交渉
中村と朱色の巨大な鳥は、お互いに見ていた。
中村は、朱色の巨大な鳥に頷いてもらうため、朱色の巨大な鳥は、中村がまた落っこちないか見張るため。
「どーーーしても、ダメですか?」
最初に沈黙に耐えきれなくなったのは、中村だった。
中村は、おっちょこちょいな所は有るが、根は生真面目な少年で、言われた事はきちんと守る子である。
忘れてない限り。
『…ダメも何も、我はここから降りれぬぞ』
「決まりですか…」
困ったような顔をする朱色の巨大な鳥に中村も真剣な顔で答える。
国を守る自衛官として、休日ではあるが、大切なこの世界の情報を持ったものと接触した以上、どうにか職務を全うしたいのである。
だが、朱色の巨大な鳥はさらに困ったような笑った。
『決まりというか…
ケガだな…』
中村から見て右側の翼は、本来ならありえない方向に曲がっていた。
あれだけおかしな方向に曲がって飛べるわけがないのだ。
「えっ!?
元からじゃないんですか!?」
もちろん、そのおかしな方向に折れ曲がった翼は、中村の視界に入っていたが、中村は、異界の鳥の翼はスゴイなーっと流していたのである。
『そんなわけあるか!!
左右違う形で飛べるか!!』
もっともな言い分に、そんな所は前の世界と変わらないなかと中村は、1人頷いて納得していた。
「じゃあ。今は木に引っかかってる状態で降りれないということですね!」
『言い方!!
もっとマシな言い回しがあっただろうが!!』
「えっ…?違うんですか?」
『〜〜〜〜〜!!!!』
満面の笑みを浮かべながら言い切った中村に、巨大な朱色の鳥がツッコミを入れれば、キョトンとした顔で見つめられ、そうだけどそうじゃない!!というモヤモヤしたものを抱えながら巨大な朱色の鳥は、押し黙った。
そして、気持ちを抑えるように一つ大きなため息を吐いた。
『………間違っては居らん。
まあ、そういうわけだからお前の望みは叶えられん』
「うぐぐぐぐ…!それは困りましたね」
『お前はな』
「どうしましょうか」
『我はどうでもいい』
「じゃあ、とりあえず、先輩に聞いてきます!」
『ちょっおまっ、って早!?』
言うが早いか、中村は木からバンジージャンプのように飛び降り、巨大な朱色の鳥は、唖然とそれを見つめていた。
『………死んだか…?
いや、それとも魔術師、なのか…?』




