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異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~  作者: へたまろ
第2章:北風とカナタのバジリスク退治!~アリスの場合~

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第20話:ペルセウスと北風とバジリスク6~ノーブラインド~

今日は18時にもう1話あげる予定です。

「それで、その変異種ってのはどんな個体なんですか?」

「そうだな……過去に例を見ない訳じゃないから知ってるかもしれないが、ノーブラインドと呼ばれる変異種。進化ではなく完全なる突然変異だと考えられている個体だよ」


 私の質問に対して、なんとなしに答えてくれたがごめんなさい。

 知りません。


「その表情だと知らないみたいだね」

「僕は知ってるよ!バジリスク以外にもたまにいるよね?後ろにも目を持った個体でしょ?」

「ああ、その通り。バジリスクのノーブラインドの目撃例は殆ど無いが、あれは凶悪だ」

「背後から隙を伺ってたバリィが……あっ、そこで石になってる狩人な?突然弓を取り落としたかと思ったら、石になっててさ!で、奴……バジリスクがそっちのバリィの方に向いた瞬間に後頭部にあった目に俺とテオラが捕まっちゃってね」

「一瞬で3人が石になって、焦ったよ。まあ僕はジャンの影に居たお陰でその目を見る事は無かったけど、取りあえずジャンの影に隠れたまま後頭部の目を槍で一つは貫く事に成功したからさ。一つ潰したら石化睨みは使えないからこっちに向き直る前にもう一つの目を潰して、ジャンに解石剤を使ってね」

「ああ、それから仕返しとばかりに尻尾は貰ったけどな」


 おお、流石ノブレスの中でも実力派のパーティ。

 変異体相手でも、イケイケみたいだね。


「で、ジャンがヘイトを稼いでる間にテオラを解石して一気に畳みかけようと思ったんだけどさ……」

「まさか、奴があそこで目を閉じるとは思わなくてな。しかも額にもう一つ目があったし」

「かなり特殊な変異体だったんだろう。額の目を見るのも怖くてちまちまと削ってたら他のバジリスクも集まって来てタイムオーバー。バリィを連れて逃走ってわけ」

「一応追跡魔法のマーキングは付けてあるから、いつでもあいつの所にはいけるけど、先にバリィを治さないと、手遅れになったら……別に心配してるんじゃないから!ちょっとでも一緒に居た仲間だから、ほんの少し可哀想かなと思っただけだから!」


 テオラがバリィの事を気遣うような事を言った後に慌てて否定してたけど、思いっきり心配してるよね?

 ああ、そう言えばカナタも石にされた時に治すような薬は買って無かったかあ……

 まあ、元々石にされる気も無さそうだったけど。

 でも、あいつの持ってる緑色の液体なら石化くらいすぐに治りそうだよなー……

 てか、カナタとアレクはどこで道草食ってるのよ!

 気配が読めるならすぐに合流出来るでしょ!


――――――

「もう無理だよ!」

「口が動くなら身体も動くだろ?俺は無職だから戦えないんだから、アレクだけが頼りだよ」

「いやいや、大体このホーンボア達さっきから俺しか狙ってないよね?なら、隙を付いて一撃とか……」

「やだよ、それで標的がこっちに移ったらどうすんの?」

「そしたら俺が「ほらっ、横に飛べ」


 カナタに言われた瞬間に、条件反射で横に飛んだアレクの元居た場所を凄い勢いでホーンボアが走り抜けていく。

 すでに、言われたら条件反射で体が動くレベルまでこき使われているアレク。


「いいの?こいつらをとっとと倒してその先の道を進まないと、カバチ達に合流出来ないよ?」

「うう……ならなおさら手伝って「ほら、右に剣を突き出して!」

「えっ?はいっ!」


 訳も分からず剣を突き出すと、ホーンボアの右目をアレクの剣が貫く。


「これで、残りは3体かな?」


 脳にまで達した突きは、ホーンボアにとって致命傷になったらしく、それでもアレクを押し倒そうと少し進んだ後で横倒しに倒れた。

 だが、仲間のホンーボアが殺された事に他の3体から怒気が上がる。


「なんか、さっきよりやばそう」

「ああ、そういった事は取りあえず殺してから考えろ」


 そう言って木陰に腰を下ろすカナタ。

 それを理不尽なものを見るような眼で見つめるアレク。

 すぐにカナタに顎でしゃくられてホーンボアの方を向き直させられる。

 合流まではまだまだかかりそうである。


――――――

「はっ!なんかいま、アレクの生命の危機を感じた」

「どうしたの?」


 一瞬とっても不憫な光景が脳裏を過った。

 思わず声に出してしまったが、カバチも心配そうにこっちを見ているので取りあえず笑って誤魔化す。

 たぶん、大丈夫だよね?


「ところでアリスとカバチってどれくらいやんの?いや、無理に答えなくてもいいけど」


 突然ジャンが質問を投げかけて来たけど、微妙に困るわ。

 よくよく考えたら、不明のB級冒険者の探索にF級が駆けつけるってどうよ?

 無いでしょ?


「F級だよ?僕がさっきまでレベル8でカナタがたぶん5?アリスはどう?ちなみにアレクは10だったよ」

「えっ?アレクって6じゃなかったっけ?」

「はっ?ゴブリンジェネラル倒したから、レベル上がったって……ああ、あんときはまだアリスは部屋に居たもんね」

『はっ?』


 カバチがあっけらかんと答えたけど、私もペルセウスの面々も驚きの声をあげる。

 といっても、私と彼等の驚くポイントは違うんだろうけどね。


「一応グレイベア倒したから、僕は11になったよ?」

「えっ?ああ、一応私も攻撃したし……上がってない……」


 そりゃそうか。

 ダメージにもなってない火球じゃ経験値なんて貰える訳ないか。

 そもそも闘いの功績というか、与えたダメージ量によって討伐した魔物から得られる魂値……通称経験値が変わるもんね。


「いやいやいや、F級?こんなところで何してんの?」

「そうだよ!シンフォレストって一応ギルドでD級以上推奨でF級は、まず入る事すら許可されないでしょ!」

「というか、F級でレベル5の癖に伯爵令嬢の私と友達になったの?いや、まあ友達になったからにはそういった事は気にしませんわ!でも横に立つのも前に立つのも無礼極まりないから二人は常に私の後ろに居る事ね!特に魔物と出会ったら!」


 なんだろう……そうだよね?それが普通の感覚だよね?

 カナタに乗せられるがままにこの依頼受けたけど、普通ありえないよね?

 良かった……久しぶりに常識人にあった気がする。

 あと、テオラがなんか言ってるけど、無視して良いかな?

 私が守るって言ってるように捉えられなくもないけど、なんかすごく気合の入った表情してるし絡むと面倒くさそう。


「そうですね……テオラさんと私はそれほど差があるのですね……なら、横に立つのは確かに失礼ですね。友達になりたいなんて言ってすいません」

「いやいやいや、良いのよ?友達だから良いのよ?そっ……それにオフなら隣に立っても許さなくもないわよ?だって休養中だったら女の子同士だし、冒険者のランクなんて休日のお友達には関係無いですわ!」


 と思ったけど、ちょっと揶揄ってみた。

 めっちゃ焦ってオロオロしてる……なんだろう……絶対私より可愛いよね?

 生意気だけど、言葉や行動の端々から女の子らしさというか、優しさというか……色々と負けた。


「つーかさ?ゴブリンジェネラルって単語が聞こえたのは気のせいか?」


 ジャンが若干鋭い視線をカバチに送っているが、カバチは特に気にした様子は無さそう。


「そうだよ?カナタの持ってた剣でアレクが一人で倒したんだよ?で、一応エストの村の護衛として雇う事になったんだ」

「はあっ?レベル6で一人でゴブリンジェネラルを?ふかしこいてんじゃねーよな?」

「ええっ?僕は嘘吐かないよ!」

「そうだな。確かに今のはジャンが悪い!ギルドの依頼、リーダーの頼みでここに来てるって事は、肩書以上の実力があって当然だろう」


 ジャンを諫めるようにクリスがすこし冷めた表情で、苦言を呈す。


「いや、ゴブリンジェネラルってC級でも一人じゃてこずるだろ!それを一人で倒してF級っておかしいだろ!」

「うーん……それはカナタが昇格を断っちゃったから。でもカナタもC級の昇格を断ってるからね」

「えっ?冒険者が昇格を断るってあるのか?嬢ちゃん本当なのか?」

「嬢ちゃん?まあいっか、そうなのよ!せっかくモッズさんが昇格の打診をしてくれたのにカナタが勝手に断っちゃったのは事実ね」


 私の言葉にジャンが頭を抱えてる。

 まあ、その気持ち分からないでもないけどね。

 うん、やっぱりカナタはおかしいし、アレクとカバチは大分毒されてるわね。

 私だけでもしっかりしないよ。


「はあああああ……もういいわ。で、大将!これからどうするんだ?」

「ああ、リーダーにも心配掛けてるし、一旦バリイを連れて戻ろうかと思うけどそっちの連れはどうするんだい?」


 大きなため息を吐いたジャンがクリスに今後の方針を聞いているけど、そうなのよねー。

 こっちとしてはアレクとカナタも連れて戻りたいんだけどね。

 でも、あの二人……というかカナタが居るならあっちは大丈夫そ……いま私は何を思った?

 ああ、なんで無職のF級といるアレクが大丈夫と思おうとしたんだろ。

 よくよく考えためっちゃピンチ……でも無いか。

 気配読めるらしいから、敵を躱しながら町まで戻れるよね。

 いやいやいや、私もいい加減おかしくなってる気がする。


「大丈夫だよ!カナタが居れば問題無いと思うよ」

「へえ、そのカナタってのはそんなにやる奴なのか?ちなみに、職業は?」

「無職?」

「……」


 ジャンの言葉にカバチがあっけらかんと答えた瞬間に、辺りに沈黙が訪れる。

 やっぱりこっちが普通よね?

 なんで、無職といて大丈夫と思えるかなカバチは!

 まあ、数秒前の私もだけどね。


「私は別に下々の者がどうなろうと知ったこっちゃないですわ。しかも領民ですら無いですし」


 テオラがバッサリと切り捨ててる。

 まあ、こっちも貴族としては普通か。


「でも……アリスの仲間って事は不本意ながらも私にとっては友達の友達ですからね。ってことは友達……いや知り合いとも取れなくはないですし。仕方ありませんわ。少し周囲を探してから戻りましょうか……バリイには悪いですけど」


 前言撤回。

 ただの面倒くさい奴だったわ。


内容的にはあと2~3話、幕間を入れて5話くらいで第2章完結予定です。

3章の方も前半の構想が終わった状態で、仕事中にネタを考えてる段階です。

頑張ります!



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