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異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~  作者: へたまろ
第2章:北風とカナタのバジリスク退治!~アリスの場合~

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第21話:ペルセウスと北風とバジリスク7~バジリスク包囲網~

本日2話目です。

ご注意下さい。

 取りあえず今日一日アレクとカナタを探して、見つからなければ一旦帰るというテオラの意見が採用された。

 というか、私達としては一応一人を除いて全員無事という、凄く良い結果で依頼を達成できそうだし、出来れば全員で帰りたいからね。


 というか、救援というか捜しに来た人達と一緒に救援に来た仲間を探すってどうなのよ!

 いや、でも最初にはぐれたのは私達だし……

 あっちが迷子って形になってるけど、実際に迷子になったのは私達の方なんだけど……

 まあ、依頼を達成したこっちに正義はあるわよね?

 そうよ!むしろ今の状況なら迷子になったのはあっちよね?

 ……なんだろう、いま一瞬カナタの視線を感じたような。


 それから数時間探索した結果二人は見つからなかった。

 とはいえ、時折アレクっぽい断末魔の悲鳴が聞こえるのはきのせいだろうか?

 さあ、戻ろうかという時に周囲の雰囲気が急に変わる。


「ああ、しまったな。まさか、こいつらにここまでの事が出来るとは」

「あれだろ……例のノーブラインドがリーダーなんじゃね?」

「完全に囲まれてますね」


 背に担いでいたバリイをゆっくりと下したジャンが腰の剣に手をかける。

 そしてクリスの指輪が光ったかと思うと、どこからか槍がその手に現れる。

 ああ、収納の指輪ですか……このブルジョワめ!

 そして、テオラも手に持ったロッドを構ている。

 うん、分かるように説明して?


「どうやら、バジリスクに囲まれたみたいだよ」


 分かって無かったのは私だけだったみたい。

 カバチもしっかりと盾とショートソードを手に持ってた。


「えっ?その盾!」

 

 そしてカバチの構えた盾を見て、クリスが驚いたような表情を浮かべてるけど。

 なかなかに良い目利きなようですね。


「来るぞ大将!」

 

 カバチの盾に一瞬気を取られたクリスにジャンが注意を促す。

 次の瞬間、四方の茂みから音がして1m50cmくらいの影が飛び掛かって来る。

 

「ちっ、目を見るなよ!」

「常識!」

「【氷弾(アイスショット)】!」


 右から来た一匹に対して、テオラが氷弾を放つと標的のバジリスクが弾き飛ばされる。

 その空いたスペースにジャンが飛び出し、背後のバジリスクを手に持った2mはあろうツヴァイハンダーでその首を斬り飛ばす。

 クリスは正面のバジリスクと高速の突きの連打で牽制しているが、もう1匹居るんだけど。


「グギャッ!」

「っと!」


 と思ったけど、そっちはカバチが盾で押し返していた。

 あれ役に立って無いの私だけ?

 あと、蜥蜴に思いっきり押し付けられた盾のレリーフの女神が一瞬凄く嫌そうな表情をしたのは気のせい……じゃないよね?


「まだ、あと5匹居るわ」

「ちょっ!多すぎだろ!」

「アリスとカバチを中心に周りを固めろ!」

「僕も戦えるよ!」


 私とカバチを囲もうとした3人、そのジャンとテオラの間にカバチが割って入る。


「おいおい、目だけは見るなよ?」

「ふふっ、目を見ても大丈夫だと思うよ?」


 あっ、カバチあんな紙切れを信用してたんだ……まあ、私もそれしか頼るもんが無いけどさ。

 そんな事を考えていると、さらに周囲から5匹の蜥蜴が現れる。

 うん、さっきジャンが斬り飛ばしたのを除いて8匹か……あれっ?カバチの盾に弾かれたのも動いてない?

 まあいっか。


「へえ、シールドバッシュだけで一匹しとめたのか」

「うーん……そうみたいだね。盾さん有難うね」


 ジャンの言葉にカバチが首を傾げながら、盾に礼を言う。

 さっきまで青白い表情……無機物だけどそう見えた盾に少しだけ笑顔が戻ってる。


「盾に礼を言うとか、変な奴だなお前」

「ジャンに言われたくないかな」

 

 なんだろう……2人とも凄く長い間一緒に居た仲間みたいだね

 というかジャンの言葉を受けて女神がジャンを睨み付けたのは見なかった事にしよう。


「くそっ!キリが無いな」

「危ない!」

「助かったよカバチ」


 クリスが目の前のバジリスクの首から下を見据えつつ応戦していたら、不意に下から覗き込むように首を突っ込もうとした別の個体をカバチがショートソードで弾き飛ばす。

 ジャンみたいに傷を付ける事は出来ないか。

 あと、女神が剣を使った事であからさまにホッとしてた……てか、私も何かしないと。


「このままじゃ、ジリ貧だな……カバチ!俺とジャンとお前の3人でこいつらの攻撃防げるか?」

「うーん……ちょっと厳しいけど、やってみる」

「よしっ!テオラ中に入って広範囲魔法の詠唱に入れ!」

「えっ?本当に大丈夫?」

「た……たぶん?」


 クリスの指示に対してテオラが若干不安そうだけど、もし広範囲魔法が使えるならそれに掛けるしかない状況だし。

 というか、私ってなんて無力なんだろう……でも、貴族っぽい人達に囲まれて守られるのってなんかお姫様っぽくていいかも。

 はっ!またもカナタの視線が……


「3分粘って頂戴」

「そんなに掛かるの?」

「えっ……ごめんなさい」


 テオラの言葉に思わずカバチが不安そうな表情で突っ込むと、テオラがビクッとして素直に謝ってた。

 意外と上から来られると弱いのか?


「大丈夫!僕頑張るよ」

 

 そして健気な事を言うカバチ。

 うんうん、うちのカバチは本当に良い子だな。


「不味い!ノーブラインドだ!」

「うそっ!」


 その時絶望を告げる言葉がジャンから飛び出した来た。

 ジャンの方を見ると、茂みの奥から優に3mはあろうかという大型のバジリスクが姿を現す。

 デカい!

 しかもめっちゃ怒ってる。


「うわっ!」


 ノーブラインドはクリスを見た瞬間に、一気に顔を歪ませてこっちに突っ込んでくる。

 そしてクリスがその体当たりを喰らって弾き飛ばされる。


「クリス!」

「このっ!」


 あっ!


「カバチ!見るな!」

「馬鹿な!まだ2日も経って無いのにもう治ったっていうのか!」


 吹き飛ばされつつも受け身を取って体制を整えたクリスがカバチに警告を飛ばす。

 そしてジャンが言う通り、背後から襲い掛かったカバチに向けてノーブラインドの死角(ブラインド)部分にあった目がしっかりと開かれる。


「カバチ!」

「カバチさん!」


 思わず私とテオラが叫ぶ!

 しかし、しっかりとその視線を捉えつつもカバチは石化することなくノーブラインドの延髄の当たりを斬り付けていた。


「っと、重い!」


 そしてゴトッという音がしたかと思うと、カバチの腰から石化した紙人形が落ちて粉々に砕け散った。

 本当に効果あったよこれ!というか、なんで1枚しか貰わなかったの私。


「フギャッ!」


 しかし固い鱗に阻まれたカバチの一撃は大したダメージを入れる事が出来なったらしく、そのままノーブラインドの尻尾に弾き飛ばされてしまった。


「っと!」

 

 ジャンが回り込んでカバチを受け止めるが、カバチは今の一撃で完全に気を失ったようだ。

 これって絶対絶命?


「不味いな!」

「くそっ!せめてノーブラインドだけ、もしくはバジリスクの群れだけならまだなんとかやれたのに!」

「だめっ!間に合わない!」

 

 クリスとジャンが剣呑な表情を浮かべる。

 そしてテオラもまた悲痛な叫びをあげているが、お前は詠唱を続けろ!


「カバチ、アリス!無事か?」


 っとその時聞き覚えのある声が背後から聞こえてきた。

 遅いよ!

 せめてカバチがやられる前なら……

 間の悪い我らの頼れるリーダーの声だ。


「誰だ!」

「北風のリーダーのアレクって言います!手伝います!」


 そう言って私の背後から現れたアレクが手に持った青白い金属の剣を振るうと、私達を囲んでいたバジリスクのうちの1匹が首から斬り飛ばされる。


「危ない!」


 直後クリスから大きな声が発せられる。

 他の個体がすぐに攻撃を終えたばかりのアレクに対して背後から爪で斬りかかっていたのだ。

 クリスが慌てて駆け出すが、一方のアレクは振り返る事なく手に持った剣でその爪を受ける。

 えっ?

 指と指の間に滑り込ませた剣が、バジリスクの腕を二つに切り裂いたかと思うと振り向きざまにその首を斬り飛ばす。


「えっ?」

「はっ?」

「嘘でしょ!」


 クリスとジャンと私の口から間抜けな声が漏れる。


「嘘でしょは酷いよアリス」


 アレクは剣を軽く振るって血糊を飛ばすと、その剣を肩にそのまま担いでこっちを見て苦笑する。

 っていうか、その剣見覚えがあるんですけど?

 かなり、トラウマになった例の剣そっくりですね?

 そんな私の思いを無視するかのように、アレクが周囲を見渡す。


「残りはそこのでっかいのと、普通のが5匹……いや4匹か」


 ふざけたやり取りをしている間にも、相手の怯んだ隙を見逃す事なくジャンが対峙していた1匹を斬り伏せていた。

 流石この辺りはベテランパーティの1員だけの事はある。

 というか、アレク強くなりすぎでしょ!

 一体何してきたの……というかカナタは?


「ああ、君が彼女たちのパーティのリーダーか。僕はペルセウスのリーダーのクリスだ……救援かたじけない」

「いえ、依頼ですから」


 アレクのお陰で少し余裕を取り戻したクリスが、戦いつつもアレクの傍に来て挨拶をする。

 

「もう一人居るって聞いたけど」

「ああ……師匠ならそこですよ」


 そう言って指差したのは木の上だった。

 全員がアレクの差した方を見る。

 みんな余裕だな。

 っというか、何気につられてバジリスクも上を見ている。


「えっ?」

「なんだアイツ!」

「ちょっ!はあ?」

「ああっ!居た!ってか、あんたそんなとこでなにしてんのよ!」


 その先でちょっと太い枝に寝そべったカナタが、本を片手にこっちに手を振っていた。

 というか、バジリスクの集団の視線にさらされてるんだけどあんた?

 ふと周りを見るとバジリスク達が慌てて視線を逸らしていた。

 うん、なんで?


 クリスは素直に驚いているが、ジャンとテオラはかなりムカついた様子だ。

 というか、いま思ったけど師匠ってなに?


「ああ、カバチはやられたのか。ほらっ!」


 そう言って木の上からいつもの緑色の液体を振りかけるとカバチが「うーん」と言いながら起き上がる。

 だから、なんかやったら効果の高いポーションをなんで惜しげもなく気絶した程度で使えるんだよあんたわ!

 私もイラついてきたわ。

 若干その緑色の液体を青い顔をしたアレクが見ているのが気になるけど。


「そっちは石化か、まあついでだ」


 そして今度は私達の中心に寝かせられている狩人のバリイにも、緑色の液体を振りまく。

 直後バリイの身体が青く輝いたかと思うと、石化が徐々に解けていく。


「あれっ?ここは?」


 バリイが状況を理解出来ずにキョロキョロとしているが、絶賛バジリスクに囲まれているのだから、もう少しそっとしてあげればいいのに。


「あんたそんなとこで何してんのよ!こっちに降りて来て手伝いなさいよ!」

「むーりー!だって俺無職だもん。戦闘職じゃないし」


 私が下から怒鳴ると、カナタが耳を塞いで首を振りながらふざけたことを抜かしてくる。

 グヌヌ!

 くそっ、こうなったら下から魔法で!


「アレク、そこのイケメンを蹴り飛ばせ!」

「はいっ!」


 直後カナタの指示に従ってアレクがクリスを蹴り飛ばす。

 ちょっ!なんて指示出してんのあーた!


「おいっ!」


 流石にジャンが怒った様子だが、カナタに怒るべきか、アレクに怒るべきか二人の方を視線が行ったり来たりしている。

 ところがクリスがさっきまで居た場所目がけて石弾が数発着弾したのを見て、ジャンの表情がポカンとしたものに変わる。


「そっちのお嬢さんは詠唱の続きをしなくていいのか?」

「お嬢さんって!あんた私より年下っぽいのに生意気ね!でもそうするわ!」


 素直か!

 テオラが一瞬だけカナタに噛み付いてから、呪文の詠唱の続きに入る。


「カナタ!来てくれたの?」

「いや、助けに来たの俺……」


 っと、カバチの意識がようやくはっきりしたのか、皆が見ていた木の上にカナタを発見して嬉しそうに声を掛けている。

 そしてその陰で悲しそうな声を出すアレク。

 こいつが来ただけで、一気にさっきまでの緊迫した空気が緩くなる。

 いや、まあアレクが来たときもちょっとだけホッとしたけどね。


「ちょっとだけ?」


 はっ!アレクが私の表情を見てより一層悲しそうな表情になっている。


「アレクだっけ?助かったよ……かなり痛かったけど」


 おお……クリスさん結構遠くまで飛ばされたんだね。

 数m先で受け身を取ったクリスが、蹴られた胸を押さえて礼を言っている。

 やっぱりアレクはジェネラルを倒して、レベルが上がったのか。 

 

「さてと、それじゃあ蜥蜴狩りといきますか……皆頑張れ!」


 木の上からカナタがイラッとするように仕切った事をぬかすから、取りあえず火球をぶち込んだ。

 私悪くないよね?

 そして、当然のように着弾する前にかき消された。


「アリスはノーコンだな。俺じゃなくてあっちに打たないと」

 

 ノーコンの意味が分からないけど、馬鹿にされたことだけは分かった。

 そして、私はちゃんとあんたを狙ったんだよ!

 こいつ、本当にムカつく!

2章も終わりが近付いてきました。

3日間ほどスケジュールが埋まってしまってるのですが、時間が取れれば火曜日にはあげられると思いますが、火曜更新なければ木曜日になります。

感想、ブクマ、評価頂けると頑張れます。


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