ウンディーネの蘇生
『凪、起きて』
そこには狐の姿のウンディーネがいた。
『ウンディーネ!ああ、ウンディーネがいる!』
訳が分からなくなって、泣き叫ぶ。涙で視界が霞みウンディーネがよく見えない。
『僕のためにこんなにボロボロになって戦って、大変だったんだね』
『でもね、ウンディーネ……たった1人、私にはウンディーネしかいない。だから、どれだけボロボロになったっていい』
『そうかい、そうかい。でも僕は君が大っ嫌いだよ』
冷ややかな声が頭の中でグルグルと回った。嫌い?何で?どうして?考えようとしても、それを何処かで怖がっている。私は一歩後ずさった。
『…………え?』
『当たり前だろう、誰のせいで消滅する羽目になったんだい?僕が攻撃されなければいけなくなったんだい?』
『……やめて……やめてよ……』
『何を勘違いしているんだい?大切な人?ふざけた事を。君は僕の受け皿でしかない。それに僕を危険に晒しておいて今更何のつもりさ?』
『それは……でも、私は守ろうとしたんだ!大切だと思うものを!昔の私とは違う!』
『君は昔と変わらない、少し能力を持ったくらいで守れてなんていないのさ。現実から離れたことにばかり気を取られて本当に大切な物を見失って。何かに憧れているだけの、弱虫だ』
弱虫……その言葉が何度も頭の中で再生される。
ガラガラと音を立てて、私の何かが壊れていく。
そのまま、ウンディーネは煙となって消えていった。
ガバッと起き上がる。ハァハァと自分の息が上がっているのがよく分かる。
──なんだ、夢か
額には汗で髪が引っ付いていて、頬には涙が伝っていた。涙を手で拭って立ち上がる。ねぇ、ウンディーネ、私の事をどう思っているの?暗闇の中に声は消え、手の中にある石は一層光を増していた。
この頃は亀更新になってしまっていますが、何とかエタらぬよう頑張らせて頂きます。挿絵、番外編のリクエストあればなんなりとお申し付け下さい。Twitterの方でも募集しております。




