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異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~  作者: へたまろ
第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~
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第17話:激闘ラージアーマーリザード

「くそっ!」


 ガキンッという音がして、またも僕の剣が弾かれる。

 幸い見切りのお陰で相手の攻撃が当たる事も無いが、それでも喰らえば一発退場間違いなしだ。

 こっちの攻撃は確実に相手に当たっているのに、全くと言っていいほどダメージが入っていない。

 その硬い鱗に線傷が入る程度のものだ。

 完全な硬直状態だが、こっちは相手を倒す手段が無い。

 しかし、相手は当てさえすれば勝つことが出来る。

 圧倒的不利な状況のなか……


「プッ……」


 時折、カナタさんが本を読みながら吹き出す声が僕をイラッとさせる。

 つかあの人マジふざくんな! 

 時折こっちに目を向けては深く溜息を吐く。

 まるで「まだ倒してないのか?」とでも言われているかのようだ……


「まだぁ?」


 ってか、普通に口に出して言われたし。

 そしてその言葉は、僕達に言っているんですよね? 

 もしかして、リザードに向かって言ってないですよね? 

 そんな事を考えていたら、地面が弾ける音がする。

 それを横っ飛びに躱しつつカナタさんに文句を言う。


「じゃあ、手伝って下さいよ!」


 そしてカナタさんに冷ややかな視線を送るが、こちらをチラッと見て普通に本を読んでるのがまたイラッとさせる。


「むーりー……だって俺、非戦闘職っていうか、無職だしぃ?」


 威張って言う事か! 

 っていうか、実際に戦ってるの見た事無いけど、絶対強いよね貴方? 

 レイドの方も大分体力を消耗しているらしく、さっきから口数が大分減ってきている。


「カナタさん……何の本読んでるんだろ?」

「うん、確かにそれも気になるけど、今はこいつに集中しよう!」


 いや、案外余裕があるのねキミも……

 突進、躱す、斬りつける、弾かれる……ひたすらこの繰り返しだが、確実に効果は出てきている……相手にとっては。

 そう、間違いなくこっちの体力が削られているだけだ。

 このままじゃ、確実にジリ貧だな。


「駄目だな……」


 唐突にカナタさんが呟く。

 何がダメなんですか? 

 僕がダメなんですね。

 分かります。


「前半は面白いんだけど、後半完全にバトル物になってくるからな……こうなってくると、この作者の持ち味が完全に殺されて読者の好きそうな展開ばかりが詰め込まれてくるんだよね。編集者って本当にたまにクソみたいな仕事するよなー」


 本の話でしたか……

 ちょっとは興味持って! 

 するとパタンという音がした。

 カナタさんが本を閉じて、立ち上がると大きく背伸びをする。


「カナタさん、手伝ってくれるんですか?」

「えっ? やだけど?」


 あっさり断られたし。

 なら、なんで立ったし! 


「そんくらい、自分で倒せよ……大体ルーンブレイドなんだから、魔法の力使えよ……」


 カナタさんが呆れたように溜息を吐くが、なんのルーンが刻んであるか分からないし。

 というか、使い方も教えて貰って無いし。


「これ、どうやって使うかなんて分からないですよ!」


 僕が軽くぼやくと、カナタさんがさらに大げさにため息を吐く。

 そして小ばかにしたような視線を送って来る。


「分からなかったら、昨日俺と別れた後に魔道具屋にでも行って確認しとけよ……」


 はい、ごもっともです。

 てっきり、カナタさんが教えてくれると思ってましたから。

 っていうか、その手があったか! 

 言われるまで気付かなかった僕が馬鹿ですね。

 なので教えてください。

 って言っても教えてくれそうにないし、ちょっと引っ掛けてやろう。


「カナタさんでも分からないんですか?」

「馬鹿の癖に、くだらん駆け引きをしようとするな馬鹿が!」


 僕がにやにやと挑発するかのようにそう言うと、カナタさんから2回も馬鹿って言われた。

 酷い……


「おい、アホな事言って無いで3歩下がれ」

「えっ? はいっ!」


 カナタさんに言われて、つい条件反射で3歩下がると目の前をアーマーリザードが駆け抜けていく。

 そうだ、戦ってる最中だった。

 カナタさんにムカつきすぎてつい忘れてたわ。


「大体俺がなんで知ってると思うんだ? それに、知ってると思うなら尋ねる態度ってもんがあるだろう? あっ、レイドしゃがめ」

「はい!」


 カナタさんがこっちを向いたままレイドに指示を飛ばす。

 レイドがしゃがむと頭の上を、アーマーリザードの尻尾が通り過ぎる。

 っていうか、なんで見ても無いのに分かるんですか? 


「まあ、いいわ。ちょっと貸してみろ」


 カナタさんがそう言って僕の手から剣を霞めとると、アーマーリザードと対峙する。

 すぐにアーマーリザードが突っ込んでくるのを剣で受けると同時に、カナタさんが魔力を剣に込めるのが分かる。

 そして、剣に刻まれた魔法の言葉(ルーン)が青白い光を放つ。


「【爆発(エクスプロージョン)】!」


 次の瞬間、剣の前で小規模な爆発が発生してアーマーリザードが弾き飛ばされる。

 えっ? 

 なにそれ? 

 凄くね? 


「ほらっ、分かったろ?」


 そう言って、カナタさんが僕に剣を渡してくる。

 いや、貴方がこの剣で戦えばすぐに終わらないですか? 

 そんな事を考えると、カナタさんにすっごい睨まれた。

 てか、なんで? 

 カナタさんが戦えば良いじゃん! 


「俺は良いんだよ。お前らが強くなればなるほど、楽出来るんだから」


 本音がダダ漏れです。

 隠すつもりの無い思惑を聞かされて、思わず微妙な表情をしてしまった。

 でも、これで戦える気がしてきた。

 早速アーマーリザードの攻撃を躱して、斬りつける際に使ってみる。


「【爆発(エクスプロージョン)】!」


 す……すげー。

 アーマーリザードの鱗が数枚ではあるが、弾けていったよ。

 これならダメージ入るんじゃ! 

 調子に乗って、もう1発放つ。


「【爆発(エクスプロージョン)】!」


 さらに鱗が数枚弾け飛ぶ。


「ギャァァァァ!」


 アーマーリザードもダメージがあったのか、大声で叫んでいる。

 行ける! これなら行ける! 

 おっしゃ、もういっちょ! 


「【爆発(エクスプロージョン)】!」


 ガキン! 

 ……

 ……

 ……

 はっ? 

 今度は何も起こらなかった。

 というか、普通に弾かれたし。


「お前さ? 自分の魔素量考えて使えよ! もう空っぽだぞ?」


 カナタさんにそう言われた瞬間に、急に眩暈が襲ってくる。

 あれっ? 

 頭が……


「はぁ……急性魔力欠乏症だな。ゆっくり枯渇させたならいいけど、一気に魔力を枯渇させると貧血に似た症状が出るんだよ。おい、レイド! 鱗がはがれたところを集中的に狙っていけ」


 薄れゆく意識の中で、カナタさんの言葉が……全然頭に入って来なかった。





短めです。

ちょっと、昨日ブラジル人が家に来てたものでして。

その対応に追われてました。

明日は仕事が長いですが、なるべく頑張ります。

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