烏野サイド 6
最終の20話が仕上がった。
そして、それは恐るべき内容だった。
悪政をしく賢者を倒すべく、城に乗り込む兵糧歩とカナコ。
当然、強固な守りに阻まれ、簡単には攻略出来ない。
うかつに踏み込めば、すぐに餌食になる。
そこで、カナコは自分が囮になって敵を引きつけるかわりに、賢者を打つ、という捨て身の作戦を思い付く。
カナコが一人で敵の中に突入し、歩は裏から賢者の居場所を目指す。
敵をかわし、賢者の間にいたのは、カナコだった。
僕は、部屋の片隅でスマホの画面に釘付けになった。
そして、その結末は僕の予期せぬものだった。
歩がカナコを斬り、命を絶ったのだ。
操られていた時点でカナコの命がないことを悟った歩は、カナコが大振りになる所を狙ってカウンターを仕掛けた。
首の動脈を切断し、殺した。
「こんなダークな内容にするなんて……」
狐火に追い込まれ過ぎて、心を病んでしまったんじゃ……
それでも、内容は悪くない。
それどころか、まるで吸引されるように読んでしまった。
僕は、机の上に置いてある表紙の候補を眺めた。
ピクシブで人気の絵師に頼んだもので、中央に主人公の歩とカナコ、背後に賢者、という構図だ。
これは、二人で賢者に立ち向かう、という意図が込められているが、最終20話が、ストーリーの根底を揺るがした。
「この先の展開次第で、この表紙は嘘になってしまう」
……書籍化の準備は出来たが、表紙を書き直す必要があるか?
僕は、もう一度絵師に頼み、別な表紙を書いて貰うことにした。
ハレトーク収録前日、ようやく表紙が決まった。
表紙は、中央に歩。
そして、背後に賢者とカナコ、となった。
これは、主人公がカナコを斬る暗示にもなっている。
「……悪くないな。 後は、この本を売るだけだ」




