始めての行ってきます
ゴルド「ゴブリンキングを一人で!そりゃあすげぇな!」
シナ「だいぶボコボコにされちゃったけどね」
エキナ「でもすごいよ!私でも勝てるか怪しい....でも出会ったら絶対倒すもんね!」
支部に戻ってきて最初の夜、
昼間は部屋の掃除や諸々の片付けなどで忙しく。
ようやく落ち着いてみんなと会話ができる。
ただし、食事をしながらだが...
シナ「聞いてたよりも強くて、流石に死んだかと思ったよ」
ウィルツゴブリンキングとの戦いを振り返る
苦笑いを浮かべながらシナは語る
シナ「もうすごい、なんか、、こう、叩きつけられてさ」
エキナの説明する時の癖が移ったのか。
腕を軽く振ってどれだけ振り回されたのかを、
身振り手振りで説明する。
エキナ「いたそぉ....大丈夫だった?あ、大丈夫じゃなかったのか。ごめん...」
エキナは「いー」という顔で心配してくれる
ゴルド「だがなぁ、一撃で死んでねぇってことはシナもちったぁ強くなってるってこったな!」
相変わらず声がでかい
シナ「....うん、それはそう...だと思うよ。」
確かにあの戦いの中、キングからの攻撃を見切り、
しっかりと避けることができていたし、
相手の隙を見て攻撃をすることもできていた。
シナ「二人に教わったおかげで攻撃とか避けるのとかもちょっとはできたからさ。受け身も取れたんだよ」
受け身が取れていなければ、
1度目に掴まれ投げられた時に死んでいた。
シナ「だから感謝してる。ありがとう」
諸々の感謝を込めて頭を下げる。
それをみた二人は顔を見合わせて少し照れる。
エキナ「えへへ、どういたしまして!」
ゴルド「強くなって悪いことはねぇからな!」
またしばらく団欒を続ける。
ハンバーグ乗せミートソースパスタは、
少し量が多かったが、美味しかった。
シナ「......あ、そうだエキナ」
食べてる途中でふとエキナの方を向く。
エキナ「ん...もぐ...ゴクン。なーにー?」
口の周りにソースがつきまくっているシナを見て、
一瞬笑いそうになるがなんとか堪えるエキナ。
シナ「ロマリーさんが伝言をエキナに任せたって言ってたんだけど....なんだったの?」
エキナ「んー?.....んー....あ!あれか!ちょっと待ってわー!!」
忘れてたのか少し悩んでから、
ダッと席を立ち階段を登って行った。
しばらくしてからなにか紙を持って駆け下りてきた。
エキナ「これ!これこれ!もらった手紙!」
走って戻ってきたと思ったら、
自分の席に飛び、そして座る。
ゴルド「おー、そうか。エキナは待ちきれずに読んだんだっけな」
エキナ「あ!ちょっと〜...言わないでよぉ...」
意地悪な顔をするゴルドに頬を膨らませて怒る。
シナ「手紙....?」
二人のわちゃわちゃを尻目に、
エキナの手から手紙を取る。
見たことないマークの封蝋印がされている手紙。
シナ「......ん?」(読んだんだったら千切れてるはずじゃ?)
形作られてる印はひし形の各角から、
外向きに矢印が伸び、
それを円で囲ったような不思議な印。
シナ「読んでいいん....だよな?」
エキナ「あ、うん!私とシナ宛だからさ!」
べしべしゴルドを叩きながら顔だけシナの方を見る。
シナ(エキナも?)
そう疑問を抱きながら封を開く、
開くときに気付いたが封蝋印が全く傷つかなかった。
ーーー以下手紙の内容ーーー
騎士団本部より通達する。
シナ、ならびにセア・エキナ。
貴殿らに直接確認すべき事案が発生した。
理由・経緯については、書面では明かさない。
本部にて直接話す。
これは命令ではない。
だが、来ないという選択肢も想定していない。
書面を見たのち、騎士団本部まで来るように。
――騎士団本部
ーーーーーー
シナ「.......なんか...怒ってる.....?」
手紙を読む手が少し震える。
エキナ「あ〜...だよねぇ....第一印象そう見えるよねぇ....私も〜」
もう叩くことに満足したのか、
食べることを再開している。
だが声が震えている、心無しか顔も引きつっている。
ゴルド「ん〜確かに怒っているようにも見えるな...ガハハ!」
横から手紙を覗き込むゴルド。
ゴルド「さすがのエキナもビビってやがるな!ハハ!!」
手紙を閉じて机の上に置く。
シナ「で、ででもなんで?」
エキナすら震えていることにシナも震え始める
ゴルドは腕を組み悩み始める。
ゴルド「勝手に人を増やそうとすることに関して...としか考えられねぇが....」
ビシッとエキナのことを指差す。
ゴルド「エキナの父親も俺が推薦している!」
シナ「えぇ!?そうなの?!」
(いくつなんだ...一体...)
ゴルド「つまりだな、人を増やすことだ咎められることは基本ない!だから安心しとけ」
ビシッと断言するゴルド。
ゴルドが言うなら信頼ができると、
2人は安心して食事を終えた
食事の後はみんなで皿洗いをして、
食卓を片付けていく。
シャワーを浴びて、寝る前の団欒の時間。
シナ「.....ところで、騎士団本部?に来いって書いてあるけどどうやって行くんだ?徒歩?」
ソファーに座ってもう一度手紙を読み返す
エキナとゴルドはボードゲームをしている
ゴルド「それはだな...」
と口を開くゴルドを、
もう予想がついてきたが、エキナが遮る
エキナ「それはね!その手紙の封蝋印に仕掛けがあるんだよ!」
と、手紙を指差す。
シナ「これに...?まぁ確かに不思議なマークだなとは思うけど....」
エキナ「ふっふっふ、教えてあげよう!」
席を立ってシナの隣に座る。
ゴルドとのボードゲームをほっぽって
ゴルド「あ、おい!まだ終わってねぇぞ!」
エキナ「あとでやるー」
ゴルド「...はぁ...そうかよ...」
シナ(あーあ...)
エキナの興味はもうすでにボードゲームじゃなく、
シナに説明してあげる方にシフトしたのだろう。
うきうきで説明を始める。
エキナ「その封蝋印に書かれてるマークはね。門紋って言う特殊な印なの!」
シナに密着して、手紙の印を指でなぞる
エキナの綺麗な赤髪から香る良い匂いが
シナの鼻をくすぐる。
シナ(んん...風呂上がりだもんな...)
エキナ「それでそれで、転出印と転行印ってのがあって。あ、この手紙のやつは転出印ね!って書いてる?」
シナの顔を覗き込む。
シナ「え、あっあぁ!うん。聞いてるよ」
ゴルドの方を見て助けを求めるが、
ニマニマと笑うだけで助けるつもりはなさそうだ。
エキナ「よかった!でねでね、転出印を書いたものを持っておいて、それに魔素を込めると...転行印が書かれたところに一瞬で行けるの!すごいでしょ!」
シナ「.......?」
聞いていたけどわからなかった。
一瞬で行けるなんて言う話よりも、
ただでさえ薄着で肌が触れるのにも関わらず
ピッタリ密着してくるエキナに気が散ってしまう
エキナ「だーかーらー!瞬間移動ができるの!」
シナ(.....瞬間移動ね...うんうん...)
シナ「えっぇ?!瞬間移動できんの?!」
ハッ!とするシナ。
そんなことよりすごいことを言っている、
瞬間移動移動だって、そんなバカな。
エキナ「そう!瞬間移動!!ただまぁ、魔法が使えなきゃ使えないんだけどね〜...」
少し残念そうに笑う。
エキナは魔法が使えない。
魔素を込めると言う作業には大前提として、
魔素に好かれる魔法使いである必要がある、
ということなのだ。
シナ「そっか...でも、すごいね。瞬間移動なんて...」
封蝋印をもう一度マジマジと見る。
シナ「つまりこれさえあれば行けちゃうわけだ。本部までパパッと」
ゴルド「そういうこったな。準備して明日にでも行くと良い、ただもう今日は遅いからな。」
いつのまにかボードゲームを片付けたゴルドが、
立ち上がって2人に声をかける
ゴルド「そろそろ寝とけ。それ以上やってると興奮して眠れなくなるぞ」
エキナ「はーい!じゃあ明日は早く起きてパパッと準備しないとね!」
立ち上がる時にエキナ指が、
シナの手になぞるように当たる。
だが特にエキナは気にせず
そのまま階段のほうに行く
エキナ「それじゃあ、おやすみ!」
軽く手を振って登って行った。
シナ「行っちゃった...それにしてもすごいな...瞬間移動なんて....」
手紙を机の上に置いて立ち上がるシナ。
ゴルド「はは!そうだなぁ、俺はもうよくわからんから寝ることにする!おやすみぃ!」
ドスドスと階段を登って行った。
1人取り残されたシナは灯りを全部消して、
階段を登り、部屋に戻る。
シナ「.....え、明日?」
ここで一つ、誰も知らない。
知る由もないお話を挟もうと思う。
エキナ「それじゃあ、おやすみ!」
そう2人に声をかけて階段を登る。
バレてないといいな、なんて考えながら、
自室の扉に手をかけてパタンと扉を閉める
エキナ「〜〜〜!!!」
真っ赤になった耳、熱く火照った顔。
ベットに飛び込み全身を埋める。
エキナ「近すぎたかなぁ!!わざと手を当てたのバレてないよね?!キャー!」
意識し始めたのがいつからなんて、
私には全然関係ない。
気付いた時には恋なんだ。
エキナ「ちょっとやりすぎ?薄着で密着は良くなかったカモ?!ウシシッ」
告白しようなんて考えてない。
気付いて欲しいとも思ってない、
ただただこの瞬間が嬉しいんだ。
エキナ「ひひっ...寝れるかな...んふふ...」
興奮して寝れなくなる前に、
ベッドに入って目を瞑る。
こうして、恋する少女は未来を夢見て
眠りについた。誰も知らない、
知る由もないお話でした。
そして朝日が昇る。
シナ「さて....それで行くんだっけ?本部」
バッチリ準備を完了して、支部の前に集まる。
しっかりとあの手紙を持って。
エキナ「うん!行こう行こう!ゴーゴー!」
ゴルド「ま、楽しんでこいや。この街は俺がしっかり守るからな!」
エキナ「もちろん!手紙書くからね!」
シナ「......あ、そうか。ここに転行印はないから戻るのは時間がかかるのか」
長いお別れ感のある会話していることに、
疑問を覚えたが、少し考えると理由は分かった
ゴルド「そうだな。砂漠を挟むから...3日はかかんじゃねぇか?」
エキナ「この呼び出しがどれだけの時間がかかるのかも、そもそもなんなのかも分かってないからねー」
エキナは楽しみなのかぴょんぴょん跳ねてる。
シナ「もしかしたら、ここからしばらく会えないなんてこともありえるってことか....」
少し悲しいような、寂しいような気持ちになる。
無いとは思いたいが、呼び出しの理由が、
罪を問われるものでそのまま投獄....
なんて可能性だってあるのだ。
エキナ「久しぶりの首都楽しみー!
シナ(そうか、首都にあるのか。)
エキナの反応を見るにそんなことはなさそうだ。
ふとゴルドの方を見ると、すでに泣いている。
ゴルド「まだなぁ、ジナァ...エギナァ...ずびっ...」
シナ「ちょ、ゴルド?!」
エキナ「ゴルドって涙脆いもんね!」
ゴルド「うるぜぇ!ジナもづよくなっだもんなぁ!成長しだなぁ!」
そうだ、ゴルドだって人なんだ。
泣く時は泣くし、怒る時は怒る。
そうやって感情を整理していく。
だから人は前を向いて生きていけるのだ。
シナ「今までありがとう。ゴルド、また会う日まで」
エキナ「そのうち会いにくるね!」
ゴルド「いづでもこい」
そして別れを告げ、出発しようとした時。
みんなが町中から集まってきた。
「行っちゃうんだって?寂しいじゃねぇかお礼くらい言わせてくれよ!」
「街を守ってくれてありがとう!本部?でも元気でね!」
マカナ婆さん「また、お野菜食べに来てねぇ」
「本部って何?」「すごいところだよ」
「頑張ってね!!また帰ってきてね!」
集まった人々は口々に感謝や応援の言葉を述べる。
診療所の時の倍以上の勢いにシナは気圧される。
エキナ「あはは!シナ人気者だね!」
シナ「えへへ...なんか照れるな...」
???「これくらいじゃあ足りないよ。シナくん」
人混みの中から少し目立つ男性が出てくる。
60代くらいで白髪が少し混じるピシッとした男性。
エキナ「あ、オバラさん久しぶりー」
オバラ「エキナくんも久しぶり...やっと仕事が落ち着いてね。顔を出せたよ...」
エキナと、どころか全員と知り合いのようだ。
それぞれに軽く挨拶をして行く、
そして最後にシナの前に来る。
シナ「え、えっと...」
対応に困っているとエキナが耳打ちをしてくる。
エキナ「この人はね、都長って言って。この街で一番偉い人!でも大丈夫優しいおじさんだよ!」
シナ「一番偉い人....わぁ...えっと...初めまして...」
オバラ「ははは、そんなに畏まらないで。ただちょっと偉いだけのおじさんだよ。僕は君にお礼が言いたくて来たのだから」
しわの多い顔が、笑顔のせいで余計にしわしわだ。
でもその声からも優しいというのがわかる。
シナ「お礼?」
オバラ「君はこの街のみんなを守るために命をかけてくれたと聞いてね....本当にありがとう」
深々と、それはもう深々と頭を下げる。
シナ「えぇ!そんな、僕が守りたかっただけですよ!頭を上げてください!」
オバラ「本当はもっとお礼をするべきだと思っているのだがね...君たちはこれから首都に向かうのだろう?」
長いこと頭を下げた後、ゆっくりと頭を上げる。
オバラ「僕の用事で呼び止めてすまなかった。いずれこの町に来た時には盛大にお礼をさせてもらうことを誓うよ。」
シナ「そんな...えっと...」
しどろもどろのシナの背中をゴルドが叩く。
シナ「いたぁっ!?」
ゴルド「そういうのは受け取っとくもんだぜ!シナ!!」
シナ「でも叩かなくたって良いじゃん...痛い!.」
エキナ「ねーえー!まだー!早く行きたいー!!」
背中をさするシナの背中をエキナが叩く。
エキナはもう我慢できないようだ。
オバラ「すまないね、エキナくん。もう大丈夫だよ」
シナ「なんでみんな叩くの!もう!」
だけど叩かれたおかげで身が引き締まった気がする。
みんなが笑ってる、この街に来た時と同じ光景
守って良かったと心から思える。
エキナ「ほら!行こ行こ!シナがやってくれないといけないんだから!」
エキナに手を引かれ、人混みから離れる。
ゴルド「またなぁ!シナ!エキナ!」
大きな手を振っている。
その後ろでみんなが手を振っている。
シナ「よし!行こう!」
手紙を取り出して、魔素を集める。
封蝋印に魔素が灯るように慎重に、
すると金色がより一層光り輝く
エキナ「そうそう、これこれ!」
光が上空に伸びて、シナとエキナの2人を包む。
自分たちの体が光と同じになる感覚。
言葉に表すのは難しいが、
いよいよ行くんだなということがわかる。
エキナ「行って来まーす!」
みんなの方を見てエキナが手を振りかえしている。
エキナ「ほら、シナも!」
シナ「あ、うん。行ってきます!!」
少しずつ体がバラバラになって行く、
みんなの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
初めての場所から初めての場所へ。
始めたての初めてばかりの人生。
初めての行ってきますで進んでいく、
次の地へ。
第一章、第一節「黄凰防衛戦」終
次回より第二節「騎士団第一部隊」
一度ここで終わります。
今は少し書く気力が無いので、いつか書きます。
流れやキャラの名前など色々変えて新しくします
タイトルは同じなのでまたお願いします
読んでくださりありがとうございました




