裏で動く者
その頃、ディノの国王の元に1通の密告が入った。それは、ある上位精霊宿しがこの国に入ったとの事だった。
「上位精霊宿し?それがなんだというのだ?」
国王はそんな者沢山いるではないか、とその
話に疑問を持った。すると、龍の民の第二王子センが口を開く。
「……噂ですが……龍の目という能力があるようでして……」
「確か、龍神の目を持つ者だけが使えるという伝説の能力か──?!」
「……はい、そうだろうと考えております。私達は龍神を神とし、信仰して龍神に供物を捧げていますが、何らかの影響で龍神の力が少なくなってしまったと感じます。供物は欠かしておりませんし、長老は龍神の目が1つ奪われたせいだと……」
「まさか、その目を持っているのがその上位精霊宿しだというのか?」
「可能性の話です。」
「それについては俺も聞いた事があるぜ。ジュノ国王。」
獣王カリオンが不敵な笑みを浮かべる。
「言うてみよ、カリオン」
「俺の国を通った商人の話なんだが……この先に精霊の園という所があるだろう。そこで黒い髪を持ち赤と青の目をした不思議な少女がまるで誰かと話している様に独り言を言っていたらしい。空中都市に行くとも言っていたそうだ。──赤い目は龍神の象徴だし、それに精霊の声は外へ聞こえない。商人は今話している奴を見たのかもな。」
「なる程、そう考えれば辻褄はあう。この国にいるという上位精霊宿しは龍の目持ちの可能性が高いようだな。」
「どうされますか?その者を捕まえますか?」
国王の側近が国王に尋ねる。国王は少し顔をしかめたが、すぐさま結論をだした。
「うむ、会って本当の事を確かめないといかん。その者を此処によんでくれ。」
従者達からはそのような怪しいものを招くなど……
とざわめきが起こった。すぐさま国王の側近が
「静まれぇい!国王様のお考えに口を出すのではない!国王様の意に反するという事は、この国に背くという事だ!愚か者が!」
とその場を鎮める。
国王は心の中で笑った。その力があればこの国の護衛として使えるのではないか、という淡い思惑を抱きながら──
数時間前の続きです。思っていたより更新が遅れてしまいました。申し訳ありません。