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キャラハンと清明:結婚生活の準備編  作者: 木苺
   (その2)キャラハン、スカイの母に会う
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スカイと母后・男の沽券

コンラッドから、”心中のつぶやき付・但しキャラハンの頭の中に浮かんだ映像は無し”の 清明とキャラハンとのやり取りを聞かされたミューズは爆笑した。

 

「この前 スカイと二人がかりで、清明に水を浴びせた甲斐があったね!」ミューズ


「今回は、水をかけなくても、自分で自分の誤りに気付けた(ぶん)、進歩したと言えるかな」スカイ


「確かに 真面目一途に キャラハンとの家庭を築こうと努力する点は

 清明を誉めてやっても良い」コンラッド


「そもそも 起点も、あらかじめ描いた道順もずれているから、

 毎度毎度(まいどまいど)修正するのが大変だけど」スカイ


「ほんと キャラハンも清明もまじめで努力家だよね。

 『今の自分の心』を直視したうえで、良い方向に向かう努力を惜しまない」ミューズ


「で、その努力が実現できるよう、現実的な手助けとして、

 公爵夫人となるキャラハンの侍女選びへの協力かぁ」

スカイは嘆息した。


「公職夫人の生活ねぇ。


 今 王国にある公爵家は コンコーネ公爵家だけだよ。


 清明は、かつて自分を疎遠にしたあげく、お家騒動で家門の没落を招いた人間を 自分に近づけたくないからと言って、自分の家臣はかつての公爵家とは無縁な人を選んだのに、

なんで キャラハンの侍女には、かつての公爵家にゆかりのあった人達を置こうとしたんだろう?

矛盾してるよ、まったく」


スカイは 清明が作った キャラハンの侍女候補リストを手に 嘆いた。


「逆に言うと 誰も何も言わないのに そのリストを見ただけで、

 正しく展開を予見できたキャラハンもすごいねぇ。」ミューズ


「うーん 彼女を最初から上級官吏として採用できていたら、

 今頃はとっくに子爵として叙爵して どっかの領主に任命していたのに、

 と、国王としては思うけど・・


 現状では 心優しく優秀な子供が親の不幸を背負わされる現実を解消する手立てがみつからないんだ。

 100年後には この問題に もうちょっとましな対応策が実現していたらと願わないでもないのだけど」

スカイは 国王としての心情をもらした。



悩んだスカイは 母のもとへ行った。


前国王の引退と共に王妃も引退したが、

スカイ国王が いつまでたっても結婚しないので

今でも 前王妃であり母后でもあるエリザべスが 王族女性たちのリーダーを務めていた。


ちなみに 王国には 公式には皇太后という地位はない

引退した国王も王妃も 表舞台から完全に去る。


しかし スカイに姉妹はなく 妻もないので、王族女性の内輪の集まりでは

前王妃がそのままリーダーに立ち続けていたのであった。

 さらに 内宮に勤める女性達の任免権も スカイ国王から委託されていた。



スカイから キャラハンが抱える悩みを聞いて、エリザベス前王妃は言った。


「あなたが さっさと結婚していれば、王妃が公爵閣下の婚約者を茶会に招いて あれこれ相談に乗ることもできるのに。


 あなたは 私たち引退組が表に出ることを嫌っているから

 困ったわね。

  いったい どうやって キャラハンさんとお会いすればよいのやら」


「チッチがキャラハンを招待して、そこに母上が同席するというのはどうです?

 内輪のお茶の時間という形で」


「あなたにしては 良い提案ね。

 ただ 清明さんが チッチに熱を上げていたという過去が無ければ」エリザベス


「ですよね。

 チッチにしても、今は 自分の恋愛問題で頭がいっぱいでしょうし」スカイ


「となると 僕が コンコーネ領主が王都にいる機会を利用して

 領主とその婚約者どのを母上に引き合わせる。

 

 いや むしろ、母上が チッチから コンコーネ産の布を使ったキャラハンの新型ドレスの話を聞いて興味を持ったので、キャラハンを呼び出すという形にしたらどうかな」


「あら なにそれ? そんなドレスの話を聞いてないわ」エリザベス


「あー 清明は 特許の関係でチッチとムービーに口止めしてたんだっけ。


 じゃあ 僕が 清明から聞いたのろけ話の中に、キャラハンの着付けの匠ぶりがあったと知った母上が興味を持ったということにしましょう。」スカイ


「それよりもっと単純に、あなたの親友の婚約者に私が興味を持ったってことにしたら?」エリザベス


「えっ そんな。

 僕はもう 一人前の大人です。

 そこまで親に口出しされる男だとは思われたくありません!」スカイ


「いっちょこまえに。

 私が いつ 口を出すと言いましたか!


 親友の婚約者の侍女探しを手伝って欲しいと私に頼んできたのはあなたでしょうが。」エリザベス


「はいそうです。すみません。

 僕が あれこれ外聞を憚って もっともらしいストーリー作りにこだわったまま

 そのストーリーが思いつかないのがいけないのです。」スカイ


「その気持ちを忘れないように。

 自分の面子(めんつ)を最優先にして、家族の面子をつぶすような男は、

 夫として息子として最低だと 心得なさい」

エリザベスはきっぱりと言った。


(あちらを立てればこちらが立たず

 あちらもこちらも建てようとすると、自分に泥がかかる。


 ここで 男の沽券(こけん)だの男の面子だのと言って 身近に女性に泥浴び役を押し付けるのが、

 この世の習いだと ついつい思いがちだけど

 はぁ ミューズにしても 母上にしても シビアに切り込んでくるなぁ。


 清明も 他人事だと その辺の突込みが厳しいのに、

 こと自分の恋愛問題になると 男中心主義に心の根っこまで染まり切っていたし


 母上は 結構 父上を立てて生きてきたのに・・

 息子の僕には ほんと厳しい><


 僕たちは 「ならぬ堪忍するが堪忍」と男の宮仕えのつらさをつぶやいて

 「そんな気持ちは女にはわかるまい」と思ってきたけれど


 実際には 女性達の方が 家庭でも職場でも堪忍を積み上げてきたのかもしれない)


と 少し自己反省したスカイであった。


※ この続きは 明日 朝7時公開です


※ 土日祝休日は 朝8時 

  平日は    朝7時の1回投稿です

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