勧誘
ここまで強いとは思ってなかった。
そりゃあ他のプレイヤーよりはステータスもあるし、力もあるだろう。
剣振るだけで人ぶっ飛ぶなんて考えないだろ普通。
周りの歓声を聞きながらそう考える。
ブン、と音を立ててフィールドが消える。その瞬間大勢の人がこちらへ走ってきて
「あんた何者!?強すぎだろ!」
「その装備何?頭上の抜刀者ってのも関係ある?」
「スキルは何取ってんの?レベルは!?」
周りにガクガクと揺さぶられながらたくさん重ねられる声に怯えていた。
なぜかって?コミュ障だからだよコノヤロウ
「えっと、その……」
まともに言葉を発せれない。周りがおしくらまんじゅうみたいに押し寄せてきて、人の多さに吐き気までしてきた。
「ちょ、あの」
もう泣きたくなってくる。ていうか若干涙目である。
誰か助けてほしい。切実に。
★…………★…………★
それから1時間。いまだに人の渦から脱出できていない。
いい加減キレようかと思ったその時、
ズガァァン!!というものすごく大きな音と、数人が吹っ飛んで宙に舞う。
どういうことなの(震え声
大きな音にその場が静まりかえり、俺はもうどこかに隠れたい衝動に駈けられていた。
「ちょっと静かにしてくれないかな?」
騒動(?)を起こしたらしい1人の男がニコニコとほほ笑みながら歩いてくるのが、人の隙間から見えた。
俺のもとへ一直線に歩いてきているようで、人がずさっと引いて俺への一本道ができている。泣きたい。
男は相変わらずの笑顔で俺のもとへ歩いてきた。
「こんにちは。さっきの決闘、見ていたよ。俺の名前は『レイン』。よろしくね」
「こ…んにちは。桜、です」
「人見知りしてるのかな?急に話しかけてごめんね」
いや、人見知りというよりあなたが怖いです、なんて口が裂けても言えない。
さっきの大きな音の原因は、あの人が地面を破壊したからだ。小さなクレーターのようなものができている。怖い。
「俺はこう見えても攻略組のリーダーをしていてね…君の実力を見込んで俺らのパーティーに入ってもらいたいんだ。」
「…攻略組はなんでこんなところに?」
「今日は回復薬を仕入にきたんだ。その時決闘が行われているみたいだから見に来たってわけだ。」
「そうなんですか……申し訳ないですがパーティはお断りします」
「何故?」
断ったとき、初めてこの人の本性が見えた。目の奥に殺気が映ったのだ。
「俺は確かにいい装備を持っています。でも攻略組には入りません」
「……答えたくないってことであってるかな?」
「答えたくない以前に理由などありません。入りたくないからそう言ってるだけです。」
俺、よく言った。コミュ障もやればできるんだ…震えてるけど
「……そっか。今回は諦めるよ。」
「……今回は?」
「そう。今回は。君みたいな実力者を逃したりしない。次会ったときは拘束してでも連れて行くから覚悟しておいてね。『赤侍の桜』くん?」
そういってレインは仲間を引き連れて(仲間もいたんだ…)去って行った。
俺はもう死にそうだった。
レインさん思った以上にゲスい人になった…
レインさんが登場する直前に掲示板で二つ名が決まって、レインさんがこっそりそれを読んでいた、ってことですね、はい…
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結構大勢の方が読んでくださっているみたいでうれしいです!これからもがんばるのでよろしくお願いしますmm