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螺旋の星  作者: びんぞこ
はじまり
4/9

act.1-4

「……ガキが、よくも……ッ!!」すんでの所で体を(ひね)って着地したガッシリが、少年を(にら)みつけギリリと歯噛(はが)みする。

 両者の距離、およそ五メルト。

「心配すんな、遊びなんだろ? 腹打ちだって」

 対する少年はと言えば、呑気に肩を回したりなんかしている。

……うん、確かにきみは引っぱたいただけだ。けどさ、ソレはヤバいと思うよ。

 少年の武器をひと言で表すなら、包丁。それも身の丈ほどもある、厚くてゴツくて巨大な包丁だ。そんな物をカバンでも振り回すように片手で扱うだなんて。

あとどうでもいいけど、さっきからおじさんが無言でプルプルしてるんだよね。良く分からないけど、馬車酔いが悪化するからやめて欲しい。


「じゃ、次は俺から行くなー」

 屈託(くったく)無い笑顔で宣言して、少年は身を(かが)め『包丁』を腰溜めにひと跳びで兄の眼前に(せま)ると、着地を待たずそれを()ぎ払う。けれど、こんな分かりやすい攻撃を大人しく食らうほど『爪牙(シッド)』の民も馬鹿じゃない。ガッシリは危なげもなくそれをひらりとかわし。

「――(もら)ったぜクソガキィ!!」ガラ空きになった少年の胴へ一直線に爪を突き入れる!!


「あっ……!?」

 思わずボクも声が出てしまう――が、それは更に大きな絶叫によってかき消された。ヒョロノッポ同様ガッシリが張り飛ばされ、血に染まった()き手を押さえてのたうち回る。長かった爪は無惨にも()がれ、それぞれデタラメな方を指していた。

 なんて膂力(りょりょく)だ。一度振り切った武器を、直後に同じ勢いで振り戻すなんて!

「……あー、悪いなおっさん。良い医者紹介しようか?」

 当人もここまでする気は無かったようで、さすがにバツの悪そうな顔をしている。

「……ッテメエ、覚えたからな……!!」

 雇い主の馬車を破壊したばかりか自慢の爪まで失ったガッシリは、ヒョロノッポの(かたわ)らまで飛びすさるとだらしなく伸びたその身を担ぎ上げ、土を蹴散(けち)らし這々(ほうほう)(てい)で退散していった。

 残されたのは半壊の馬車と馬、ボクとボクを羽交い絞めにしてるおじさん、そして謎の怪力少年。

 …………ええと、こういう時はどうすればいいんだろう。やっぱり月並みにタスケテーとか言うべきなんだろうか。でも今のボクにはそんな資格――


「……素晴らしい!!」


 うわビックリした! 全然喋らないから石にでもなったのかと思ってた。

「いやぁ君強いねえ。どうだい、私の用心棒として働く気は無いかい……?」

 おじさんはネットリとした声で少年に()り寄るけれど、ボクをしっかと抱えてる時点で台無しだし、相手だってそこまで(おろ)かじゃない。

「無い。だって俺、これでも仕事中だもん。それに――」少年は何やら言い(よど)んでから、何事もなかったように続ける。

「ま、いいや。その小さいのを見逃すんだったら、ついでで(みやこ)までは付き合ってやるけど?」

 ああ、初対面なのに気を使ってくれてありがとう。でもいいんだ。


「……そ、それは……!」

 おじさんが悲痛な声を上げて頭を振る、気配がする。この人は善人じゃない。行商ついでに人さらいなんかする、悪人。

だけど今回原因を作ったのはボクだ。自業自得、では済まされない。

 そうだよね、困っちゃったよね。馬車ズタボロになっちゃったもんね。何でもいいから売ってお金にしなくちゃだよね。本当にどこへ行っても疫病神(やくびょうがみ)だ、ボクは。

「……ボクはいいよ」一度口を開いたらもう止まらなかった。

「ボクさ、ずっと同胞(どうほう)のいないどこか遠くへ行きたかったんだ。その(ため)なら売り買いされたって構わない。むしろその方が人の役に立てるってもんだよね? もういいよそれで。ボクなんかどこへでも消えちゃえばいいんだ」


「……そっか、分かった!」

 少年はニッコリ笑うと、何の躊躇(ためら)いも無くボクの脳天に『包丁』を振り下ろした。

初めまして、びんぞこと申します。こちらでは小説初挑戦です。

アカウント自体は大分前から取得していたのですが……(笑)


基本小心者ですので、お手柔らかにどうぞー!←

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