愛着
山口の誤解を生みそうな発言と斜め上な思考を止めた佐々木は、キョトンとした顔をしている中村に向き直る。
「…あとで一緒に謝ろうな」
「へ?」
何を?とばかりに中村は首を傾げる。
「人型以外の場合は報告だろうが…!」
「…………はっ!」
「はっ!じゃ、ねーよ!」
このすっとぼけた後輩に佐々木は頭を抱える。
「お前は…」
朱色の巨大な鳥にすら呆れられてることにため息を吐く。
「うちのが迷惑お掛けして申し訳ございません」
「…いや、問題ない」
謝罪する佐々木に朱色の巨大な鳥は釈然としない様子で頷いた。
「ほら、お前も謝れ!」
まだ謝っていない中村を急かせば、中村は丸太のように太い枝の上でバランスをとり、直立する。
(変なとこで器用だな…)
そう呆れたように佐々木は中村を見つめる。
それを横目に朱色の巨大な鳥は、折れていない方の翼を広げる。
「誠に申し訳ございませんでしぃぃぃいいいいいーー」
「何回落ちかければ気がすむんだ!」
そして、綺麗な90度のお辞儀と共に中村が頭から落ちかけると、朱色の巨大な鳥は分かっていたように翼で中村を支える。
「わわ!すみません!」
「本当にお前は我がいないとダメだな…」
そう言った朱色の巨大な鳥は、自慢気に佐々木を睨み付けた。
そこで佐々木ははじめて朱色の巨大な鳥の不機嫌な理由を察した。
「おお…大丈夫か?」
「はい!ありがとうございます!」
驚いて目をぱちくりさせる山口の問いに答え、中村は、朱色の巨大な鳥にお礼を言う。
「ふふん、仕方のない奴だ」
そう言う朱色の巨大な鳥は機嫌良さげに鼻を鳴らす。
見下すように見てくる朱色の巨大な鳥に佐々木は少しイラッとしたが、すぐに心を落ち着かせる。
問題ない。イラッとするくらいアホな同期の面倒見ることで慣れているだろうと自分に言い聞かせる。
何より気になるのは、朱色の巨大な鳥があまりにも中村に懐いている事だ。
「まあ、とりあえず降ろすぞ」
大切な情報源が懐いていることは悪いことではないし、難しくて面倒な事は上に丸投げしようと佐々木は決め、朱色の巨大な鳥をクレーンで降ろせるようにクレーン車の先を引っ付かんだ。
やっと続きが消えた心が癒えた。




