転移記念日
20XX年2月11日午前0時。
カタカタカタカタ。
真夜中のこの対して大きくない地震に気づく者は少なかった。
多くの人は、夢の中で、目を覚ますこともなく。
仮に目が覚めても小さく短い揺れに安堵して、目を閉じ夢の世界へ。
ガヤガヤと飲み歩いてる者は気付かず、早足で帰路についてる者も気付かない。
部屋で夜更かしをしていた者は揺れに警戒するも、どうやら今回は大きくないと分かると安心して、漫画の続きを読み始めた。
だが、ふと気になって地震情報を見た人は目を見開いた。
「全国で震度2!?」
何度更新しようが変わらない。
震度1の地域もなければ震度3の地域もない。
近年異常気象なんて日常茶飯事だったが、こんな事態ありえるのだろうかと頭を悩ます。
震源地はどうなってる?
多発にしてもおかしいだろ。
だが、それはあくまでも一般人が知れる範囲の異常だった。
「星の位置が変わった」
「大陸が消えた」
「各国との通信が途絶えた」
「早く早く復旧を」
真夜中に人知れず、日本は大きな変動の渦に巻き込まれて居た。
翌朝。
日本の祝日はとんでもないニュースから始まった。
「日付が変わると同時に日本全土で一律に発生した震度2の地震後、星や陸の位置が変わり、海外製の衛星を使った通信機器が通信障害を起こし、現在日本製以外の衛星は不明。現在専門家達が原因追求に努めておりーー」
常識は、一夜にして覆ったのである。