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作家の条件  作者: oga
7/15

監禁

 俺は狐火が買い出しに行ってる隙をついて、逃げ出そうとした。

しかし……


「な、何だよこの扉……」


 サムターンが付いてない。

つまり、鍵が無ければ内側から開けられない仕組みになっている。


「くっそ、だったら」


 今度は2階から飛び降りてやろうと、窓を開けた。

が、下はアスファルト。

落ちたら骨折は免れないだろう。

部屋にはロープの代わりになる物もない。

最悪だ。

 後15分もしたら、狐火が帰ってくる。

10万字を書ききる自信がなかった俺は、最後の望みに賭けた。

 隣の壁をドンドン叩き、助けて下さい! と叫び声を上げたのだ。

すると、隣から声が聞こえた。


「……頼むから、静にしてくれ」


 ……!

反応があった!

木造なのが幸いしたのか。

俺は、隣に聞こえるよう、事情を説明した。


「助けて下さい! 今、監禁されているんです! 小説を書かなければ、ここから出れないんです」


 くぐもった声はこう言った。


「……じゃあ、書けばいいじゃないか。 僕は受験で忙しい。 もう、後がないんだ」


 浪人生なのか?

せめて、警察に連絡さえしてくれれば……


「あの、だったら警察に連絡してくれませんか? 携帯無くって……」


「僕だってないよ。 直接警察に行く暇なんてないし」


 隣の住人が寄りにも寄ってこんな薄情なやつだったとは……

だが、このまま黙っては引き下がれない。

俺は、助けてくれないなら叫び続ける、と脅した。


「……それだけはやめるんだ。 分かったよ、君の部屋の郵便受けにある物を入れておくから、それで何とかしてくれ」


 しばらく経って、ガシャンという音がした。

俺は、郵便受けを調べ、隣りの住人が投棄したものを手にした。

それは、包丁であった。


 


 


 

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