何事にも好々
俺の乗った馬車は。
ラビリンスの有る所?場所?に到着。
馬車の上に立ってみると。
ここは町とは言えないけど。
大小さまざまな建物が何件も建っている。
ラビリンスの周りに出来た宿場町って事かな。
馬車はその入り口の広場のような所で停車した。
先行の馬車の冒険者たちが列を成している。
町の中へと道を進んで行くよ。
あの列に続いて行けば大丈夫かな?。
大部分の冒険者はラビリンスに行くだろうし。
俺もあっちへ行こう。
御者の人に黙礼をして冒険者達の後を歩いて行こう。
その途中で半分程の冒険者が左右の建物に入っていったよ。
宿屋とか商店に向かったのかもね。
歩いてると直ぐに小さな宿場町を抜けてしまう。
俺の予想は合ってそうだよ!。
目的のラビリンスはこの先に有るんだな。
宿場から近いと良いけど。
そんな事を思いながら歩いていると。
数人の冒険者の列の先に小屋が1軒見えたよ。
あの建物は何だろう。
まあ行けば分かると思うけど。
更に近づいてみて分かったよ。
2人組の役人ぽい人が手元で何かをしている。
あれは。
冒険者彰の確認をしてるのかもだな。
魔物が闊歩するラビリンスってさ。
一般人が入っちゃ危険だからかな?。
うぅ~!やっぱり冒険者だけが入れるのかな?。
まあ俺だって。
今は冒険者だから入れるよね?。
ゆっくり歩いててけど。
検問所?もう目の前まで来てしまったよ。
俺の前には1組の冒険者グループだけだ。
次は俺の番なので。
冒険者彰を服の中から出しておくよ。
今検査をしてる人達って。
ここの領の役人なのかなぁ。
2人の着ている服装が紺色のお揃いだし。
左の肩には小さな紋章が付いてるよ。
何の形かは分からないけど。
そして。
次の冒険者!ここへ。
俺の番だ。
言われた所に素直に立ってみた。
冒険者彰を右手で差し出すよ。
役人さんの左手に。
板の様な物を持っていて。
俺の冒険者彰を板に翳した。
なんだ!。
お前は今年の新人か!。
それも1人だけで、。
検査をした人が俺を見て唸ってるよ。
うぅ~ん。
まあ止はせんがな。
忠告だけはしておくぞ。
新人には危険だからいきなり深くは潜るなよ。
いいか!。
始めは2階層辺りまでにしておけ。
話はソレだけだ。
後は自分で判断しろ。
行け、進んで良し!。
忠告をされちゃったよ。
まあ俺は15歳の新人だからね。
でもさ、チョットは戦えるよ。
役人さんの下を離れて先に進むけど。
あぁ~前の冒険者から離れちゃったな。
でも道が付いてるから平気だよね?。
さてと。
距離は詰めずに。
これ位離れてる方が良いかもしれない。
そんな事を思いながら。
ある程度離れた距離を取り。
前の人に続くよ。
あれ?。
道が続いて無いじゃん。
すぐ先で道が切れているよ。
道があそこで終わってるの?。
そして。
前を歩いてる人が横を向いた?。
おぅ?人の姿が小さくなっていく。
階段を下りる様に段々と下半身が無くなって。
そして視線から消えちゃったよ。
誰もいなくなった。
前の人が消えちゃったけど。
あそこがラビリンスの入口なのかな?。
ラビリンスへの階段が有るの?。
さらに道を進んで行く。
視線の先の平地には。
人が歩いてつけた道が伸びているけど。
ある所で消えてる。
道の消えてる所には。
予想通りの穴が有った。
5m程の縦穴が開いているじゃんか!。
穴の向こう側の壁にも同じ様に。
下への階段が見えるよ。
恐る恐る。
穴の縁へそっと近づくと。
ヤッパリコッチニも階段がある。
でも、これって、、。
俺の目の前にも階段があったよ。
その階段の幅は50cm位しか無い!。
階段は竪穴の外周に螺旋を描いて。
下へ!下へと向かっている。
穴の反対側の階段も同様だ。
螺旋で下へ伸びているよ。
パッと見で2重の階段が見えたから。
意外と最初から深く降りそうだ。
俺はそこから斜めに数歩下がって。
草の生える地面に座り込んで叫んだ。
だって我慢できないんだもん。
なんだよ!この入り口!。
マジかぁ~。
手摺のない階段なんて駄目だぁ~!。
それに。
あの階段の足場の横幅狭すぎぃ~!。
こんな入口のラビリンスなんて、、。
嫌いだ!。
あぁ~もう!。
あまりの事に。
前方の穴を見ながら叫んでしまったけど。
ハッとして後ろを振り返ると。
2組の冒険者が俺を見て笑っていたよ。
まあ、事実、情けないけどね。
あはは~ぁ!笑われちゃった。
2人の冒険者が俺に近づいてきて。
いやぁ~笑って悪かったな!。
ここのラビリンスだと。
偶に見る光景なんだが。
君の文句は中々良かったから。
くくく!。
ついなぁ~。
また2人して笑いだしたよ。
俺の座ってる姿も受けてるらしい。
もう!最悪じゃん。
ん~~~?。
ちょっと聞くが君は今年の新人かな?。
だとすると、、。
そんな風に謝罪しつつも。
変な顔をして。
1人が俺に質問してきたよ。
ええ!今年15歳になって冒険者に成りました。
新人、そうですけど何かありますか?。
質問に質問返しで聞いてみたよ。
う~ん。
ここに来る新人は春になってからが多いんだ。
今はまだ1月の半ば過ぎだろう?。
だから今年は早いなって思ったんだよ。
はは。
まあコレも絶対って訳じゃ無いから。
でも珍しいのは変わらないよ。
まあ俺が予想以上に順調で。
色々と物事を素っ飛ばしてるのかもだけど。
コレは「女神様」のお陰かな。
そうなんですか?。
俺も自分が恵まれてるなぁと思ったりしてますけど。
でもここのラビリンスの入口には、、。
チョット引いてますよ。
あの階段を下りていくのを想像するとね。
あんなのは好きじゃ無いんだよ。
まあラビリンスなんて色々だからな。
稀るしかないんじゃないかな。
君も冒険者を続けるならね。
中にはもッと嫌になるラビリンスも存在してる、、。
おっと。
急に表情を変えると。
すまんが俺達が先に階段を行かせてもらうよ。
君はそこで休んでな。
落ち着いてからラビリンスへ入ると良いよ。
じゃあな。
何だか優しい言葉を掛けられたけど。
俺の目の前を離れ階段を下りて行った。
まだ2人は笑ってたよ!。
手を振りながら消えていったんだけど。
くぅ~!憎たらしい。
こうなったら俺も行くしかないじゃん!。
立ち上がってパサパサと手で土埃を払い除け。
左腰の短剣を触る。
さあ!ラビリンスに行きますか!。
あの階段を下りて。
穴の縁に立ち、下への階段を睨みつけ。
1歩1歩降りてみるけど先は長いよ。
壁を右手で触りながらゆっくりだ。
左下へ視線を向けると地面が見える。
あそこが地下1階。
ラビリンスへの入口部分かな。
考えながら降りていると。
後ろから男の声が聞こえた。
はっ?。
兄ちゃん!。
悪いがもうちっと早く歩いてくれよ。
ほら!後ろがつかえてるんでな!。
そっと後ろを振り返ると。
1,2,3,,,7人の冒険者が後ろに居た。
俺が鈍いので行列になってたんだ。
うぇ~~!。
遅くて御免なさい。
頑張って急ぎますから!。
きついプレッシッャ-を受けながら。
トントンと階段を下って行ったよ。
俺は背にゾクゾクと冷や汗をかきながら。
なんとか地下1階に降り立つことが出来た。
ふぅ~~~~ぅ。
降りれたぁ~。
君は新人かな?。
はは。
急がせて悪かったな。
さっき後ろに居た冒険者が声を掛けてくれた。
いやぁ~ビビリの俺も悪かったから。
さっきは御免なさい。
あの場所の俺には。
後ろを見る余裕なんて無かったんで。
まったく分かりませんでしたよ。
次からは気を付けます。
あはは。
まあ階段なんて慣れだからな。
ラビリンスには色々あるから気を付けてな。
じゃあ。
俺から離れて仲間の所へ歩いて行ったよ。
ほほぉ~。
あちらは男3人組のパーティーだな。
幾つも空いた壁の穴の1つに消えていく。
ここはラビリンスの地下1階だ。
地上の穴の大きさとは違う。
ここは広いよ。
俺の居る所は丸い形の広場の様で。
見渡すとラビリンスの岩壁には。
幾つも穴が開いているよ。
あの穴一つ一つがラビリンスの通路なんだな。
えぇ~と、、。
10個も穴があるじゃん。
はぁ~!どれが良いんだか?。
途方に暮れそうになるけど。
行くしかないんだ!。
ドレデモいいジャン。
よし!。
一番近い、ここの穴に決めた!。
階段を下りて直ぐ前の穴に決定だ!。
腰に付けた魔法袋から。
小盾を取り出して左手に装備する。
穴に入り込み数歩進んでみると。
あぁ~。
ここもヤッパリ通路は暗いんだなぁ。
この前と同じで良いよね。
「灯り」
自分の頭の上に生活魔法の「灯り」を1つ。
光を弱く灯して進むよ。
足を踏み入れた通路の壁は。
大きな石を組んだ様な感じで凸凹は無い。
足元も平坦で歩くのが楽だよ。
それに他の冒険者の居る感じはしないなぁ。
通路に響く音は自分の出した物だけだ。
コツコツと自分の足音が響くよ。
5分、10分、そんな感じで通路を歩いて行く。
はて?何にも無いんだけど。
そんな事を思いつつ更に奥へ向かう。
かなり進んだと思っていると。
あっ!あれは?。
前のラビリンスで何度も見て来た横穴だ。
あそこを曲がると何が有るかな。
楽しみだな!。
通路から顔だけ横穴の方に向くと。
数歩進んだ先に部屋の灯りがボンヤリと見える。
おぉ~!部屋だ。
あの中にスケルトンが居るのかな?。
1体だと良いんだけどなあ。
まあ中を覗いて見よう。
部屋の入口手前まで進み。
中の様子を窺うよ。
う~~、薄暗くて良く見えないなぁ。
また「灯り」を部屋の中に点けちゃえば良いか!。
よし。
「灯り」
パッと部屋の中が明るくなって良く見渡せる。
目の前には居ないから左は?居ない。
じゃあ右でしょ!。
居た!。
白っぽいスケルトンだ。
ホントに骨だけで立ってるよ。
あぁ~それに2体も居るじゃん!。
俺は剣なんて真面に使ったことが無い。
超初心者なんで。
いきなり2体は無理じゃ無いかな。
今回は初回だし短剣での戦闘は無しの決定!。
必然的にfn1910の出番な訳ですね。
左手の盾はそのままで右手の中に。
スッと重量感が伝わった。
右手を目の前に持って来ると。
自然とfn1910が握られているよ。
この前のままだから。
魔法弾は30発入ってるよね?。
何だか久しぶりに握ってるからかな?。
fn1910が重いんだけど、これ気のせいだよね。
威力は「1」で良さそうなんだけど。
あれは骨だし!。
ギルドでもパキンと切れるって言われたし。
このままだ。
さて。
此処の通路から撃っちゃうか?。
それとも中に入る方が良いのかが問題だな。
うぅ~どうしようかなぁ~。
悩むよなぁ~。
あぁ~~~~!よし。
取り合えずスケルトンは2体居るから。
1体はここから撃っちゃって、、。
様子を見てみるか。
そうする事に決めて通路の壁に体を押し付ける。
右手を伸ばしてfn1910も狙いをつけるけど。
迷ってしまうよ。
スケルトンの何処を撃てば良いのかと。
それと魔法弾が効くのかともね?。
頭か心臓の辺りか胸の中心部か?。
狙う場所が三角形で狙う手が動くよ。
よし!頭だ頭蓋骨に決めた。
スケルトンは部屋の中で数歩ずつ動いては止まる。
そんな動きを繰り返している。
うぅ~!。
いざ狙ってみると頭って小さいジャン。
それに動いてるし。
これは当たるのは五分五分位かな。
片目を瞑りfn1910のサイトを合わせる。
当たれ!。
パシュン。
バキ。
ガラガラ、カランコン。
良かった。
魔法弾はスケルトンに当たったよ。
頭蓋骨が半分弾け飛んだと思ったら。
体の部分の骨が崩れていた。
お~これは頭を壊すのが正解な。
残りの1体は短剣で行ってみようか。
fn1910を消し、右手で短剣を引き抜く。
シャンという音がするんだよ。
へへへ!コレだけでもカッコ良いでしょ。
装備を整えて部屋の中に踏み込む。
動きの遅かったスケルトンが。
部屋に入った俺を認識したら。
動きが急にシャンとして。
スッと俺の方を向いたよ。
スケルトンが右手を上げると。
短剣位の大きさの剣を持っていたよ。
あっ!。
うそぉ~~~!。
お前!武器を持ってるの?。
それさっきまで持ってたかぁ?。
楽勝かと思ったらこれはピンチかも。
取り合えず小盾を前に向けて防御しないと。
カシャカシャと音を立てて俺の方に歩いてくる。
良かったよ走っては来ないらしい。
動きが遅ければ対処出来そうじゃん。
剣を俺に向けて振り下ろしながら。
目の前へ迫るスケルトン。
でも。
ん?。
剣を振り下ろすのも遅いとか。
俺にとって良い方向に意外過ぎる。
スーッと迫るスケルトンの剣を小盾で横に弾く。
ギュイン。
金属のぶつかる良い音が響くよ。
俺からの御返しだ!。
それっと。
右手の短剣を。
下から斜め上に向けて切り上げる。
俺の真近に立つスケルトンの左脇から。
頭蓋骨へ向けて短剣を引きながら。
パキパキパキパキコーン。
幾つも骨の折れる音が耳に届くよ。
ガラガラ、カラン。
スケルトンを上手く切れたのかな。
目の前に骨が崩れてるよ。
コーン?。
パキン。
ん?。
最後の音は何だ?。
辺りを見回すと。
離れた所に頭蓋骨が割れて落ちてる。
あはは。
頭蓋骨が上手く切れなくて。
あそこに飛んでったのか。
スケルトンを何とか出来たけど。
何だかスッキリしないなぁ。
スケルトンの。
遅い動きに助けられたのかな。
足元のスケルトンの残骸を見ていると。
淡く光ってる小さい魔石が見えた。
おっ!魔石発見。
じゃあ、あっちの残骸の中にもあるかも。
よし探そう。
予想は当たり2個目の魔石を見つけた。
小さいけど魔石だ。
2個の魔石を手に持ってみると。
頭の中に2個で2魔力と浮かんできた。
はぁ~~何だこれ?。
その瞬間は分からなかったけど。
俺は思い出したよ。
手に入れた魔石の中の魔力を。
俺は自分の物として使える事を。
とすると、、。
スケルトンの魔石1個は10円って事?。
はぁ~~10円。
10個で100円。
100個で1000円。
う~~~ん。
1こ10円かぁ。
確かに安いんだけど。
無いよりは、よっぽどマシだよなあ。
色々買えるだろうし。
それに魔物によっても。
価値が変わるだろうしなぁ。
手にした魔石を見詰めながら思いに耽ってる。
この部屋の中には他には何も無いよね。
はぁ。
考えるのは後にして。
今はラビリンスの冒険だな。
自分の階位も上げなきゃだしね。
そう呟いて通路に戻ったよ。
またラビリンスの奥に歩いて進む。
はぁ~10円かぁ。
読んでくれる方々に感謝をいたします。
時々誤字修正や加筆をしています。