士で顔見知りだから断れないかぁ~。
マーガレットは、、結構強引だしなぁ。
4人グループでラビリンスかぁ~良いなぁ。
アルロ~。
初心者のラビリンスはスイスイ終わらせたみたいで。
道具も安く借りれて楽だったって、、。
だから2日で地下5階まで行ったって言うのよ。
それに、、。
お~!さすがアルロだ!。
石のラビリンスの方もね道具も安く借りれて。
鉱石も一杯掘り出したらしいわよ。
何日も4人で麻袋一杯に詰めて買取に出したんですって。
鉄鉱石に銅鉱石と銀鉱石を順番に掘ったらしくてね。
最後の方の数日は銀鉱石だけを掘ってたらしいの。
でね、、たまにね溶けてる銀鉱石が出て来るらしいのよ。
ソレはね、高く売れて良かったて言ってたわ。
俺と一緒な感じじゃん。
ん?溶けた鉱石を見付けたの。
アッレェ~?。
それでね石のラビリンんスの最後の日には、、。
銀鉱石少しにして、、。
あとは金鉱石を掘ると決めてツルハシで掘ってたら、、。
金が溶けてくっいてる鉱石が、、ポロっとね。
足元に転がり落ちて来たんですって。
拳くらいの大きさだったって言ってね。
そこの金鉱脈を掘り進んだらね。
そんな大きいのを何個も見付けたらしいのよ。
買取に出して4人で均等に分配しても大金だって。
だからお金は十分過ぎる位に稼げたって。
石のラビリンスはそれでよかったんだけど、、。
ケシーレさんが話すのを止めて俺の方を見てる。
なんですか?。
初心者のラビリンスでね、、。
普通なら魔物を倒すと魔石がたまに残るじゃない。
でもね、、。
アルロが剣で魔物を倒すとね、、。
残証の魔石が必ず残ったんですて、必ずね。
それに、、。
お金や物品も出たらしくて、、。
地下5階の宝箱からは魔法袋が出たのよ。
その時もアルロが宝箱を開けたらしくてね。
そんな出来事を目にした教会の3人が驚いて、、。
町に帰って来てから。
神父にラビリンスで見た儘を話したらしいの。
あ~それで神父かぁ~。
でも何で王都なのかなぁ。
うっ。
あの夜の出来事、恩恵の降りた夜、、。
「女神様」の「恩恵」の調査に来たのは。
王法院だっけか、調査員が2回も来たな。
あ~嫌だなぁ~。
でも、、神父の用は大教会って事だから。
王法院じゃ無いかも、、。
まったく余計な事をしてくれたよ。
俺の親友が大変な事になりそうじゃんか。
もう!
おう!でも確かにすげぇ~!。
まあ普通の人ならそう思っちゃうよなぁ~。
俺だったら、偶に魔石が残る感じだよ。
必ずかぁ、、、あぁ~ヤバいかな。
アルロ~!やり過ぎは駄目だよ、でもなあ。
あ~~~「女神様」の「恩恵」かぁ~。
俺も、、いまだに教えてもらって無いからなァ~。
アルロの「恩恵」って、いったい何だろう?。
幸運値?が高いとか?、、、、。
あとは?う~ん?、、。
はは、俺の頭じゃ分かんないかぁ。
はぁ~。
アルロ達は昨日ジャーレンタを旅立って。
王都へ向けて4人で行ったって聞きましたけど。
大教会へは何しに行ったんでしょう?。
ケシーレさんは思案顔をして。
私にも教えてくれなかったのよ。
神父は心配無いって言ったけども。
ここから王都まで、馬車の旅でも大変よ。
順調でも10日以上かかるもの。
あぁー。あの子たちが心配だわ。
どうか無事に帰って来ますように。
目の前でケシーレさんは目を閉じて。
胸の前で手を組んで祈り始めてしまった。
あぁ~。
横に座るリビエさんも同様だ。
俺は横に座ってるミモリーとルシーナをみた。
アル兄ィはねぇ。
笑って行ってきますって言ってたよ?。
あっ!そうだ!。
ドワーフの親方に剣を造ってもらったんだよ!。
えぇーと、、何だっけ?ねえルー。
ミモリーがルシーナの方をみた。
えーとえーと!。
うぅーあっ。
シン兄ィにお礼を言っておいてって言われたの。
ありがとうって。
おお!って事は。良かった「石」を選んだんだな。
ありがとうかぁ~。
分かったよ2人共。忘れないでくれてありがとうね。
えへへ俺もありがとうだよ。
なにそれ?変なの。
へへぇー。
じゃあ!シン兄ィー!ロドラのお土産を頂戴。
えぇーーとね。
また服を買ってくれても良いよ?。
ねぇーミモ。
おっ、、。
うん!
また服を買ってくれても良いよ?。
うふふ。
ねぇー。
じゃあ後で。
夕食の時にロドラの屋台料理を出そうかな。
俺が美味しいと思ってるので。
まだ暖かくて、丸くて、美味しくて、、。
コン位の大きさのヤツ。
両手で大きさを表すと。
キャァー何それ、楽しみー。
美味しいんだってよー!ミモーー。
楽しみだねー!ルー。
女の子2人が大喜びしてくれてるから良かった。
うぅ~ん。
アルロの事はここじゃあどうしようもないや。
はぁ~何で会えないかなぁ~。
後はダンケロさんのトコで相談しないとなァ。
俺も用を済ませたらロドラへ戻るか。
ロドラで階位を上げてまた戻ってこよう。
よし!。
アルロの事は分かりました。
俺はまだ。ダンケロさんに用が有るので。
しばらく出かけてきますね。
でも夕方までには戻って来ますから。
さっきも言ったけど、ここの中に。
腰の魔法袋をポンポンと手で軽く叩いて。
ここに。
美味しそうな料理が一杯入ってますから。
楽しみにしててくださいね。
スープは無いのでソレだけお願いしますね。
あぁ~仕事に出てる4人の分も大丈夫ですよ。
お腹いっぱい食べれますから。
俺。美味しいの買いだめしてるんで。
夕食はみんなで一緒に食べましょう!。
チビ2人がウンウンと頷いてるよ。
じゃあ出かけてきますね。
孤児院の裏口で靴に履き替えて修道院の敷地を出る。
少し懐かしい感じの道を歩いて鍛冶場を目指す。
人にぶつからない様に歩いて、しばらく行くと。
背の高い煙突から灰色の煙が風に棚引いてる。
あはは!今日も煙が一杯だな。
ダンケロ親は方居るかな?。
無事に鉄の扉の前に辿り着いて、、。
これも変わらないな。
トンカチで鉄の扉を3回叩いた。
キン、キン、キン。
相変らず高い音が鳴るよ。
誰だい?。
中から声が聞こえた。
孤児院に居たシンです。
ダンケロ親方は居ますか?。
相談したい事がロドラで出来て。
親方に会いたいんですけど。
音も無く扉が開いたよ。
おーシン、久しぶりだな。
ロドラに行ってたのか、へぇー。
親方は中に居るよ、いつもの鍛冶窯の前だな。
さあ、入った入った。
なぁお前?また背が伸びて無いかシン?。
このままヒョロヒョロノッポに、、。
いや、、何でもない。
あ~、、。
建物の中は暖かくて幸せだけど。
ここは鍛冶屋だ。
廊下を進んで奥に向かうと。
鍛冶窯の発する炎の熱が、、。
熱さが、、空気中の熱量がヤバいよ。
いつものドアの前に到着した。
ガラス?越しに中を覗く。
顔が焼ける様に熱くなるよ。
ここまでなら俺でも我慢できる熱さだ。
ドアの向こう側は、オレンジ色の、熱地獄だよ。
ダンケロ親方は。
熱地獄の中で、熱源の鍛冶窯の前に座ってる。
窯の温度を見てるのか、、じっと動かない。
サッと火箸で何かを窯から引き抜き。
それを金床に乗せてハンマーを打ち下ろす。
叩かれた物から火の粉が飛び散り。
ガチーン!ガチーン!ガチーン!。
ガチーン!ガチーン!ガチーン!。
段々と火の粉が出なくなってゆく。
ギーン、ギーン、ギーン。
ハンマーで叩きながら火箸も動かし。
四方から叩いてる。
カンカン、カン、カンカンカン。
カンカン。
カン、カン。
コン。
うひ~音が止んだ。耳が痛い!連続して色んな金属音?が聞こえたよ。
よし、今だな。待ってろよ。
親方に。お前の事を伝えて来てやるからな。
案内してくれた人がドアを開けて中へ入っていった。
すると中から強烈な熱風が俺に吹き付けた。
ぐはぁ~~熱いぃ。
あついあついあつい。
ダメ、ダメ。
直ぐに数歩後ろに下がったけど強烈だった。
窯場はヤバすぎる。
中に入るのは絶対に無理だ!。
何とかドアに近づき中を覗いたら。
親方が俺を見つけたよ。
また、アッチ!アッチ!と合図してくれた。
俺も手を振り挨拶をしてから移動したよ。
この前の部屋を目指し廊下を進む。
ドアを開けて中へ入ると親方はもう居たよ!。
シン!久し振り、まあ10日程か。
まあそこへ座れ。
で?俺にまた何の用だ。
まさか、、お前「宝石」じゃあるまい?。
俺を怪しそうに親方が睨んでくる。
おう!あれだ。
アルロは「宝石」を選んだぞ。
そいつを使ってな。俺が2種類の鋼鉄の材で。
あいつに合わせて剣を1本打ってヤッタぞ。
久しぶりの「宝石」を使っての鍛造だ!。
刃の方は上出来で。
グリップの真ん中に見えない様になぁ。
「宝石」を嵌め込んでよぅ、、。
魔物の皮と色付きの紐で化粧をして
ぐふふ。
そりゃー良い出来でなァ。
うひひ。
俺は椅子を進められて座り。
親方の様子を窺ってると、変な顔で笑い出した。
アルロに剣を打ってくれたの?。
やったじゃんアルロ。
それって「魔法剣」じゃ無いのかな?。
あ~何色を選んだのかな。
確か色で効果が違ったけど、、覚えて無いや。
まあアルロが選んだなら残りは2個だ。
ダンケロさんが1個選んで残ったのが俺の。
うん、最後の残り物だよ。
「宝石」だけど。
ダンケロさん。
アルロに剣を有難うございます。
残ってる2個の内1個はダンケロさんのですよ。
選んでくださいね。
おう。
そりゃぁ分かってるんだがな。
先日。アルロの剣を打ってなぁ。
なおの事実感したさ「宝石」は最高だぜ。
だから悪いが、もう暫く考えさせてくれよ。
ありゃぁーよ、ドワーフ冥利に尽きるってなァ。
仕上がった剣を手に持ったら、、。
くふぅー。
くっくっくっ!。
ダンケロさんが両手で顔を抑えてるよ。
思い出し笑いかな?。
体も心なしか揺れている。
そんなに楽しかったんですか?。
剣を打つのが?。
えぇ~と「宝石」と合わせるの?。
パッと俺を見て。
最高に楽しかったぜ。
連続でアレをやっちまうのは惜しい。
なあ?。
でも、、。
他にも頼みが出来たんだけど、、。
ポーチに手を入れてスフィアーを握った。
あの~。
他にもコレを見て欲しくて来たんですよ。
ロドラのラビリンスで出たんですけど。
コレも珍しい物らしいですよ。
冒険者ギルドで鑑定してもらったら。
知らない金属だって、、。
ダンケロさんの目が信じられない位に見開かれ。
俺の手を見てる、ポーチの中だけど、、。
おい!ソレは何だ?。
ただのスフィアーじゃ無いな。
今まで見て来たのと違うぞ。
何で分かるのさ!。
まだ出してないじゃん。
えっと。
スフィアーですよ、未知の金属のね。
はいこれです。
右手の親指と人差し指で摘まんで。
右手を伸ばし、スフィアーをダンケロさんに見せた。
丸い金属、、未知だと?。
名前は何と表示されてたんだ。
コレの名前は?。
早く。
シン!教えろ!。
ダンケロさんは椅子から身を乗り出して。
俺の右腕を掴んで。スフィアーをガン見してるよ。
凄い力で握られて腕が痛い。
痛い。痛い。痛いですよ。
あぁ~腕を離してください。
俺の声を聴いて放してくれたよ。
あぁ~痛かった。
はい!ダンケロさん、持ってください。
はいはいはい。手を出して。
ホイッと。
そのスフィアーの金属の名前は「チタン」でしたよ。
軽くて硬くて加工しにくいだったかな?。
魔力を10内包してるから加工を頼みたいんです。
何が?どんなのが、、良いですかね?。
その用でダンケロさんに会いに来たんですよ!。
ダンケロさんはスフィアーに夢中だ、、。
俺の話聞いてくれたかな。
魔力を内包かよ、、。
この量でなぁ、お前は男だから。
細い腕輪かネックレスだが加工がなあ。
ネックレスは諦めて腕輪が正解だろうな。
俺にこいつを加工出来るかは。
まあ、金属に熱を入れて見てからだな。
うん任せますよ。
はい!それで俺は何も問題無しです。
すべて親方に任せます。
「宝石」も同じで急ぎませんからね。
存分に楽しんじゃってください。
あ~勿論。
そのスフィアーも置いて行きますから。
思いっ切り弄って下さいよ。
腕輪も出来たらで良いですから。
あっ!ついでに言っておこうかな。
俺もそのうちに。
「宝石」で何かを作ってもらいますからね!。
ダンケロさんに。
ダンケロさんはニヤリと笑い。
そうかよ!。
シン。
楽しみが増えてショーガねーな!。
俺達ドワーフは、ふふふ。
ダンケロさんのそんな声を聴き。
いとまの挨拶をすると。
それから俺は鍛冶場を出て孤児院に戻ったよ。
孤児院の食堂にはケシーレさんとリビエさん。
ケリオサ、レーリエ、サリタ、ジュニューがいた。
4人は仕事を終わらせて帰っていた。
ルシーナとミモリーも席についていたよ
おっと~ぉ、しっかりラッエも居るじゃん!。
みんな揃ってるね!。
じゃあ、お皿を多めに出してくれるかな?。
種類は少ないけど量は有るからさ。
スープは、、有るよね。
ラッエとリビエさんがテキパキと用意してくれた。
よ~し料理を出すよ。
串焼きの包みを皿に乗せていく。
お好み焼き風も、、。
他のも出して、パンも出した。
ミモミモ!見て見て凄い。
美味しそうなのが一杯出て来たヨ
あれはなんだろうねぇ?。
ルー!ルー!ルー!。
あれあれ!丸いの出て来たヨ?。
良い匂いがするー。
パンも美味しいのが一杯。
うううーーー。
あぁー串焼きも美味しそうだーよぉ。
ケシーレさんが。
さあ。みんなで「女神様」に祈りましょう。
感謝しないとね。
静かに祈りを済ませて。
さあ。今から賑やかな夕食の始まりだ。
みんな!好きなのを一杯食べて~。
まだ暖かいと思うよ。
それに、まだ有るからね。
いただきまーす。
ミモーどれにしよかぁ?。
ルー。丸いの食べてみたい。
じゃあ。半分こね!。
うん、いいよー。
いつも読んでいただき感謝いたします。
アルロの「恩恵」は、、。