別れ
結局俺らはすぐ街に戻ってきた。
このゲームでは街に大きな掲示板(にちゃんねるとは違う掲示板)があり、クエストが張り出されている。それをクエストカウンターにもっていき、初めてクエストが始まるという仕組みだ。
ちなみに掲示板に張り出されて見えるクエストは各自で違う。種族ごとで受けられるクエストが違うため、自分には見えても他の人には見えないクエストがあるのだ。
「なんか変わったのあるか?桜」
「んー……」
流石に掲示板前には人だかりができていて、なかなか見えない。
どうにか人を押し分けてクエストを眺める。
その1つ、釘で打ちつけられている紙の1つに、赤色の文字で書いてあるものがある。
そっとそれを選択すると、軽く光を放って俺の手元へ飛んでくる。紙を凝視して内容を探ってみると、どうやらレベルがカンストしたプレイヤーには転生と呼ばれるクエストが一度だけ出現するらしい。
転生とはその名の通り、一度生まれ変わること…なのだが、これまたこれがチートな内容なのである。
転生に成功した場合、今のステータス・装備をそのままにレベル1からやり直せるらしい。
それは確かに強い。ただもう1度レベルをあげなければいけないという地獄を見ることになる。
だが。
「……『完全武器レベル制度』にてレベルが上がったプレイヤーは、転生してもそのレベルからスタートできる…」
つまり転生に成功しても俺はレベル700からスタートするということを指している。
カンスト中のカンストということになるのだ。
そのことをユウと零に説明すると、2人もげんなりした様子で言った。
「これは…俺らと別行動になるなぁ…」
「だな。俺らはレベル上げが必要になるが…お前はいらないしなぁ…」
「えっ……それって俺1人で行動するってこと?」
「それしかないな…」
「悲しいけど零の言うとおりだね…」
ああ…コミュ障の俺に1人で旅しろというのか…神よ…
しかしここでわがままを言うわけにはいかない。これでも俺は一端のプレイヤーなんだから、と自分に言い聞かせ、それを承認する。
「それじゃあ俺とはここでお別れだな…絶対死ぬなよ。」
「お前こそ無理するんじゃねぇぞ?死んだら元の世界でぶっ飛ばすからな」
「物騒だなぁ零は……でも桜。絶対死なないでね」
「ああ。わかってるよ」
「ならいい。それじゃ、行こうか。零」
「ああ。小まめに連絡入れろよ桜。じゃあな」
「おう。じゃあな」
そういって俺らは二手に分かれた。
零とユウは自身の強さを求め
俺は更なる攻略を求めて
旅だった。
展開早かったかもしれない…
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