嘘
ロドラで予定してた7日が過ぎた。
今回のラビリンスの冒険は一旦終了。
想定外の物事が多かったけどね。
宿屋の1階の定位置に腰かけて。
目の前の朝食を食べ終えたら広場へ向かう予定だ。
また乗合馬車に乗り込んでジャーレンタへ帰る!。
ロドラのラビリンス、、良い所だったな。
また直ぐに来よう!。
スフィアーなんて物のお陰でさ。
俺が冷の魔法を覚えられるなんて、、。
これっぽっちも思ってもイナカッタし!。
サンドイッチとスープの朝食は今朝も美味しい。
スープを味わいパクパクと食べていると。
ねえ!今日のサンドイッチは如何かな~?。
美味しい?。
あぁ~奇麗な調理場って最高よね~。
ふふふ!。
あなたのお陰だけど!。
それ、5割増しで美味しくなってるでしょ?。
後ろを振り返ると、あの女の人が立っていた。
ちょっと驚いたけど。
この人はイツモこんな感じだ。
ええ!サンドイッチ、美味しさが増してますね。
最高に美味しいですよ。
スープも濃厚で味わい深い感じかな?。
間違いなく最初より美味しくなてっますね!。
それに器も道具類も清潔ですし。
ああ、満面の笑みを浮かべてるよ。
そして。
でしょ、でしょ!そうなのよぉ~!。
ヤッパリ食事はね、見た目も大事なのよ!。
くぅ~。味と見栄えの両輪よ!。
御機嫌で捲し立ててる。
そうですよね。
最初に見た時に、奇麗に盛り付けられてると、、。
おぉ~!ってなりますもん。
ウンウンと目を瞑り頷いて。
俺の意見に同意してるよ。
そこでよ!。
椅子に座り食事中の俺の肩に手を置いて。
屈みこんで顔を近づけてきた。
悪いんだけどね、、。
また、あなたの「生活魔法」でね。
厨房の別の所も奇麗にしてほしいのよぉ~。
そして肩から手を放して。
両手を腰に当て、俺の方を向いて話し始めたよ。
おほほほ!。
あの「清浄」の魔法は最高に素敵よね!。
今までも月に数回、別の人に頼んでたけど。
あんなに奇麗になるなんて無かった。
まるで全部が新品と同じ位に戻ったなんて、、。
今でも信じられなくて。
でも料理を作るのが楽しくて。
あぁ~夢の様よ。
腰の手が。
胸の前で組まれたよ、祈りの仕草の様に。
俺を見て、また屈みこみ。
だからね。
厨房の中の残りの場所も、あなたの「清浄」で。
「生活魔法」を使って奇麗にしてほしいの。
対価はこの前と同じくキチンと支払うわ!。
だから。
お願いよぉ~奇麗にしてぇ~。
そんな風にお願いされたけど、、。
それのは答えられそうにない。
あぁ~。
時間があったら出来るんですけど。
生憎、俺はコレから乗合馬車で移動なんですよ!。
すみませんけど、今日はお願いを聞けませんね。
でも、またここの宿には戻ってくるつもりですよ。
何日後かは決めて無いですけど。
その時で良ければ「清浄」の仕事は受けます。
ちょっと残念な感じだけど。
あぁ~~移動!。
そおなのかぁ~!
残念だけど君は冒険者だものね。
それじゃあ仕方なわね。
今度お願いする事にしておきましょうか。
でも早く来てくれると助かるから。
ここの事、忘れないでね。
俺にそう言って離れ際に。
朝から時間を取らせてゴメンね。
じゃあ、また会いましょう。
朝から忙しなくってガクッとなったよ。
泊まった部屋を片付けて鍵も返してある。
早く食事を済ませて広場へ行かないと。
朝1番のに乗り遅れちゃうよ。
食器を返す時にも声を掛けた。
御馳走様でしたぁ~。
また来ますからぁ~。
姿は見えないけど中から声が聞こえた。
はーい。
待ってるから早く来てね!。
振り返り歩き出す。
腰のナイフを確認して。
手に持っていた防寒着を身に纏い。
ポーチも魔法袋も問題無しだ。
宿屋を出て、町の中へと歩き出す。
今日も外は寒いけど防寒着買って良かった!。
さてと、ジャーレンタへ戻ろう。
へへ!。
アルロ!今度は会えるよね。
ふふ。なんの「宝石」に決めたかな?。
あぁ~楽しみだ!。
道はもう乾いてる、ウキウキと足が進むよ。
直ぐに広場の入口に着いた。
乗合馬車、、。
おぉ!止まってる止まってる。
御者の人に行き先を聞いてみないと。
広場の中をススっと進み御者の人の近くへ寄り。
声を掛けた。
あの~?この馬車は何処行きですか?。
俺はジャーレンタに行きたいんですけど。
行きますか?。
御者の人が俺の顔を見て驚いてる。
なんだ?。
おぉ~!兄ちゃん久しぶりだな!。
こりゃぁ~良い偶然だ。
うん、元気そうで何よりだ。
ここの馬車の半分はジャーレンタ行きだよ。
あぁ~2台だな。
乗るのかい?ホイ代金箱だぜ、入れてくれ。
ズボンから財布を出して硬貨を入れた。
目の前の人は、ここへ来る時と同じ御者の人だ。
へへへ!こりゃぁ今回の移動はツイてるな。
街道は元の状態にやっと戻ったし。
それに。
今回は馬車2台に乗せる客も多いときてる。
兄ちゃん!夜の間「灯り」の魔法をまた頼むぜ。
ありゃぁ~最高の魔物避けになるからよ。
う~んと?、、。
前の馬車はもう満席だから。
後ろの馬車だな、あっちの馬車に乗ってくれよ。
あと2席空いてたから乗れる。
直ぐに出発の時間になるからよう。
さあ!ほれ乗った!乗った!。
まったく調子の良い御者さんだな。
俺が2台目の馬車に乗り込んでからは。
もう他に乗客は増えなかった。
防寒着が少し窮屈だけど脱げないよ。
コレから風を切って進むから。
この乗合馬車は10人か12人が乗れる感じで。
前の方を向いて座席が並ている。
荷台の真ん中に狭く通路があって。
左右に広めの椅子が並んでるんだよ。
俺は一番後ろの座席に座った。
通路の向こう側は空席だ。
しばらくすると。
御者の人が木箱を4個。座席に置いたよ。
足元の床にも4個並べた。
その後に俺の方をうかがいながら。
兄ちゃん、悪いんだが頼み事が有るんだ。
ちょいとばかり目を掛けててくれないかな。
もしコイツが落ちたり壊れたりしたら。
マジもんで俺達が困るんでな。
何かあったらでいいから。
前の御者に伝えてくれないか?。
なあ?。
また!変な事を俺に言うの?。
もう!またですか?。
なんで俺ばかりです?。
まあ、それ位は良いですけどね。
御者の人が二かッと笑って。
助かるぜ。
兄ちゃんが良い奴でよ。
今回、俺は前の馬車の担当なんでよ。
また後でな!。
あぁ~、もう馬車を出すからな。
そう言って前の方に走って行っちゃったよ。
直ぐに声が掛かった。
ジャーレンタ行き~ぃ。
乗合馬車を出すぞぉ~~!。
広場全体に聞こえる位の大声だ。
いや、、これって聞かせてるのかな?。
あぁ、乗り遅れへの救済か。
少し間を置いてから。
動き出すと車体がギシギシと音を立てる。
ほぼ満席だもん、何となく音も重そうだよ。
馬車は街中を人を避けながらゆっくり走る。
やがて門を抜けて街道を進む。
この前の大雪の影響はもう無さそうで良かった。
街道は多少凸凹してるけど。
馬車は順調に進み、途中で1回休憩を挟んでから。
昼を食べる為の広場に到着した。
さあ、ここで昼の休憩だぜ!。
お客さん達!降りてくれよ。
馬車からは離れすぎないでくれ!。
今は日の高い日中で、昼間だがよ。
ここが安全だとは言い切れんからな!。
気を抜き過ぎないでくれ。
出発の時にまた声を掛けるから。
俺も馬車から降りて。
馬車の横へ行き、腰の魔法袋から。
すぐ横に腰を下ろす為に敷き布を置いて。
ストンと座り込んだ。
敷き布でも厚みを持たせれば案外良いジャン。
クッションなんて言えないけどさ。
えへへ、今はこれで充分、充分。
さてと、昼かぁ~何を食べようかなぁ~。
今朝。
ポーチから魔法袋へ。
食べ物を少し移動させておいたんだ。
串焼きの包みを1つと、パンを6個だ。
う~~パンで良いや!。
魔法袋から木皿を1枚とコップ出して。
木皿の上にパンを2個乗せた。
「清水」
大きめのコップに水が並々と湧き出た。
これだけで十分だ。
まだ暖かくて美味しいパンと。
美味しい水だけだけどね。
悲しい事に美味しい物ってのは。
あぁ~直ぐに消えて行く。
あぁ~美味しかった!ご馳走様でした。
まだ休憩時間だから、、。
魔法袋へ使った物を仕舞い込み。
中から敷き布をもう1枚出して長めに折る。
えへ!!簡易ベットに見立てて。
お尻の下のは、もう1回折って枕にしてっと、、。
そして防寒着を上手く上に掛けてっと。
馬車側じゃ無くて広場側を見ながら。
うひひ!寝ながらの休憩ぇ~。
そんな風にして横になると、、。
俺の横向きの視線の先に見えた風景は?。
3組の冒険者達が今も食事中です。
で、その内の、、。
1組の冒険者達が案外近くに居た模様で。
俺と同じ様に敷き布を折って座ってる。
防寒着を確りと着こんでいて。
片手に持ったパンを食べたのかな?。
でも今は、、。
女の人の2人組が横になった俺を見ている。
そう!近くに居た冒険者は女の人なんだ。
それも2人。
俺は、、。
今回も自分以外の周りを見て無かったからなぁ。
こんな状態になって、初めて気が付いたんだ。
見られてた事をさ!。
あぁ~~超恥ずかしいじゃん!。
どんな顔をしてパンを食べてただろう?。
あぁ~。
だから。
敷き布の横に置いてた帽子でね。
赤くなってそうな自分の顔を隠したよ。
あ~もう最悪。
だから、それからの事は知らない!考えない。
御者の声が掛かるまで寝てたもん。
そろそろ出発するから馬車に戻ってくれ!。
お~い!早く頼むぜ。
その声でムクっと起きた。
くぅ~と声が出る程に体を伸ばし。
敷き布の埃をパンパンと手で叩いてから。
腰の魔法袋へ仕舞い込んだ。
ふう。
一番後ろだから最後に乗ればいいや。
良かった、あの2人組は前の馬車だな。
馬車にお客が乗り込んで、俺が最後に乗り込む。
さっきの席にそっと座った。
みんな乗ったな?。
馬車を出すぜ。
ヤァ!ソレっと。
掛け声をかけると、馬車を引いてる馬?が歩み出す。
手綱をパンと波打たせて馬?を操てるっよ。
馬車が段々と加速して行くと。
車体からギシギシと音が鳴りだす。
人の駆ける速度より遅め程で進んでるかな。
十分早いよ。
今日の天気は晴れで、風も弱い日だ。
でも馬車は良い感じで走ってるからね。
まあ肌に当たる風は冷たいけど。
旅行日和?かな。
そんな事を考えてると横の木箱が。
俺の方へズレて来た。
元の所へ押し返そうとしたら。
おっと!揺れて横滑りしてるよ。
元の所に、、うげ!これ重いジャンか。
何が入ってるんだか知らないけどさ。
もう!面倒くさいなあ。
足と腕に力を込めて。
木箱を元の位置に戻した。
それからは何も起きない。
俺は周りの風景をキョロキョロと見ているよ。
草原の中を進んでるけど、多少の起伏が有るんだ。
所々には、こんもりとしたブッシュがあって。
何だか見てても飽きないんだよなぁ。
あっ、川とか水の流れてるのも見当たらない。
青空には白い雲がポツポツあるだけだ。
そういえば鳥って見ないけど、、。
居るよね?。
夜行性の危険なのは聞いたけど。
そんな事を思ってさ。
馬車の後ろ側の空を見回したけど。
上にも地上の草原の辺りにも居ない。
鳥の姿は1羽も見えなかったよ。
危険じゃ無い鳥も、居るよね?。
その後も鳥を探してみたけど。
見つからなかった、まさか居ないとか、ねぇ?。
えっ?冗談じゃ?。
午後の休憩場所でも見当たらなかった。
あれ、、鳥、、居ないの?。
そんな事に頭がグルグルしていると。
草原の景色が夕刻を告げていた。
日は傾き、真っ赤な夕焼け空だ。
馬車が速度を落とし街道横の広場に止まった。
ここが今日の野営場所だから。
降りて各々寝床の準備をしてくれ。
馬車から離れ過ぎないで頼むぜ。
広場の隅の方は出来るだけ行かないでな!。
小用の時も同じだ。
俺も急いでテントの準備しなくちゃ!。
1番に馬車から降りて辺りを見回す。
さてと、どこにテントを立てようかな?。
街道はアッチでしょ、う~。
草原寄りは避けて寝たいから。
決めた、もうここで良いや。
馬車の車輪の真横、ここは1番安全でしょ。
へへ~。
魔法袋からテントの部品を出して並べた。
地面に床の分のシートを広げ。
その上に三角形の骨組みを組んで形にする。
その上に厚めのシート生地を乗せてから。
下の生地と重ねて備え付けの紐で結んでいく。
出入り口の分は捲って開けておく。
風で飛ばない様に敷き布と、。
使わないけど、竈を真ん中に置いた。
よ~し。出来たァ~!。
このテントって、、。
骨組みが細いけど、意外と頑丈そうだよな。
それに、お店の人が言ってたけど。
ホントだったなぁ。
こいつは冬用だからな。
寒さや雨。それに雪にも強いぜ。
でもな、暑い季節は駄目なんだよ。
密閉と保温が良すぎてよぉ。
悪いけど寒い季節が過ぎたら。
夏用か、別のテントを買ってくれな。
あの言葉の通りだった。
夜寝ててもそんなに寒くなかったもん。
暖かくなったらさ。
また別の安いのを買えば良いや。
寒さは結構防げるから良い買い物だったよ。
さてと。
また「灯り」の準備をしちゃうかな。
あの御者を探して「灯り」を置く場所の相談だ。
悪いな、兄ちゃん。
いやぁ~!ホントに助かるぜ。
今夜は俺が後番のよ、夜番なんでな。
アレが有ると大助かりなんだよ。
マジで魔物が現れねぇーからさ。
じゃあ~アソコと、、アソコに2つ頼むよ。
あと反対側にも。
街道の向こう側にも2つ頼むぜ。
アッチと、、、アソコ当たりだな。
4か所へ指をさして、大体の場所を指定された。
じゃあ!この前と同じ感じで。
木の棒をさして、その上に「灯り」を灯しますね。
光り方も同じ位で魔法を使いますよ。
ああ。それで十分だよ、頼むぜ兄ちゃん!。
今夜はいつもと違う夜番だな!ふふ。
方向を確かめ、草むらに踏み込んで。
馬車からの距離を考える。
木の棒を杖代わりにガサガサと。
10歩進んで振り返り。
また10歩進んで振り返る。
それを繰り返して良い感じに離れた。
う~~、ここいらで良いかな。
それっ。
ガサ、そんな音を立てて棒が刺さった。
よし!「灯り」。
くぅ~眩しいや!移動移動。
アッチの方だったよなぁ。
もう暗いから、左手を目の前の翳し。
光を遮ってないと自分の目がおかしくなる。
横に移動して「灯り」と馬車の位置関係を確認。
ここいらが2個目の場所だな。
同じ様に、地面に木の棒を刺して「灯り」を灯す。
辺りを見回すと。
2つの「灯り」で草原を照らしてる。
広場には焚火の火がオレンジ色に光ってる。
それと何か所かに「灯り」の魔法が点いてるよ。
はは、キャンプだな。
こっち側は、うん!十分でしょ。
後は、向こう側にも2か所だっけ?。
この前は1か所じゃ無かった?。
まあ、ついでか。
馬車の止まってる広場を通り抜けて反対側へ。
こっち側は街道もあるし、、この辺で良いよね。
後はアッチで1個。
4個の「灯り」の魔法を指定場所辺りに立てた。
草原を抜けて街道を横切り。
御者の人に声を掛けた。
4か所に「灯り」を立てましたからね!。
あれで良いでしょ?。
おう!。
最高だぜ!今夜も有難うよ。
いやぁ~!良いな、周りが明るいぜ。
えへへ!。
俺の「灯り」は、ほぼ昼白色だから。
炎の灯りより明るいよね。
それに強力だし。
これなら魔物が来ても直ぐ分かるだろう。
んでさ、俺以外の冒険者の人が、、。
魔物が襲ってきても。
バンバンとヤッツケテくれるだろう。
えへ、安全第一!安全第一!。
さてと仕事は終わったから。
俺もテントに戻って美味しい夕食だな!。
うふふ。今夜は何にしようかな。
すんなりと広場に戻って来た。
テントの中で何を食べようか?、、。
串焼きか、、お好み焼き風かな?。
そんな事を考えて足を進めて。
自分の小さなテント前に到着だ。
ねえ!。
あの凄く明るい魔法は、、何なの?。
何て言う魔法かな?。
良かったら、私に教えてくれない。
後ろから女の人の声が聞こえた、、?。
あれ?。
振るかえると、、。
さっきの。
2人の女の人が俺を見てたよ。
右手を腰に当てて「灯り」を指している。
なにって、、。
あれはただの「生活魔法」の「灯り」ですよ。
俺。得意なんですよね「生活魔法」が。
この前も同じ事をやったんで。
また頼まれてしまって、、。
あはは。
あれは「生活魔法」です。
嘘よ!違うでしょ。
俺はジャーレンタへ帰るだけだよ、ウソは言って無いし。
いつも読んでいただき、有難うございます。
随時、修正と改変をしていきますので、、。
間違い等は、スルーでお願いします。