三十四 悔恨
宴の翌朝、落ち着きを取り戻した高倉の邸を静かな雨が濡らしていた。
軒下から落ちる雫が咲き始めたばかりの紫陽花を揺らし、晴れていれば賑やかな鳥たちも木陰に身をひそめている。湿り気を帯びた対屋のうちは仄暗く、届かぬ陽の光に朝から灯をつけるしかない。昨夜東の対から届けられた実梅の香りだけが、わずかな清涼を漂わせている。
身支度を終えたばかりの揺羅の許に夫の母がやって来たのはそんな朝の、もうじき辰の刻*も半分が過ぎようかという頃のことだ。
不穏な予感の中で夫の母を迎え入れた揺羅に、北の方は、お疲れではない? と優しく問いかける。その目元に少し疲れを滲ませてはいるものの、落ち着いた松重*の薄物の袿を品よく身につけた北の方は、一見いつもと変わらぬ様子で静かに茵に腰を下ろした。
揺羅は頭を下げながら、その衣の袖口に覗く紫の濃淡の美しさに目を奪われる。
なんと品のある色目だろうか。決して派手ではない色目が、雨に烟るくすんだ気配の中で、逆に輝きを放っているようだ。
己が身につけた若菖蒲*の衣がなんだかとても浮ついて見える気がして、揺羅は思わず色の重なった袖を握りしめる。昨日、父から届けられた数多の品のうちから、わざわざこの衣を選んだ泊瀬が恨めしい。
急に決まった春恒との婚姻で高倉の邸に来たのは十の頃で、季節の移ろいに合う衣の選び方まできちんと母に教わるにはまだまだ幼かったし、時も足りなかった。母とて、よもやこのような形で末娘を手放さねばならぬとは、当時思ってもいなかっただろう。
揺羅の戸惑いに気づいたのでもあろうか、北の方が小さく笑って言った。
「若菖蒲の色は、それこそ若い頃にはわたくしもよう身につけたものよ。わたくしの母が好きな色合わせでね。この歳になると、その鮮やかさが羨ましい」
お似合いだこと、と北の方は微笑む。その笑顔に揺羅は、まるで実の母に慰められているような……と、そんなことを思い、そして、その思いに揺羅自身が驚いた。
揺羅を生み育てた左大臣家の母を一言で言い表すとすればただ、天真爛漫な女、だ。そして、他に形容のしようもない。ひたすらに夫を思い、子どもたちを守り育てることだけを考え、声を荒立てることなど決してない、この世に憂いというものがあることさえ知らぬような母だ。それはきっと、母が父左大臣の妻となった十五の時から父がすべてのことを負い、母に深く物ごとを考える必要もない日々を与えていたからに違いない。
唯一、揺羅が春恒の妻となることが決まった時、母はあまりにも早すぎると声をあげたそうだ。それでも、揺羅が高倉に移ったのちに母が寄越してくれたたくさんの文は、娘が夫との関係に苦しんでいるなど夢にも思っておらぬような、そんな内容の文ばかりだった。だから揺羅ももう、母には何も伝えないし語らない。
高倉の邸に来た翌日、揺羅が初めて右大臣家の北の方と会った時、その凛とした佇まいに少し気圧されそうになったのを覚えている。揺羅が知る母という存在とはまるで違う、どこか近寄りがたい気配を纏った女。物静かで余計なことを言わず、だがなぜか、淡々と紡がれる言葉から冷たさは微塵も感じられなかった。このお邸は怖いけれどこのお方は好き、とまだ幼かった揺羅は思ったのを覚えている。
いつの頃からか、夫とうまく関係を築けていないことへの後ろめたさから、揺羅は義母の目をまっすぐに見返すことすらできなくなり、揺羅の方から訪うこともしづらくなった。そうしてますます、孤独の淵へと沈んでいってしまった揺羅を実はずっと気にかけてくれていたことも、揺羅をちい姫の師にと言った基冬に何ら異を唱えぬどころか、前向きに賛成してくれたことも───つまりは、この高倉の邸にあって、常に誰よりも揺羅の味方で在ってくれたのがこの北の方だったことを、揺羅は全く知らぬままだ。それでも、揺羅自身もまた、この高倉の女あるじを深く慕っていて、それはもしかしたら実の母に対する思い以上かもしれぬ、ということを今改めて自覚したのだった。
「お義母さまこそ、ほんにようお似合いです。見習わねばならぬことが、まだまだたくさん……」
わずかにはにかみを滲ませて揺羅が言うと、まあ! と北の方は両の手を合わせ、嬉しそうに声を弾ませた。
「男子しかおらず、つまらぬと思うてきたけれど……そうね、あなたとこのような話ができるのよね」
北の方はそう言ってひとつ大きな息をつくと、ゆっくりと揺羅ににじり寄った。
「あなたがこの邸にいらして、もう六年になる」
「……はい」
「本当に嬉しかったのよ、お可愛らしい姫君がこの邸にいらしてくださって」
北の方は揺羅の顔を覗き込みながら、微かに笑った。
「楽しみにしていたの、わたくしは娘を持つことは叶わなんだから。本当よ。なのに……なぜかしら、いつの頃からかその気持ちを忘れてしまった」
北の方はまるで独り言のようにそう言うと、またすぐに小さく首を横に振った。
「違うわね。忘れてしまったのではない、考えぬようにしてしまったの」
噛みしめるような言葉とともに、そっと揺羅の膝に手を置く。いつも毅然としている北の方のそのような態度に、揺羅は戸惑う視線を向けた。
「許してね。もっと、あなたのそばにいて差し上げるべきだったのに。分かっていましたのに」
「……お義母さま?」
唐突な謝罪に、揺羅は眉をひそめた。問い返す揺羅の声に微笑んでみせる北の方の瞳が、心細く揺れている。
やがて北の方は探るように揺羅の手を求め、その両の手を取ると震える深い息を零し、人払いを、と呟いた。
心配げな泊瀬の視線がやがて妻戸の向こうに消えると、北の方は改めて揺羅の目を覗き込むようにして言った。
「たくさん、傷ついてきたのでしょう。中将のおこないに……」
思いもかけぬ言葉に、揺羅の肩がまるで打たれたかのように揺れた。
いつだっただろうか、この世のすべての人が揺羅の置かれた情けない立場を知っているのではないか、そのようなことを考えてひどく落ち込み、恥じ入ったことがあった。その時の感覚が甦ってきて、揺羅は一気に頭に血がのぼったようになり、心の臓を鷲掴みされたような心地になる。
動揺する揺羅の前で、北の方はいったいどこから話そうかと考えあぐねているようだった。
揺羅は何か言わねばと焦り、昨日……となんとか言いかけたものの、ぎゅっと北の方に手を握られてそのまままた言葉を呑み込んだ。
「昨夜の宴で、あなたのお父君……大臣と初めてお話しすることができたのですよ。じっくりとね」
揺羅は浅い息を繰り返し、それから、窺うように目の前の夫の母を見た。
「いったい、何を」
「なぜ、幼いあなたを我が家へと手放すことになさったのか、何をお考えだったのか」
北の方はそこまで言うと、一度きゅっと口を噤む。
「……そして何より、あの中将を───春恒のことを、大臣がどう思うておられるのか」
次々と繰り出される北の方の言葉は、これまで揺羅がこの邸で過ごしてきた六年もの間、敢えて目を逸らし続けてきたことを暴いていく。
北の方が左大臣と話したことはまさしく、揺羅が昨日、父に直接問おうとして問えなかったことだ。
果たして父は何と答えたのか、揺羅はそれを知りたいのに、まるで言葉が喉にはりついてしまったかのようにどうしても尋ねることができない。そうしてただ、いたたまれぬ心地になって思わずうつむくことしかできなかった頬に、下がり端がかかる。
「いつまでも見て見ぬふりはできませぬ。六年の年月が経って、中将がもはや言い逃れできぬ立場となったように、あなたもまた大人におなりになった。大臣のお考えを聞いて、あなたたちの様子を見て……もうこれ以上、わたくしがどうこうすべきではないと思ったの」
揺羅はなんとか真意を理解しようと視線を上げ、辛うじて問い返す。
「それはどういう……?」
北の方のくちびるが幾度も開いては閉じ、開いては閉じる。どのように話を進めていこうかと逡巡しているようだ。いつだって毅然としていた夫の母の、このような様子を見るのは初めてで、揺羅の胸のうちにどんどん不安が膨らんでいく。
「いったい、何から話せばいいのやら」
やがて諦めを滲ませた吐息を大きく零した北の方は、揺羅の手を離して脇息に凭れかかり、額に手を遣った。
いったい何をおっしゃりたいのか。早う、はっきり言うてくださればいいのに。
揺羅は行きどころを失くした手で、若菖蒲の色が重なる袖口をぎゅっと握りしめた。
「中将に子がいるのはご存じね?」
しばしの間を置いたのちそう問われ、揺羅の心の臓が大きく弾んだ。咄嗟に、ひた隠しにしているはずの左近の君の腹の子のことを言っていると思ったからだ。
「春先に姫が生まれたと、そのような話をお聞きになったでしょう?」
「あ……」
そのことであったか。正直なところ、その娘の話を揺羅はもうすっかり忘れていたくらいだったのだ。
「宮仕えの女房だったある女子が春恒の子を生んだと……世間ではそう言われていますけれど。その子はね、本当は春恒の子ではないの」
「……」
いきなり振られた話についていけぬ揺羅が黙り込むと、北の方は何かに追い立てられるように続けた。
「間違いなく、その子の父は春恒ではない。それはわたくしが保証します。ただ、その女子と契りを結んでいたは紛うことなき事実ゆえ、我が家が面倒をみることにしたのです。いいこと? これが真実。だから、あなたが思い悩む必要は何もないの」
北の方は再び揺羅の手を取り、なだめるように優しくぽんぽんと叩いて微笑んだ。そのことをもはや、まったくと言っていいほど気にかけていなかった揺羅は、鼻白んだように尋ねた。
「なぜ、今になってそのことを?」
そのようなことであれば、その時に真実を伝えてくださってもよろしゅうございましたのに、そう言う揺羅に、北の方は幾度も頷いて見せる。
「本当ならば、中将自身があなたに伝えねばならぬことだった。妻であるあなたにきちんと向き合って」
「それは……きっと、無理でございましたから」
夫は、揺羅を妻と認めて向き合おうなどと、これっぽっちも思っていないだろう。
「そうね」
北の方はため息混じりに頷くと、分かっておりましたのに、とまた独り言のように呟いた。
「ごめんなさいね、そこがわたくしの間違いであったと……まだまだお若いあなたに、ただでさえ悩み多いあなたに、余計な問題を抱えて欲しゅうないと伏せてしまった」
「そのような……」
「ですから、今これからはすべてをあなたに伝え、委ねるべきだと……そう思うてここにいるのですよ」
どこかはっきりとしない言葉を連ねる北の方に、揺羅は気づいた。お義母さまが真実伝えようとなさっていることは別にある、と。
「……ということは、ほかにもお話が?」
尋ねるまでもなくここからが本題であろう。揺羅は、言いあぐねている北の方を促すように、まっすぐな瞳を向けた。
北の方はやがて、実は、と口を開く。
「昨夜、宴のさなかに来訪者があったのです。もうお聞きかしら?」
聞いています、と揺羅が答えると、北の方は小さく頷いた。
「その者は女だてらに馬に乗り、邸に参ったそうです」
揺羅は言葉もなく息を呑んだ。
来客は女君で、しかも武者の如く、馬に乗ってきたと? あり得ぬ、咄嗟にそう思った。
「そして、春恒に会いに来た、と……そう申すのです」
黙り込んだままの揺羅に、北の方がそっと告げる。
「……殿に?」
揺羅は、己でも驚くほどに無感動な声で呟いた。
これこそが、今日の本題であるのだろう。
また、女───そんなことすらもう、揺羅の心には浮かばない。ただ、北の方の労わるような眼差しだけがわずかに心を疼かせる。その疼きを辿った時に、揺羅はふとあることに思い当たった。
あの、夫が失踪から馬で戻ってきた日。揺羅の手から奪い取り、いかにも大事そうに胸に抱いた、あの枯れた藤の花房の包み。
「それは……その女君はもしや、殿の行方が分からなくなっていた時に所縁のお方では?」
揺羅が尋ねると、北の方は不意を打たれたかのように揺羅を見、それから眉をひそめて絞り出すように問うた。
「……あなたは、何をご存じなの?」
揺羅は首を横に振り、何も、と答える。
「ただ、殿がお戻りになられた時、とても大切にしておられたものがあり」
そこから荷葉の薫りがしたのです、女君の薫りが、と揺羅は言った。
北の方はまじまじと揺羅の顔を見つめ、それから絶望にも似た吐息をついて、そうなのね、と呟くと、ふ、と視線を逸らして御簾の向こうを見遣った。
実梅がかすかに香り、しんとした静けさが帳のように覆う対屋の外では、規則正しく落ちる雨の雫の音が続く。時折、傍らに置いた小籠の中で山雀の小丸が朝の微睡みの中、寝言のように鳴く声が響くばかり。
これ以上ひどい雨にならなければいい。そうでないと、蛍たちが流されてしまう。揺羅はふと、そんなことを考えた。
「中将には───」
沈黙を破って北の方がぽつりと言った。
「春恒には未だ会わせてはおりませぬ。代わりに、わたくしが先に会うて、少しばかり話をしました」
「そのお方とでございますか?」
「ええ、そう。鄙に育った者のようです。歳の頃は……あなたより少し上でしょう」
先ほどまでと違い、北の方はどこか遠い目を庭先に向けたまま話す。
「どうやら、我が家にも所縁がある娘のようなのです」
揺羅はその時、その北の方の言葉を春恒と関わりを持ったという意味に理解した。
幾度かまばたきを繰り返し、小さくうつむく。それはあの、夫が奪い取った意味ありげな包みを目にした時に分かっていたことだ。
「あなた……その娘と会うてみますか?」
北の方はどこか言いづらそうに少し早口になり、揺羅は想像もしなかった話に言うべき言葉を失った。
「今は、東の対の曹司におります。遠い道のりを駆けてきたようですので湯を使わせましたが、出した食事には手をつけず、まんじりともせず、昨夜よりただじっとそこに座ったままなのだとか」
「眠ろうともせず……?」
揺羅は、夫が失踪していた時にどこにいたのか、詳しくは聞いていない。ただ、伊勢の方に行っていたようだと泊瀬がどこからか噂を聞きつけてきたのを伝えられたのみだ。
その女君が馬を駆けて、もし伊勢から都までやって来たのだとしたら? それは、揺羅には想像だにできぬ行為でしかない。
「……お義母さまは」
揺羅はしばらく考え込んだのち、口を開いた。
「わたくしが、そのお方と会うべきだと思われますか? それは、なぜにございますか?」
今度は、北の方が黙り込む番だった。凭れかかった脇息を、たん、たんと指で叩く。
しばしの沈黙ののち、はたとその指を止めた北の方は、ざわりと衣を鳴らしてわずかに揺羅に向き直った。
「それもすべて、あなたが決めるべきことと思うています。でも、敢えて言うならば……彼の者と会うことで、あなたの心に新たな風が吹き込むやもしれぬ、わたくしはそう信じておりますゆえ、今日こうやって話をしに参ったのですよ」
「わたくしの心……?」
それはどういう意味かと問う前に、揺羅の方をちらと見て北の方は続けた。
「ゆっくりとお考えになればいい。西の対は宰相が───」
不意に宰相という言葉を耳にして、揺羅の肩がびくんと跳ねる。
「───是親を遣って見張らせておりますゆえ、春恒は籠められ、勝手なことはできませぬ」
また、宰相さまがお力添えしてくださっているのだ、そのことを知るだけで揺羅の心は切なく震える。
その女君がどのような者なのか宰相さまはご存じなのあろうか? ふとそう考え、揺羅はまた絶望的な気分になった。中将に会いたいと現れた女君だというだけで、答えは火を見るより明らかだ。揺羅はまた、夫に顧みられぬ惨めな妻だと思われたことだろう。
「一度……考えてみます。また、お義母さまにご相談させていただくやもしれませぬが」
揺羅はかすれる声でそう答えた。
労わるような憐れむような、どこまでも優しい北の方の視線が痛かった。
*****
───これからはもう、すべてをあなたに委ねようと思うております。昨日現れた女子をどうするかも、そして……中将のことも。
北の方が帰っていった東北の対屋で、揺羅はひとり、力が抜けたように座り込んでいた。
わたくしは、その女君と会うべきであろうか。
心通わぬ夫が、恐らくはその心を捧げたのであろう女。左近の君など比べものにならぬほど、想うておられるだろう女。
その女が美しければ美しいで、取るに足らぬ者であれば取るに足らぬ者で……結局はどのような者であれ、会えばきっと惨めな気分になるだろう。そう考えるだけで、きりきりと心が痛む。その痛みは、夫のことを考える時の重苦しい痛みとは質の違うものだ。
思わず胸元を押さえ、喘ぐように息をつきながら揺羅は考えた。
お義母さまはなぜ、心に風が吹き込むなどとおっしゃったのだろうか。
「……揺羅さま」
ひそりと対屋に戻ってきた泊瀬の、これ以上ないほど心細げに呼ばう声がした。
揺羅は考えることをやめ、ゆっくりと胸元の手を下ろして背を伸ばす。
「姫さま、御方さまのお話はなんでございましたか?」
おろおろする乳母子の様子に、揺羅はそっと目を閉じた。
こんな時、今までの己ならどうしていただろう?
また殿が……と泣き言のような愚痴を泊瀬に聞かせてきたのではなかったか。
これまでもすべてのことに独り立ち向かってきたつもりだったけれど、つらい、やるせない、わたくしではどうにもならぬ、そんな弱音を吐く姿を見せては、結局泊瀬に頼り、悩ませてきたのではなかったか。
泊瀬の献身の陰に、姉である左近の君が起こした出来ごとへの負い目があると分かっていながら。
「姫さま、わたしになんぞできることは───」
「大丈夫」
揺羅はふわりと微笑み、頷いた。
「こたびのことは、わたくしが独りでなんとかする。なんとかしてみせる」
「何があったのですか?」
「……お義母さまがおっしゃったの、わたくしがやってみるべきだ、と」
お話がよう分かりませぬ、と呟く泊瀬に、揺羅は小さく笑って見せた。
「昨日、邸にやって来たという者に───殿の想いびとである女君に、会うてみようと思うの」
主人の言葉を聞き、驚きに絶句する泊瀬をよそに、揺羅は囀り始めた小丸へと手を伸ばした。
辰の刻
おおよそ、現在の午前八時の前後一時間。
松重の襲
表が青(現在の緑)、裏が紫。松葉とその木陰を表す、通年用いられる色目。
(上二つ蘇芳の濃き薄き。萌木の匂ひたる三。紅の単。───『満佐須計装束抄』より)
若菖蒲の襲
表が青(現在の緑)、裏が紅梅のグラデーション。
(表青き濃き薄き三。二つは裏白し。白表二。裏紅梅の匂ひ三。白き生絹の単。───『満佐須計装束抄』より)