右翼の行方
貿易の中心だから門番があんなに厳しかったのか。此処で怪しいまねなどされるとたまったものではないのだろう。
とにかく、眼帯が売っていそうな店を探さなければならない。これだけ店があるのだから大通りを歩いていれば見つかるだろう。
この時間は人が少ないのか、店が良く見えた。
今もう一時間は歩いているが……駄目だ。全く見つからない。仕方ない、道行く人に聞こう。然し、誰に聞こうかな……
「ばぁ!」
思わず驚き、変な声が出る。声の正体は小さな女の子だった。でも、何かおかしい。そう思って見てみるとその子の右の翼が以上に小さかったのだ。
「す、すみません! うちの子が!」
そう言って慌てて出てきたのは若い20歳位の若い女性だった。きっとこの子の母親だろう。この人に聞けば分かるかもしれない。
「いえいえ、それよりお尋ねしても良いですか?」
「ええ、もちろん」
「ここら辺で眼帯が売っているお店ってありますか?目を怪我してしまって……」
「それなら私の家に来て! 眼帯なら店にあったわ。」
「本当ですか?」
「ええ、この子も貴女の事を気に入っただし」
「あいっ!」
そうして私は運良くお店に行けるようになったのだった。そういえばお金ってどうなるんだろう……持ってないな。
『それなら大丈夫さ』
いっ、いたのかウンディーネ!
『はぁ、当たり前だろう? 精霊宿しである事を伝えれば武器以外の物なら手に入るよ。』
「そうだったの?!」
「ん、どうしたの?」
きょとんとした顔で女の子もこちらを見る。
「あっ、何でもないです……」
かぁっと顔が熱くなる。ウンディーネの声が聞こえてないんだ……
『そういえば教えるの忘れてた。僕らは念じれば喋れるから本当に言葉に出す必要が無いんだ。ごめん、ごめん。』
そんな大切なことを……!!そう思っているともう到着していたようである。
「着いたわよ、ここが私の店」
「あいいっ!」
右翼が小さい女の子が私の服の端っこを摘む。昔からある店なのか少し老朽化していたが、店内はとても見やすくなっていた。
「この辺に色々あるわ。ゆっくりしていってちょうだい」
「ありがとうございます」
棚には十二種類位の眼帯がずらっと並んでいる。
「誰が使うのか分からないんだけれど魔法を着けている時抑える機能がある眼帯もあるの。買った人はまだいないわ」
「ちなみにそれって……」
「一番上の棚の黒い眼帯よ」
言われた通り眼帯を取ると普通の眼帯よりずっしりとしていて、重厚感があり、またまた紋章が書いてあった。
「……これ、買います。」
凪はこの話で人と初めて会話をします。やっと人とコミュニケーションしている所が書け、ほっとしています。これからもよろしくお願いします。