表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作家の条件  作者: oga
5/15

監視

 俺は大学生で、通ってる学校が都内にある。

でも今日は、1限目をサボって駅前のカフェにいた。

小説を書くためだ。

俺はとっくにコーヒーを飲み干して、スマホの画面を見ながら頭を抱えていた。


「くっそ…… 何も思い付かねぇ」


 さっきから、書いては消してを繰り返している。

書籍化なんて、やっぱ無理だ。

俺の作品がどれくらい面白いかなんて、自分が一番分かってる。

国外に逃げるしかない、なんて考えていると、ブブブ、とテーブルの上のスマホが鳴った。


「烏野さんからのライン…… 更新が遅いから、心配してるのか」


 俺は、正直に書けない、と答えた。

すると、すぐに返事がきた。


「書ける環境を整えるだって……?」


 



 数日後、夕方家にある人物がやって来た。

狐火という名前の、切れ長の目をした男で、烏野さんが今回用意した、アドバイザーだそうだ。


「君の職場を用意したから、一緒に行こうか」


 その時は、俺は何の疑いもなしに、この男に着いて行った。

到着したのは、木造2階のぼろアパートだった。


「お、お邪魔しまーす」


 部屋にあるのは机とパソコンだけ。

突然、狐火さんに背後から声をかけられた。


「早速小説を書いてもらう。 ノルマは10日で10万字だ。 それまで外には一切出さない」


 ……!

なっ、ふざけんな……


「ちょっ、何言ってるんですか!?」


「いいか? もうテレビでの紹介も決まっているんだ。 こうなった以上、お前はプロだ。 お前の仕事は小説を書くこと。 そして、小説を作家に書かせるのが俺の仕事だ」


 狐火は俺の頭をグシャリと掴むと、顔を近づけてきた。


「半日で5000字だ。 それが達成できなきゃ、飯はねぇ。 達成できたら、俺が飯を買ってきてやるし、欲しいものも何でも揃えてやる」


 ゾクリ、と怖気が走った。

こんなヤクザみたいな奴の監視の下で、小説を書かなきゃいけないのか?


「学校は、どうするんですか?」


「安心しろ。 もし留年したら、俺らが学費を払ってやる。 お前の親にも、ナツメ君は将来作家になるって話はしてあるからよ」


 ドサ、と狐火は腰を下ろした。


「つまらねぇ小説だったらぶっ殺すからな」


 さ、最悪だ……







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ