・・・人物紹介・・・
登場人物をまとめました。
◎は物語の中にきちんと登場した人物、*はその存在のみ匂わされた人物です。
この時代は名前と位階、官職など、同じ人物にも呼び方が多種あるため、混乱しがちだと思います。ご参考になれば幸いです。
◎揺羅 十六歳
左大臣家の末姫。
故あって十歳の時に光少将と呼ばれる春恒の妻となり、右大臣家の高倉邸に入った。だが、夫との折り合いは悪く、以来、東北の対で孤独な日々を送っている。
別名:東北の御方、中将の北の方
◎春恒 二十四歳
右大臣家の二男、揺羅の夫。
初めて賀茂祭に供奉した時、その美貌から物語の主人公になぞらえて『光少将』と呼ばれるようになった。出生に関わることでごく若い頃に心を閉ざしてしまう。北の方として年下の揺羅を迎えたものの、その不本意な婚姻に反発してか女性遍歴を繰り返しており、出世も滞っている。
別名:左近衛中将、光中将、中将
◎基冬 二十五歳
右大臣家の長男、春恒の兄。
右大臣家の嫡子、北の方の子としての自覚から己を厳しく律し、努力を積み重ねてきた。母に似て生真面目で冷静沈着な性格は、時に冷ややかなと揶揄されるが、政においても一目置かれている。母の実家である白梅邸に暮らしてきたが、年の暮れに北の方として降嫁していた萩の宮を喪ったばかり。小さな姫君が一人遺された。
別名:宰相、参議
◎ちい姫 四歳
基冬の一の姫。
母を喪ったばかりで父とも離れ、祖母の住まう高倉邸に移ってきた。右大臣家待望の姫君。寂しさゆえか、時にまわりを困らせるような行動を取る。偶然知り合った揺羅に心を許し、懐いている。
別名:ちい姫君、宰相の姫君
◎右大臣の北の方 四十二歳
基冬の母。
前の兵部卿宮の娘で、冷静な判断力と行動力を持つ。夫である右大臣の裏切りにより、大きな苦悩を抱える人生となる。
別名:東の御方
◎今上帝 二十八歳
即位して十五年目を迎えた帝。政の上では怜悧な頭脳を持つ名君と評価されているが、最愛の藤壺女御を喪って以来、孤独を深めている。
別名:主上、今上
*藤壺女御
左大臣家の一の姫君で揺羅の姉だった。
十四歳の時、一歳年上の今上帝に入内、すぐに女御宣旨が下され寵愛を受ける。一の宮の母ともなったが、二人目の子の出産時に命を落とす。
◎祐典 二十六歳
左大臣家の長男にして唯一の男子。揺羅の兄、藤壺女御の弟。
幼い頃から学問に打ち込み、今は大納言の職にあるが、甥である今上の一の皇子の東宮立坊と同時に教育係である東宮傅の任についた。
◎彰良 三十八歳
右大臣の北の方の異母弟。どこか浮世離れしたところがあり、北の方を亡くしたのちは独り身を貫いている。あまり体調が良くない。
別名:大納言
*藤命婦
右大臣の北の方の異母妹。彰良の同母妹。兄とのよからぬ関係を疑われ、父宮によって伊勢の斎宮に追われた。今もなおそこにいるが、体調が芳しくない。
◎合歓 二十歳
伊勢の一志から春恒を頼って都までやって来た女。彰良が一志の女に生ませた娘だが、彰良自身はその存在すら知らない。
*北の方の妹
右大臣家の北の方である姉と同じ母を持つ、前の兵部卿宮の娘。姉の夫である右大臣と関係を持ち、子を成したのち出家した。約一年前に世を去っている。
*萩の宮
基冬の北の方。
先帝の女五の宮で、今上と母を同じくする妹宮でもあった。右大臣家の嫡男である二歳年下の基冬に降嫁した。数ヶ月前、二人目の出産時に不幸にも命を落とす。
別名:宮
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◎泊瀬 十六歳
揺羅付きの女房。
揺羅の乳母である榊の二番目の娘で、揺羅の乳姉妹。幼い頃は胡蝶と呼ばれていた。揺羅にとって唯一の絶対的な味方。
◎左近 二十二歳
泊瀬の姉。
元は水無瀬という名で呼ばれていた。体調を崩した母の代わりに揺羅に付いて右大臣家にやって来たが、婚儀の夜、春恒と関係を持ち召人となった。
別名:左近の君、水無瀬
◎榊
揺羅の乳母。
揺羅が右大臣家に行く頃は身体を壊し、付き添うことができなかった。今はひっそりと隠居の身。
◎安芸
右大臣の北の方に仕える女房。
◎小宰相
ちい姫の乳母。
長らく宮中で萩の宮に仕えていた。周防という名であったが、高倉邸に移った時に小宰相と名を変える。
別名:周防(旧名)
◎是親
基冬の従者で乳兄弟。
◎俊行
春恒の従者で乳兄弟。
◎衛門
春恒が住まう高倉邸の西の対の女房。
*少納言の君
かつて尚侍に仕えていた女房だが不祥事を起こして宮中を去る。春恒と関係を持ち姫君を生むが、実は春恒の子ではない。
【特別出演】
◎小丸
ちい姫が高倉邸の庭で見つけた、母鳥とはぐれた山雀の雛鳥。ちい姫と揺羅(と是親)とで子育て中。
以降、新しい人物が登場した時には随時更新いたします。