ああ買い物
ジャーレンタで暫しの時を。
昨日。
結局の所、ダンケロさんは「石」を選ばなかった。
俺とは気遣いが違うよ。
良いかシン。
順番が逆だろうな。
アルロがラビリンスから帰ってきたら。
お前が奴に説明してだな。
自分の「石」を選ばせよう。
アイツが先だろう?。
なぁ。
ああ、言われて俺も思ったよ。
流石!。
大人のダンケロさんは違いますね。
アルロの事は、俺も頭から抜けてましたよ。
あぁ~一番大事な事なのになぁ。
じゃぁ。
この3個の「石」はダンケロさんに預けておきます。
じっくりと鑑定しててくださいね。
へへ。
それと、この溶けた鉱石ってどうです?。
ここで買い取ってもらえますかね。
ああ、この2個の金鉱石な。
良い感じに溶けてやがるじゃないか!。
今までに、見た事が無いくらいに、。
、、。
どれどれ。
1個をスッと両手で持って。
、、ニギニギしてるよ。
ギリギリ!ギュウギュウと音が、、。
すると金鉱石から。
ポロポロとテーブルの上に石屑が落ちる。
砂と小石だ。
テニスボール程だった物が。
手の中で見る見ると?。
ピンポン玉より小さくなったよ。
それをポイっとテーブルの上に落とした。
コレは良いな!。
あははぁ~!。
キンキラ金の、、玉になっちゃった!。
はぁ~ダンケロさん、、凄いなぁ?。
普通はこんな事出来ませんよね?。
スゲェ!。
まぁな。
こんな事は遊びだ。
そっちのも同じ感じの鉱石だから、、。
ふん!2個で。
金貨、、5枚と、銀貨6,70枚あたりだな。
シン。5枚と70で買い取ろう!。
うぉ~~!。
金鉱石!ソレで良いんですか?。
凄ぉ~い、ホントに?。
じゃぁじゃ~ぁ。
その金額でお願いしますよダンケロさん。
良かった!これで明日の心配が無くなった!。
はぁ~良かったよ。
おい!。
明日がなんだって?。
何か大事な事でもあるのかよ。
まずは。
ほら!コレが代金の5枚と70だぞ!。
ダンケロさんが腰に付けた魔法袋?から。
お金をテーブルの上に置いてくれた。
あっ!。
女性の買い物は怖いからね。
つい言葉に、、無意識に口に出してたみたいだ。
俺の心の声が、だだだっと漏れてたんだな。
まだお金は持ってるけど心配だしね。
ははは!。
金貨5枚と銀貨70枚。
確かに、、、、、受け取りましたよ。
えぇ~と。
さっき言ったのはですね。
孤児院の仲間にラビリンスの事を話してて。
その話の最後で、、。
仲間の女の子達に聞かれたんですよ。
「私達へのお土産は?」ってね、ははは。
すっかり忘れててですね。
あっちでは、自分の事ばっかり考えてて。
あんまり余裕は無かったから。
それに、速く帰ろうって、、。
へへ!。
ダンケロさんは「?」「はぁ~」な感じで。
対面から俺の顔を見ていた。
そして首を傾げて。
んん~~?。
お前の考えが普通だろう?。
違うのか?。
それにだ、ラビリンスの「お土産」ってなんだよ!。
なあぁ、、旅行か?。
うぅ~勘違いにも、、。
はぁ~俺には分からん!。
それからも、、ダンケロさんと少し話して。
じゃぁ、俺はそろそろ行きますよ。
アルロが帰るまで「石」は預けますから。
まあ、また来ますけど。
おう!。
俺も仕事に戻らんとイカン。
俺は鍛冶場を後にしてパン屋さんへ向かうよ。
美味しいパンの補充が目的なんだ。
店に近づくと。
ついつい良い匂いに引かれて。
足が速く動いてパン屋さんへ到着!。
あぁ~ルジロさん居るかな?。
パン屋さんへ入ると更に良い香りが鼻に届く。
かぁ~~~!。
この香りだけで美味しそうだ。
パンの飾られた段の向こうにリミアさんが居たよ。
ルジロさんリミアさん!。
俺に美味しいパンを下さい!。
おぉ~!。
シン君じゃ無いか。
久しぶりだ!来てくれたんだね。
あ~ぁ、ようやく会えた。
君達の手伝いのお陰で、あれからはねぇ。
うちのパンは美味しいって評判になってね。
今も、ず~っと大忙しなんだよ。
朝から晩まで、準備にパン焼きで時間が無くてね。
嬉しいんだけどさ。
だから、お礼も出来なかったんだよ。
良かったぁ~!。
今の繫盛は君たちのお陰だ。
本当にありがとう。
あぁ~。
前に孤児院に届けたパン、アレどうだったかな?。
ホントは君達の意見が聞きたかったんだけど。
忙しくってね、上手く行かなくて。
ルジロさんが俺に色んな事を捲し立てるよ。
ははは、大繁盛で良いジャン。
良かったじゃないですか大忙しで。
俺もアルロも問題無しです。
届けてくれたパンは、仲間にも大好評でした。
美味しいのは正義ですからね!。
このお店に美味しいパンが有れば。
お礼なんて要りませんよ!。
おぉ~!。
自分のパンを買わないと。
その美味しいパンを、3個を4種類で計12個。
持ち帰り用に、お好みで包んでくださいよ。
俺の冒険の間のおやつになるんで。
あぁ~今から。
食べるのが楽しみだなァ。
シン君。
12個も買うのかい?お好みって?。
何なんだい?。
ルジロさんとリミアさんのお勧めを4種類で。
3個を4つって事ですよ。
あ~楽しみだ。
ふ~ん!なるほどねぇ!。
じゃあちょっと高くなるけど良いのかな?。
お金は大丈夫なのかい?。
はい!大丈夫ですよ。
ラビリンスで頑張って来ましたからね。
リミアさんが笑いながらパンを選んでくれている。
ルジロさんも悩みながらパンを選んでくれているよ。
おっと!。
孤児院のみんなの分も買っていくかな?。
あれ?でもだこっちの分の方が多いのかな。
えぇと。
はい!シン君。
この包みに12個入ってるからね。
代金は、1個が銅貨10枚の何で12個だから。
銀貨1枚と銅貨20枚だね。
今回のパンはちょっと高いけど。
全部のに美味しさの自信が有るからさ。
期待しててね。
それと、また感想をね聞かせてよ。
確かに高いけど。
パンにその価値は、有るんだ!。
ポーチからお金を出していく。
はい!これが代金です。
それと追加で、あと16個を持ち帰りたいんですよ。
こっちの分は、全部同じ物で良いです。
値段も、半分位のパンでお願いしますよ。
へへぇ~、孤児院用のお土産様ですね。
ははは!。
やるなぁ~あと16個もかい。
じゃあそれは1個が銅貨5枚のパンにするよ。
でもこれも十分に美味しいからね。
あぁ~代金は銅貨80枚だね。
銀貨1枚で支払えばいいかな。
はい、銀貨1枚です。
銅貨のお釣りをもらい、パンもバスケットで受け取った。
その入れ物は今度持って来てくれれば良いから。
急がずに何かの序で出で良いからね。
受け取った2つのパンの入ったバスケットは魔法袋へ仕舞ったよ。
おっ!シン君それは?もしかして。
あれかい?。
へへぇ!。
そうなんです、これは魔法袋なんですよ。
まぁ、これに入る量は少ないけど便利ですよね。
良いねぇ~魔法袋!。
うちも欲しいけど高いよねぇ。
確かに買うと凄い値段がするよ。
運が良かったみたいで。
ラビリンスの地下5階の宝箱から出たんですよ。
ほ~~!宝箱かい。
偶に聞くよね、そんな話。
ホントに羨ましそうに魔法袋を見ているよ。
じゃあ。
またパンを買いに来ますから。
パン屋さんを出て雑貨屋さんへ足を向けた。
何年もジャーレンタに住んでるけど。
初雑貨屋さんだよ。
確か。
古着屋さんの隣に店が在ったような気が?。
あった!あそこだ雑貨屋さんだ。
俺の記憶は間違って無かった、合ってたよ。
入口の扉の横に小さな台があって、小石?が乗ってる。
はて?小石?コレは何だろうか?。
まあいいや入ろう。
中に入ってみると意外に荷物は少ない?。
キョロキョロと店の中を見回していると。
いらっしゃい!。
お客さんは何が要るのかな。
店に、表に置いて無い物も多いから。
あぁ~ここに無ければ、私に聞いてね。
倉庫の方に在るかもしれないから。
ん~~~?。
あんた?いや君かな?。
見ない顔だけど此処へは?。
高齢の女性店主さんが俺の方を見て聞いてきたよ。
まあ、初雑貨屋さんだしね。
はぁ~、此処へは始めて来ましたけど?。
何でしょうか。
いや何でも無いんだ。
悪いね気になっただけなのさ。
君は、この町の人かい?。
何だろう、俺の何が?。
ええ!。
俺は。
この町の修道院の、孤児院の育ちですけど。
今年15歳で「成人の儀」を済ませました。
もう直ぐに孤児院を出る予定ですが。
何か?。
女性店主さんが笑って言った。
あはは。
成程そうなんだね!。
じゃあさ。
君は、、ラッエの知り合いかい?。
あの御洒落な女の子の。
なんだか知ってる名前が出て来たな。
御洒落な女の子=ラッエ。
ははは!確かに!。
そう言われて納得出来るよ。
はい。
ラッエは同じ孤児院の仲間ですね。
俺より一つ年上で。
去年からシディリーさんの、、。
薬屋さんに勤めに行ってますけど。
確かに、、彼女は御洒落ですよね。
それからは。
店主さんとお喋りしながら買い物が出来たよ。
ラッエは此処のお店の常連さんらしい。
小物を買いに来るんだってさ。
オリジナルの小物のオーダーも頼んだ事が有るらしい。
流石!ラッエだ。
手に入れたよ。
念願の少し厚い敷毛布の様な布を2枚買えた。
後は冒険者の必需品を聞いてみたけど。
「火」と「水」と「灯り」とかは。
生活魔法で何とかなるって言ったら。
あんたは随分と恵まれてるのねぇ~。
冒険者なんてのはさ、長旅とか移動でね。
この3つの小物類で意外と苦労するんだよ。
はぁ~!。
あんたには売れる物が少なそうだよ。
さて、何を買ってもらおうか?。
御小言を言われつつ。
食器類とそれに類する小物を少しと。
鋏が無いか聞くと、、懐かしいU字型の奴が出て来たよ。
はい!、鋏はこれだね。
うん購入だ。
後は明日には隣の古着屋さんに来るし良いかな。
明日、隣の古着屋さんに来るので。
あとの必要な物を考えておきますから。
今日はこれ位ですね。
挨拶をして雑貨店を出た。
もうそろそろ昼になる頃かな。
串焼きを買って宿で食べようか、、。
途中で見事に串焼きの屋台を発見したよ。
持ち帰り用にして、3本購入。
今回のも良い匂いだ。
腰に付けた魔法袋に仕舞い宿へ。
ロジーヤさんから部屋の鍵を受け取り階段を上がる。
部屋の中でさっき雑貨屋で買ったコップを手に持ち。
「清浄」
うん!服も奇麗になった。
よしよし!。
冷えた水の入ったペットを取り出してコップに注ぐ。
串焼きも出してっと。
あぁ~冷えてると、冬でも水が美味しいなぁ。
この串焼きも味付けが微妙に違うじゃん。
この味も旨いなあ!。
昼は2本にしておいて1本は今度に取っておこう。
へへ、ポーチに入れておけば大丈夫!。
出した物をポーチへ仕舞って。
ベッドに横になって考える。
後は何が必要かな。
明日には服が買えるでしょ。
あぁズボンの方が上着より余計に要るかな?。
う~ん。
ノート見たいな紙が有るかな。
鉛筆とかボールペンも無いよなぁ。
雑貨屋さんにも無かったな。
まあ孤児院でも見た事無いけど。
はあ。
修道院で使ってるのは羊皮紙ってやつなのか。
インクをつける羽ペンみたいだったしなぁ。
グルグルと考え事をしていたら。
ウトウトと眠くなってきたよ。
駄目だ!魔力を貯めておかないと、、。
アローヌ王国
シン 男 15歳 冒険者
階位 1
体力 29
体力 25
魔力 48・163
ーー ーー
俊敏 36
器用 30
ーー ーー
生活魔法・灯り・清浄・口火・清水
30を貯めて、、。
うぅ~今寝ちゃうと、、。
でも駄目でした!。
お腹が膨れて気持ち良くなったら、寝ました。
起きたら、もう夜で串焼きを1本食べて。
本格的に寝てしまった。
今朝も少し寒くて目が覚めた。
ベットの中で寝がえりをして窓の方を見ると。
もう明るい。
俺、、。
なんだか最近寝すぎな感じだけど。
はは、まあ良いか。
起きて朝の支度を済ませて御飯だよな。
用を済ませて1階へ降りていくと。
甘くて良い匂いがしていた。
リークさんが居たので。
お早うございます!、俺にも朝ご飯を1つ。
お願いします。
シン君!久しぶりね。
今朝のメニューは。
軽いトーストにジャムのセットにハーブ茶か。
いつもの奴だけど?どっちにする?。
甘い香りはジャムのなんだ!迷わずに。
ジャムのセットを1つ。
はい!座って待っててね。
うぅ~ん1人だからカウンターでお願い。
カウンターの一番端の奥側に座った。
あれ?。
はて?トーストって、、ここにあったっけか?。
暫くすると。
リークさんが。
トレーに乗せた皿を目の前に置いてくれた。
おぉ~~~~!。
コレは、あと少しでモーニングって言えるじゃんか。
厚切りパンが1枚、薄く焼き色が付いてる。
横の小鉢には紫色のジャムが少しだけど、、、。
あぁ、あの森で取った果物かな、良い香りがする。
ジャムを付けたパンは甘酸っぱくて最高だよ。
何だか分かんないけどハーブ茶も合う?。
今日は朝から最高だ。
う~~美味しくて幸せだぁ~。
もうシンったら、何を言ってんのよ。
カウンター越しにロジーヤさんに笑われた。
だって美味しいんだもん。
このジャムって、アレですかね?。
みんなで集めたヤツ。
当たりよ!君たちが集めてくれた果物のよ。
良く出来てるでしょ?。
最高です!。
楽しい食事を済ませてから、部屋の鍵を預ける。
これ部屋の鍵です、お願いします。
はい、確かに預かったわ。
俺はこのまま出かけてきますから。
ロジーヤさんに挨拶をして孤児院に向かうよ。
宿を出て町中を歩いて行くと。
今朝もケリオサ達の3人と会ったよ。
お早う!。
みんな聞いたかな今日の午後の事?。
すると、女の子2人が、レーリエとサリタが!。
シン兄ィ!ホントなの?。
孤児院のみんなに。
洋服を買ってくれるって聞いたけど。
ねえ大丈夫?。
2人が変な顔で俺の方を見ているよ。
ああ!その事なら大丈夫さ。
十分にお金は稼げたから安心してよ。
今日はさ昼を食べて。
午後からは古着屋さんへ買い物だよ。
さあ、だから3人共仕事に行ってきなよ。
俺は孤児院に行ってるからさ。
それに、、。
ジュニューとルシーナとミモリーの3人で。
勉強会をやるんだよ。
あはは!それは楽しみだなァ!。
シン、、頑張って!。
じゃあ後でね。
3人が仕事へと向かって行った。
俺も仕事場へ行こう!さあ勉強会だ。
孤児院に着いて3人を食堂に集めてから、、。
並んで向かいに座ってもらう。
今日は、これから昼まで勉強会をしたいと思います。
えぇ~と、御褒美も用意してありますので。
皆さん頑張ってください。
御褒美って何?。
ねぇ!シン兄ィ、。
御褒美、、。
勉強、、。
顔色の悪い3人。
さてと!、、数字の勉強からだな。
、、、、、、、。
今さっき迄ヘロヘロだった3人組の女の子。
俺が御褒美に出したパンに御満悦だ。
俺用の美味しい方のを3個出してみたんだ。
美味しぃ~~~!
あぁ~~この中に入ってるの何だろう。
あう~~~!。
パンが熱くて!。
まだチーズがこんなに伸びるぅ~!。
美味し塩ッパイ!。
あぁ~。
シン兄ィ!。
これ美味しいよぉ~。
暖かくて柔らかいパンなんて。
あ~~ん!もう!。
勉強は嫌だけど、御褒美は最高。
うん!「最高」。
3人の声がハモるよ。
まぁ勉強会は、ここまでで止めておくかな。
後は修道院の掃除をすればいいか。
それから、みんなで昼を済ませて買い物に出かける。
あれ?。
あれれ?。
なんで?ラツェ迄いるのさ。
えぇ~と何人なんだよこれ?7人かな。
あぁ~もう良いよ!さあ買い物に行くよ。
古着屋さんに向けて進めェ!。
俺を含めて8人で歩きだす。
あぁ~。
ニコニコ顔のラツェが混じっている。
何でか、、物凄く嫌な予感しかしない。
女の子6人と服の買い物、、。
怖すぎる!。
男は、、、2人。
俺は横に居るケリオサに声を掛けた。
なぁ?。
このメンバーで服の買い物とか、、。
もしかして、。
ヤバい?。
横で頷く男1人。
ケリオサ曰く。
最近ラツェがねぇ、、。
今までより更にお洒落になってさ。
何だか、、、。
何だか、、?。
おい!何なんだよ!。
ラツェ?。
ああ、買い物怖い。
あとはアルロの帰りを待つ、、。
さて、なにが出来るのか
シンは?。
次は、、ジャーレンタの隣町へ、、ロドラ。