SFについて
SFは、何の略か、どんな意味か。
サイエンス・フィクション
スペキュレイティブ・フィクション
すこし不思議
すごく不思議
スペース・ファンタジー
元々は、科学考証に基づき現実化が予測されている近未来の物語「サイエンス・フィクション」の略でした。
しかし、ワープは必要エネルギー的には無理だとか、超能力活劇だとか、巨大人形兵器は自重に耐えられないし実用性が無いとか、真面目に科学考証すると成立し得ない作品は「サイエンス・フィクション」とは呼べません。
そこで、かのロバート・A・ハインライン氏が唱えたと言われている「スペキュレイティブ・フィクション」の略だということになって行きます。空想科学に哲学要素を盛り込んだもの、ということらしいです。
真面目な科学考証を突き詰めるとあり得なくても、そこそこ何となく有り得そうな設定の世界観において、何か主題を盛り込んだ作品、ということでしょうか。
そして、すこし不思議。
どうやら藤子・F・不二雄氏が提唱したようですが、ドラえもんなどはたしかに科学的におかしいし、ファンタジーが混じっていますから、「すこし不思議」のSFだと。
すごく不思議になると、妖精が出てこようが、神や悪魔が出てこようが、霊魂が出てこようが、物理法則を完全に無視しようが、何でもありです。
すこし不思議・すごく不思議の一部、宇宙モノについてはスペース・ファンタジーという解釈も生まれています。初代ガンダムが生まれた頃でしょうか。1980年前後のことです。
(なお、宇宙世紀のガンダム(初代・ゼータ・逆襲のシャアなど)は、現在は科学的に否定されているエーテル理論を原型とした「ミノフスキー物理学」が成立している世界で、現実世界とは異なる物理現象の世界での物語です。)
アニメの話が出たので、ついでに。
アメリカの「カートゥーン(アニメーション)」は、ただただ「二次元の絵が生きているかのようにスムーズに動く」ことがほとんど全てで、内容なんてどうでもいいという志向でした。(現在も、その志向が強い)
これ対し、日本の「アニメ」は制作コスト問題から「フルアニメ」が無理で、紙芝居状態や静止画が多い作品をセリフでもたせる、視聴者の想像力でもたせるため、壮大な物語、奥の深いテーマを謳う方向性になりました。結果として、国際的に高く評価されるようになったのは皮肉なことなのでしょうか。
永野護氏のファイブスター物語は、SFではなく神話だとされています。どうやら、スターウォーズがSFではなく「北米神話」だと主張しているのに倣ったらしいのですが、「神話には矛盾はつきものですよね」ということで考証よりも物語性を重視する作品として読んで下さいという主張のようです。
永野護氏は、かなり設定にこだわる方ですから、逆に、こういう主張になっているのでしょう。