表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

世論調査

 




 日本が転移してから数日が経過した。


 国家非常事態宣言により、全国で食料や灯油などのエネルギーが支給制となったが、近年の大災害により支給制の地域が各地に点在していた為、「今更」と今まで通りの生活を送る者、「自分だけ文句言えない」とそれを甘んじて受ける者がほとんどで、抗議した者は「以前から支給制の被災地の人々に失礼だ」と多くのブーイングを受け、口を閉ざした。


 また、倒産の危機に晒される企業も多かったが、失業者への新しい仕事の斡旋が比較的スムーズだった事や暖冬で2月にしてはかなり暖かかった事もあり、秩序が保たれていた。


 毎日、ニュースが新しい政府の方針を放送しているような状況だった。



「ええ、このように世論は、このまま日本国内のみで安定を図るべき18%、可能ならば日本国内で安定を図るべき49%と67%の国民が、積極的に国外の文明と交流を図るべきという24%を大きく上回る結果となりました」



 そして、ある程度の安定が見えた日本では、隣国との軋みや他国からの扱いから「鎖国したい」という数年前からの風潮がピークに達し、無理に文明を探してごたつくくらいならこのまま平穏に暮らしたいという意見が過半数を占めていた。


 国会のとある会議室。



「ううむ…」


「まあ、世論は数年前からのこんなんですよね」


「これ幸いとばかりに鎖国支持者が増えていくな…」



 その結果を見た各大臣達は顔をしかめたり、苦笑いを浮かべたりと様々である。



「まあ、流石に政治家の私達まで内に閉じ籠ろうとしてはダメですよね。

 鎖国中だってオランダや中国と貿易をして情報収集に努めていたわけですし」


「大々的に、積極的に、速やかに国外との関係を作る必要性がないと思えば多少気楽ではないですか」


「そうですね。我々のペースでゆったりと進めていきましょう」


「そういえば、新しい大陸が見つかったそうですね」



 高橋外務大臣の発言にまだ知らなかった者は、期待のこもった明るい声を出した。



「ほう、それはめでたい」


「見つかったと言っても大森林ですがね」


「だが世界に日本一つというのも心細いではありませんか」


「まあ、いればいるで厄介ですがね」


「それは仕方ない!」



 そこらかしこで小さな笑い声が漏れる。

 この数日で会議室も随分と明るさを取り戻していた。



「マスコミに流しますか?」


「まあ、黙ってても後々面倒だろうしな」


「いや、世論は鎖国を支持している以上、あまり積極的に文明を探してると思われると厄介ですよ」


「そうですね。せめて検疫を終えてからにしましょう」



 昨日見つかった大陸だと思わしき大森林。

 前の世界でもあったように、人の行動範囲が広がれば、思わぬ病が流行りだす可能性がある。



「今は、とりあえず、検疫の為の土や空気などを持ち帰るロボットの発注ですね」



 宇宙から砂や土を持ち帰れるようになった以上、態々人が危険を冒して、新大陸に上陸する必要はなく、ロボットが持ち帰った土や空気などの安全性を調べた上で上陸すれば事足りる話となっていた。






日本って外国の文化を仕入れてお腹いっぱいになると鎖国したがるよね。

遣唐使とか遣隋使とか然り、江戸時代の鎖国然り、数年前にもちょっとネット上で鎖国したいって雰囲気なってたし。


真似た後に外国の文化を日本風に消化、もとい魔改造したいんだろうな。

なんかテレビでやってた。

奈良時代の中国リスペクト真っ只中は、日本の建物や仏像の色も復元するとめっちゃ鮮やかになるって。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ