すれ違いは悪魔的
う~ん。
嚙み合わない。
今朝は暖かいベッドの中で目が覚めたよ。
起きてみると体中のアチコチが痛かった。
ふぅ、彼方此方がポキポキ言いそうだ。
これ馬車旅のせいだよね。
さて、起きようか。
ジャスリーさんの宿屋。
見慣れた廊下に洗面所。
自分で散々掃除をしてきた場所だ。
冷たい水に手がピキーン!体がシャンとした。
部屋に戻って外出用の服に着替えると。
さあ。
ロビーに降りて美味しい朝ご飯を食べに行こう。
ジャスリーさんおはようございます。
朝ご飯、定食のヤツ、1つ下さい。
おう!。
おはよう。
昨日は、うちのベットでよく眠れたか?。
シン!。
ええ!良く眠れましたよ。
でも身体中が痛いんですよね、ははは!。
馬車ヤバいですね。
ふふ!おはようシン。
はい、注文の朝定食のパンとスープね。
このスープもパンも新しい料理なのよ。
ロジーヤさんも久しぶりです!。
おはようございます。
う~ん!ホントに美味しそうですね。
あっ!。
俺!。
ラビリンス行ってきましたよ!へへぇ。
聞いたわよ!。
シンったら1人であそこに行くなんて。
チョット気になってたのよ。
初ラビリンスは如何だったの?。
あなた!怪我とかは?大丈夫だったの。
それに病気とかは、、しなかったの。
ねえ大丈夫?。
俺の前に朝定食のセットを下ろし。
トレーを小脇に抱えて。
心配顔で俺の方を覗き込んでるよ。
へへへ!大丈夫ですよ!。
まったく問題無しです。
初ラビリンスは予想以上に上手く行きましたからね。
まあ、コレからは冒険者で何とかなりそうです。
モンスターとの戦いも。
あぁ~何とかなりそうで、、。
う~ん?。
そうなの?。
それなら良いけどね。
あなたは冒険者になって未だ一月も経ってないんだから。
あんまり安易には安心せずにね。
気を抜かずにヤッテいくのよ。
良い?。
心配顔のロジーやさんの後ろの方。
カウンターを見ると。
ジャスリーさんがニヤケテる。
心配してくれてたんだ。
はい、慎重にですよね。
最初は怖かったけど、もう平気ですから。
それと孤児院の仲間達は手伝いに来てますか?。
ケリとかジュニューは。
ケリオサと女の子達3人で来てくれてるわよ!。
ふふ!3人でね何時も助かるわ~。
女の子2人が良いのよね~、ふふ!。
今日も3人で。
もう直ぐ来るんじゃないかしらね。
あっ、イケナイ!。
さあシン、冷めない内にあなたも御飯を食べてね。
じゃあ。
話していると直ぐに時間が過ぎていくね。
さあ定食を食べよう!此処での初めての朝定食だよ。
観るからにパンが美味しっそうだ。
両手に持って齧り付く。
あ~ヤッパリここの町のパンが美味しなァ。
あはぁ~、柔らかくて良い香りがするよ。
間に挟んであるのも美味しい!。
美味しいスープと一緒に、夢中で食べてしまったよ!。
あぁ~食事が美味しいって幸せだなぁ。
ご馳走様でした!美味しかったです。
ジャスリーさん、俺、昨夜お金を払ってませんよね?。
コレ、2泊分の代金です今夜も泊まりますから。
あぁ~朝食代もですね。
はいこれで。
カウンターでジャスリーさんに代金を無事支払った。
ああ、確かに宿泊代金を受け取ったよ。
食事の代金もな。
かぁ~!まったく面白いや!。
お前も、いつの間にか1人前に近づいてるのな。
はは!15歳かよ、早いもんだなぁ。
ツイこの前までは。
小遣いなんか無くてヒイヒイ言ってたのに。
ふふ、あのシンがなぁ~。
感心されちゃったよ!俺も成長してますからね。
はい!ジャスリーさんこれ部屋の鍵です。
俺はこれから孤児院に顔を出してきますよ。
ケシーレさんとリビエさんに報告しないといけないので。
あぁ~、ダンケロさんの所にも行きますから。
修道院。
ケシーレさんとリビエさんかぁ。
10日間位だけど、久しぶりな感じがするんですよね。
あぁ!。
みんなソンなモンだろうよ。
まあそれは旅に出ればの感覚だな。
さあ!早く孤児院に行って来い!。
宿を出て孤児院を目指して歩いていると。
歩いて前から来る3人組が走り出した。
3人共が手を振ってる。
お~いシ~ン!。
いつラビリンスから帰って来たのさ。
みんな心配してたんだよ。
怪我とか無いみたいで安心だよ。
そして勢いよく目の前まで来たよ。
ふふ、ケリオサが夢中で話し始めた。
よぉ!。
昨日の夜遅くにね、ジャーレンタに着いたんだ。
もうみんな寝てるだろうと思ってさ。
だから孤児院には行かないで、宿に泊まったんだ。
へへ、ジャスリーさんとこだよ。
俺は今から孤児院に行くところだよ。
ふ~ん!。
でさぁ~ラビリンスはどうだったの?。
ねえねえ!。
あっ、向こうでアルロに合った?。
会えた?。
?!。
不思議ワードが聞こえてきた、気がするなぁ。
アルロと、、。
向こうで、、。
はぁ~?何言ってるのさ。
アルロは此処に、ジャーレンタに居るんでしょ!。
目の前の3人が首を揃えて振る。
アルロはねえ昨日。
教会の3人と一緒にラビリンスに行ったんだよ。
ギルドの馬車で、シンは会って無いの?。
行き違い?。
なんですとぉ~!。
あの3人組と、、行った、アルロが?。
はぁ~?。
アルロもね、会えたら良いなって。
言ってたのに。
なんだぁ~会えなかったんだ、しょうがないね~。
あっ!。
俺達は仕事に行かないと、シン!また後で。
明日も孤児院に来るでしょ?。
その時にさ、ラビリンスの話を聞かせてよね。
ああ勿論だよ。
俺は孤児院に行くからさ、後で!。
3人が小走りで仕事場へ向かっていく。
アルロが居ないなんて信じられないけど。
何でなの、あの3人組と行っちゃうんだかなぁ。
もう!また神父さんに頼まれたのかな。
アルロ~!。
教会が悪い訳じゃ無いけど、、。
アルロに頼りすぎでしょ!あぁ~~!。
ふぅ。
しょうがないや俺は孤児院に行こう。
歩き出すけど気分が沈み気味だよ。
こう、何でなのか今の理不尽さが恨めしいよ。
修道院の門が見えて来た。
ケシーレさんとリビエさん、何か言うかな。
孤児院の裏口に周り下駄箱で上履きに履き替える。
パタパタと足音がして顔を上げると。
ヤッパリ!居た!。
シン兄ぃだ。
ホントに居たね~。
お帰りなさい!。
お帰り~。
金髪の女の子が2人でお出迎えだよ。
ルシーナ。ミモリー。
ただいま!。
ケシーレさんとリビエさんは居るかな・。
え~!先ずは、私達じゃないの、もう!。
ねぇ!ミモ!。
ル~の言う通り!もう!。
これだから駄目なんだよね。
シン兄ィってば~。
アル兄ィとは、、チョット違うんだよ。
ねぇ~!!。
うん!うん!。
何だか2人の言葉が辛辣なんだけど、何で?。
アルロとの扱いが、、。
はぁ~。
ほら2人共行くよ。
ケシーレさんには。
どこに行けば合えるのかな教えてよ。
もう!。
シン兄ィったら、ダメね~。
今ならね~。
ケシーレさんは修道院の方に居ると思うよ。
リビエさんは食堂だよ。
お~!ありがとうね。
じゃあ、リビエさんからかな、よし食堂へ行くよ。
廊下を進んで食堂へ向かうと。
金髪の女の子2人が後ろを付いてくるよ。
止せば良いのに、つい聞いてしまう。
2人共、勉強は捗ってますか?。
計算と書き取りは、もう大丈夫かな。
後ろからの返事は、、無い。
どうやら、まだ駄目みたいですね。
ふぅ。
食堂に入るとリビエさんか忙しく片付けをしていた。
ホント働き者だよ。
リビエさんただいま!。
俺の掛けた声に、振り向いたリビエさんは。
笑顔だったよ。
まぁ~!シン。
無事に帰って来たのね、良かったわ。
さぁ、此処に座って。
お願いミモリー!。
ケシーレさんを此処に呼んできて頂戴。
修道院の執務部屋に居ると思うから
は~い!。
すぐに呼んできま~す。
ル~も一緒に行こう。
うん!私も行く!。
パタパタと軽い音を残して。
女の子2人が食堂を走って出ていくと。
こら!。
あなた達。
建物の中は走ってはダメでしょ!。
あはは、怒られてるよ。
キャ~ァ~!
怒られたぁ~あはは~!。
まあ、いつものあの2人だしね。
廊下を笑って走っていくよ。
怒られても、お茶目で可愛いジャン。
暫くするとケシーレさんが食堂に入って来た。
後ろには、大人しくしてる2人が居る。
ケシーレさんがゆっくりと。
俺の対面の椅子に腰を下ろして。
お帰りなさいシン。
変わり無い様ですね、無事で何よりです。
ふふ!向こうはどうでしたか。
ラビリンス。
辛い事とかは無かったのかしら?。
はい!。
特に問題無かったですよ、上手く行きましたから。
それに。
向こうではダンケロさんの知り合いの人に会えて。
凄く良くしてもらえました。
あとは、、。
うぅ~ん。
石のラビリンスでは、意外とお金も稼げたし。
でも、初心者のラビリンスの方は微妙だったかな。
まあ両方で良い経験に成りましたよ。
俺はなんとか。
このまま冒険者として進んで行けそうです。
うん!ソンな感じです。
そうなのね!。
あなたの話を聞けて良かった。
少し安心出来そうね。
まあ今年から。
あなたの新しい生き方と、人生がね。
始まったばかりだから慎重にね。
何事も急いでは駄目よ。
俺!メッチャ心配されてるのかな。
有難いよね。
はい、気を付けて進んで行きます。
暫くの間はジャスリーさんの所に泊ってますから。
また明日も顔を出しますよ。
あぁ~今日の夕方にもまた来るかもです。
俺は一寸用があって。
これからダンケロさんの所に行きたいので。
もう行きますね。
俺が椅子から立つと、後ろに居たのか。
2人の女の子が、揃って言った!。
ねえ!シン兄ィってばぁ~。
私たちに。
ラビリンスのお土産は無いの?。
そうだよねぇ!ル~。
うん!お土産は?。
うげぇ~~!。
はははっ。
ゴメンね!買って来るの忘れちゃったよ。
また今度で許してよ。
えぇ~~~~~!。
嘘~!なんにも無いのぉ~。
だめ~~!。
もう!だから駄目なんだよ~。
シン兄ィは~。
駄目なシン兄ィ~。
アル兄ィなら絶対に忘れたりしないのに~!。
止めてくれ、そんな目で俺を見ないで。
ケシーレさんとリビエさんが笑って見ているよ。
アルロ~~。
あぁ~。
もしもだけどね。
お許しが出たらさぁ。
明日の午後にでも、町の古着屋さんに行くかい?。
冬服を2,3枚買ってあげるからさ。
今回は、、それで許してよ、2人共。
ね!。
2人が笑顔になって。
ケシーレさんの所に走っていったよ。
さて、お許しは出るのかな?。
その姿を横目に見ながら。
リビエさんに出ていく挨拶をする。
じゃあダンケロさんの所に行きます。
また後で。
孤児院を後にして。
鍛冶師のダンケロさんの下に行くよ。
良く晴れているけど、襟元を抜ける風は冷たい。
俺も、明日は服を買い足そう絶対にだ。
あはぁ!、ホントに同じ感じの鉄の扉だなぁ。
このトンカチもさぁ~。
キンキンキン!。
辺りに良い音が響く。
誰だい?。
すいません、孤児院のシンです。
鉄の扉が音も無く動いて、弟子の人が顔を出した。
おっ、久しぶりだな。
仕事かい?。
あ~今日は。
仕事では無いんですよ。
えぇ~と、ダンケロさんは居ますかね?。
チョット用が合って。
会いたくて来たんですっけど。
親方は居るから、まあ入れよ。
廊下の奥の鍛冶窯の所だけど行けるかい?。
いや~!俺にあそこは無理なんで。
来たって伝えてもらえますか。
部屋の外で待ってますので。
あはは!、まあ君にはねえ。
分かったよ、俺が伝えるから奥へ行こう。
鍛冶窯の有る部屋の外の通路だけど。
何処からか?。
ここにも強烈な熱風が抜けてくるよ。
うへぇ~相変らず熱いなぁ~。
ふぅ~。
外とは隔絶された世界だよな。
目の前からドンドンと音がして驚いていると。
ドアの向こう側でガラス窓?越しに。
親方が右手で合図をしてる。
手首をクイクイっとね。
ああっ、前に使った部屋に来いって事らしい。
俺も。
ガラス?越しに頷いて廊下を移動していく。
突き当りのドアを開けて部屋に入ると。
ダンケロさんが丸椅子に座って待っていたよ。
俺は立ったまま話しかけた。
へへ!ダンケロさん。
俺、ラビリンスに行ってきましたよ。
それでね。
、、。
さらに後を言おうとしたら。
まぁ座れよ、シン。
色々となぁ。
お前の話は落ち着いて聞きたいからな。
ほれここだ。
あっ、はい。
えへへ。
椅子に座って。
ラビリンスのでの出来事を初めからを話して行った。
あぁ~!あいつかぁ。
そうだった!。
ジョーラスの野郎が向こうに居たのか。
はは!あいつも、あそこに居付いて何年だよ?。
まぁ~なぁ、オレも似たようなもんだから。
アイツの気持ちは分かるが。
まあドワーフだもん同じだよね。
それでですね、俺、、石が出ちゃって。
ああ!何も言わなくても分かるさ!。
今も、持ってるんだろう。
そこの中になぁ。
ダンケロさんは俺のポーチを凝視してるよ。
これは「女神様」から貰った魔道具なんだけど。
ドワーフって、、。
何で分かるんだろうか。
不思議だ!。
アァ~!不思議ですよ分かりますか。
ジョーラスさんにも、、分かっちゃって。
俺達ドワーフはなぁ。
くくくっ!なんか感じるんだよなぁ~。
魔法袋に入っててもな、なんか匂うんだなぁ。
体も、ゾクゾクしてなぁ!。
くぅ~タマランぞ!。
さあ!シン。
お前が出たって言う「石」を。
俺にも出して拝ませてくれるのか?。
なぁ?。
ダンケロさんの雰囲気は一見して落ち着いてるけど。
なんか眼つきが普通と違う感じだよ。
、、まあ。
出しますけどね。
ここに来たのも、はなからその心算だし。
ええ!勿論良いですよ。
ダンケロさんに観てもらう心算で来ましたからね!。
それで、どこに出しますか?。
何か?「石」を入れる器は在りますかね?。
すると、ここでもだ。
また手が目の前に伸びて来た。
ここにへだシン!。
この俺の手の上が良い。
さあ!出してくれよシン。
同じだ。
ジョーラスさんと同じ。
これはもうドワーフの性なのかな。
分かりましたよ、もう。
じゃあ、そこに出しますからね。
ポーチに右手を入れて、「宝石」と考えると。
手の中に3つの石が握られた。
はい!行きますね。
これですよ、ダンケロさん。
ほいっと!。
ダンケロさんの右手の掌の上に3つの「宝石」が落ちた。
あっ、ぶつかって少し音がしたかな?。
チッ、カチ。
緑、薄青、飴色の奇麗な小石が3個だ。
おぉ~~~!。
グゥ~!。
ガァ~!。
くぅ~~~!。
はぁ~~3個も?。
はぁ~~~。
ダンケロさんは目を見開き。
大口を開けて変な声を出してるよ。
3個の「宝石」を見詰めて壊れてるな。
エェ~とですね。
実は「石」は4個出たんですけど。
最初の赤色の1個はジョーラスさんに売りましたよ。
それで残りの3個が手の上のそれですね。
取り合えず「石」は。
俺には如何すれば良いか分からないので。
ダンケロさんの所に持って来たんですよ。
ダンケロさん言ってましたもんね!。
「良いのが出たら!俺の所に持って来いって!」
あぁ~!。
その中の1個は。
アルロの武器か防具に使いたいんですよね。
うぅ~ん?3つの内の何が良いですかね。
ダンケロさん。
アルロに合いそうなのを教えてくださいよ。
えへへ!。
アドバイスをお願いします。
アルロ用は!絶対必要!。
で何でですけど。
良ければ。
1個はダンケロさんに売りますからね。
俺の用には、残った1個を取っておこうと思っています。
まあ、、俺は何でも良いんですけどね。
おぅ?。
シン。
俺に、、「石」を1個売ってくれるのか?。
この中から1個、、。
がはは!
前に言ったろう?。
薄青は少ないんだぞ。
飴色のもなぁ~、くぅ~!。
緑なんて、お前!、、。
はぁ~。
ダンケロさん、無茶苦茶悩んでいるよね。
あの~例えばですけど。
緑色の「宝石」は武器に付けると如何なりますね?。
あれ、何でしたっけ
はぁ~。
武器になァ~。
風系の攻撃。
隠匿。
使用者の気配が薄まる。
そんな効果が出る確率が高いなぁ。
全ての緑の「宝石」が同じじゃないがな。
飴色はなぁ。
土、大地系だ。
はぁ~。
薄青は。
水系だな、火の系列に対しての減衰効果も有るか。
基本はこんな所か、
まぁ武器に設えてみないと、、なぁ。
効果がはっきりとは言えん。
はぁ。
流石ドワーフだな「宝石」に詳しいね。
防具にも使っても良いんだよね。
それに「宝石」はアクセサリーにも出来るんだよね。
う~~~どっちが良いかな。
はぁ。
こんな大事な時に。
ナンでアルロが居ないんだよ。
もう。
ダンケロさんはどれにします?。
3個の中で、どれでも良いですからね。
1個選んでくださいよ。
俺は更に。
ポーチに手を入れて。
溶けた金鉱石を2個テーブルの上に置いた。
あとですけど、コンナのも有るんですよ。
ははは!。
鉱石が溶けてやがる!。
いいぞ!。
はは。
ダンケロさんは良い笑顔だ。
まだキリが悪くて終われない。
話が進めないよ。