遺力解放
どうも、からあげ大佐です。創世輪廻譚記念すべき第10話になります。と思いましたがタイトルを見て気になっている人が多いと思うのでサッサと行きましょう
では、第10話をどうぞ
のどかな日
畑仕事に精を出す人々
「ふー...今年もきっと豊作だな!」
汗を流し鍬を持ち
太陽が燦々と照りつける
「おまえらぁ!そろそろ休憩にすっか!」
村人たちは今日も仕事を続ける
その空気を一本の矢が破る
森の中の木々の隙間から、矢が放たれ
村人の1人を襲う
「え、う、うわぁ!!」
ゴルド「ふん!!」
がきぃんっと、巨大な戦斧が村人を守る
斧の側面で矢を受ける
ゴルド「怪我ねぇか!怪我がねぇなら立って走れ!訓練通りの動きをすりゃあ平気だ!」
装備を着込んだゴルドは歩く要塞のようだ
戦斧を担ぎ上げ、周囲の村人に合図を送る
「は、はい!みんないくぞ!!」
村人たちは立ち上がり一斉に街の方に走る
街を背に村を見て、ゴルドは笑う
ゴルド「はっ、想定通りの状況じゃねぇか。腕がなるってもんよ」
ゴブリン、アーチャーゴブリン
ウィッチャーゴブリン、スピアーゴブリン
様々なゴブリンが森の中から姿を現す
ゴルド「こいよ、魔物ども。街には一歩も入れさせねぇぞ」
時同じくして、ゴルドの位置とは反対側
街の西側にて
エキナ「ほらほら!みんな早く逃げて!街に入ったらシナが先導してくれるからね!」
逃げる村人たちに1人ずつ追いついて
軽く背中を押している。
エキナ「東側はゴルドの担当、西側は私の担当!おいでわんちゃん!」
ベアーズ、デスウルフ、イーガル
様々な獣型の魔物が唸り声を上げ森から現れる
エキナ「ふふ、遊んであげる」
デスウルフ「グァウ!」
先頭切ってデスウルフが飛びかかる
軽々と避け、切り伏せるエキナ
エキナ「ほらほらー、一体だけ〜?この程度じゃ私は負けないよーだ」
言葉を理解できるのかは不明だが
エキナの挑発的な言動は理解できるようだ
獣たちが一斉に飛びかかる
数の多い魔物によって地面が揺れるような緊迫感
だがエキナは全てを的確に避け、防ぎ
着実に仕留めていく
エキナ「ふっ、よっ。はい!」
(...この魔物たち、全部危険度喜...危害を加えなければ街なんて襲わないはず....)
エキナの背後からイーガルが鋭い爪を使い襲いかかる
エキナ「おっと危ない。難しいことは倒してから考えればいいね!」
剣を使い爪を受け、一刀両断
エキナ「シナは大丈夫かな....」
少し前に遡る
シナ「よいしょっと...この荷物ここに置いておけばいいですかー?」
「あぁ!大丈夫だよありがとー!」
街で村人たちの手伝いをしているシナ
シナ「はーい!じゃあ僕は次のとこ行きますねー!」
一つが終わればまた次のところへ
忙しく動いているところで
カァンカァンカァンカァン!!!
魔物の襲撃を告げる金がけたたましく鳴り響く
ゴルドが逃げろと指示した村人が鳴らしたものだ
シナ「!!!...来たっ、魔物の襲撃」
鐘の音を聞きつけて、家の中にいた村人たちも出てくる
皆が焦りや恐怖の表情を浮かべている
ゴルドが逃げろと言った人々も奥から走ってきている
シナ「みなさん!まずは落ち着いて!!!!訓練通りに逃げましょう!!すぐに建物から出て!避難先まで!」
シナ(俺は2人ほど戦えない、だから避難誘導の担当。任された仕事はしっかりやらなければ)
的確な指示を出し人々を先導する。
訓練あってのことパニックになる人もおらず
すぐ避難を開始する
シナ「街の真ん中の噴水広場へ!急いで!」
先頭をシナが走る。
まだ街の中には魔物はいない
2人が食い止めてくれているのだろう
北側と南側に作られた塀も破られてはないようだ
シナ「急いで!!もう広場が見えてきますよ」
もうすこしで広場にたどり着くというその時
思わずシナは足を止める
急な停止につまづいた村人も少なからずいただろう
それもそのはず、そこにいないはずのものが
眼前に飛び込んで来たからだ
シナ「なんで...あいつがここに....」
道の真ん中を塞ぐようにして
巨大な図体を持ち、筋骨隆々の腕を掲げ
そばには大蛇が佇み
額に赤黒く輝く宝石が埋め込まれている
シナ(二人のうちどっちかが負けた...?いや、そうだとしたら魔物が街に入ってきてなさすぎる...)
夢の中よりも禍々しく、
邪悪な雰囲気を醸し出すそいつは
ゴブリンの王「ウィルツゴブリンキング」それだった
シナ「皆さん!おちついて!まだ魔物の軍勢は街にはいって来てはいません!別の道を通って広場へ向かってください!」
震える手をなんとか押さえつけ
腰に差した剣に手をかける
心臓の音がうるさい、村人たちの不安の声が聞こえる
シナ「こいつは、僕が食い止めます。だから早く!!!」
ちらほら逃げ出すものもいるが、
踏ん切りがつかないのか不安からか
立ち止まり動き出さないものがまだ多い
シナ「....行け!!!!!!!」
シナのなかなかない怒号にようやく動き始める
シナも覚悟をきめ、キングに向き直す
シナ「お前の相手は俺だ...かかってこい....」
剣を向け、そして走り出す
キングはニヤっと笑い戦闘態勢に移る
拳を振り上げ殴りつける
シナ(遅いっ避けれる!)
顔面の左側を狙った拳を寸前で避ける
少し掠ったが致命傷には程遠い
止まらず剣の間合いへと走り出す
シナ(エキナのほうが速かった!)
二発目に飛んでくる拳を
次は余裕を持ってしゃがんで避ける
立ち上がるときはエキナから教わった
地面の踏み込みで勢いよく前へと走る
シナ(腕は二本、二発避けた!胴体がら空き!!!入る!)
間合いまでたどり着く、剣を振り上げ
キングの左首元から右の腰に斜めに斬りかかる
シナ「はぁぁぁぁ!!!」
防ぐ動作もなく剣が入る
だが、傷一つついていない
防げなかったではなく防ぐ必要がなかったのだ
シナ「嘘だろ??!?」
キングは変わらずニヤケ顔で拳を振り上げる
一瞬のすきが命取り
固まったシナの土手っ腹に拳が叩きこまれる
シナ「しまっっ!!」
吹っ飛び果物の屋台に突っ込む
内臓がすべて引っくりかえったような吐き気が襲う
思わず吐瀉物を巻き散らかす
だがまだ生きている
シナ「ウグ...オエェ...はぁはぁ...どうした...ゴルドのパンチなら気絶してるけどなぁ!」
果物の棚から出て、正面に立つ
あまりの痛みに脳がドーパミンをだしたのだろう
笑いが込み上げてくる
キングゴブリン「ギガ...ヴォマヱ...ヨワイ..」
口を開き、言葉とも読み取れる鳴き声を発する
キング「ギャ...オレ...ヅヲイ...」
シナ「なんだしゃべれんの!すげぇじゃん!」
ハイになったシナはまた走り出し
キングも拳を今度は連打パンチを繰り出す
一つ一つをよく観察し避ける方向、
受ける角度を考えて猛攻を避け続ける。
明らかに強くなっている。
シナ「遅い遅い!どうした!つよいんだろ!!」
避けに避け、距離を詰める
だが想定外の行動がシナを襲う
キング「オバェバカ」
シナ「は?...ガッ!!!」
腕は二本、だが関係ない方向から強烈な一撃を
左側頭部にくらい弾き飛ぶ
連打はブラフ、背後に控えていた大蛇からの攻撃
キングは大口を開け馬鹿にするかのように
嘲笑い続けている
シナ(くそ、くそくそくそ!うごけ!動け!!!)
側頭部による衝撃、家屋に突っ込んだ痛みで
脳震盪を引き起こしシナの体は
四つん這いで動けなくなる
シナ(眼の前がふらつく、平衡感覚もぶっこわれた!たのむうごけ!!)
ジャリジャリとキングが歩いてくる
シナの足首を掴み、持ち上げる
ふりまわしたあと街道にむかって投げ飛ばす
キング「ギャッギャッギャ!!」
シナ「オッごほぉ!!!」
壊れた人形を振り回す子供のように
シナを掴んでは投げ、投げては叩きつける
床に叩きつけられる音は段々と鈍い音に変わる
石畳が割れるほどの力で叩きつけられる
ある程度繰り返して飽きたのか放り捨てる
シナ「うグッ...はぁ...はぁ....」
骨は何本かは確実に折れている
頭から血が流れて顔に垂れる
視界が赤いのか、それとも
あたりが赤く染まっているのか
シナにはわからなかった
シナ「はぁ...はぁ...随分とまぁ......遊んでくれたじゃねぇか..はぁ...はぁ...」
動くたび骨が軋む
喋るたび血が滴り落ちる
それでも愛すべき街を人を全部を守るため
必死で立ち上がる
シナ「もう俺に興味をなくしたのか??....ウグ...寂しいじゃねぇか」
(少しでも言葉で注意を引け、言葉が理解できているのならば!)
さすがのキングもなげすてた
ボロ雑巾が立ち上がったのを見て
若干の引きを見せるが、
だが以前もう興味はなく背中を見せる
シナ「なぁ..おい...」
剣を握ろうとするが、すでに手の中にはなかった
どこかのタイミングですっぽ抜けたのか
端に転がり折れていた
シナ「くそっ...まてよ!!最後のとっておきみせてやるからなぁ!!」
最後の手段、用意しておいた最後の策
ひしゃげた右腕を前に突き出し
キングの背中を狙う
シナ「訓練したからなぁ...バチバチせずとも帯電できるようになったんだよぉ!!」
そう叫ぶと同時に全身に稲妻が走り始める
あの時の静電気とは比べ物にならない
キングも異常な魔素の流れを感じたのか
焦りの表情を浮かべ振り返る
シナ「今頃気付いてももう遅い!!」
(イメージ、形成、あいつを倒すほどの雷!2日もためたんだ。とくと味わうがいいさ!)
全身の稲妻が手のひらにあつまり始める
紫色の魔法陣が描かれる。
キング「ギャギャ!?ドゴニゾンナヂガラ!!」
シナ「とっておきは最後までとっとくからとっておき何だよ!!!」
最大限魔素が集まり切る
シナ「雷属性魔法!!サンダーエンパイア!!!!」
一直線に伸びた光がキングを貫く
同時に上空から雷がキングを直撃
以前とは比べ物にならないほどの
雷鳴と光があたりを轟かせる
空気がしびれるほどのその一撃は
キングゴブリンを地に伏せるには十分な火力だった
キング「ギャギャギャギャギャギャァァァァァァァァァァァ!!!!!」
丸焦げになって倒れる
シナ「やった...か...」
後を追うようにシナも地面に倒れる
安堵の表情を浮かべると同時に痛みに呻く
シナ「くっそ...いてぇ...」
これで、終わり
かと思われた
キング「グギギ...」
キングゴブリンが立ち上がったのだ。
シナ「うそ....だろ...最後のとっておきだったんだぞ....」
キング「......オマエ」
キング「コレデゼンブ」
キング「ゼンブデモダリナイ」
一歩踏み出す石畳が砕け軋む
キング「オマエツヨイ」
キング「ヨワグナガッタ」
キングがにやりと笑う
キング「デモオレタオゼナイ!!ヤッバリヨワイ!!」
絶望を叩きつけるかのように笑い始める
事実なのだ、夢じゃない現実だ
圧倒的な力の前に自分は無力なのだ
シナ「くそっっ....クソ!!」
キング「ソゴゾゴダノジメダ」
両腕を前に突き出す
手のひらに魔法陣が広がり
炎が巻き起こる
巨大な火の玉となったそれをシナへと狙いをつける
シナ(...もう一歩も動けねぇ...武器も魔法も...逃げることも....)
キング「ギャギャギャ、ジャアナ」
火の玉が魔法陣を離れ
倒れているシナへと飛んでいく
シナも覚悟を決める
その時
???(見つけた)
シナ「え?」
知らない声が頭に響いた。
刹那、
一本の剣が空から飛んできて火の玉を一刀両断する
そしてそのままシナの前に突き刺さる
キング「グギャ?!ゼンブウソガ?!」
シナ「これは....!...あの時の....」
その剣は青い刀身を持つ剣だった
そう、最初に森で目覚めたときに握っていた剣だ
シナ「見つけたって...俺を?」
掴めとそう言っている気がした
なんなのかはわからないが
一途の希望となるならば
力を振り絞って掴む
一瞬だけ別の空間に移動したような
そんなふしぎな感覚が襲う
なにもない真っ暗な空間で
青く光る人影がこちらを見ていたような
その影が自分の右手に吸い込まれて
剣の形をかたどった...気がする
シナ「はっ...今のは...」
意識を取り戻したとき、なぜか自分は立っていた
剣を握りしっかりと両足でこの世界に立っていた
キング「ナゼタデル!!!タデルジョウタイジャナギ!!」
そうだ。からだは変わらず血だらけで
傷もあって痛みも感じている
なのになぜか心は晴れやかで
頭にとある四文字が浮かんできた
シナ「....遺力....解放...?」
そう呟いた瞬間剣がけたたましい光を発した
青く光輝きその光は全身を包み込む
温かいようなそして、優しい光が
キング「グギ!?」
シナ「なんだこれ?!?!傷が...痛みも消えてる!」
光に包まれたところから傷が治っていく
そのかわりにあいつに勝てるかもしれないという
万能感が心に満ちていく
シナ「なんかわかんねぇけど、やれる気がする!!!」
剣をしっかりと握り走り出す
この剣の力なのか体が軽くいつもよりも速い
キング「ギギ!」
キングも負けじと拳を上から振り下ろす
シナ「さっきよりも遅いぞ!どうした!!」
軽々しく避けていく、避けるどころか余裕を持てる
拳を避けたところに大蛇の攻撃が飛んでくる
シナ「それはもうみたんだよ!!」
側面から大蛇の首を切り落とす
すごい切れ味で簡単にはね飛ばせる
シナ「切れ味すご!」
キング「ギャァ!」
切り落とした大蛇は実は
キングの尻尾だったようで苦しみだす
恨みと言わんばかりに裏拳をシナに向かって放つ
シナ「うわぁ!危ない!!」
間一髪であたらなかった。いや当たった
思わず恐怖でしゃがんだが、
縦に持ったままだった剣に
裏拳があたりキングの右腕が切れたのだ
キング「グギギっっ!」
シナ「...この剣こいつの肉も切れる!」
普通の剣とは違うのだ
普通の剣では切れなかった
でもこれならキングの首も切れるはず
シナ「これで終いだ。ゴブリンの王!ゴブリンキング!!」
一度距離を取り勢いをつけるため走り出す
キングは痛みと恐怖に震え尻もちをつき後退りする
キング「ヤ、ヤベロ!!」
シナ「今度は俺が笑ってやるよ!!おらぁあ!!」
キングの横を通り過ぎる瞬間に首を刎ねる
力を込めて振り抜いたからか首は宙を舞い
そして体と一緒に塵となって消えた
シナ「勝った...かったぁぁぁ!!!ああぁ....」
勝利の喜びを噛み締め雄叫びを上げるが
そのまま地面に倒れ込む、
そして全身を包む光も消えた
黄凰防衛戦。勝利
読んでくださりありがとうございます。ブクマ、感想、評価をどうぞよろしくお願いいたします。
第10話はどうでしたか?いつもより文章量が多くなってしまって混乱させていたら申し訳ありません。
シナがメインとなる名場面なのでついつい筆が乗ってしまいました。
戦闘話なんかは文章量を増やしていこうと思っています
では次回、創世輪廻譚第11話「兎耳の、お医者さん」どうぞお楽しみに




