薄れる意識の中で
「国王の言う通りだぜ、お嬢ちゃん。ウンディーネは生きているさ。現にそいつが持ってる」
「ごめんね、騙しちゃった」
レイランはそう言うと手を差し出した。
「紋章を出して」
素直に腕を差し出すと、レイランは自分の手を紋章の上において血を一滴垂らした。
「我の応答に答え、水の力、神の力をもって繋がりを示せ」
急に腕が重くなり、立っていられなくなる。紋章の辺りからは血が流れ出し、意識も朦朧としてくる。朦朧とする意識の中でウンディーネの声が聞こえた。
『ごめんね、ごめんね凪』
身体が冷たい。全身が水で覆われているのが分かった。
『ウンディーネ……なの?』
そこには青い髪を二つに纏めた女の子の姿があった。足まで届くような長い髪がとても印象的で、服を着ていない。足も裸足だ。
私はその女の子と深い深い海の中に沈んでいった。なんの抵抗もせず、ただただ沈んでいく。それが運命だとさえ思えてきてしまう。その子の顔を覗くと、その子はぐっすりと眠るように目を覚まさなかった。違う、何か違う。ここに居てはいけない。何故だか涙が出てくる。海は私にまとわりついた。
この海から出た所で、私の運命など変わらないのでは無いだろうか。ウンディーネを戻した所であの痛みが襲うだけじゃないんだろうか。私はきっと誰からも必要とされてなんていないんじゃ無いだろうか。
暗闇の海の中で私はもがいたのだ。そんな声を、聞かぬように。例えその声が本当でも、この海から出る事にはきっと意味がある。そう信じたかった。
やがて、声は聞こえなくなり、光が暗闇に差して、水面が光った。美しく輝く水面は、私を地上に招き入れるようだった。
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