水神の使い手 01
「精霊の加護」を「精霊魔法」に変更しました。それに伴い、変更した部分もあるかと思います。ご了承ください。
とにかくこの一帯には街が無いどころか人っ子一人歩いていない。街か何かに行かないと包帯の調達は難しいだろう。もう少し歩くと見えるだろうか。そう思い草原を歩き出した。森の中で木以外は何も見えない道だがそんな中でも一際目立つ大きな木があった。太い幹に長い枝を伸ばし、それ自体が意思を持っているような。
「此処からどう行けば街がある?」
呟いた言葉が木々にこだまする。
「それならずっと北に進めばいいよ」
木が返事をした?!思わずヒッと声が出る。
「やだなぁ、そんなに驚かないでよ。木は返事をしないよ。当たり前だろう?」
そう言って声を掛けて来たのは小さな子狐だった。然し、それは一目見ただけでこの世のものではないと分かった。尻尾の様な物の先はまるで水の様に透き通っていて、足元には、一歩進む事に水紋ができるのだ。
「こんにちは。君、僕の事が見えるんだね!僕は精霊のウンディーネ。よろしく!」
ん?精霊?ファンタジーか……?
「君、精霊を知らないのかい?!結構有名だと思ってたのに……と言うよりも腕の紋章は精霊の紋章だよね?」
「こちらに来たばかりで何もわからない……生まれた時からついていた。」
「ええっ、そうなのか。てっきり精霊宿しなのかと勘違いしたじゃないか。」
またまた分からないワードが……
「精霊宿しって言うのは、精霊が依代にする物を自分の体の中に持ってることを言うんだ。宿している側の人間は精霊の力を一部行使できるんだけど……精霊を宿すためには特殊な紋章がいるんだ。君の腕にあるのがそれさ。」
つまり、此処には精霊なる物がいて、そいつを身体の中に取り込むためにこの意味不明な紋章がいるってことか。
「まぁ大体そんな所だと思うよ、僕もそこまで詳しく無いしね。」
なるほど…てかこの紋章そんなに凄かったのか。それからウンディーネは色々教えてくれた。私に着いている紋章は上位精霊と呼ばれる精霊の依代になる程、強力な力があり精霊になり損なった亜人や幽霊などをすぐ引き寄せてしまうので早くに精霊を宿した方がいいとのこと。
精霊を宿せば「精霊魔法」が使えるようになる。精霊魔法はその精霊の特性によって異なり、風、水、火、地、空がある。そして、上位精霊の加護は暴風、水神、獄炎、神聖魔法となる。神聖魔法は蘇生魔法と治癒魔法が合わさった魔法らしい。
「ちなみに、僕も一応は上位精霊だよ。」
なんと!こんなに可愛いのに……
「この姿は仮の姿。 依代にしているけどきっと直ぐに消えるだろうね。」
「依代が消えたらどうなる?」
「僕は精神体となって地上をさまよった後、僕の精神
体が消滅して、記憶を持たない上位精霊として生まれ変わるんだ。 精霊は基本、不死身だからね。 でもこの記憶が消えるのは嫌だな、今までで一番楽しかったし、久しぶりに人間と喋れたんだ。」
「その依代はいつまで持つの?」
「うーん……持って後一日位だろう。 気が漏れているし。」
「じゃあ、私の腕に入ってみる?」
「いいの?」
「一応、上位精霊もOKなんでしょ?」
「うん、もちろんだよ! 嬉しいな、ありがとう。じゃあ早速いいかい?」
そう言うと水の様に透き通った手をさしだした。
長かったり短かったり申し訳無いです(T ^ T)