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第11話 嫌悪感は?



 結局マドに連れられ僕の降りる駅までやって来た。そこで交わす僕とマドの会話。僕の言葉を聞いて何か思ったのだろうマドは自分のことについて話しだした。


「私ね。高校の教師をしているの。さっき会った彼、増田ますだくんって言うんだけど彼のクラスにも授業で教えてるのよ。私の専門教科は数学。仕事上で知っているっていうのはそういうことなの。私がまだ若いからってよくからかってくるのよ。そう……ただそれだけ、それだけの関係なのよ」


 そう告げたマドは僕の様子を見ていた。けれど僕はまだ混乱しているのか何も話せないそんな状況で。そんな僕をマドは「彼とは関係ない」と何度も僕にわからせよう、わからせようとしているように更に呟くのだった。




 あれから少し落ち着いた僕はマドに帰るように言って僕自身も自宅へと帰った。はっきり言って頭の中はごちゃごちゃで……嫌だという気持ちがあってもただ増田という男に嫌悪感を感じるだけで根本的な部分のなにが嫌なのかわからないそんな感じで。

 二股しようとしたから? 一目惚れの彼女を裏切ってるから? それとも? 

 そんな事を考えながら僕はベッドで倒れ込むようにいつの間にか眠っていた。




 翌日、学校へと向かう。どうもあれから朝まで寝ていたようで母親が起こしに来たらしいが起きなかったらしい。どんだけ寝てるんだって……。まあたくさん眠ったおかげか少しマシになった気がする。ただ、出所がわからない嫌悪感はそのまま。夜にマドからSNSでメッセージが来ていたので、登校途中に「ごめん、寝てた。大丈夫だから」と簡単にメッセージを送り返しておいた。


 僕はいつもよりひとつ早い車両に乗り込んだ。すると僕が乗った車両より1つ後方に一目惚れの彼女がいた。僕には全く気づかない。僕は「あっいたんだ」と特に気にすることもなかった。


 そこで思う。


 あれ? 僕って一目惚れの彼女に対しての気持ちが全く残ってないなって。そうあの頃好きだったときの気持ちが全く見えなかった。それよりも彼を選んで僕を避けたことがあるせいか特に会いたいとは思えなくなっている僕がいた。

 僕を避けていても気にかけてくれていた事を知った時は嬉しかった気がしたのにと。


 そうなると僕は気になってしまい昨日のことを思い出して考えてみた。


 一目惚れの彼女で嫌悪感? 二股? 裏切られる? いやそれはふたりの問題だし、そんな増田さんを選んだんだから仕方ないよなと考えている僕がいた。あれ? おかしいと。

 一目惚れの彼女に対しての感情で昨日おかしくなったわけではなかった。


 嫌な思いをしたから? と考えてみたが……増田さんについては嫌なやつだよなとは思ってる。関わりたくないと思ってる。でも僕に会うなと一目惚れの彼女に言ったことなんてどうでも良かったし。

 こっちに関わらないなら二股も勝手にしてくれと思うし、裏切るなら勝手に……とここまで考えて何が嫌だったのかが分かってしまった。


 はははっそういうことかと笑ってしまう。

 一目惚れの彼女と増田さんだけが今回の原因じゃなかったんだって。


 そう僕は笑うしかなかったんだ。

 


 

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