ーあらすじとメインキャラクター紹介(物語が進むにつれ加筆予定)
歴史と伝統を重んじ、今もなお魔法使いが存在し、剣を携えた騎士たちが国を守る。
そんな剣と魔法の王国、レイティシア。
千年の永きにわたり、この王国を統べてきたレイティシア王家の現女王・セシーリアは、その長い歴史の中でも、最低の暴君と言われていた。
自らの私利私欲のため、国庫を開き、民を顧みないー。
そんな彼女に反発する平民たちが反乱軍を結成するほど。
しかし、王宮の者たちは誰一人として彼女に逆らえない。
彼女は、かつてレイティシアのみならず、レイティシアの属するオルセン大陸を災厄の渦に巻き込んだ魔女・オヴェリアの血を引く子孫であり、彼女自身も魔女であったから。
その類稀な美しさに騙され、素性を隠して王宮入りした彼女は、先王ヒュプノスを弑し、自分自身が実権を握ったのだった。
これは、このレイティシア王家に残された最後の希望ー、と言われる王子・ユリウスが、一人の少女と青年に出会い、この国の運命を変えて行く物語。
ー一人の少女が、両親の生まれた異国の地で、仲間と出会い、恋を知る。
そんな物語。
*登場人物紹介
セレスティア・ローエン(セレス)
剣と魔法に支配されたレイティシアとは対照的な、近代国家エルミーユからやってきた少女。
漆黒の髪とエメラルドの瞳を持つ。
弱冠17歳で、医師免許を持つ、エルミーユ共和国最年少の女性医師。
医師ではあるが薬学が得意分野で、エルミーユの生家には広大な薬草園を持つ。
本当は薬学医(現代社会における内科医に近い位置付けで、薬の処方をすることで治療する医師の事。この世界の薬師よりもワンランク上の職位)を目指していたが、生まれ育った村が無医村となってしまったため、内科を兼務する外科医を勤めていた。
しかし、市街地から新しい医師が赴任したことをきっかけに村を出る。
彼女の夢である、両親の母国レイティシアでルーツを探る旅に出るために。
ユリウス・エルンスト・ノルベルト
レイティシア王家・ノルベルト家本家の長男にして嫡男。つまり王太子である。
しかし現女王・セシーリアは先王ヒュプノスの後妻であり、彼の継母であるため血縁はない。
ヒュプノスが亡くなった当時、ユリウスはまだ幼少であったことを理由にセシーリアが女王となる権利を主張した。
ヒュプノスに兄弟はおらず、すでに降嫁した妹しかいなかったため。
彼が成人してから(この世界での成人は17歳が一般的)は、女王がいつ彼に王位の譲るのかが注目の的となっている。彼自身は、昨年大学を出たばかりだが、女王が即位の話よりも縁談ばかり進めることに不信感を募らせている。
そんな折、かつての婚約者であり、恋人のティアリーゼが冒された難病をも治すことができるかもしれない、と言われるエルミーユ共和国の高度医学を学んだセレスティアの噂を聞いて、下町にお忍びで出かけていく。
それが運命の出会いとなることも知らずに。
ヒューズ・フェルナン
レイティシア王都・ロザリオンの下町、フェルゥ出身の青年。実家は居酒屋兼宿屋を営み、ごく庶民的な家庭で育った。
燃えるような赤毛が特徴の、下町のリーダー格、それが彼だった。だが14歳の時、生まれ持っての才能なのか、妙に頭が切れるためその才覚を買われて、教会の神父が学術都市である首都・ラティアの高等学院への紹介状を書き、特別奨学生として国費で進学することを許されたため首都ラティアへ留学した。
3年後、卒業してフェルゥに戻った彼を待っていたのは、セシーリア女王の悪政の餌食となり寂れた下町の姿。
ー彼は、フェルゥを、そしてこの国の恵まれない人々を救うため、命を賭けて女王と戦う決心をし、高等学院で学んだ知識と持ち前の行動力を武器に、レジスタンスを結成する。
そして、皮肉なことに彼の活動を通して、レジスタンスの仇であるセシーリア女王の義息・ユリウス王子と、彼が目をつけた若い女医・セレスティアと出会うことになる。
ティアリーゼ(ティジー)・マルグレート・セイレン
王太子ユリウスの想い人であり、セイレン侯爵家の長女。
もともとは許嫁であったが、彼女の持病が悪化したことで婚約解消となる。
翡翠色の瞳と蜂蜜色の髪を持つ絶世の美女だが、持病であと一、二年の余命と言われているため他の有力者との縁談もなく、毎日自宅で静養する日々。
父は一縷の望みをかけて近代国家エルミーユ共和国の医師に頼ろうとしたが、あまりにも距離があることや対外関係を理由に諦めざるを得なくなった。