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目覚め

作者: 鯛焼き

短編です

よろしくお願いします

私は目を覚ました


辺りを見渡すと自分の寝室である事に気づく


ベッドから出ると洗面所に向かう


私以外に色がついていなかった


家具も床も窓の外も白かった


リビングに向かうとただ1つ異質なものがあった


堂々と置かれた知らない蓄音機


何故かこれには色がついていた


私は近づくとあれこれ触ってみる


ザーーーッ


突然音が流れてきた


足音とざわめきのような


騒音


耳が痛くなって思わず塞いだとき


私は目を覚ました


変な夢を見たなと感じながら洗面所に向かう


耳の色が白くなっていた


私は急いでリビングに向かう


蓄音機は無くなって次は黒電話があった


鳴った


「大丈夫ですか!聞こえますか!」


うるさくて切ると静寂が訪れた


食事のために冷蔵庫を開ける


私は目を覚ました


洗面所に向かう


黒電話に触れた両手両腕の色が白くなった


リビングにラジオが置いてあった


再生ボタンを押す


カラカラカラカラカラカラ


昔怪我をして入院した時を思い出した


部活中の不慮の事故


続けられなくなったサッカー


軋むような痛さは今でもわずかに残っている


目を閉じて深呼吸をする


私は目を覚ました


ほんの少し体が重く感じた


鏡にうつる私の脚は白くなる


次に色がついていてのは私の昔の携帯


着信音が鳴った


スピーカーにして内容を聞いた


誰かのすすり泣く音がした


昔娘を泣かせたことを思い出した


些細な喧嘩で


抱きしめあって仲直りしたことも


空腹を感じ


果物を切った


誤って切ってしまった指


赤く紅く朱く鮮明に見えた


私は目を覚ました


残っているのは自分の顔だけだった


白が


私を埋め尽くそうとする


いつも座る席にスマホがあった


掴もうとすると画面が割れた


そして


勝手に電源がつくとアルバムが開いた


娘に隠し撮りされた妻と私の写真


幸せを共有したキス


私はここで何をしている?


頭を抱えると手が赤く染まった


私は目を覚ました


扉を開くと


映画を上映していた


大きなスクリーンの正面に座る


とあるワンシーン


白黒の映像が忙しく動いている


1人の男が青信号の歩道を渡る


右手にはカバン


左手にはケーキの箱の入った袋


スマホの画面をチラリと確認する


カレンダー


金曜日には


ケーキとロウソクのマーク


男の体に衝撃が走った


人形のように地面へ投げ出された


箱は回転してやがて止まる


男は画面越しに私を見ていた


私も画面越しに男を見ていた


視界がぼやけ境目が無くなっていく


ピーーーーー


無機質な機械音


私は


目覚めない


読んでいただきありがとうございました

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