↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

冷たい水

掲載日:2025/08/08

暑い。暑い。暑過ぎる。


連日三十度越えの猛暑。

そのまま温度はろくに下がらず、毎日毎日、熱帯夜。


窓を開けていても、ぬるい風でも吹くならまだマシで、熱した湿気が入るだけ。

じっとりした部屋の空気の中、じわじわと滲み出す汗が止まらない。


それでも明日も予定があるから、とにかく寝ようと試みる。

しかし、人間おかしなもので、寝よう寝ようと思うほど、かえって逆に目が冴えてくる。

横になったまま何もせず、眠ることを諦めると、そのうちいつか寝てしまう。


けれどまた、一時間、よくて二時間もすると、暑くてまた目が覚める。

寝る前に枕もとに置いたペットボトルの水を何口か飲み、また諦めて寝る。


今度は頭の鈍い痛みで目が覚めた。


そういえば、寝たままでも熱中症になると、なにかで聞いたことがある。


いまは、いったい何時なのか。


まだ暗い部屋の中、起き上がる前にペットボトルに手を伸ばす。

たしか、まだ半分くらいは水が残っていたはず。


掴んだ。


冷たい。

部屋の温度から考ると、不自然なほどに。


引き寄せようとした。


動かない。

ペットボトルがビクともしない。


なんでだろう?


当然の疑問に、顔を動かして、見た。


自分が握ったペットボトルの胴の部分。


その逆方向の暗がりから、白い手が伸びていて、底のほうを掴んでいた。


爪に赤いマニキュアが塗ってある。

女のか細い左手。


思わず大きな声を上げて、手を離した。


すると今度は右手も伸びてきて、いま離したばかりの部分を掴む。


こっちの指にはマニキュアがない。


そう思ったが、すぐに違うと気付いた。


五本の指、そのすべてに指先がなく、断面が黒ずんでいた。


二本の手は、大事なものにそうるようにペットボトルを撫でまわす。


動きが止まった。


ペットボトルから離れた右手が、こっちへゆっくり伸びてくる。


近付いてくるときに見た。


指の断面は、すべて黒く焼け焦げていた。


そのまま、意識を失った。


すでに蒸し暑い朝、汗だくで目が覚める。


なんだ。夢か……。


水を飲もうとペットボトルを掴んだ。


冷たい。

氷でも入ってるのかと疑うほどに冷たい。


なのに、ペットボトルの表面がなぜか結露していない。


水はペットボトルごと捨てることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。